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Vol.18〜水族館スタッフによる『背中で語るお魚』シリーズ第一弾〜20230308

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こんにちは。くらしごと編集部です。
今回は、おたる水族館の三宅さんによる、『背中で語るお魚』シリーズ第一弾! です。北海道の海に暮らす、何とも愛らしいそのお魚、実はとっても深いメッセージを背中で伝えているとか、いないとか。。1枚目の写真で何のお魚かわかったあなたは、かなりのお魚通ですよ!


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Vol.18〜水族館スタッフによる『背中で語るお魚』シリーズ第一弾〜

皆さん、はじめまして。おたる水族館の三宅と申します。
これまで長く水族館で勤務し、魚たちと関わってきた中で、「背中」という視点で魚たちを見るのもおもしろい、というのが心の中にありました。
背中とはいっても、まさにそのままのThe背中ではなく、お魚たち、実はこんなことを考えているのでは?という、口ではなく背中で語る武士道的な、おさかな先生たちの生き様という視点のことで、これまでたくさんの学びをさせてもらってきました。
このおさかなメルマガでは、そんな色んな背中を持つ おさかな先生をご紹介できればと思います。

さて前置きが長くなりましたが、1回目に登場していただくのはこちらの魚。
この魚を先生と見立ててその背中を見てみると、、、。

フウセンウオ1

背中の写真を撮ったのは初めてかもしれません。丸いぞ!
さて誰の背中でしょうか?

この写真で魚の種類が分かった方は、かなりの おさかな通(つう) かもしれません。
正解は「フウセンウオ」です。

フウセンウオ2

フウセンウオは北海道の海に暮らすその名のとおり風船を小さくしたような体型にキラキラ輝く瞳を持った魚です。水族館の水槽前では、北の海にすむ魚としては珍しく?「おいしそう」ではなく「かわいい」というお客様の声が溢れています。
このフウセンウオはその体型から魚なのに泳ぐのが苦手。魚のイメージを根元から崩してくれるキャラの持ち主です。
なので普通は苦手なことがあれば克服する、つまりどうすれば上手く速く泳ぐことができるか考えてしまいそうなものですが、泳ぐのが苦手なフウセンウオはそんな常識にとらわれません。苦手は克服せず、発想を転換してお腹に吸盤を持つようにしたのです。

ちなみにフウセンウオは過去に繁殖賞(飼育動物の繁殖に成功しかつ、それが日本で最初であったときに表彰されるもの)を受賞した魚で、初めて繁殖に成功した時に気付いて驚いたのですが、産まれた時からお腹に吸盤があるのです。
普通産まれてすぐの魚は遊泳力が弱いため海流に流されやすいのですが、フウセンウオは吸盤がある事で流される心配がないのです。

osakanamrumagamiyake3.jpg◎フウセンウオの赤ちゃん

osakanamrumagamiyake4.jpg◎吸盤があるのでこんなことにも、、、

色んな意味で流されない。周りがそうだからといって、自身はつられて流されない。フウセンウオ先生の背中はまるで人生訓も教えてくれているかのように思えるのです。

ちなみにまるっとしたと体型にも意味があります。巻貝などの貝殻の奥に産卵する習性を持つフウセンウオは、メスの産卵後にオスが卵を守ります。この時、貝殻の入口にすっぽりと体を収めることで、まるで貝殻に蓋をするような格好になり外敵から卵を守ることができるのです。

かわいい以上の魅力があるフウセンウオ。
おたる水族館でも展示しているので、興味が沸いた方はぜひ会いに来てみてください。

おたる水族館と三宅さんの詳しい記事はこちら

文・三宅教平
阪出身。大学から北海道へ渡り、居つく。趣味は、魚釣りと瞑想(迷走?)。得意技は素早く眠りにつくこと。好きなサカナは、なんでもOK。息子(つなひろ)の名前に、そっとマグロ(ツナ)を泳がせています。

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Vol.18〜水族館スタッフによる『背中で語るお魚』シリーズ第一弾〜

この記事は2023年2月7日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。