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学校と学生の取り組み
札幌市

理想の生き方を追い求める中学2年生、武田くん20180319

理想の生き方を追い求める中学2年生、武田くん

14歳の武田くん、会社にアポイント電話をかける

ある日、くらしごとの母体である株式会社北海道アルバイト情報社宛てに1本の電話が入りました。


「北海道アルバイト情報社さんを取材させて欲しいのですが...」そう話す声の主は、北海道教育大学附属札幌中学校の2年生、武田政佳(たけだ まさよし)くん。

武田くんからの取材アポのお話が、ひょんなことからくらしごとチームのもとへやって来て、彼の取材を受けることになりました。くらしごと取材陣、いつも取材をしている側から、取材される側へ。せっかくなのだからと、私たちも武田くんへの取材を逆オファー。

と、いうことで行ってきました。国立大学法人 北海道教育大学附属札幌中学校。(以下、附属中)

「考える」「行動する」「答えを導き出す」

fuzoku_takeda3.jpg校舎内に入ると、広々とした空間が繋がっています。


札幌市北区に所在するこの学校は、北海道教育大学札幌校の附属教育研究機関。附属中のお隣には附属小学校も併設されており、そのまま附属中へとあがる生徒と、札幌市内の小学校から入ってきた生徒で構成されています。また、生徒は札幌市内全域から通学しており、地下鉄から学校までの間にスクールバスが運行しているという特徴もある学校です。

そして、この学校の特色の1つでもある「総合的な学習の時間」という授業。この授業は、総合的な学びや探究的な学びを通して、多様な他者と関わり、様々な学び方や考え方を身につけてほしいという想いから、「課題の設定」「情報の収集」「整理・分析」「まとめ・表現」という学習過程を経て学びを深めていくねらいがあります。

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附属中の2年生は現在その授業の中で「理想の生き方」を探るというテーマで学習を進め、自らの生き方について考えを深めているところ。自分なりの仮説を立てて答えを導き出そうとしているその生徒の一人こそが、武田くんです。

このテーマに関し、武田くんは「働くこと」や「転職」を結びつけて仮説を考え始めていたところ、よくCMで耳にしていた「アルキタ」「ジョブキタ」「シゴトガイド」などの求人メディアを取り扱う弊社を見つけ出してくれました。

武田くんのように生徒たちは様々な年代の方にインタビューをしたり、アンケート調査の実施や、興味・関心のある分野の専門家に直接話を聞きに行ったり、文献調査を行うなど、様々な探究活動を行った結果をまとめ、分析し、考察を加えたものを他者に伝える、というのを今回のゴールとしています。生徒たちは自分だけでは気づかなかった視点から答えを見出していったようです。

そんな準備期間を経て、今日はそれぞれが導き出した答えを発表する大切な日。発表場所となる体育館に足を踏み入れてみると、すでにいくつかのグループに分かれている様子が見受けられました。

fuzoku_takeda5.jpg18のグループに分かれ、1グループ大体6名ずつが、それぞれ8分ほどの持ち時間で発表するそうです。我が子の発表を聞きに来た保護者の姿も見られます。

武田くんが所属するグループは、体育館に入ってすぐ手前。取材陣の姿を見つけた武田くんは、すぐさま私たちのもとへ掛け寄り「この度はありがとうございました」と丁寧にお礼を述べてくれました。

実は武田くんと直接会うのはこの日が初めて。取材依頼の電話がきたあとは、武田くん手作りのアンケートによる取材だったためです。

fuzoku_takeda4.jpg転職や就職に関わる御社だからこその視点は?というその質問用紙は、武田くんの想いが詰まった手書きのアンケート。武田くんの一生懸命さが伝わりとても心が温かくなりました。

果たして武田くんが求めている答えのヒントを伝えることが出来ただろうか...という不安はありますが、発表前にこちらに駆け寄って来て「発表を楽しみにしていてください」と言ってくれた頼もしい姿を見ると、彼なりにテーマに対する「答え」を見つけることが出来たのかもしれません。

武田くんの発表の順番は、なんとこのグループの最後。トリを飾ります。きっと本人もドキドキだったとは思いますが、私もドキドキしていたんですよ。

それぞれが追い求める、「理想」とは

fuzoku_takeda6.jpgホワイトボードを利用した発表の仕方です。視覚に訴えるプレゼンテーションを行います。


1人発表の持ち時間は8分程。いよいよブザーが体育館に響き渡り、それぞれのグループから一斉に発表者の元気な声が聞こえ始めました。

8分という長いようで短いその時間内で、それぞれ今まで考えに考え抜いた「答え」を自分たち流の方法で聞き手に伝えていきます。そう、この限られた時間に聞き手が知りたいことを短時間でより具体的に伝えるということを考えなくてはいけない...それも学習のねらいの1つです。

さて、みんなの発表を聞いていきましょう。14歳、中学2年生たちが考える「理想の生き方」とは・・・?

