くらしごと編集部では、サイト公開時から林業に着目し、林業女子の記事公開をはじめ、全道の各振興局区分でスタートした林業担い手確保推進協議会に呼ばれオブザーバーとして参加したり、上川総合振興局の林務課のみなさんと林業事業体のみなさんに対して『林業で働くこと』に関してグループワークを行ったり、旭川農業高校の生徒さんたちと『働くこと』に関してワークショップをしたり、北海道水産林務部さんから新たな担い手確保事業のお仕事をいただき、林業のお仕事を詳しく説明するための冊子を作ったり、と実は林業業界に関して活動しております。
くらしごとファンの方は知ってる知ってるFacebookで見た!なんて方もいるかも知れませんね。
そんなわたしたちが、かねてからずっとやってみたいと思っていたくらしごと独自の林業イベントをついに開催いたしました!
その名も「くらしごとCafe Vol.2 林業若者ゼミ」(2019年12月7日(土))
そのイベントリポートをお届けします。
イベントの主たる目的は、「世の中の人に『林業』を職業選択の一つにしてほしい」という壮大な想いのもと、まさに林業で働く若い方々に集まっていただき『若者が考える若者のためのPR』という意見を交換することでした。
さらに会社や地域を越えて横の繋がりでコミュニケーションをとることによって、林業の良さを感じてもらい、林業を働き続けたいと思える環境にしていくことも重要だと感じています。
「実際に働いている方々の意見」が知りたかったというのもこのイベントを行った理由でもあります。そして、林業業界には小さな会社も多いので、就職しても同期がいない、すぐ上の先輩との年齢がすごく離れていて『困ったときの相談相手』がいない・・・等の悩みを、会社を超えた横のつながりを増やすことで、解決できないかとも考えています。
林業で働き続けたいと思えるような環境をつくること。そして私たち自身の勉強のためといったさまざまなことを考えての実施でした。
・・・なんだか堅苦しい?重苦しい?私たちの想いもありつつも(笑)おおさっぱにいうと、
みんなで集まって楽しんでみたら、何かが起こるかも!という軽いノリでもありました。(笑)
そんな形でも集まってくださった林業若者たちが7名。
興味を持って来てくださった林業界隈の道職員の方たち6名。
くらしごと編集部から3名のスタッフがでて、合計16名でかなりまったりとした雰囲気で開催いたしました。
場所は、くらしごと編集部も在籍している札幌市中央区のジョブキタビル内ジョブキタプラザにて行いました。
そして今回、おそらくデビューとなった「紙のファイル」。
書類を挟むためにある「クリアファイル」の消費量を抑えるため、その代用品として紙でできたファイルを制作してお配りしました。
こちらもみなさんから大好評。さすが林業業界で活躍されている方たちは森林資源の活用と自然保護の意識が高いです。
さてさっそくレポートに入っていきましょう。
第一部は北海道水産林務部さんのご厚意もいただきまして、林業の現場で活躍する高性能林業機械ハーベスタのシミュレーター体験を行いました。
日立建機日本株式会社本社の野口和也さんと北海道支社の山下恭一さんにお越し頂き、林業の本場とも言えるヨーロッパ・フィンランド製のシミュレーターをセッティングしていただきました。
野口さんは、林業架線作業主任者の肩書きももち、林業専門の社員として全国を飛び回っていらっしゃるそうで、このシミュレーターは、海外では実際の機械に乗る前にトレーニング(オペレータの教育用・フィンランドでは資格がないため、これを利用して100時間以上研修するそう。ちなみにフィンランドでは林業は憧れの仕事だそうです)するために使われているものだと説明をしてくださいました。
精巧なグラフィックで描かれる画面やエンジン・作業の音、両手に本物の機械にもついているものとほぼ同じコントローラはとてもリアリティがあります。
ある種ゲーム感覚でハーベスタの操縦を体験でき、もしかしたら子どもたちが林業の仕事を知るキッカケのひとつにもなりそうだと感じました。
さて、この高性能林業機械ハーベスタは、林業に携わったことがある方であれば知らない人はいない、現場で大活躍の重機機械です。
