2020年の1月の末。今年は雪が少ないね、なんていう言葉があちらこちらで囁かれていた頃のこと。
「焚き火をしながら取材、なんてどうでしょう?」
という素敵なお誘いを受け、嬉々として向かいました。
その場所は北海道札幌市清田区に位置する北海道札幌南高等学校林です。
今回は森林を舞台に活躍するとっても魅力的な『木こり』のoutwoods(アウトウッズ)足立成亮(あだちしげあき)さんのお話です。
くらしごとでは林業の会社で働くスタッフを紹介したことはありますが、この方はフリーで「木こり」として活躍されているのです。
「木こり」という表現に違和感をもつときは「林業屋」と名乗ることもあるんだとか。
outwoodsの足立成亮さんです
フリーの木こり?林業屋?
フリーの木こりってどういうこと?お仕事はどうしているの?どうやって生活しているの?
と疑問だらけのくらしごと取材陣。
我々も林業への取材を重ね、林業のおおまかなことは分かってきたところですが、これが知れば知るほど奥が深いのです。
そして、今までの繋がりのある方たちから「outwoodsの取材を!」「outwoodsはヤバいよ!」と猛プッシュもありました。
「何がヤバいの?!」というワクワクと「どんな活動をしているの?!」という興味を携えて、長靴とスノーウエアで身を包み、まだまだ雪に覆われたヤマの中へと行ってまいりました。
そして用意された焚き火の暖かさを感じながら、出会った人を魅了するoutwoodsの取り組み、そして足立さんの人となりについてを聞き取り、皆さまには読み終わったあと「ヤマ」や「森林」「林業」のことを少しでも心に刻んでいただける記事となりました。
では早速outwoodsの足立成亮さんの話を進めていきましょう。
ヤマが好きであればあるほど、孤独になっていく。現実との乖離。
足立さんを語るには、切っても切り離せない二人の存在があります。
足立さんの仕事仲間であり、ヤマでの暮らし、仕事全般の先輩でもある陣内雄(じんのうちたけし)さんと、足立さんのパートナーである山内麻由美さんです。
このお二人にも取材時に一緒にお話しを聞きました。
「outwoodsは屋号みたいなものなんです」と話す足立成亮さん。
札幌市出身で現在は道内各地の山林の管理を主に行っています。北海道札幌南高等学校の学校林や旭川市内の私有林などを手がけています。
取材時には薪の生産作業の最中でした。
広葉樹・針葉樹入り交じったさまざまな樹種で薪を作っています
足立さんは26歳まではギャラリースペースを運営したり写真を作品発表して活動していたと語ります。
「写真活動はしていたものの定職にはついていなくて。それこそアルキタやジョブキタ(くらしごとの母体である北海道で働くに特化した求人媒体)を眺める時もありました。でも26歳のときにこれまでとは違う『お給料をもらうような仕事』もそろそろ経験しておかないと・・・と考え始めたんです。そこで、何ができるのだろうかと考えたときに森で働いている自分の姿が具体的にイメージできたんです。それで林業の世界に飛び込みました」
小さい時から野山で駆け回るのが好きで、子どもの頃から地球の環境に関心が高かったのだと話す足立さん。
作品発表していたときも木が被写体の作品が多かったことに後から気が付いたと言います。
足立さんの過去の写真作品
「実は木が好きで、林業の世界に入れば子どもの時から関心のあった地球環境に関われる仕事ができる、とも思いました。それで2009年、滝上町にある林業の会社にたまたま入社したんです」
足立さんはそこの会社で2年ほどヤマの現場で作業員を続けました。
想いを持ってスタートしたヤマでの仕事に喜びや楽しみを感じていた反面、林業業界の実状や一緒に働く人との熱量の差に乖離を感じ、ヤマに想いがあればあるほど孤独になっていく瞬間があったと当時を振り返ります。
これには一緒にお話しを聞いていた陣内雄さんも深く頷きます。
陣内雄さん。ミュージシャンと木こり、という二つの顔をもつすごい方です。
「『どうしたら林業って良くなるんだろうか』。そればっかりを考えてやりつづけてきた10年弱だったね」と陣内さんが口を開きます。
足立さんと陣内さんとの出会いは約10年ほど前。
