HOME>まちおこしレポート>点から線の体験へ。ストーリーを感じられる旅を創る。

まちおこしレポート
深川市

点から線の体験へ。ストーリーを感じられる旅を創る。20200406

点から線の体験へ。ストーリーを感じられる旅を創る。

北海道の北空知エリアに位置する人口およそ2万人の深川市。JR深川駅からもほど近い、飲食店や商店が並ぶ道道47号線沿にあるのが、北空知管内の学校が使用するジャージやスポーツ用品を取り扱う、いわゆる「まちのスポーツ店」である広野スポーツ深川店です。今回はこちらのお店の取材・・・ではなく、この店舗ビルの2階に本社事務所がある、株式会社スポートピアの代表取締役 安田光則さんにお話を伺いました。

スポートピアは「8社18事業所2団体」を有するヒロノグループに属する会社で、実は広野スポーツもこのグループを取りまとめているヒロノ株式会社が運営するスポーツ用品店です。取材を進めるにつれ、このスポートピアを含めた8社18事業所2団体というそのものが、ヒロノグループの「スポーツ文化を通して社会に貢献する」という理念、そして地域に根ざした歩みであると気付かされるのですが、まずは順を追ってその歴史を紐解いていきたいと思います。

sportpia_2.jpg

ヒロノグループとスポートピアの誕生

昭和28年に深川の隣まち沼田町で、現在ヒロノ株式会社の代表取締役である廣野勝利さんのお父様が創業した「広野運動具店」がヒロノグループのスタートです。それからの歩みを安田さんがこう教えてくれました。

「スポーツ用品店として、昭和46年に深川店、昭和50年代には滝川市、旭川市と店舗を増やしていきました。北海道のスポーツといえばやっぱりスキーですよね。今と違って子どもの数も多かったし、スキー人口もたくさんいました。そして、まだ大型スポーツ店も進出してなかったし、旭川の買い物公園にも当時10店舗近くスポーツ店があったんです。僕が入社したのもこの頃でした」

sportpia_5.jpg株式会社スポートピア 代表取締役 安田光則さん

当時はバブルの時代でもありましたし、商店街も活気に満ち溢れていたことでしょう。広野スポーツの主力商品はスキー用品で、年間売上の7~8割を占めており、経営も順調でした。そんな中でも、2代目として舵を取っていた廣野さんは「いつか限界が来る。このままスポーツ店だけでやっていけるはずはない。これまでスポーツを通して蓄えてきた経験や資金を還元できる何か新しいスポーツ事業はないだろうか」と考えスタートさせたのが、スキーレンタルとスイミングスクールでした。そして、このスキーレンタル事業を担うのが、現在、安田さんが代表取締役を務めるスポートピアなのです。

sportpia_16.jpg創業時の広野運動具店。

「これまでの経験からスキーは得意な分野でしたからね。昭和59年、スポートピアの設立と同時に滝川に『北海道レンタルスキーセンター』も立ち上げました。ここを拠点として、修学旅行やスキー場でのスキーレンタル事業を始めたんです。そして平成の時代に入ってまもなく、本州の公立高校の修学旅行における飛行機利用が解禁となったのを皮切りに、スキーを目的として北海道に訪れる修学旅行生が年間10万人を超えました」

この修学旅行事業はスポートピアの重要なカギとなっていきます。この頃、安田さんは入社時から在籍している広野スポーツ滝川店での営業のお仕事とスポートピアの運営を両方掛け持っていましたが、平成16年、修学旅行に関する「新たな課題」が見えてきた頃、本格的にスポートピア運営に従事することになります。次は、その「新たな課題」について紐解いてみます。

冬のスキーだけじゃない。夏は農業がある!