ハーベスタがあれば伐採・枝払い・玉切りまでの一連の作業を一台でこなすことができ、かなり効率的な作業が可能になるのです。
もちろん、全ての林業の会社がハーベスタを導入しているわけではありませんし、もし導入していたとしても、若者がすぐに乗れるものでもありません。
ただ、かなりメカニックでかっこいいので、憧れている人は多いのではないでしょうか。
ということで、若者達の就業意欲を維持させるためにこの体験を組み込んでみました。
参加した現場のみなさんは、高性能林業機械ハーベスタの乗車経験はありません。
なかにはグラップル作業(重機を使って木をつかんで移動させる)を経験したことのある方もいましたが、やっぱりボタンの作業が多いハーベスタは難しい様子。
一人がコントローラーを握り、操作をしつつ、それを周りでみんなもみながら、笑いもたくさんおこるような雰囲気で体験できました。
(ちなみに練習で触った筆者は、思いっきり木を倒す方向を間違え、操縦席に木がぶつかりました。実際やってたら大けが・・・汗)
1人称視点と3人称視点に切り替えることができます。
「楽しいけど、難しい〜」と話すのはなんと今回最北からのお越しで中川町から。天塩川工業株式会社の坂本さん。
坂本さんは冬場は除雪のため重機に乗って作業もしている重機オペレーターでもあります。
「木と重機の距離感をつかむのとか、思っている通りに動かせなくて難しかった〜」と話すのは当麻町森林組合の奥山さん。
「家に欲しい・・・家でずっと木を伐っていたい・・・(笑)」と話すのはくらしごとに登場したこともある(有)スリースターズ興業の長井さん。
同じく(有)スリースターズ興業からお越しの塚田さんは「自分が思っているよりも本格的なシュミレータだった。いや〜面白かった。でもすごく難しかった。ボタンもたくさんあって。でもとってもいい経験になった」と興奮気味に話します。
和寒町森林組合からお越しの佐藤さんが「2回目だったけど、難しかった。こんなのをみんな乗ってるんだなって、あらためて作業の人たちを関心した。木の長さとか種類で自動でハーベスタがやるんだなって思ってすごいなって思った」と話します。
シミュレーションをしているあいだレクチャーしてくださった日立建機日本株式会社の野口さんは「各都道府県の研修会とかでも使ってもらっていて、各林業大学などでもレンタルで導入している」と話します。
レンタルを行っているのは日立建機日本株式会社さんだけとのことで、会社での社員用の研修としても良いのでは?!とも思うほど本格的なシミュレーターでした。
写真左が野口さん、右が山下さん。とても丁寧に教えて下さいました。ありがとうございました。
第一部をお楽しみのあとは頭を使って林業のPRについて
第一部で場がかなり暖まり、楽しくなってきたところで休憩タイム。
第二部では頭を使ってアイデアなどを考えてもらいたかったので休憩タイムにはケーキをご用意しました。
これがまた場を和やかにさせ、会場ではけっこう話をする人たちが。
そうですそうです。これですくらしごとがやりかったのは。
この横の繋がりを作りたかったんです。とほくそ笑みながら進行していきます。
まずは北海道水産林務部の方たちから、農林漁業の普及のために現在今どんなPRをしているのか、何をPRしているのかを話していただきました。
この北海道水産林務部林業木材課では高校生向けの出前講座へ赴き、農林漁業の魅力を伝えていたり、移住フェアなどの道外でのPRや体験ツアーなどの組み立てなどを行っていることが発表されました。
また、『地域を守る仕事』ということもアピールしているというほか、未経験でも始められて資格をとれる・通勤ラッシュがない、自然の中で体を動かして働けることでストレスがない、定時で終わって帰ることができる、という利点も伝えているという話がでました。
良い面ばかりでなく、現状林業業界でよくありがちの季節雇用(メリット・デメリットありますし、正規雇用をしている林業会社ももちろんあります)の不安定さやお休みが少ないこと(週休1日が多い)も話されました。
そんな情報を頭に入れつつも、参加者の方たちには現実に即した
- あなたがおもう林業の魅力・楽しいところ
- 業界の課題だと思うところ
- 若者の効果的なPR方法(なにをする?)