足立さんが滝上町で林業の会社を2年経験し、その後、滝上町役場の林務課の臨時職員としても誘いを受け、1年間、町有林管理や森林整備計画業務などの一端を担当しました。
ヤマの中で働いていた時とは違い、ほとんどがデスクワークだったと言います。
現場作業とはまた別の領域での林業の仕事を経験したのです。
でも「やっぱりヤマの現場に戻りたいなぁ」と思う日々だったと振り返ります。
そんななか足立さんは、陣内さんが立ち上げた「NPO法人もりねっと北海道(以下もりねっと)」が『森林作業道』に関しての研修を旭川で開催していることを知り、その研修に参加したのです。
もりねっとでは『森林に色々な人が入って、色んなものをもっとヤマから街に搬出できるような、資源を有効に活用出来る装置』として森林作業道は絶対必要だろうという考えのもと、この技術をシェアする研修を企画していました。
そして講師として来た方は『森林作業道』に関して日本を代表するスペシャリストの一人だったそうで、田邊由喜男さんという「四万十式作業道」や「サントリーの森づくり」などを手がけてきた人物です。
足立さんはこの研修に参加し、講師の方やもりねっとのヤマへの想いに同調したと言います。
「道を作れるようになった方が絶対に楽しいし、道ってどういうものなんだろう、ということをしっかり勉強しなきゃなと思い研修に参加していました。そのうちに陣内さんとも話すようになったんです」
研修を経て、講師の方たちの森林作業道の道のつけ方をみて自身の考えが明確になり、陣内さんらと話すことで共感が増え、林業の抱える課題への解決策を話し合える仲間としての意識が強まっていきました。
そして、森林作業道をつくるプレイヤーとなるべく、フリーの木こりとしてスタートしたのです。
photo by 山内麻由美
「自分は、北海道の森という大きなくくりの中で働く木こり、という意識を持っています。そして地元である札幌にも『木こり』として戻ったら面白いだろうな、というイメージが心の中にあって、滝上から12号線を袈裟懸けに旭川から札幌まで股にかけて仕事ができるようになったらいいなぁなんて妄想しながら、陣内さんの仕事を手伝い、そして助けられながら技術を身につけていきました」
目指す森林作業道
『森林作業道』
聞き慣れない言葉かも知れませんが林業には欠かせない重要な道です。
木を伐り出すためにも、伐り出した木を運び出すためにも、ヤマを管理するためにはまず道をつける必要があります。
足立さんたちがヤバイと評されるゆえんは、この「森林作業道」への考え方・姿勢にあるのです。
photo by 山内麻由美
足立さん、陣内さんがタッグを組み、約10年。
普通の森林作業道と違う部分はどこなのでしょうか。という質問に、足立さんよりも林業業界での経験が長い陣内さんが答えます。
「北海道の山は本州に比べて傾斜が緩い地域が多く、面積も広いということで、林業機械化や高効率低コストを推し進める林業業界の時代の流れにフィットし、山に大きな機械をいれて作業をする、ということが増えていました。大きな機械を通すためには大きな道も必要になります。ただ、山に愛着をもっている山主さん達からは『山をもっと大切にできないの?ヤマがズタズタじゃないか。こんなのはちっとも嬉しくない、二度と嫌だ』という声をよく聞きます。でも、仕方がないことなんです。そういう大量に木を効率よく運び出すようなスタイルが当たり前だった。林業では、早くしろ、気をつけろ、のこのキーワードしかない。キレイに、木や森を傷つけないでやるっていうところは評価の対象じゃないんです。
じゃあ、早くして気をつける以外の方法ってないの?っていうところで我々は悩んでいたんだけど・・・」と陣内さんはゆっくりこれまでを噛みしめるように話します。
「実際に僕らがつける森林作業道が森の中に出来た瞬間に、森と人との関係がガラっと変わっちゃうんですよね。この道があれば何でもできる。『薪が欲しい』『遊びたい』『間伐しっかりやりたい』ということが同時にできる道の付け方だったんです。この感覚を広めないとだめじゃないかなって思ったんです。それがこの10年ですね。(この考え方は)少し前までの北海道林業界では我々はアウトローだったけど、どんどん北海道でもこの考えが広まってきた感覚があるし、なにより一般受けはめちゃくちゃすごくいいんですよ」と熱く語る陣内さん。