この頃、道外の学校から修学旅行で訪れる目的は、スキー教育といった北海道ならではの経験ができる冬に集中していました。そんな中「北海道は冬だけじゃない。夏だってたくさんの魅力がある」と夏でも北海道らしい経験ができる修学旅行としてスポートピアが作ったのが「農業体験」です。

「修学旅行のエージェントからも夏に何かできませんかと相談をもらったりもしていて、北海道の夏といえばやっぱり農業だろうと。最初は北空知、中空知の農家さん一軒一軒に、一緒に農業体験プログラムをやりませんかとお願いに回りました。あと、農業はその地域やまちに密着しているものですから、各市町村役場も回って一緒にやれればと思ったのですが、全部断られてしまって...まだちょっと早すぎたのでしょうね(笑)」

sportpia_17.jpg年間3,000〜4,000人の農業体験を実施しています。

今では道内各地で農業体験や農家民泊が盛んに行われていますが、当時はそうした動きはほとんどなく、実はスポートピアは全道の中でも一二を争う早さで試みた農業体験のフロンティアなのです。ただ、次第に受け入れ農家さんが増えてくると、今度はこの農家さん達が「これは農業はもちろん、まちの活性化にも繋がる。一緒にやって欲しい」とそれぞれの市町村役場に対して声をあげてくれたそうです。そうしてできたのが「そらちDEい~ね」という団体で、スポートピアが事務局となり、農家や市町村が属する団体が加盟して広域ネットワークとして協同し、農業体験の受け入れ活動を行っています。

sportpia_4.jpgこうした「そらちDEい~ね」の取り組みは、平成20年 ホクレン夢・大賞農業応援部門大賞、平成26年度 北海道産業貢献賞(農業・農村振興等功労者)を受賞しています。

体育教員から一転。営業へ。

さて、ここで少し安田さんご自身の歩みについても伺ってみます。

「出身は上砂川町で、北海道砂川高等学校を卒業後、体育の先生になりたくて、日本大学文理学部体育学科に入学して上京しました。卒業後は北海道に戻ってきて、砂川市で3年間非常勤講師をさせてもらいました。正教員になりたかったけど、勉強しなかったから受かる訳ないよね(笑)。このまま非常勤講師を続けるのもなぁと思って、出会ったのがヒロノ株式会社でした」

sportpia_6.jpgご自身は学生時代ずっとバレーボールに精を出していたそうです。

配属はヒロノスポーツ滝川店。非常勤講師をしていた時のコネクションを駆使して、入社した次の日から北空知管内の学校を営業で回っていたそうです。そして、お一人で10校以上の学校を担当して、毎日忙しい日々を過ごしていました。「忙しさは当時とそんなに変わらないんだ」と安田さんは笑うのですが、この後お話で触れます富良野市、そして滝川市、深川市など、1週間の中で各地を飛び回っており、なんと年間の車の走行距離は5万Kmになるといいます。

「体験」ニーズに合わせて進化するスポートピア

さて、話は戻りまして、夏は農業体験、冬はスキーと年間を通して修学旅行の受け入れ基盤を作ってきたスポートピア、そしてヒロノグループですが、これだけでは終わりません。修学旅行が観光型から体験型へと変化し、冬は定番のスキー、夏は農業体験の他にラフティングやトレッキングなどのアウトドア体験を実施することが多い中、そうした体験の拠点の一つであった富良野に、アウトドア体験に特化したスポートピア富良野事業所を立ち上げます。

sportpia_7.jpg富良野スキー場にある北の峰ターミナル内にスポートピア富良野があります。

「特に夏の修学旅行では、農業体験は空知管内、アウトドアは富良野というケースが多かったので、それなら富良野に我々の拠点もあった方がいいのではないか、ということで平成19年に立ち上げました。修学旅行のアウトドア体験の他にも、個人のお客様の体験ツアーなども実施しています。また、外国人観光客が増え、スキー体験のニーズも多かったので、富良野市からも支援いただき『Furano Snow School』という、外国人のお客様向けのスキー&スノーボードスクールもスタートしました」