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音楽が趣味だという女の子は、「どれくらいの時間趣味が出来れば幸せになれるのか?」という課題を立て、音楽活動をしている人たちにインタビューをした結果を発表。好きな音楽の道に進んでも、音楽が生活に占める割合は人それぞれだということが分かったと話します。

将来外国語を活かした仕事がしたいと考えている女の子は、現在通訳として活躍している方にお話を聞き、その夢を叶え理想の生き方をつかみ取るためには「コミュニケーション力」と「精神力」が必要であるという答えに行き着いたと教えてくれました。

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当初自分が考えていた「理想」。追い求めるうちに、もしかしたら答えはまだ他にもあるのかも?と立ち止まった結果、「今の僕の理想は、『今の自分』が満足するための理想であって、将来への理想に対しては何も結びつかない」と、改めて気づいたという生徒も。

fuzoku_takeda11.jpg話を聞く生徒たちの、真剣な眼差しが眩しい。

どの生徒も中学2年生であるということを忘れてしまう、堂々とした発表ぶり。まだこれからも伸びていくのであろうその小さな背丈が、不思議と大きく見えるのです。今後も自分の道を力強く歩み続けていく姿を想像すると、みんなのこれからを見届けたいという気持ちでいっぱいになりました。

将来は検事になりたいと考えている古舘昇陽(ふるだて しょうよう)くんも堂々と発表していたその一人。聞き手を飽きさせない工夫をこなした発表でした。

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Fくんと称したひとりの人間の絵をホワイトボードに貼り出したかと思えば、「このFくんは、計画性がなく、人との関わり合いが大嫌いな男の子です。でも、Fくんはお金が欲しいんです!!お金持ちになりたい、その野望を叶えるためにはどうすれば良いのでしょうか」と、具体例を用いて、聞き手を惹きつけます。

fuzoku_takeda7.jpg古舘くん。バシッとホワイトボードに絵を貼り付け、堂々と話し、聞き手に問いかける姿は大人も顔負けのプレゼンでした。

そんな発表スタイルについて後から古舘くんはこう話してくれました。
「ただ絵や文字を表した紙をホワイトボードに貼っていくだけではつまらないと思ったんです。だから僕は、具体例を皆さんに伝えて身近に感じてもらおうと思いました」。

古舘くんが具体例として創り出したFくんという人間は、お金持ちになるためにどうすれば良いのか。その課題を立てた時、人との対話が必要であると考え、いつも人付き合いも悪くマナーもなっていないというFくんの課題を解決するためにマナー講師の方のもとへ訪れた古舘くんは、そこで人と関わる上で必要なポイントを聞き、知り得た情報をみんなに伝えます。

fuzoku_takeda15.jpgマナーとは何か?なぜ大切なのか?を分かりやすく説明してくれています。

発表後古舘くんに、準備は大変だった?と聞いてみると
「理想の生き方に対して、最初に自分なりの答えをいくつか出してみたんですが、その後色んな方のお話を聞いていくと自分の考えとなかなか噛み合わない、材料がまだ足りないと感じ、行き詰まってしまったこともありました」。

そして、考えに考え抜いて、ようやく見つけた答え。

「ここの学校は今回みたいに、一人ひとりに課題が与えられ、それを解決するための手段を考え導きだそうという授業が多いです。ただ聞いて、聞いたことをただノートに書くという授業ではないんです」と話してくれた古舘くん。

「そんな授業は面白くて大好きだし、何より友だちに恵まれているからこの学校に入って本当に良かった」と、発表していた時はキラリと光らせていた瞳、友だちのことを話す目はとても優しいものでした。

武田くんの発表

さて、いよいよ武田くんの番がやって来ました。

武田くんは、「理想の生き方」という大きなテーマに対し、「理想の生き方とはこれからもずっと変わらないものなのか?変わるとしたら、転職がきっかけになるのでは?」という仮説を立てて考えてみたそうです。

fuzoku_takeda9.jpgテキパキと発表する武田くん。

後から聞いた話、「理想の生き方」に対し仮説を立てようとした時なかなか決めかねていたのだとか。その時ふと、武田くんのお父様が「転職」をしており、それを身近に感じていながらも、転職とは一体どういうものなのかと気になっていたこと、そして「転職」や「働く」ということは今後の生きる上で決して避けては通れない道なのでは、という考えからついにこの仮説をテーマに答えを導きだそうと動き始めました。

