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学校と学生の取り組み
新ひだか町

「静内でかなえる!」がスローガン。北海道静内高校の日々。20211220

この記事は2021年12月20日に公開した情報です。

「静内でかなえる!」がスローガン。北海道静内高校の日々。

日本有数の馬産地(ばさんち)として知られる北海道にある新ひだか町。日高地方の中核都市でもあるこの町に、今回の記事の舞台である北海道静内高等学校...通称 静高(しずこう)があります。全校生徒数は466人(2021年10月時)。札幌や旭川などの都市部を除いた地方の高校としては、比較的大きな高校です。

今回は、高校2年生の5人にインタビューを実施しました。昨年4月に入学した当初から、新型コロナウィルスの影響を常に受けてきた生徒たち。学校行事や部活動もかなり制限がかかるなかで、どんな高校生活を送っているのか。そして卒業後の進路をどう考えているのか、詳しくうかがいました。

※撮影にあたっては細心の注意を払い、撮影時のみマスクを外して対応いただいております。

日本と外国をつなぐ人になりたい!

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まず最初にお伺いしたのは、井口 那津香(いぐちなつか)さんです。他の4名の生徒は町内の生まれ育ちですが、井口さんは大阪のご出身。10歳まで大阪府高槻市で過ごしたのち、新ひだか町に引っ越してきました。

大都会大阪と牧歌的な風景が広がる北海道。井口さんに、究極の質問ではありますが、どちらが好きかを尋ねると「北海道のほうが好き」と即答してくれました。大きな理由のひとつは「馬がいること!」。高校からもほど近い静内ライディングヒルズや近隣の町で日常的に乗馬を楽しんでいるそうです。「幼稚園の頃に体験行事で乗った」という生徒もいて、やはり日高地域では馬がとても身近な存在なのでした。

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そんな井口さんの将来の夢は「世界と日本をつなぐ存在になること」。もともとは小学生のときに習いごとの一環で勉強していた英語。当時はあまり好きになれず、途中で辞めてしまったそうですが、そのときに素地ができたおかげで中学校に上がってからは得意科目に。現在もオンラインでネイティブの先生によるレッスンを受けているそうです。

「外国語でコミュニケーションをとることがすごく楽しいんです。将来は、日本の良いところを英語で海外の方に伝えたり、海外の良いところを日本語で日本人に伝えられたら」という井口さん。日本と世界の架け橋になるような存在になるため、生まれ育った大阪の地への進学を志しています。

学校祭では、ファッションショー「静コレ」で衣装づくりを担当。コンセプト決めからミシンでの縫製、ステージ演出まで皆で協力して舞台を創り上げていきました。「ものすごく重労働で『もういいかな』と思った」と笑いながら話してくれましたが、その努力の甲斐があって総合優勝を果たしました。2年生が総合優勝を収めることは稀なことだそうで、忘れられない思い出になったといいます。

調理師〜最高のchefに〜

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続いて話を聞いたのは、竹浪 孝佑(たけなみこうすけ)さん。竹浪さんのご実家は、東静内にある地元民に愛される飲食店「ドライブインあさり浜」です。国道235号線沿いに位置するお店の店内からは、太平洋が一望できます。看板メニューは、海の恵みが凝縮された磯ラーメンやボリュームたっぷりのエビ天丼!

「chef(シェフ)」という素敵な表現を使っていたにも関わらず、取材中は、親しみを込めて終始「大将」と呼びながらお話しさせていただいたのですが、すでにその風格は十分(笑)。高校卒業後に、家業を継ぐことを決めていると教えてくれました。なんと6歳の頃には「お店を継ぐ」と周囲に話していたそうで、小学校3年生頃からお店に立って仕事を手伝っているそうです。調理師学校で学ぶのではなく、ご実家のお店で働きながら調理師免許を取得し、最高のシェフを目指したいと夢を語ってくれます。

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一概に言うことはできませんが、休暇が取りにくかったり、営業時間が終わっても次の日の仕込みが待っていたり、飲食店ならではの大変さについても「もう慣れましたね!」と、頼もしい返答。それよりも「調理をすることの楽しさ」が勝るようです。

どんなことにでも楽しさを感じることができる竹浪さん。高校生活で楽しかった思い出を尋ねると「毎日の生活」と、とても素敵な答えが返ってきました。「友だちとなにげない会話をしたり、いろんな授業を受けたりと、毎日学校へ行くのが楽しい」とのこと!

