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まちおこしレポート
帯広市

「人生に、野遊びを。」スノーピーク十勝ポロシリキャンプフィールド20181122

この記事は2018年11月22日に公開した情報です。

「人生に、野遊びを。」スノーピーク十勝ポロシリキャンプフィールド

北海道といえば大自然、大自然といえばキャンプ。
そんなキャンプファンにとって、スノーピークは御用達、または憧れのブランドかもしれません。そのスノーピークが運営するキャンプ場が、北海道にあるのをご存じでしょうか?それは、北海道帯広市の市街地から南西へ約35kmのところに位置する「スノーピーク十勝ポロシリキャンプフィールド(以下、十勝ポロシリキャンプフィールド)」です。帯広市で長く親しまれているオートキャンプ場ですが、2017年からアウトドアブランドのスノーピークが指定管理者として運営を行っています。アウトドアブランドであるスノーピークがキャンプ場を運営するのはなぜなのか、またこの場所はどのような魅力を持っているのか、キャンプ場のアドバイザリースタッフの野原立(のはら りゅう)さんに聞きました。

snowpeak15.JPG アドバイザリースタッフの野原さん。

スノーピークが提案するアウトドアベースの地方創生

帯広市街地から車で約45分。幌尻岳の麓、ポロシリ自然公園にキャンプフィールドはあります。取材陣が伺ったのは雨のちらつく平日でしたが、テントを張り、くつろぐキャンパーの姿がちらほら見受けられます。緑がどこまでも広がる気持ちよいキャンプ場は、スノーピークのショップ兼管理棟と、車の横にテントが張れるオートサイト46区画、テントのみ張れるフリーテントサイト20区画、そしてパークゴルフ場も併設しています。自然に囲まれた静かな場所で、周辺の十勝の観光地へのアクセスも良く、道内はもとより道外、海外からもキャンパーが訪れています。従来は6月から9月の夏季のみの運営でしたが、スノーピークが指定管理を始めた2017年からは冬季営業も始め、通年で四季の移ろいを感じるキャンプを楽しむことができます。

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そんな風景の中に馴染む、いかにもアウトドアが似合うスタッフの野原さんは、東京出身。スノーピークが指定管理者になる際のオープニングスタッフとして、初めて北海道、そして十勝を訪れたと言います。

「現在スノーピークでは、十勝を含め全国4カ所で、自治体と連携してキャンプフィールドを運営しています。さらに、子会社として『株式会社スノーピーク地方創生コンサルティング』を設立し、アウトドアを軸とした地方創生にも関わっています」。

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スノーピークはこれまでもアウトドア事業で培ってきた知見を生かし、主に地方自治体を対象にコンサルティング活動を展開してきました。アウトドアの醍醐味である「自然」との関わり、地方にはこの「自然」が豊かな土地がたくさんあります。そうした自然資源に強みを持つ自治体や団体、企業と協力することで、その地域社会の発展に寄与する、すなわち地方創生に取り組んでいます。

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スノーピークの山井太社長は、十勝を「ワールドクラスのアウトドアフィールド」と絶賛し、自身もいちアウトドアファンとして、たびたび訪れています。そのため、ここ十勝でも魅力的な自然を活用して、世界中から人が集まる拠点を作り、アウトドアをベースにした地方創生を提案しているのです。十勝には下の名前で呼び合う「マブダチ」も多数おり、野原さんも社長と帯広の街でお酒を酌み交わし、思いを聞く機会をもらっているとか。

また、2017年4月には十勝エリアの新たな観光ブランドを創出することを目的に、帯広市と連携し「株式会社デスティネーション十勝」も設立しました。

地元の素晴らしさに気づくきっかけに

十勝ポロシリキャンプフィールドの運営をスノーピークが始めた2017年当初、地元の人でもこのキャンプ場のことを知らない人が多かったんだそうです。

「こんなに素晴らしい自然があるのに、実は地元の方はその価値に気づいていなかった、というよりは身近にありすぎて気づけていなかったのかなと思います。道外から来た私たちからすれば、冬の凍てつく寒さだけでもワクワクするものなんです。熱気球体験ができる十勝ネイチャーセンターや本格的な犬ぞり体験ができるマッシングワークス、湖の上に作られた村・しかりべつ湖コタンなど、アクティビティーも充実していますよね。十勝の自然の魅力を、キャンプの地元の方にももっと体験して知ってもらい、楽しんでもらいたいと思っています」と熱く語ってくれる野原さん。

