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長沼町

程よい田舎感が充実した暮らしを実現。子育てするにもいい町20240212

程よい田舎感が充実した暮らしを実現。子育てするにもいい町

長沼町には、令和元年(2019年)にオープンした児童センター「ぽっくる」という施設があります。ここは、町に住む赤ちゃんから高校生までの子どもたちが自由に遊べる施設。広々としたきれいな建物の中には、運動遊びができる遊戯室、読書ができるホール、カードゲームなどを借りて遊ぶことができる部屋などがあり、たくさんの子どもたちが利用しています。また、出産前のママや就学前のお子さんがいる人たちが利用できる子育て支援センター「はぴはぽ」も併設。今回の主人公は、町の子どもたちの成長を見守り、育む場所となっているこの「ぽっくる」で、児童厚生員として子どもたちに関わっている岸友恵さんです。2015年に移住してきた岸さんとご家族に、長沼での暮らしや仕事のことを伺いました。

一度は諦めた子どもに関わる仕事。移住して学童保育の指導員に

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岸友恵さんは札幌出身。北海道教育大学を卒業後、札幌にある食品関係の卸会社に就職します。


「学校に勤めたかったのですが、ちょうど卒業する年は教員の採用枠が少なく、しかも私は養護教諭だったのでさらに採用枠がなく...。子どもと関われる仕事に就きたかったのですが、とりあえず一般企業に就職しました。その会社で知り合ったのが夫です」

夫の拓也さんは新潟出身で、東京農業大学の網走キャンパスで学び、札幌の会社に就職。結婚後、拓也さんの転職に伴い、2人は福岡へ移住しますが、長男の誕生を機に北海道へ戻ることに。

「北海道に戻るなら、夫は前から興味を持っていた農業の仕事がしたいということで、見つけた研修先がたまたま長沼でした。私の実家のある札幌からも近いですし、空港が近いということもあり、長沼がいいかもしれないねとなりました」

こうして長沼に移住した岸さん家族。拓也さんが農業の研修を受けている間、友恵さんは1歳半になる長男を連れて子育て支援センターなどへ。たまたま教員免許を持っているという話をすると、センターのスタッフから学童保育の指導員を募集しているという話を教えてもらいます。

「新卒で教員になれず、どこか諦めていたところがあったのですが、子どもに関わる仕事をしたいという気持ちはずっとありました。それで、学童の指導員の話を聞いてすぐに応募しました」

当時は町内に6つの学童保育があり、そのうちのひとつの学童指導員として採用が決まり、息子を保育園に預けて働き始めます。

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移住者と地元の人がうまく関わり合い、みんな仲がいい

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仕事を通じて町に知り合いも徐々に増えていき、「移住者だから人づきあいで困ったとか、町の人になじめないとか、そういう苦労は全然なかったですね」と振り返ります。

「長沼の人は親しみやすい人が多く、ご近所の方たちもみんなやさしい人ばかり。同世代の移住者や農業従事者も多く、親しくさせてもらっている人たちはたくさんいます。長沼は、移住者と地元の人との混ざり具合が程よく、みんな仲がいいのが特徴かもしれませんね」

スーパーに行けば必ず誰か知り合いに会い、ちょっとした会話を交わすなど、都会とは違う交流がたくさんあるようです。

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その後、長女も誕生し、子育てと仕事を両立させる日々を送っていますが、拓也さんも子育てには協力的なのだそう。研修を終えた拓也さんはアスパラ農家として有名な押谷ファームにそのまま就職。

「夏はやはり忙しいのですが、それでも福岡のサラリーマン時代よりはずっと健康的な生活をしていると思います。日が暮れたら帰ってくるし、夜は子どもたちとお風呂に入ったり、歯磨きを手伝ってくれたり、子どもたちと過ごす時間を取ってくれています」と友恵さん。冬は長い休みが取れるため、家族旅行などはこの時期に計画するそう。取材時も冬休みに入った拓也さんが、お子さんたちを連れてぽっくるに来てくれました。

札幌や都心から近く、アクセスも良好。広い庭付きのマイホームも入手

長沼に住んでみて良かったことを思いつくままに挙げていってもらうと、「程よい田舎感がいい」と友恵さん。札幌、北広島、江別と大きな街まで、車で30~40分で行けるにも関わらず、自然が豊かでのんびりしているところが魅力だと話します。また、札幌に通勤している人も多いそう。新千歳空港も近く、あらゆる面でアクセスがいいのもポイント。

「普段の買い物は地元のスーパーで十分だし、夏は野菜の直売所などでおいしいものが手に入ります。札幌などの大型のショッピングセンターへも車でちょっと行けばすぐですし、今はネット通販もありますから、買い物で困ることはまったくありません。強いて言うなら、本屋さんがないことくらいかな。でも、これも江別に行けば蔦屋書店があるし、Amazonもありますから、不便だと感じる範囲ではないですね」