実際に取材時に歩いた森林作業道は、最低限の車や重機が入れる幅でした。
ヤマの奥に向かって緩やかに曲がりながら幾筋にも分かれて伸びています。
「今も『どうしたら林業って面白くなっていくのかな』って考えながらやっています。そしていろいろな人が森林・林業について自分事として感じて欲しい。実際に貴重な資源がフルで利用されず、捨てられている現実もあります。ちゃんと道がついてないせいでせっかく間伐した木を搬出できずヤマに置いてきてしまっている、なんてことは日本全国しょっちゅうあることです。この「もったいないじゃん」ていうのと、「もっと人目についたら楽しいじゃん」ていう気持ちを大事にヤマづくりをしています」と足立さんも言葉を続けます。
photo by 山内麻由美
林業業界の収益構造はかなり複雑です。何度も取材を重ねている取材陣でさえ、???と思うことが多々あります。
一番想像しやすいのは木を伐りだし丸太にし、それで売った木材が収益になる、というものです。
これをイメージすると、早く大量に伐りだして丸太にして売る、ということが会社にとって収益に繋がるということがわかりやすいかと思います。
(ここではあまり触れませんが、これ以外にも国からの補助金が出たり、所有者(仕事の発注元)との契約、などによって収益構造は複雑です。)
足立さんが林業の会社に入り、森林・林業の仕事に従事する上で葛藤・乖離を感じたのはここの部分ではないでしょうか。
林業という事業は、重機や高性能林業機械などを導入するとうん千万という膨大なお金がかかります。そのため、早く効率的に業務をこなす、ということが費用回収の面では重要なのです。
早く大量に作業を行うために、効率第一の道をつけ、伐採を行い大量の木材を運び出す。
しかし、それだけで良いのだろうかと考えてしまった瞬間が足立さんにはあったのではないでしょうか。
「じゃあ僕たちが理想とするやり方で今の日本の木材需要をまかなえるのか?技術者の養成は間に合うのかとか、色々課題はあるんですが、でも、明らかに今の林業業界とは『違う道』というか、バリエーションはもたせられてるんじゃないかなって思います」と陣内さん。
「僕たちのつくる森林作業道は、明確なコンセプトを実現させるための装置だと思っているんです」と足立さんも続けます。
「そのヤマがノーコンセプトだったら荒くやろうが、丁寧にやろうが関係ないかもしれない。でも、ヤマが好きな人にとってみれば、環境を守りたいとかヤマで遊びたいとか、そういう想いを実現できる道にしないといけないと思ってやっていますね」
photo by 山内麻由美
お二人に直接相談にくる山主さんも増えてきていると言います。
そして行政からもかつての里山的に山林や農地を利用していこうという流れも生まれてきているのだとか。
現行の林業形態だけではなく、元々木こりが行っていた昔ながらの『人間とヤマとの共存型の林業』を取り入れる流れがきている実感を感じていると足立さんは力強く言います。
「僕が林業に携わりはじめてちょうど10年なのですが、10年目にしてここまで時代が変わってきた。という実感が本当にあるんです。フリーになって7〜8年。その中で培ってきた僕たちがやってきた山際の活動をみんなに伝えられるときが来るのかも・・・と思っています」
足立さんたちはただ自分達の想う道をつけてきただけではありません。
自らが地道に活動を行っていくと、同じように志を共にするような仲間も多くなってきました。
ヤマへの想いのある孤独な木こりたちを集め、また、その人たちを繋ぐ役割も自然と担っていくのです。
ヤマに想いのある木こりたちが集う
2019年、9月21日〜23日の3日間「第9回若手林業ビジネスサミット2019in北海道」が開催されました。
全国で毎年開催されている「林業で生きる」を目指す39歳以下の若者同士でつながり語り合うイベントです。
2019年は北海道開催ということでoutwoodsが関わるヤマの現場、この北海道札幌南高等学校林の視察もプログラムに組み込まれました。
「このサミット自体の参加者は30名くらいだったんですが、さらに僕も色々声をかけて70人くらいの大所帯となってこのヤマを見学してもらった!という日があったんです」と足立さんは目を輝かせます。
