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札幌市

自分の道をしっかりと考え歩く、若きエンジニアの卵たち!20180918

この記事は2018年9月18日に公開した情報です。

自分の道をしっかりと考え歩く、若きエンジニアの卵たち!

平成30年に1月に開催された第36回北海道高等学校工業クラブ大会。この大会の計算技術競技大会の部で、団体・個人ともに優勝という輝かしい成績を残したのが、北海道札幌琴似工業高等学校(以下、琴似工業)のITエンジニア部です。
この大会は、電卓を使い5分間で正確かつより多くの問題を解くことができるかを競います。「ITエンジニア部が電卓?」と思われた方もいるかもしれません。もともとは計算技術競技部という名前で、大会に向けた電卓の練習のみが活動だったのですが、平成25年に当時の3年生達が「ITのエンジニアを育てる」という意味で、ITエンジニア部という名前に改名したのです。また、これと同時にロボットの製作やソフトウェア製作等といった活動もスタートしました。
今回は、このITエンジニア部にお邪魔し、日頃の活動や課外活動について取材してきました。

kotoni06.JPG琴似工業は北海道札幌市西区にある公立(道立)の工業高等学校です。全日制と定時制の課程があります。

新しくスタートしたロボット製作。

まず始めにちょっと照れくさそうに取材に応じてくれたのは、3年生で部長の古田大樹くん。

kotoni02.JPG古田くんは将来、高速道路のシステムに関わる仕事に就きたいと考えているそうです。

「僕達、ITエンジニア部の主な活動の一つであるロボット製作は、毎年夏に札幌駅前通地下広場(以下、チカホ)や北海道庁で開催されるサイエンスパーク(※)の工業高校フェスタへの出展に向けて、日頃から製作作業をしています。計算技術競技大会は毎年冬に開催されるので、春夏はロボット製作、秋冬は電卓の練習がメインとなっています」。

(※)北海道と道総研が主催する子供向けの科学イベント。

こう話してくれた古田くんこそ、冒頭で少し触れた、今年の計算技術競技大会で個人優勝を果たした本人です。小さい頃からロボットが好きで、中学生の時にはプログラミングに興味を持ったと言います。そして、中学の担任の先生から琴似工業を勧められたことがきっかけで、入学を決めました。専攻学科は、主にマイコンといったコンピューターのメカニズムや光通信技術について、実習を通して実践的に学習できることが特徴の情報技術科です。

kotoni03.JPGこちらが計算技術競技大会の優勝トロフィー。

さて、そんな古田くん、ロボットのどんなところに惹かれたのでしょう?

「小さい頃に好きになったきっかけは覚えていないんですが・・・ロボットのゴツゴツした感じが好きなんですよね。車のエンジンや飛行機のエンジンなんかも好きです」と古田くんが話していると「えー!初めて聞いたー!」と声を上げたのは古田くんと同じ3年生の鈴木健くんです。

kotoni04.JPG3年生の鈴木くん。将来は航空関連の仕事に就くために、航空専門学校へ進学希望だそうです。鈴木くんも計算技術競技大会では個人2位と大活躍!

なんと鈴木くんも飛行機のエンジンが好きで、話を聞いてみると古田くんと同じきっかけで一気に惹かれたそう。そのきっかけを鈴木くんに聞いてみました。

「日本航空専門学校のオープンキャンパスに行った時、飛行機のボーイングなんかに使われているエンジンを間近で見る機会があったんです。その時に感じた馬力やニオイがとても印象的でしたし、大きな部品同士が繋がっている様子なんかも目の前で見ることができて、スゴイって思って!あの大きいモノを動かすダイナミックさに惹かれました!」。

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鈴木くん、かなりのエンジン愛を感じます。鈴木くんも専攻は情報技術科で、最初はプログラムってかっこいいなと思ったことがきっかけで入学を決めたそうです。小さい頃はおじいちゃんの趣味で家にあった色んな機械に触れることが多く、自然と機械やロボットに興味を持っていったと言います。小学生の時には、冷蔵庫を勝手に解体しようと試みて、元に戻せなくなり、親の雷が落ちたこともある生粋のエンジニア気質。屈託のない笑顔で話をしてくれる鈴木くんの姿は、話を聞いている取材陣までもを楽しい気持ちにさせてくれました。

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1年に1度の大舞台。サイエンスパークに向けて!

