HOME>このまちのあの企業、あの製品>海の幸とアウトドアが隠れた宝庫の村で働く魅力。海王食品(株)

このまちのあの企業、あの製品
猿払村

海の幸とアウトドアが隠れた宝庫の村で働く魅力。海王食品(株)20190411

海の幸とアウトドアが隠れた宝庫の村で働く魅力。海王食品(株)

自然の宝庫溢れる村を支える産業

「日本最○端の〜...」といったうたい文句は良く耳にする単語ですが、今日のくらしごとの舞台はその言葉になぞらえると「日本最北端の村」と言える猿払村。

皆さんはどんな村を想像しますか?

稚内から車で1時間ほど南下し、取材陣が目にした猿払村という場所は、雪解けが進みちょうど春の訪れを感じさせる日和の3月上旬。海の水面がキラキラと輝きとても美しく、潮の香りがほのかに鼻をかすめます。

「最北の村」というその立地からも想像できる通り、人手不足に悩むという面も大いにありますが、釣りやキャンプといったアウトドアはもちろん、そのままの自然が活きたこの村の魅力は、一言では語り尽くせそうにはありません。さらに全国の年収ランキングでは3位という顔を持つなど、まだまだ知らない魅力を秘めていそうです。

自然の美しさを浴びながら私たちが向かった先は、海王食品株式会社という水産加工工場。海に面したこの村の特産品は「ホタテ」と「牛」。その中でもホタテの加工、冷凍貝柱や珍味を製造・販売している会社になります。

出迎えてくれたのは、ここの二代目太田賢佑さん。
「猿払村のホタテが世界一美味しい」と語る太田さんは、鋭い視点でこの村を見つめ、村を衰退させないためにと、いくつものアイデアを出し、実際に行動に移しているアクティブな方でした。

kaiou11.jpg

世界一美味しいホタテを世界へ

海王食品株式会社は昭和59年に誕生。当時はホタテ業の盛り上がりを見せている時。幼少期の太田さんも、いつも近くでその様子を見ていました。

ホタテ漁は3月の中旬から始まり、11月の後半まで続き、その時期ともなると、海王食品ではホタテの冷凍貝柱をつくり、冬の期間はホタテのみみを使って珍味をつくります。

「ここは冷たい海域が影響していて、ホタテの歯ごたえがとてもしっかりしているんです」。
太田さんが以前東京でホタテを食べた際には思わず「これホタテなの?」と思ってしまったことがある程に、子どもの頃から何ともなく口にしていたホタテの美味しさに改めて気づいたと言います。

「それに、ホタテって栄養分がすごいんですよ。栄養ドリンクを飲むくらいならホタテを食べろってくらい(笑)」と、だからこそ若い人たちにもっとホタテを食べてもらいたい!という熱い想いも。

そんな宝のような食材を使って海王食品が生み出す商品の旨みの秘訣は、どれも手作業で行うことに尽きます。

kaiou02.jpg社割もあるのが嬉しい特典。自分たちが手がけたものを食べられる嬉しさもあれば、その旨みを味わえる喜びもあるはず。

「みみくん」と称したホタテの貝ひもの珍味も大人気商品。ふるさと納税の返礼品としても人気が高く、歯ごたえはもちろん噛めば噛むほどホタテの旨みが口に広がり病みつきになってしまいます。

冷凍貝柱や珍味といった海王食品の商品は日本のみならず、中国や北米、ユーロ圏と海外にも広く届けています。こうしてかねてより中国との取引関係もあったことも影響し、この猿払村には多くの中国人実習生が訪れています。海王食品の工場内にも、実習生がたくさん働いていました。

今ではこの村をはじめ、宗谷からオホーツクエリアにかけては国境を越えて海外の方が働くというのは当たり前の現状のようです。

スタッフへの温かな思いやりを忘れない太田さんは、母国を離れ仕事に勤しむ中国の方々へのサポートはもちろん、ここで働くスタッフへの生活面等のケアや心配りが手厚いものです。

kaiou07.jpg太田さんがスタッフさんたちに近づくと笑顔や笑いが起きる様子を見て、いかにみんなが太田さんを慕っているのかが分かりました。日本語もみなさんお上手。

「みんなが楽しんで仕事ができるように差し入れしたり、マイクロバスを出して稚内まで買い物に連れて行ったり、みんなでごはんを食べたり...そんなちょっとした気分転換の手伝いもしています」

kaiou03.jpg村内にはセイコーマート等はありますが、もう少し大きな商業施設での買い物は稚内へ。みんなこの時はとてもテンションがいつも以上に高く「うるさいくらいです(笑)」と太田さんは笑います。もちろんこのバスは、太田さんが運転していきます。

猿払村の問題のひとつでもありますが、住まいの不足。村以外から「働きたい」と手を挙げてくれた人がいても、住む場所がないことが長年の悩みでした。

ただ、悩んで終わらないのが太田さんの魅力です。地元企業に協力してもらい、会社の敷地内にキレイなアパートが建ちました。それは、ここで働くスタッフたちに利用してもらいたいから。特に、中国からの実習生はここを喜んで使っている様子。

「24名入るこのアパートはすでに埋まっていて、もっと住む場所を用意しなくちゃいけないなとは思っているんです」

kaiou04.jpgこちらがそのアパート。とてもキレイ...!

