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まちおこしレポート
士別市

スプーンひとさじに込められた、地元への想い。20220513

スプーンひとさじに込められた、地元への想い。

北海道に観光に来たら「スープカレーを食べなきゃ!」と思い浮かべる方もいるのではないでしょうか。いつしか北海道の観光フードともなり、数多くのスープカレー屋さんが道内に軒を連ねます。

今回のくらしごとは、そんなスープカレーのお店「Rojiura Curry SAMURAI.」についてお話していきます。(以下、SAMURAI)

「野菜を食べる」をコンセプトに、2007年札幌市美園エリアにある、誰もが通り過ぎてしまうような路地裏にひっそりとオープンしたスープカレー屋さん。たった14席のお店からスタートさせたそのお店は、今では約20店舗以上へと広がり、北海道はもちろん、仙台、東京、鎌倉、大阪、博多へも出店しています。

SAMURAIの創業者、川端 昌志さんのご実家は旭川市よりも少し北に位置する士別市という場所。

北海道には「士別(しべつ)」と「標津(しべつ)」という地名があり、読み方も同じため、区別するためにも武士の士がついている「士別」を「サムライ士別」と言い分けており、それが店名の由来となりました。

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今回私たちが取材に訪れた店舗はその士別市にある「SAMURAI ふる里店」。

「ふる里」と名前がつくくらい、想い入れのある店舗でもあります。

今や川端さんの右腕となり「川端に出会えてよかった」とその創業者に惚れ込んでいる、ふる里店の店長長岡秀太さんにお話をお聞きしました。

samurai_curry02.JPGこちらがふる里店です。

「みんなを笑顔にしたいから」ただそれだけ

「陽気」という言葉がとっても似合う長岡さんは、2018年にSAMURAIの門をくぐりました。ふる里店の立ち上げに関わった重要人物でもあります。

実はこのふる里店は、SAMURAIを運営する(株)ソウルフラワーからのれん分けされ、現在は子会社という位置づけで、長岡さんが社長兼店長としてこのお店を守っています。

入社こそ最近であれど、SAMURAIへの想いがとっても強い長岡さんです。

samurai_curry04.JPGとにかく愉快な長岡さん!私たちを笑わせてくれます。

「創業者の川端がスープカレー屋をやろうと思った理由は『みんなカレーが好きだから』。川端は本当に、当時も今も金儲けしようとは全く考えていなくて、ただただ『みんなを笑顔にしたい』っていう想いでやってるんだよね。大事にしているのは『美味しい』『ありがとう』の積み重ねだけ」

「億万長者になるぞ!」なんてことは考えていない、ガツガツしていない社長、とそのイメージを教えてくれました。なんなら社長と呼ばれることも嫌がるのだとか。

samurai_curry13.JPG「ここが美園の分かりづらい場所」と教えてくれているワンシーン。長岡さんの雰囲気が写真からも伝わりますでしょうか...(笑)

冒頭でもお伝えした通り、始まりは美園の路地裏からでした。

社員でさえも思わず通り過ぎてしまうほどの場所にありましたが「こんな分かりづらいところまで、わざわざカレーを食べに来てくれた!」というストーリーが、この店名に隠された想いだったのです。

数あるスープカレー屋さんの中でも、特にSAMURAIがこだわっているのは、スープ。

タマネギが凝縮されたスープは甘みがあり、スープだけで十分な野菜がとれ、少しどろっとしているのが特徴。新鮮な野菜と、数種類のスパイスだけの、こだわりの無添加のスープに魅了されたSAMURAIファンが、多く根付いているそうです。

samurai_curry05.JPG札幌にあるスープ工場で一括でつくっているため、どこの店舗でも同じ味が楽しめます。

「美味しかったから」きっかけは、その想いだけ

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これまでずーっと飲食の仕事に就いていたという長岡さん。

宅配ピザ屋さんや、和食レストランでの勤務を経て「そろそろ土日休みの、普通の仕事がしたいな」と考えていたタイミングで、SAMURAIの求人が気になったそう。土日休みでもなければ、またまた飲食のお仕事ですが、まずはちょっと食べてみようかと店舗を訪れました。実は、スープカレーはそこまで得意ではなかったと話します。しかし、SAMURAIのスープカレーを食べてみたらあまりの美味しさにビックリ。