最近は、バスで20分ほどのところにエスコンフィールド北海道ができ、気軽に野球観戦や遊びに行けるのもいいと話します。

「そして、札幌に比べると土地代も安いので、マイホームが手に入れやすいのも長沼に暮らす利点かも。広い庭も付けることができますし」

岸さん家族も2020年に念願のマイホームを町内に建てたそう。その敷地は約90坪!札幌などの都心では考えられない広さです。夏は、庭を目いっぱい使って家庭菜園を楽しんでいるとのこと。一度、庭にテントを張ったこともあるそうです。

「あとは、おしゃれなカフェもたくさんあるし、地元の食材をふんだんに使った料理を提供する町の居酒屋さんも。長沼にはおいしい店が結構あるんですよ」

話を聞いているだけで、日々の暮らしが充実しているのが伝わってきます。

子育てのサポートは手厚い。田舎ならではの子育ての環境がある

子どもがいる家庭で移住を考える際に気になるのが、子育ての環境。実際に子育てをする母親でもあり、子育ての支援を行う立場でもある友恵さんから見て、長沼町の子育て環境はどう見えるのでしょうか。


「支援に関しては、町がしっかり子育て世帯のことを考えているので手厚いほうだと思います。施設などハード面で言うと、私が勤務している児童センターぽっくるは2019年に完成。子どもたちが遊べる新しくてキレイな施設ができて本当に良かったと思っています。また、ぽっくるの中に子育て支援センターがあり、その並びに保育園もあります。その横に大きな公園が隣接しているので、幼い頃から外でのびのびと遊ばせてもらえるのも魅力かと。うちの子どもたちもたっぷり遊ばせてもらいました」

町内に5つあった小学校が統廃合で1つになり、子ども達が放課後に過ごす学童保育も1つに。今はぽっくるの中に併設されています。学童に登録していない子でもぽっくるで遊ぶことはできるので、日々子どもたちは学校が終わるとぽっくるを訪れ、それぞれ思い思いに遊んで帰るそう。

「高校生まで利用できるので、夕方になると高校生がやってきて、小学生の子たちと遊んでくれたりもします。町が小さいので、みんな何かしら繋がりがあって、異年齢の子たちが混じって遊べる、交流することができるというのはすごくいいことだなと感じています。これは都会ではなかなかできない子育ての環境だと思います」

学童の指導員として子どもたちと関わってきた友恵さん、今の高校生たちが小学生の頃から知っているので、その成長ぶりを間近で見られるのも嬉しいと話します。

「子育て世代で田舎に移住となると、子どもの進学のことを心配される方が多いかもしれませんが、長沼は札幌へ通勤している人がいるように、近郊の町の高校や大学へ家から通うことができます」

また幼い子どもがいると気になるのが病院の有無。「町に小児科はないのですが、江別や恵庭など車で30分以内の場所にたくさん病院があるので、そこの部分はまったく問題ありません。また、医療費が高校生まで無償なのですが、他の市町村で受診しても無償です」とニッコリ。

すぐ行ける距離に温泉がある贅沢。町の暮らしで不自由さや不便さは皆無

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ここからは夫の拓也さんにも入ってもらい、長沼町に暮らして良かったと思うことを語ってもらいました。

「さっき妻が話していた内容のほかに、僕は家から車で10分もかからないところに温泉があるのがいいなと思います。入りたいときにすぐ行ける距離に温泉があるのなんて贅沢ですよね」と拓也さん。

それを聞いていた友恵さんは、「確かに! 田舎だけど、温泉やカフェなど、1人でフラッと行ける息抜きのできる場所があるのもいいよね」と続けます。

「あとは、長沼町健康ポイントカードというのがあって、それを提示すると、ながぬま温泉やプール、スポーツセンターなどの町内にある施設の利用料を助成してくれるんです。子どもたちにもこのカードがあって、これを使うと無料で温泉やプールに入れるので、申請して活用させてもらっています。これはすごくありがたいですね」と拓也さんが言うと、友恵さんも「そうそう」と頷きます。

この長沼町健康ポイントカードとは、町内在住でカード利用の申請をすると、小学生以上65歳未満の町民は6000円分のポイントが付与され(65歳以上は12000円分)、それをながぬま温泉やぽっくるの隣にある総合保健福祉センター「りふれ」(プールやエクササイズ器具などがある)、スポーツセンター、スキー場などで使えるのだそう。なので、6000円分を使い切るまでは無料で温泉やプールを利用できるということなのだそう。

「長沼に暮らして、不自由さや不便さを感じたことは正直ないです」と拓也さん。友恵さんが言う「程よい田舎」での暮らしは、都会で暮らすよりも満足指数が相当高いよう。それは2人の話を聞いているだけでもよく分かります。また、働くということに関しても、拓也さんは自身がやってみたいと考えていた農業に従事することができ、友恵さんも念願だった子どもに関わる仕事に就いて、今では指導員をまとめる立場に。仕事もプライベートも充実している岸さん夫妻の長沼での生活は、とても豊かなものに感じました。


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児童センターぽっくる
児童センターぽっくる
住所

北海道夕張郡長沼町南町2丁目3番2号

電話

0123-76-7461

URL

https://www.maoi-net.jp/shokai/shisetsuannai/study_children/jido_center.html


程よい田舎感が充実した暮らしを実現。子育てするにもいい町

この記事は2023年12月25日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。