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まちおこしレポート
上川

林業で働くワカモノがイキイキ活躍するために20191015

この記事は2019年10月15日に公開した情報です。

林業で働くワカモノがイキイキ活躍するために

「是非くらしごとさんに見に来て欲しい!!いや、見てもらわないといけないので絶対来てください!」

と熱烈なオファーを受けて車を走らせたのは、重たそうに稲穂が頭を垂れ始めた9月の初旬でした。

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向かった先は旭川にある上川総合振興局。

これまでも上川エリアでは上川林業担い手確保推進協議会の研修会に出席させていただき人材採用のお話しをさせていただいたり、旭川農業高校で行う企業説明会の前に「働くってなんだろう?」ということを伝えるワークショップを行ったりしてきました。
(わたしたちくらしごとの記事を書いてるだけじゃないんですね〜)

林業に限らずどの業界にも言えることですが、若い従業員が辞めずに定着し長く働くために、企業側が色々取り組まなければならない時代になってきました。
利益をあげることももちろんですが、働く従業員の体と心の安定を企業も考えていかなければなりません。

林業業界でも高齢化の問題や担い手不足など他業界でも言われている課題が山積みです。

そんな状況を少しでも打破したい!
もっと若者が林業業界で働き続けていくためにはどうしたらよいのか!
どうしたら林業の業界全体で良くなるのか!
会社の垣根を取っ払って業界全体でこの問題に取り組まなければならないのでは?!
という想いをもって、音頭をとっているのが上川総合振興局の産業振興部 林務課 林務係の皆さんです。

さて、冒頭に戻りますが「これは絶対くらしごとさんに見てもらいたい企画を考えたので、絶対来て欲しい!」と声をかけてくれたのが斉藤翼さん。
『上川林業ワカモノ会議』を企画した中心人物です。

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斉藤さんは札幌出身で札幌の高校を卒業後、北海道の職員となり、上川総合振興局へ配属。
もちろん今まで林業に携わったことは無かったそうですが、林務課に配属され林業のことを勉強する毎日。そして林業事業体の人たちと会えば会うほど、この業界にもっと役に立てる施策を日々考える毎日だとか。

「林業事業体の方たちの困っていることや課題について色々と考えているうちに、まず課題解決のひとつとして若い社員がすぐ辞めずに林業を好きになるために、事業体としても継続的に続いていくために、若者たちの現状を知ることからはじめました。そして、職場環境や林業業界の状況改善のための意見を若手に出してもらい、その若者の声をとりまとめて上川林業担い手確保推進協議会に参加している企業の経営者や上層部に届けていきたいと考え、今回の『上川林業ワカモノ会議』を企画しました」と目を輝かせて斉藤さんは続けます。
「また担い手の少ない林業業界で、会社に若者が少ない、という現状はよく耳にします。そこで会社の垣根を取り払い、他の会社と横の繋がりをつくること。そして職場の課題や悩みを共有する場を設けることで会社への定着を図りたいという想いもあります」

『上川林業ワカモノ会議』についてのレポート

それではさっそく「上川林業ワカモノ会議」についてのレポートに参りましょう。

2019年9月9日に旭川市・当麻町で行われたこの企画は原則18歳から29歳で上川管内の林業従業者を対象として最終的な参加人数は19人。
山の現場で木を育て・伐り・収穫に携わる人から、その丸太を製材工場で加工する人たち、さらに林業の会社で働く事務の人たちも交え、和気藹々とした雰囲気で開催されました。
まずは林業についての仕事の理解を深めるために山の現場へ見学へ、バスで向かいます。

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「堅苦しくなく、若者達に楽しく取り組んでもらうために工夫を重ねました」と話す斉藤さん。
斉藤さんが若者目線で丁寧に企画しただけあって、バスに乗車したときから車内はとってもよい雰囲気です。

バスの車内では斉藤さんが今回の企画の趣旨を説明します。
そして一人ひとり自己紹介をして親睦を深めていきます。

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山の現場では当麻町森林組合の全面協力のもと、ハーベスタの体験操作や手鋸で丸太切り体験などを開催。

kamikawawakamonokaigi10.jpg斉藤さんと同じく林務課に今年の春、人事異動でやってきた斉藤さんの後輩。北浦さんです。

いつもはチェーンソーで伐っている!という方達なので、手鋸で丸太切り体験では「え!?手鋸で?!まじで?!(笑)」という声も。
ですがいざ始まると皆さんいい顔で一生懸命取り組んでいました。
チーム毎に分かれて素早く切ったチームにプレゼントがあるなど、ゲーム性を持たせて体力自慢の若者が楽しく参加できる工夫もされていました。

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もう一つの目玉はハーベスタと呼ばれる高性能林業機械の作業体験です。

みなさん若手でまだハーベスタの操縦は経験がありません。
この体験を見学して特に印象的だったのは、和寒町森林組合から参加した佐藤さんの体験後のキラキラした瞳。
「やっぱり(ハーベスタは)カッコイイですね。憧れます。いつかはこれで仕事をしたい!」と話してくれました。