outwoodsの活動が、向上心のある木こりたちの大きな歯車となって動き出しているとともに、こういった繋がりで新たに繋がりを生んでいます。
「今は若い人も孤独じゃないよね。だってSNSがあるからさ。僕たちが始めた時はほんっとうに孤独でした。たった一人ポツンと孤独と戦っていた。でも今はそういう人たちがSNSを通じて繋がっているから、良い時代になったなぁって(笑)」と陣内さんも笑顔をこぼします。
「SNSのタイムラインをみると『ああ、あいつ頑張ってるんだな〜』ということもわかるし、一言コメントをもらうだけで嬉しいし、情報交換にもなる。色々な人にも会えますからね」と足立さん。
「そういった意味では、今林業に興味を示している人、特に10代〜20代の若者は本当にはじめやすいと思います。林業はヤマの中で仕事しますから一般からは見られない。SNSで仲間が働いているところを見合えるのは安心感がありますよ。それに北海道だけじゃない、本州で頑張っている人の姿もみることができますからね」
孤独を感じていた木こりたちも、仲間との繋がりを感じるだけで、ひとつ頑張れる原動力になりえます。
くらしごと取材班も伝えたいのは同じ想いです。
好きな仕事に就いたけれど辞めてしまう若者達。
同じ会社で同じ仕事だけをしていることに、寂しさを感じることは業界問わずあるはずです。もちろん林業に限らずです。
けれどもあの人も頑張っているから、「私ももう少し頑張ろう」という気持ちや「もっとこうしてみたらいいんじゃないか?」というようなやる気・向上心に繋がったりします。
ちょっとしたきっかけで明日を頑張れる日がやってくる。
くらしごとを読んだ人もちょっとだけそんな気持ちになってくれたらとっても嬉しい、そう思って記事を作っています。
用意していただいた焚き火。取材中も焚き火の良い匂いが。足立さん達は昼食休憩です。
さて、話を本題に戻しましょう。
ヤマと人を結びつける森林作業道をつける足立さんと陣内さん。
「ヤマで遊ぶ」というキーワードをよく使います。
「ヤマで遊ぶ」というのは大人になってから都会で働いているとあまり馴染みのない感覚で、いったいどんなことをイメージしているのでしょうか。
「遊ぶっていうのは、なんでも良いんですよね。マウンテンバイクで走り回っていたり、歩いてゆっくり味わいたいでも、山菜を採りたいでもいい。今までは笹藪のなかを歩くしかなかった。切り捨てられた丸太をまたぎながらなんてこともしばしばだった」と足立さんが答えてくれます。
取材時実際に積雪の中を歩かせていただきました。気持ちの良い道が続き、ゆっくりと歩いて行くことができます。
足立さんたちの作る「コンセプトのある森林作業道」をつければ、より多くの人がヤマを理解し、楽しむきっかけを得ることができる、というわけです。
林業と建築を結ぶ『木こりビルダーズ』
足立さんと陣内さんが出会い、今までとは違う森林作業道をつけていき、仲間も増えて林業業界の道にも新しい風を吹かせてきたお二人。
今後についてはどんなことを考えているのかを聞いてみると新しいプロジェクトを走らせているのだとか。
その名も『木こりビルダーズ』。
陣内さんを筆頭に、各地の仲間たちから始まるヤマ直結型のプロジェクトです。
photo by 山内麻由美/昨年自らで製材できるように製材の機械も導入しました。
ヤマと建築を直結させ、できるだけ100%足立さんらの仲間が収穫した丸太を使って建築し、製材(丸太から建築用の木材に加工すること)までもヤマで行い、木こりと大工が協力して建築を行うというもの。
『林業ってどうしたらよくなるんだろう』と二人なりに考えてきたからこそ出来上がったプロジェクトです。
曲がりのある木や節のある木、高く売れない木などを建材として木こりが加工し、それを実際に使って大工が家を建てていきます。
「輸入材に頼らずに、100%道産材で完結して、費用の7割は地元で人件費として落ちて、かつ、木こりの冬の仕事にもなる。現地の木材で現地に経済をまわすんです」と未来を見据えた目で陣内さんは語ります。
実際に現在下川町で100%道産材だけで建てられた「jojoni(ジョジョニ)パン工房」を建築中です。
自然からお店をつくる、というコンセプトで「ジョジョニパン工房建築プロジェクト」と銘うち、ワークショップなども行いました。