学生時代の何気ない日常がどれだけ貴重なものだったかは、大人になって振り返ったときにやっと実感するのが常ですが、竹浪さんは既にそれを心得ているようです。これからの学生生活をエンジョイしてほしいと願うばかりです。

スポーツを続けていくために、公務員という道を

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続いては國吉 亮真(くによしりょうま)さん。地方公務員として、新ひだか町や近隣の町役場への就職を目指しています。小さい頃からなりたいものは特になく、公務員も親御さんの薦めで志したと話す國吉さんですが、ひとつの軸がありました。それは、サッカーです。

地元の少年団で技術を磨き、現在もサッカー部に所属している國吉さん。お世話になっていた少年団のコーチが足りていないという現状を聞き「大人になったら僕がコーチになります」と約束をしたのだそう。公務員であれば土日祝日は基本的に休みであり、コーチの時間を確保できると思ってのことでした。公務員になっても、スポーツ振興や施設の管理など何かしらスポーツに携わる仕事がしたいと考えています。

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静内高校では、公務員を希望する生徒対象に1年次から公務員講習を開講しており、模擬試験や過去問題を解くなどして手厚くサポート。9月には受験予定の現3年生を対象に「公務員試験壮行会」が行われたそうです。

國吉さんがこれまでに楽しかった思い出として思い浮かぶのは、やはりサッカー部の活動だそう。8月には、コロナウィルス対策に万全を喫し3泊4日の合宿が実現しました。函館市のフットボールパークに道内から9校が集まった「公立高校フェスティバル(函館大会)」ではなんと優勝!日頃の練習の成果が実を結びました。

一級建築士になる!

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続いて話を聞かせてくれた宍戸 蓮(ししどれん)さんの夢は一級建築士になること。札幌の専門学校に進学し、二級建築士の資格を取得したのち、最終的には一級の取得を目指したいと語ってくれました。

ちなみに、二級建築士は設計できる建築物に制限があり、主に戸建住宅規模のものが設計対象です。それに対して、一級建築士は国土交通省から認可を受ける国家資格。規模や構造形式に制限がなく、いわば「何でも」設計することができます。

宍戸さんが建築士を志したのは小学校6年生のとき。さまざまな問題を抱えた家が一流の「匠(たくみ)」の技術によって生まれ変わる『大改造!! 劇的ビフォーアフター』というテレビ番組を見たことがきっかけ。さらにデジタル版ブロック遊びとも呼ばれる「マインクラフト(通称マイクラ)」にハマったことも理由のひとつでした。

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将来は、好きな建築物であるサグラダ・ファミリア(スペインにある大聖堂)を筆頭に世界にある様々な建築物を訪ね歩き、東京で一流の建築士になることが目標です。「有名になりたいです(笑)」とはにかみながら話す宍戸さんから、強い意志が感じられました。

そんな宍戸さんはバスケットボール部に在籍中。野球やサッカーなどに比べて接触プレーが多いため制約が多く、体育館が使用できなかったり、試合が中止になったりと悔しい思いもあったそうです。ただ、毎日の学校生活はとても充実しているそうで「僕のクラスはみんな仲が良くてめちゃくちゃ面白いです。和気あいあいとした雰囲気で、毎日学校に行くことが楽しくなる環境です」と前述の竹浪さんと同じような気持ちを抱いているようでした。

柔軟に対応できる看護師に

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最後に登場してくれたのは、浦川 陽菜(うらかわひな)さん。浦川さんの将来の夢は、「柔軟に対応できる看護師」になることです。「今の自分は決断力の不足を感じているので、ゆくゆくはその場の状況に応じて、臨機応変に対応できる看護師さんになりたい、コミュニケーションをしっかりとれる人間に成長したい!」とのこと。「看護師さんになりたい」という夢をもった高校生はたくさんいるかもしれませんが、「看護師としての人物像」まで持っているのは、きちんと自己分析ができていてすごいことです!

