HOME>「森の魅力発信し隊」便り>vol.12「スマート林業の実証試験に潜入レポート」

「森の魅力発信し隊」便り
北海道

vol.12「スマート林業の実証試験に潜入レポート」20220713

vol.12「スマート林業の実証試験に潜入レポート」

私たちは、「森の魅力発信し隊」という若手林業・木材産業従事者を中心とした仲間を集い、日々情報交換をして盛り上がっています。そんな私たちの活動の一部をご紹介!

とある日、森の魅力発信し隊メンバーである、厚真町の有限会社丹羽林業/丹羽智大さんからこんなご案内がありました。

「厚真町でスマート林業に関する実証試験があります。フィンランドの林業機械メーカーの方も来るので、みなさん見に来ませんか?」

スマート林業とは、情報通信技術(ICT)を活用して、従来よりも便利かつ効率的に行う林業のことをいいます。このICTを活用したハーベスタの利用が、海外、特に林業の盛んな北欧では、主流となっているそうです。

ということで・・・行ってきました厚真町!

mtai_vol12_1.JPG

この実証試験は、北海道、そして市町村や試験研究機関と連携し設立された「スマート林業EZOモデル構築協議会(※北海道庁のHPを参照)」が実施する、ICTハーベスタの実証試験ということで、試験現場である町有林の森林整備を担う、丹羽さんも参加して行われていました。

当日は丹羽さんがICTハーベスタのテストオペレーターとして参加。そして、森の魅力発信し隊のメンバーからはもう一人、むかわ町の宮崎雄次さん(宮崎木材)も見学に訪れておりましたので、メンバーお二人の様子、そして実証実験の様子をレポートしたいと思います!

mtai_vol12_9.JPG左から森の魅力発信し隊の宮崎さん、事務局の北海道庁水産林務部の成田雅哉さん、丹羽さんです

フィンランドのICTハーベスタ

今回の実証試験の主な内容は、フィンランド有数の林業機械メーカーであるKESLA(ケスラ)社のICTハーベスタの生産性・作業効率の検証。そのため、フィンランドからも関係者の方々が、この日のために来日されていました。

現場付近に到着すると、何やら油圧ショベルの音と、たくさんの人の影・・・協議会のメンバー20名ほどが見守る中、既に丹羽さんが油圧ショベルに乗り込み、ハーベスタで木を伐倒しているところでした。

mtai_vol12_5.JPG

「バキ、バキバキバキーーー、ズドーン!」
(迫力を表現したいのですが・・・汗)

さらにつづけて、もう一本と、立派に成長したカラマツがあっという間に伐倒されていきます。
間近で、ハーベスタで木を倒しているのを見ていると、「あの木は軽いのではないか?」と勘違いしてしまいそうなくらい、とても軽快な動きです。人力で伐倒した場合は、その後、枝払い、玉切り(採材 ※用途に合わせた長さに切断すること)、とそれぞれの工程がありますが、このハーベスタという機械は、この1台で全ての作業を効率的に行える優れもの。

さらに今回は、ICTハーベスタを使用しているため、予め機械に設定された情報により、自動で採材も行ってくれます。今回の実証試験では、この自動化による生産性の変化が大きなポイントです。ということで、採材された丸太を、人力でも計測して、データの比較を行っていました。

mtai_vol12_12.JPG一本一本計測していきます

森の魅力発信し隊のメンバーに聞きました!

こうして次々と伐倒しては計測して、というデータ収集が繰り返されていく合間を縫って、丹羽さんにもお話を聞いてみました!

「私は普段、あまりハーベスタは使ってないので、うまく伝えられないのですが、簡単な操作により、採材などの詳細な設定が細かくできるようで、最も収益が高いサイズによる採材ができました。簡単に操作できたので、ハーベスタに慣れていない人でも、扱いやすいと思います」

mtai_vol12_10.JPG丹羽さん、フィンランドの方からレクチャーを受けて運転していました。(ちなみに、英語は苦手で・・・と頭を搔いていました笑)

そんな様子を見学していた宮崎さん、これまでハーベスタは運転したことがないということで、急遽、このハーベスタの試乗ができることに!少し緊張した様子で油圧ショベルに乗り込み、いざ出陣!素人目には、初めてとはとても思えないハーベスタさばきで、伐倒そして採材を行っていました。
そして、試乗を終えた宮崎さんにもお話を聞いてみました。

「純粋に楽しかったですねー!機械っていいなって思いました。人力での枝払いがないのは本当に楽だなって。時間的にもかなりの削減ができますし、生産性は高いですよね。操作方法もしっかりと覚えたら、もっと早いと思います」

なんだかとても嬉しそうな宮崎さん。
初めてハーベスタを運転したとはいえ、重機の扱いには慣れている宮崎さんだからこそ、こんな風に扱えるのですね。宮崎さんと丹羽さんが楽しそうに話しているのも印象的でした!

mtai_vol12_17.JPG宮崎さんの運転するハーベスタがこちら!

実証試験は如何に!?

最後に、今回の実証試験の取りまとめを担い、協議会の事務局である北海道庁の水産林務部林業木材課の田中君祐主任にも、全体についてお話を伺いました。

「丹羽さんや厚真町のご協力のもと、全国に先駆けてICTハーベスタの計測精度や各機能の活用について実証しています。従来の林業では人力に頼る作業が多いですが、今回の実証では、将来の森林づくりを担う若い世代のオペレーターの方々に北欧の技術やICT機能などを実際に体験してもらえることができて、とても嬉しいです」

mtai_vol12_20.JPG現場で終始慌ただしく指示を出されていた田中さん

今回は、丹羽さんからご案内いただきましたスマート林業の実証試験の様子をレポートいたしました!
引き続き、森の魅力発信し隊メンバーの活動を発信していきますので、お楽しみに!

関連動画

森の魅力発信し隊

過去の森の魅力発信し隊便りはこちら


vol.12「スマート林業の実証試験に潜入レポート」

この記事は2022年6月13日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。