「美味しかったから面接に行ってみた、本当にただそれだけの志望動機」と言い、豪快に笑う長岡さんの人柄がその一言でとても伝わってきます。

こうして2018年10月にSAMURAIへ入社。
ちょうどその頃、このふる里店がオープンするタイミングでもあり、士別のお店を任されることとなりました。

2018年11月にふる里店がオープン。
当初は創業者である川端さんも店に入り、毎日、四六時中一緒に過ごしていたそう。

「ふる里店がオープンすると大盛況。忙しくも楽しい日々だったって思えるのは、やっぱり川端の存在が大きかったからだと思う」

当時のスタッフからも「うるさい」と言われるくらいに、川端さんとふざけ合っていた毎日だったとか。

samurai_cutty08.JPG「まるで漫才コンビのような俺らだった。ボケが川端でツッコミが俺(笑)」

「入社して4年経つけど、この仕事を選んで良かったっていうより、川端と出会えて良かったと思っている」と、川端さんの人間性が大好きだとたくさん語ってくださいました。

故郷士別にできた「ふる里店」のはなし

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現在このふる里店は、SAMURAIの親会社ソウルフラワーの子会社として、のれん分けされました。

長岡さんが北海道の統括マネージャーになった時、士別のふる里店の人が足りないということでヘルプに行っていたそうなのですが、ほかの店舗との兼ね合いや、今後のふる里店のことを考え、ふる里店を独立させて、長岡さんに任せるということになり、子会社化されたのでした。

「料理を学んできたわけでもない自分でさえも、社長になれるんだよと、若い子たちにも伝えていきたい」と話します。

会社が変わったからと言って、味が変わるということはなく、しっかりとSAMURAIの想いを、味を、全てを受け継いでいます。

現場判断で柔軟に変化・進化するお店

samurai_curry09.JPG30〜40代くらいの客層が多いふる里店です。


もともと創業者の川端さんの考えとして、仕事をすすめるうえで、基本的に各店舗の店長に任せるというスタイルをとっていました。
新しいアイデアも積極的に取り入れ、時代に合わせてどんどん方向性を変えていきます。

「かつては、店舗ごとにオリジナルカレーを毎月出していこう!なんて取り組みもやっていたんだけど、それがだんだん各店舗ごとに負担にもなってきて。もしそれが、離職の原因に繋がってしまうのであれば元も子もないから、やめようよって、今までやってきたことをやめます、となっても、川端は止めないで見守っていてくれるんです」

恐れずに、挑戦できる環境。
飲食の未経験者でも、アイデアを出せる環境。

誰もが働きやすい環境づくりを、SAMURAIはつくり続けています。

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「うちの店は、10:00から勤務開始で、15:00〜17:00は中休み。みんな好きに休んでOK。ぼくの前職は、休憩30分とかしかなかったから、嬉しいですね(笑)」

と話す長岡さんですが、実は現在このふる里店をたったひとりでまわしているそう...!

「ひとりで出来なくもないけど、やっぱりしんどいですね(笑)」

長岡さんとお話していると漲るパワーが私たちにも伝わってくるのですが、それでもやっぱり多くのお客様をスムーズにご案内していくためにも、人手は必要ですね。

「独立したいとか、札幌の店舗に行きたいとなった場合も、サポートする」と長岡さん。スープカレー好きで、北海道が好きな方、ぜひこのお店で働いてみてはいかがでしょうか?

士別というまちを盛り上げるために

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さて、少しだけ士別というまちについてもお話したいと思います。

写真からも分かる通り、正直都会とは言えない場所。旭川なども近いのですが、「通り道」として通過されてしまいがちです。

そんな士別というまちを盛り上げたいと、SAMURAI創業者の川端さん、士別市でさまざまな事業を担い、地域貢献を目指すイトイ産業の菅原さんをはじめ、地元のおそば屋さん、そして長岡さんで「志BETS(しべつ)ホールディングス」という会社を立ち上げました。

※菅原さんの記事はこちら

田舎でもこれだけやれる!地方創生企業! イトイグループHD

そこにビール職人の風間健さんも加わり、2022年4月にはクラウドファンディングにて士別の「地ビール」が誕生・発売。ビール事業のほかにも、野球の独立リーグや、温泉の指定管理などもされています。

これらの事業を通じて、士別のまちに働き手を増やしているのです。

samurai_curry12.JPG今後、SAMURAIの全店舗でこのビールが飲めるようになるとのこと。天塩川の源流水や士別産の小麦やハト麦を使用し、フルーティーで飲みやすい味わいが口に広がります。

スープカレー以外にも、なにやら地域おこしなど面白そうなことをしている会社。創業者に惚れ込むスタッフが多くいるSAMURAI。一度食べたら、またすぐ食べたくなってしまう不思議な味わいのスープカレー。多くの人を魅了してきたSAMURAIのスープカレーの裏側を知った上で、ぜひとも地元愛が込められたひとさじを味わい、北海道愛を感じ取ってみてはいかがでしょうか。

Rojiura Curry SAMURAI. ふる里(株式会社多喜)
住所

北海道士別市多寄町36線西3

電話

0165-26-2066


スプーンひとさじに込められた、地元への想い。

この記事は2022年4月13日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。