看護系の大学や専門学校といえば、北海道内でも苫小牧、名寄、同じ日高地域の浦河町など複数の選択肢がありますが、浦川さんは札幌の看護学校に進学を目指しています。地元を離れて進学するということは、知らない土地でひとり暮らしを始めるということ。そこに心配はないのかという問いに対しても「友人や地元を離れる寂しさはあるけれど、不安よりもワクワクする気持ちのほうが大きい」という浦川さん。都会で生活をすることへの楽しみが勉学を後押ししているようです。

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同じ2年生でもまだ自分の未来をどうしようかと悩んでいる生徒も大勢いるなか、浦川さんが将来のことを考え出したのは中学生のとき。保健の授業で習った人体のしくみについて興味が湧き、学びを深めたい、学んだことを活かして人を助けたいと思ったのだそう。

ここまで5名の生徒さんの話を聞き、「みんな、こんなに早く将来について考え始めたのか...」と感心する取材陣一同。自身の中学・高校時代を振り返ってみても、小中学校の頃の夢が進路に直結しているわけではありません。ましてやこんなに進路について真剣に考えていただろうか......みんなすごいなぁ、と感心してばかりでした。

浦川さんが今まで楽しかった思い出は、球技大会。ソフトボール、サッカー、バレーボールと選択種目があるなかで、中学校の頃にやっていたバレーボールを選択。総合優勝を果たしたそうです。

静内高校の良いところは? 全員一致の答え!

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最後にインタビューを受けてくれた5人の生徒へ同じ質問をしてみました。

「静内高校の良いところはどこですか?」

これには、「先生が良い!」という全員一致の回答が上がりました。「単位制の静内高校は、1年生から進路について考えさせられる場面が多く、そのぶん先生が親身になって相談にのってくれます」と浦川さん。サッカー部の國吉さんは「コロナ禍でもなんとか練習や試合ができないかと、たくさん工夫をして部活動をさせてくれる先生。まだ活動ができていないという高校の話も聞くなかで本当にありがたいなと思います」と先生への感謝を語りました。宍戸さんは、先生との距離の近さに言及。「下の名前で呼んでくれる先生もいて、何気ない日常の会話が楽しいです」と教えてくれました。

shizukou12.JPG今回の取材をセッティングしてくれた鴇田先生と

また、進学や就職対策の講習にくわえ、静内高校ならではのユニークな授業があることも魅力のひとつ。竹浪さんは、2年生の選択科目「服飾手芸」の授業で習ったアイヌ刺繍がとても楽しかったと話してくれました。新ひだか町のアイヌ刺繍サークル「イカラカラの会」を講師に招き、基本のステッチから学んでいったそうです。國吉さんは2、3年生の合同選択科目「トレーニング」を選択。持久系、スピード系、筋力系のトレーニングを行い、より専門的に体を鍛えているといいます。

また、「日高地域研究」というこの地域ならではの探究科目もあります。新冠町が抱える課題解決に向けた政策提案をしたり、現在は地域の魅力を発信する映画製作に取り組んでいます。「大人と関わる機会を増やしたい」という先生方の想いが授業をより豊かなものにしているのです。

静内高校で学べることの喜び

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静内高校に入学をする生徒は、複数ある選択肢の中から積極的に静内高校を選んだというわけではなく、むしろ家が近くて通いやすいといった理由が多いようでした。進学を志す生徒は静内高校を選ぶ傾向もあるようですが、選択肢が多くはない地方では、むしろそれが普通のことのように思えます。

しかし、今回のインタビューを通じて「地元にあった高校が静内高校であったことは、生徒にとってとても幸運だったのだろうな」と、充実した日々を過ごしていることがよく伝わってきたのです。

これからも、これからも自分が本当に好きなことを続け、将来の夢に向かって、キラキラした学生生活を送ってほしいと心から願う(歳をとりすぎた)取材陣一同なのでした。

最後に、本文では使われなかった写真を大公開。お話しは聞けなかったけれど、撮影には多くの生徒さんと進路指導部の鴇田先生にもご協力をいただきました。ありがとうございました。

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北海道静内高等学校
住所

北海道日高郡新ひだか町静内ときわ町1丁目1番1号

電話

0146-42-1075

URL

http://www.shizunai.hokkaido-c.ed.jp/


「静内でかなえる!」がスローガン。北海道静内高校の日々。

この記事は2021年10月12日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。