身近で起きていた「転職」という出来事。お父様にとって、転職するきっかけは武田くんに弟が生まれたときでした。それまで働きづめだったお父様は、もっとゆっくり家族と過ごす時間が欲しいと転職を決意。そして、今では家族との時間を作ることができるようになったそうです。

fuzoku_takeda17.jpg発表の最中、聞き手のみんなにも質問を投げかける武田くん。聞き手も1人1つ持っているホワイトボードに、自分の意見を書き込みます。

そんなお父様から聞いた話と、人材サービスをメインとしている弊社からの視点、その2つの意見を自分なりに整理し組み立て、最終的に導き出した武田くんの答えは、「転職は、理想の生き方の手段のひとつ」ということ。そして、「仕事とプライベートは密接に繋がっている」ということ。そう堂々と発表している姿は、課題に対するモヤモヤが晴れたような、そんなスッキリとした表情をしていました。

これで終わりじゃない。ここからが始まり

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発表が終わった体育館では、生徒たちは誰かの指示を待つのではなく、自発的に体育館の掃除に積極的にあたっている姿が印象的でした。そして最後、イスやホワイトボードなどの備品が片付けられ、いつもの状態に戻った体育館の中心に生徒たちが集まり、2年生の学年を担当する鈴木先生が生徒たちに向かって話し始めました。

「今回の発表が終わったからといって、これで終わりにはして欲しくない。考えを深めていく機会はこれから始まったばかりです」。

そんな鈴木先生に、この学習を通しての生徒たちの変化について少し聞いてみました。

fuzoku_takeda16.jpg生徒たちに話す鈴木先生です。

「学習がスタートした頃よりも自分自身にしか出せない考えをもち、自分自身にしか語れない言葉でそれを表現することができるようなったと思います。それは、『理想の生き方』という大きなテーマを細分化し、自分の興味・関心のあることから課題設定をする過程で本気で悩んだことが大きかったと思います」。

また、取材陣が直接お話を聞いた古舘くんと武田くんに関しては、
「学習に対して本気で向き合う姿勢を崩さなかったこと、苦労して自分から情報を探し求めていた姿が印象的でした。インターネット上の情報を拾い集めて組み合わせるだけでは絶対に得られないような、現在の自分に出せうる最大の結論を出そうと必死に努力する二人だったと思います」と話してくれました。

体育館を後にした生徒たちは、帰りの会のため教室へ。こっそり武田くんがいる2年C組の教室に私たちもお邪魔しました。

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帰りの会が終わったあと廊下に出てきて再度「今日はありがとうございました」とお礼を述べてくれた武田くん。最後に1つ聞いてみました。「他の人たちの発表を聞いた上で、何か感じたことはある?」と。

「僕は働くということを重点的に考えていたけれど、それが全てではないということを実感しました。人生の中でも仕事が大半を占めるって思っていたけど、色々なことがあって人生なんだって、そう思えました」。
そう答える姿はやはり、中学2年生だということを忘れてしまいます。

知的、という言葉が似合う附属中の生徒たち。礼儀正しく、自分の考えをしっかり持った心の強さをひしひしと感じました。

「こうした考える授業が日々密接に存在しているからこそ、普段から『考える』ということが増えた」と武田くんも言います。そして続けて「こういう経験をさせてくれるこの学校に入学して本当に良かった」とにっこり笑顔。

そんな武田くん、将来はエンジニアとして活躍していきたいと夢も話してくれました。
「後悔しないで、生きていきたい」と話す武田くんも含め、附属中の生徒たちはこれからも時に立ち止まりながら自分の人生について「考え」、突き進んでいくことでしょう。

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無限の可能性を秘めている附属中の生徒たち。知的で、誠実。でも、放課後になると14歳...中学2年生の等身大の姿が放課後の廊下に溢れていました。ガンバレ武田くん!ガンバレ、附属中のみんな!

北海道教育大学附属札幌中学校
北海道教育大学附属札幌中学校
住所

札幌市北区あいの里5条3丁目1-11

電話

011-778-0481

URL

http://www.hue-fsj.ed.jp

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理想の生き方を追い求める中学2年生、武田くん

この記事は2018年2月6日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。