今ではお客様向けにイベントを定期的に開催しており、地元の人にも口コミでファンが増えてきているといいます。

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スノーピークでは、焚き火を「キャンプに欠かせない重要なコミュニケーションツール」として位置づけています。約20年前からユーザーさんとスタッフが一緒にキャンプをする、「スノーピークウェイ」というイベントを開催しており、そのなかで、同じ焚き火を囲み、一緒に語らう「焚火トーク」の時間は、重要なコンテンツとなっています。野原さんたちも、焚き火を囲むイベントを開催したり、日常的にも常連客と一緒にたびたび焚き火を囲んでいるんだそうです。

「焚き火を囲んでいると、人と人の距離がぐっと縮まるんです。夜の静かな空間で、火が燃える様子を見ながらゆったりと流れていく時間は、格別ですね」。

そんな話をしていると、自然と表情がほころぶ野原さん。こうして、地元の方々とコミュニケーションを取りながら、十勝の魅力について語り合ったり、その魅力をどのように発信をしていくかといったことを考えたりしています。

snowpeak20.JPGユーザーさんとスタッフが直接繋がることができる「焚火トーク」の様子です。

今までにないコンテンツを提案

2017年2月には、ここでグランピングのモニタリングプログラムを開催しました。グランピングとは、グラマラス(魅惑的な)とキャンピングを合わせた造語で、グレードの高い設備や食事などで、従来のキャンプにはなかった価値を体験できるキャンプとして注目されています。

真冬の静かな空間と、真っ白な雪と広い空がどこまでも続く景色を楽しんでもらい、十勝の食材を使って地元の料理人がフルコースディナーを提供しました。また、十勝エリアの自然やアクティビティーを体験するツアーとして、パッケージで提案しました。

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また、木製のモバイルハウス「住箱-JYUBAKO-」も、注目コンテンツの一つ。キャンプ場内で宿泊に利用することはもちろん、トレーラーハウスのようにけん引して動かすことができ、販売もしています。自身もアフリカ大陸を車で移動しながら旅した経験のある建築家の隈研吾さんとコラボし、「住むを自由にする、旅をする建築」として開発。洗練されたデザインと、快適な空間で、また新しいキャンプを体験することができます。

「住箱の中は本当に静かで、ヒノキの香りも気持ちよく、ぐっすり眠れます。大きな窓が額縁のようになっていて、外の風景がまるで絵のように見えるんですよ」。

特に、冬のキャンプでは、暖かく過ごせる住箱がおすすめだといいます。今回のインタビューも、この住箱をお借りして行いました。アウトドアと建物のいいとこ取りのような居心地の良い空間。何を隠そう、取材陣も「冬のキャンプなんて...」と尻込みする人間の一人でしたが、住箱を体験すると「冬のキャンプ、行ってみたい!」と、まんまと早変わりしました(笑)

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キャンプを通じて生まれる人の繋がり

十勝ポロシリキャンプフィールドで働くアルバイトスタッフの野澤優菜さんは、江別市出身で、ご主人の仕事の都合で帯広に在住。もともとは、キャンプ場のお客として訪れていたそうです。

「キャンプが好きで、スノーピークも好きだったんです。ここのイベントに参加して、野原さんとお話した時に、ここで働かないかと声を掛けてもらいました」。

スタッフに加わってからは、キャンプの好きなお客さんからどんなキャンプをしているのか聞いて、そのアイデアを参考にしているといいます。

「うちの家族は、冬のキャンプは未経験。これから始めてみたいですね!」

なるほど、好きなところで仕事をしているから、そんなに生き生きしているんですね。

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また、ここのキャンプ場で働く以前は、東京でレスキュー隊として働いていたという野原さん。悲しい事件や自殺の現場を目の当たりにし、社会の歪みに疑問を抱くようになったといいます。

「スノーピークが提案するのは、自然指向のライフスタイルによる人間性の回復。実際に、キャンプに来て生き生きとした表情になっていくお客様をたくさん見てきました。都会の生活では人間性を見失いがちですが、みなさんにここで自然と触れ合うことを通じて大切なものを見つけ、これからの人生に生かしていただけたらと思っています」。

そうまっすぐな眼差しで語る野原さん。
ただ自然の中で遊んだり、思い出を作るだけではないキャンプの奥深い側面を感じたと共に、自然の中で体験を共有することで生まれる新たな繋がりに、地方活性化の可能性を大いに感じた取材となりました。

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スノーピーク十勝ポロシリキャンプフィールド
スノーピーク十勝ポロシリキャンプフィールド
住所

北海道帯広市拓成町第2基線2-7

電話

0155-60-2000

URL

https://sbs.snowpeak.co.jp/tokachiporoshiri/


「人生に、野遊びを。」スノーピーク十勝ポロシリキャンプフィールド

この記事は2018年9月3日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。