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山の現場を終えると次は当麻町森林組合の製材工場へ移動します。
工場へ向かう途中のバスの車内では斉藤さんがこう言います。

「今日は山の現場の人も製材工場で働く人たちも来ていますが、丸太の生産現場と加工現場を見て、自分達が普段見ることのない林業の流れを、川上から川下まで見ることで自分の仕事についてより詳しく知って欲しいと思います。自分たちの仕事が林業のどの部分を担っているのか、そしてどう社会とつながっているのかを理解することも自分の職業に愛着をもつきっかけにしてほしいです」

林業というのは木を切り出すだけでは終わりません。
切った木を丸太にした状態で工場へ運び、その丸太を製材加工して製品として出荷します。
私たちの消費者のもとに届くまでたくさんの「働く人」の手を通してやってくるのです。

製材工場へ到着すると、2班にわかれて工場見学です。
丸太が機械の中を通り次々に加工された「板」になっていきます。

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その出てきた板をチェックして管理している所では、傷や痛みがないか、皮が残っていないかなどをチェックして、製品としてOKなものを積み重ねていきます。

その体験も若者達は真剣に取り組みます。

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他にもチップにされた木材加工を見学したりと製材工場ならではの空間を見学しました。

さて、大変お世話になった当麻町森林組合の方達にお礼を伝え、目指すは本日最大の山場「意見交換会」をすべく再度上川総合振興局へ。

バスの中でまた斉藤節が炸裂します。

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まずは「この林業ワカモノ会議への出席に快く送り出してくれた企業の社長や上司に感謝しよう!」というところから斉藤さんの想いは強くなります。
「ワカモノからでた意見っていうのは上司や経営陣には伝わりづらいことがあるのかもしれないけれど、今日意見交換会ででた意見は、個人はもちろん特定できない状態で、きちんと企業の社長や経営陣の人たちに『今のワカモノの意見』として伝えていこうと思っている。だから活発な意見を交わしていこう!」

お待たせしました意見交換会

A・B・Cグループに分かれて行われた意見交換会。
Cグループは女子だけで集まったグループ。現場で働く人や事務の方、旭川市役所の林務課の方。そしてくらしごと編集部のこばやしも交えて意見交換がスタートしました。

一つ目のお題は「職場のはなし(職場のよいところ・改善した方が良いと感じること)」
二つ目のお題は「林業業界のはなし(若手の参入・定着に必要なこと・林業の未来について)」

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みなさんそれぞれ思いつくことをポストイットに書いて貼っていきます。
いろいろな意見が出てくる中で情報交換をし、意見をまとめてグループとしての発表にしていきます。

『職場のよいところ』の内容はまさに林業ならでは。
「残業がない!定時で帰れる!」「山に入ると人と喋らなくて良い」などなど。
なかには「山菜がとれる」なんて書いた人も(笑)

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職場の改善した方が良いと感じることには、「休みが少ない」「仕事上でコミュニケーション不足」「産休・育休など休暇制度がない」など。
なかには「(自分の会社には)女子がいない」なんて回答も(笑)

女性でも働きやすい職場環境の改善、安全面を考慮した新しい道具や機材の購入、など若者といえど鋭い観点が意見の中にも出てきていました。

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『林業業界のはなし』については、いかに若者に林業という仕事を知ってもらうかに着眼し、「中学生や高校生に体験学習をしてもらう」「イケメンコンテストをやる」などさまざまな意見が。
そして若者の定着のためには「教育をしっかりやる」「給料や休日の見直し」などの意見が出てきていました。

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普段は山で木と向き合っていたり、工場で作業に勤しむ若者達が、今後の林業業界について明るい未来を想像しながら語り合う光景は、全く畑違いの私たちにも心に残るものがありました。
ましてや企業同士の枠を超えて活発な意見が出てきます。
今まで自分の仕事についてだけ考えてきていた人も、少し今後の未来について考えるきっかけにもなったのではないでしょうか。

今回この会議で出た意見をもとに、斉藤さんら林務課の皆さんは上川林業担い手確保推進協議会の中で報告し、林業業界として改善するよう奮闘していくことでしょう。

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最後に「こういう若者が集う機会をつくることによって、会社の垣根を越えた関係をつくり、良い情報交換になったり、友情をつくることができたら嬉しい」と斉藤さん。

上川エリアの林業の未来を見据え、奮闘する上川総合振興局の林務課のみなさん。
今後も林業業界にとって有意義な企画を繰り広げていくことでしょう。

個人的には林業イケメンコンテストがいつか実現されることを願って(笑)

上川総合振興局 産業振興部 林務課
住所

北海道旭川市永山6条19丁目

電話

0166-46-5951


林業で働くワカモノがイキイキ活躍するために

この記事は2019年9月9日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。