もっともっと、村内に住む場所があれば...と役場にも直接提案しに行くなど行動に起こしています。

時代に合わせて新たな工場を新設

海王食品でメインとなる業務は「貝むき」。その名の通りホタテの身を貝から取る作業です。

早朝、港から引き揚げてきたホタテをトラックに積み込み工場へと運び、作業台にホタテを下ろしてから黙々と、ただひたすらに貝をむく作業が続きます。こういった作業が得意な人にとっては、一日の終わりに達成感が体中に満ちあふれることになるかも。

kaiou09.jpg

貝から身を剥いたその後は、ゴミや異物をとる洗浄作業と続きます。こうした作業が続きますが、今は機械も色々と導入し作業スピードも昔よりぐんとあがりました。15分ほどで一気にガチガチに凍らせることができる冷凍の機械や、X線の写真でサイズの選別ができる機械など、人気商品を出来るだけ多く生産できるよう丁寧な手作業と、最後の仕上げの機械にて奮闘中。

それでも人手不足は年々大きな悩みに。特にこの貝をむく作業の人手が今不足しています。今いる人数でギリギリの量産しかできていない現状。新商品も検討中ではありますが、なかなか手をつけれていないなどといった本音もチラリ...。

しかし、ここで立ち止まるような会社ではありません。
2019年の3月から新たな新工場も稼働します。

潮の香りが漂う現工場をくぐり抜けると、そこに広がるのはピカピカの真新しい工場。ここで作業ができると思うと、身が引き締まるような、それでいてどこかワクワクしてしまうような、新鮮な気持ちになることでしょう。

休憩時間は釣りOK?!

kaiou18.jpg

「工場を出たすぐそこでは、大きなイトウが良く釣れるんだ」と、人気の釣りスポットも教えてくれました。

「休憩中に釣りをしてきたっていい、浜はキレイに整備されているから、そこでキャンプをしたっていい」そんなことも口にしていましたから、海王食品で働けば、アウトドアといつも隣あわせで働けそう。

「そういった趣味に合わせて勤務時間とかも対応しますよ(笑)」という心意気を見せてくれた太田さん。
「早くあの地方再生にも関わるアウトドアブランド、スノーピークさんとコラボして何か猿払村でも仕掛けて欲しいんですよね(笑)」と広い視点で、猿払村で働くことで得られる付加価値を見出したいと思い描きます。もちろん、これもすでに役場に提案中。

kaiou17.jpg

知っていますか?北海道は宗谷エリアの海のキレイさを。広がる草原の美しさを。丘の上を歩く小学生の下校風景に心癒やされ、穏やかな時間が流れるこの村を。ここでの暮らしはきっと、住む人の心を穏やかにしてくれます。自然の雄大さの中で暮らし、働くことはどれほど気持ちが良いのだろう...特にこの猿払村だったら、と想像してしまいます。

太田さんは猿払生まれの猿払育ちではありますが、札幌に出たりと外の世界も見てきました。工場を継ぐべくして戻ってきましたが、その理由は太田さんにも分からないと言います。生まれ育ったこの村は、自然と戻りたくなる素敵な故郷となっていたのかもしれません。

kaiou08.jpg

「太田さんが思う猿払の魅力は?」と聞いてみると「やっぱり海の幸ですね」とにこり。ホタテはもちろんのこと、鮭やサンマ、イカなども美味しいのだとか。

また、酪農も盛んな猿払では「猿払アイス」なるものも実は人気の商品。まだまだ知らない人も多いというこのアイスクリームは、ミルクの濃厚さをギュッと詰め込んだ一品。実は取材陣もいただいたのですが、ミルクの濃厚さと、そこまで甘すぎない味わいが口の中に広がり、思わず頬が緩みました。

やっぱり魅力は一言では語り尽くせそうにないこの村。

太田さんの願いは、この村に色んなスキルを持った方に来てもらうこと。
「車さえあれば、生活に不便はないと思いますよ。お隣稚内には空港もあるので東京にも行きやすい。セイコーマートやQマートという商店もあるし。まああとはドラッグストアが出来たら完璧だな(笑)」

kaiou10.jpg笑顔がとっても素敵な太田さん。

もちろん太田さんだけの力では、この村の人口を増やすのはなかなか難しいもの。聞けば役場も移住施策にも数年前から力を入れ始めていると言います。正直まだまだ受け入れ体制に課題もありますが、それでも外から来たい人も大歓迎してくれる最北の村。

道民でさえもなかなか行くことのない場所かもしれません。秘境とまでは言いませんが、実はお宝が詰まっている素敵な場所。そんな場所の魅力に気づく人が、一人でも増えますように。ぜひその宝を探しに行ってみてください。

海王食品株式会社
海王食品株式会社
住所

北海道宗谷郡猿払村浜猿払1075-41

電話

01635-4-5026

海王食品の商品もならぶ、ふるさと納税の返礼品についても要チェックです。


海の幸とアウトドアが隠れた宝庫の村で働く魅力。海王食品(株)

この記事は2019年3月5日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。