ちょうどこの頃、平成22年に安田さんはスポートピアの代表取締役の任務を担います。そして令和元年には、より一層、地元富良野に根ざして注力するため、スポートピア富良野事業所は株式会社スポートピア富良野へと生まれ変わりました。このスポートピア富良野の様子は、以前くらしごとでも取材をさせていただいておりますので、ぜひこちらの記事もご覧ください。

スポートピア富良野/『北の国から』だけじゃない、アウトドアも最高!な富良野に移住

sportpia_8.jpg夏はカヌーやラフティング、マウンテンバイクなどのアウトドア体験ができます。

指定管理で多様なネットワークに

冒頭で述べましたヒロノグループの「8社18事業所2団体」。主に「8社」についてここまで紐解いてきましたが、最も数の多い「18事業所」についても気になりませんか?こちらも、安田さんに伺ってみました。

「この18事業所は、主に公共施設の管理や運営といった指定管理事業による事業所です。平成19年に始まった『北海道立ネイパル深川』の指定管理をきっかけに、今では深川市に限らず、北見市や千歳市など道内各地でも、スポーツや体験活動に関わる施設を中心として、指定管理事業を行っています」

sportpia_9.jpgこちらが北海道立ネイパル深川。

これらの指定管理施設では、修学旅行事業、体験事業、アウトドア・スポーツ事業といったこれまで蓄えてきた経験を存分に活かしながら運営を行えるのが強みであり、またこうして道内各地でグループのネットワークができたことは、ヒロノグループ全体がこれまで以上に幅広いサービスを提供できる基盤になっているともいいます。

「例えば、占冠村で指定管理している『湯の沢温泉 森の四季』は温泉付き宿泊施設ですので、富良野でのアウトドア体験を存分に楽しんだ後、温泉でゆっくりして、料理を楽しむといったプログラムなんかも自分たちで作れます」

想像するだけで、北海道の醍醐味を思う存分に満喫できてしまう、そんな素敵な旅です。
また、こうした指定管理施設のバリエーションが増えたことは、各施設それぞれの特徴に合わせて働く人材が増えることにも繋がり、グループ全体としての多様性という効果も生まれているといいます。

点から線の旅。ここでしか味わえない体験のストーリーを。

令和元年には深川に新たなヒロノグループとしてカンパーニュホテルズ株式会社を設立ました。惜しまれながら閉館した深川唯一のホテル「プラザホテル板倉」の後を受け、深川にホテルの火を絶やさないようにという想いで「ラ・カンパーニュホテル深川」をオープンしたのです。

さらにスポートピアはこれから千歳観光連盟とのタイアップも進めていくことが決まっています。道内最大の空港新千歳空港を有し国内外から観光客が流入する千歳市、そしてスポートピアが有する北海道ならではのアクティビティ体験の数々、これらを癒合させることで、よりたくさんの方に北海道を楽しんでもらいたいといいます。

「ゆくゆくは千歳からの滝川、そして深川、占冠、富良野と、北海道の道央圏で『ひとつのストーリー』を創りたいと考えているんです。食、自然、アウトドア、スポーツをそれぞれを単体で楽しむというよりは、これらをリンクさせることで、それぞれの関係性、ストーリーを感じられる、そんな体験を提供したいと思っています。これらは一般観光客だけでなく、修学旅行でも同様で、子どもたちにもぜひ感じて欲しいですね」

点の体験ではなく、線の体験として提供することで、北海道ストーリーを感じてもらう。これは、これまでヒロノグループ、そしてスポートピアが積み上げてきたネットワークが故に実現できることであり、その体験はきっとここでしか味わえない旅になることでしょう。

sportpia_13.jpg安田さんの娘さんも広野スポーツで働いています!

ヒロノグループ/株式会社スポートピア
ヒロノグループ/株式会社スポートピア
住所

北海道深川市4条7番9号

電話

0164-22-7911

URL

http://www.sportpia.co.jp/


点から線の体験へ。ストーリーを感じられる旅を創る。

この記事は2020年2月17日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。