こういったoutwoodsと陣内さんの森の中での活動の記録を山内麻由美さんが写真におさめ発信しています。
(是非みていただきたい山内さんのInstagram)
そして2019年には写真展なども開催していました。
こちらの写真展は、ヤマで活動するお二人の一瞬を切り取った写真が並び、足を踏み入れたときに五感で山を感じる会場のコンセプトは訪れた人の心をほっと優しい気持ちにさせてくれる素敵なものでした。
足立さん・陣内さんの活動を間近で撮影し、伝えていく山内さんの活動は、お二人にとってとても素敵な支えになっているはずです。
「山際の活動をもっと世間の人に知ってもらいたい」
そう足立さんたちは人が森に入ることのできる森林作業道をつけるだけでなく、孤独な木こりと繋がるだけでなく、「木こり」という仕事を伝える活動も行っているのです。
山内麻由美さん
『木こりがまちにおりてくる』
くらしごとでも以前取材した「TOBIU CAMP」。
北海道白老町の飛生地区で2009年から毎年開催されている飛生芸術祭で、オープニングイベントとして行われている『森と人との百物語』というテーマで開催しているイベントです。
実はこの記事に出てくる廃校裏の学校林の『飛生の森づくりプロジェクト』にもoutwoodsと陣内さんは深く関わっているのです。
多くの人に森に入ってもらうための空間づくりをしています。
このイベントを手がけるようになったきっかけはRSR(ライジングサンロックフェスティバル)だったと足立さんは言います。
「林業の仕事の道具とか、技術とか、素材なんかをちょっとアレンジして、会場に持ち込んでいたりします。ただそれだけなので、正直言って誰にでも出来ると思います。『ヤマの物をそこに持っていこう』という気概さえあれば(笑)。そこに色々な空間の感覚や陣内さんの建築・構造のセンスなどを合わせて面白い空間を作ってやろう、としていますね」と笑います。
足立さんは、『木こりがまちにおりてくる』というコンセプトでイベントの空間を作り、展示しています。そしてまた同じ物をもって山の中で仕事に行く、ということを追求しているそう。
「同業の人にも、気分変えて別の仕事をして、たまにはまちにでたら?」というのを発信できたらいいなと思っているんです」
足立さんと陣内さんが手がけてきた空間は数知れません。
北海道中川町で行われた「なかがわの森・森のギャラリー」や上川町の「大雪 森のガーデン」などさまざまです。
足立さんの屋号でもある『outwoods』にもその想いが込められているのだとか。
「森にいっぱい入れなきゃいけない『人の気持ち』や『アイデア』や『目』ってあると思っていて、逆に森からたくさん出してこなければならない『宝物』や『資源』っていっぱいあるでしょう?って思っているんです。それらを出したり入れたりするイメージを僕はずっと心に持っている」と真剣なまなざしで話します。
「ヤマで1日中頑張って仕事して、そして、ヤマから里に出て行く瞬間って、すごく『よし、終わったぞ!』って、違う世界の境界線を踏むような意識があったりするんですよね。車に乗って林道からスッと出ていく瞬間とか。ヤマから木こりが出てくる時の風景をすごく大切に思っています。そして『木こりがまちにおりてくる』というフレーズがしっくりきたんです。ひょっこりと仕事を終えてヤマから木こりがでてくる、そんな風景が日常になり、そして人の生活のすぐ隣にある森がもっとリアルにみんなの生活に近づくことをイメージして考え頭に浮かんだのが『outwoods』です」
足立さんの空間センスや感覚で、虜にされた人は少なくありません。
もちろん、取材に行きお話を聞いた私たちもそのうちの一人です。
心や頭の中にあるイメージを表現するセンスや環境保全への意識の高さ、一つ一つのプロジェクトに対する気持ちの強さが、触れた人の心に残ります。
そんなお仕事をしている熱い木こりたち。今日も北海道のヤマの中に入り黙々と仕事をするのでしょう。
そして北海道の林業の未来を照らす新しい兆しとなることでしょう。
- outwoods足立成亮/陣内雄/山内麻由美
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