このワークでは林業従事者の若者たちのほかにも林業に熱い道職員の方たちも混じり、意見交換を行います。
出てきた内容をポストイットに書き込んでいき、似ている内容はまとめて貼りだし意見を出していきます。
それでは気になる「林業の魅力・楽しいところ」の発表です。
- 森や循環した暮らしのための働いているという貢献感
- 目で見える達成感
- 自分の技(ワザ)になる(手に職)・資格がとれる
- 健康的な生活リズムになる・生活リズムが整う
など、真面目な内容で魅力的なものがズラリ。その他にも面白い内容で
- 「山菜 きのこ 見つけ放題」
- 「木や枝で物つくったり 鹿の角が拾える! 副業にもってこい!」
- 「営業職疲れしない業種」
などという意見も若者達から出てきていました。
中でもこんな楽しみもあるのか!と思ったのが
「自分がたずさわった現場で出た材が、銘木市等で高く評価された時の感動。」というものでした。
銘木市というのが定期的に年に数回開催されていて、そこに出品したときに実際に市に見に行く経験をした!という参加者からの生の声です。
自分達の仕事が実際にどう流通してどうなっていくのか、どう社会に貢献しているのかを知ることの重要性を知った気がしました。
また、若者達から口々にあがったのが「野生の動物に会える」という現場に出て体験しているからこその声も。
自然の中で働ける魅力のうちの一つですね。
意見(ポストイット)が活発に出てきます
ではお次は林業業界の課題だと思うところ。
今実際に働いている現場の方たちが思う課題。これってかなり貴重な意見だと思います。
若者達満場一致ででてきた意見は・・・
「休みが少ない 休みづらい」です。
これは行政の方たちも把握していた部分ですね。
週休2日への取り組みを始めた会社もあるのですが、まだまだ慣例的に休日週1日のところが多いのが現状です。
以前上川林業ワカモノ会議でも出てきた内容ですが
就業環境の整備は若者の就業・定着にとって重要なファクターです。
そして見逃せない意見の一つは
「ケガ・危険が伴う」ということ。
伐倒の際にきちんと確認して木を倒さないと大変なことになるのは想像に難くありません。
そしてチェーンソーを扱う上で、きちんと作業手順を理解して、機械構造も理解して、常に気を張って作業が肝心です。
更に「まだまだタテ社会の色が濃い。意見が上に反映されない トップダウン型」という意見も。
これは林業だけの課題ではないように思いますが、そういう色が濃く残っている業界という認識はみなさんあるようでした。
これとも通じるものがありますが閉鎖的だと感じている参加者が多かったように思います。
そういった背景もあり「こういうイベントに参加することで横の繋がりが増えてすっごく嬉しいです」という参加者の声もいただきました。
ズラリと出てきたみなさんの意見!
ではではこの「林業の魅力・楽しいところ」と「課題」を把握した上で「若者に効果的なPRとは」というブレイクダウンを行いました。
出てきた意見の一つに
「作業する姿のかっこよさの写真集」というのが出てきました。
これはくらしごとでも是非やりたい!!!と思っているもののうちの一つ。
実は林業の作業着はめちゃめちゃかっこいいんです。
そして作業している姿(筋肉)もかっこいいのです。
それをかっこよく撮影した写真集!みなさんにPRする方法としてはインスタとかでPRしていくのも相性が良さそうですね。
その他にもたくさん意見が出てきました。
これはせっかく出てきた貴重な意見。全て掲載させていただきます。
- 高校生への職場体験
- メープルシロップや栗を集めてパンケーキ屋やる
- 引きこもりの社会復帰と相性が良い気がする。
- 駅前でデモンストレーション
- 都会でアンテナショップかまえる
- 森を見て回るツアーをする
- しば刈り&焚き火
- ブログをやる 林業会社で専属のブロガー職をもうける
- テーマソングをつくる
- 歌いながら仕事ができる
- 一人作業時間の多さをアピール
- 丸太切り大会
- 立木をイルミネーションしてクリスマスツリー風にする
- 別の切り口(木工、アウトドア)などから興味をもってもらう
- 木を伐ってスプーンをつくる
あふれ出るアイデア。いいんです。コストも予算も何も無い状態で考える。それが大事なんです。
まずは壮大なイメージを膨らませて、何が出来るのか、何をしたら業界が楽しくなるのか、仕事が楽しくなるのか、を『一緒に考える仲間がいるんだ』ということを感じてもらいたかったのです。
くらしごともその仲間でありたいなと思っています。
以前くらしごとでも紹介した上川総合振興局の方たちからは、林業若者ファッションショーをやる!という決意も聞けましたし。(笑)
今後もくらしごとでは林業という業界をもり立てるための施策を考えつつ担い手不足を解消すべく、できることを模索していきたいと思います。
以上くらしごとカフェ第二弾「林業若者ゼミ」レポートでした。
※ちなみに、参加者の方たちについての細かいところは省かせていただきました。
参加していただいた方の中で、え!俺・私のことももっと書いてよ!!という方がいたら、お気軽にご連絡下さい(笑)
※ちなみに参加した方の中でブログを書いて下さった方も居ます(三笠市の前田さん。感謝感謝!)
そちらも是非見てみてください。
https://note.com/sika_ring/n/nf8bc51cca7bb?creator_urlname=sika_ring
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