取材中、部室の作業机に集まり、何やら作業をしていたのは、7月にチカホで開催されるサイエンスパークへ出展するロボットの製作でした。取材時は6月、ロボット製作も大詰めを迎えている様子。製作チームのリーダーを担う、2年生の吉田悠斗くんに、このロボットについて聞いてみました。

kotoni14.JPG写真の一番左がロボット製作チームのリーダーで2年生の吉田悠斗くんです。

「このロボットはアームロボットといって、UFOキャッチャーのようにモノを拾い上げるロボットです。サイエンスパークでは小さな子ども達が楽しめるようにロボットを使ったミニゲームをするんですが、今年はこのロボットで、子ども達が実際に操作をして、アームで景品を拾うといったゲームを予定しています。僕はこのロボットのプログラムを担当しています」。

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プログラムはJAVAというプログラミング言語で開発しているとのことですが、JAVAに関しては授業で少し勉強しただけで、あとは自分で本を読んだりと独学だと言います。そして制作中のロボットはタブレット端末で操作を行うようにするため、一からプログラムを作る必要があり、とても大変なんだとか。

「ものすごい大変です・・・ようやくプログラムを組み終えたと思ったら、エラーが出て、一つひとつエラーを潰しながら試行錯誤しています。でも、うまくできた時は本当に嬉しい瞬間ですね」と笑顔で話してくれました。

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将来の道をしっかりと見据えて。

部員は3年生が5人、2年生が2人、1年生が5人の計11人。1年生はまだ入学してから3ヶ月足らずですが、立派に先輩達の作業を手伝っていました。その1年生の中の一人、木村海人くんにこんな質問を投げかけてみました。

将来の夢はなんですか?

すると木村くんは「自動車が好きで、自動車を作る仕事に就きたいと思っています。この学校を選んだのも、将来そういった仕事に就くための勉強ができると思って選びました」と真剣な眼差しで答えてくれました。

kotoni11.JPG1年生の木村くん。少し緊張しながらもしっかり取材に応じてくれました。

最後に、みんなから背中を押される形で恥ずかしそうに話をしてくれたのは3年生の大平瑠威くん。大平くんは以前、文芸部という部活に入っていたのですが、その部が廃部になってしまい、2年生の時にこのITエンジニア部に入部したんだそう。

kotoni12.JPGパソコンの前にいるのが、3年生の大平くん。大平くんも計算技術競技大会では個人2位の成績でした!

「元々この部活にも興味は持っていたんですよね。僕はプログラミングが好きなので、主にプログラム班としてロボット制作に携わりました。今は授業の一環である課題研究への取り組みとして、何人かの友達グループを組んで、ノベルズゲームを製作しています。脚本やデザインは友達が担当していて、僕はプログラム担当です」。

今後は工業系の大学に進学して、将来はシステムエンジニアになることが夢だとしっかり語ってくれました。

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3年生だけに限らず、1年生もが進学や就職といった将来を考え、好きなことに没頭し、みんなで協力したり、時にはケンカをしたり、打ち込んでいる姿は、本当にとても眩しく、大きなパワーを感じました。

いざサイエンスパークへ!

さて、取材時の6月にはまだ作成途中だったあのアームロボット。取材陣はそのアームロボットのお披露目ともいえる、7月にチカホで開催されたサイエンスパークにも足を運んでみました。

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会場に到着すると既にたくさんの人だかり。ロボットを使ったミニゲームには小さな子ども達が列を作り、実際にロボットを操作しながらとても楽しんでいました。そんな中、最初に取材陣に気がついてくれたのは3年生の鈴木くん。「こんにちは」と笑顔で挨拶してくれました。

kotoni16.JPGロボットを操作して、カプセルを拾い上げます。カプセルには数字が書かれた紙が入っていて、その数字に応じた数のお菓子がもらえるというゲームです。

しばらくイベントの様子を眺めていると、何やら会場の隅の方で何人かの生徒が集まっていました。気になってちょっとその輪を覗いてみると、みんな真剣な顔つきです。

「実は昨日もほぼ徹夜で作業をして、ようやくアームロボットは完成したんですが、今日この会場に来て動かそうとすると、うまく動かなくなってしまい...今、もう一度整備をしています」。

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そう話してくれたのは3年生の吉井大輝くん。昨日は最後の仕上げで、吉井くんの家にみんなで泊まり込み作業をしていたんだとか。結局、取材中にアームロボットが復活するのを見ることはできませんでしたが、みんな眠たい目をこすりながら、必死で頑張っていました。
(後日談ですが、取材陣が撤収した後に、アームロボットの整備は無事にでき、しっかりと子ども達にお披露目できました、と顧問の先生より嬉しいご報告をいただきました!)

kotoni18.jpg工業高校フェスタのブースには、他の工業高校も参加しており、親子で訪れる方をはじめ、たくさんの人が集まっていました。

今後の目標は・・・

最後に部長の古田くんが話してくれた今後のITエンジニア部の目標をご紹介します。

「今後もロボットの製作を通じ、イベントなどでロボットを色んな人に知ってもらい、部員を増やしてもっと部活を大きくしていきたい」。

取材中に感じたみんなのパワーがあれば、きっと叶えることができる目標だと思います。

そうそう、大事なことを忘れてました。これを伝えないとみんなに怒られるかな。
「女子部員大募集!マネージャーも大募集!」とのことでした!

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北海道札幌琴似工業高等学校
北海道札幌琴似工業高等学校
住所

北海道札幌市西区発寒13条11丁目3-1

電話

011-661-3251(全日制)

URL

http://www.sapporokotonikougyou.hokkaido-c.ed.jp


自分の道をしっかりと考え歩く、若きエンジニアの卵たち!

この記事は2018年6月28日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。