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学校と学生の取り組み
札幌市

未来のプログラマーたちが集まる場所は?「よ〜!パソコン部!」20171207

この記事は2017年12月7日に公開した情報です。

未来のプログラマーたちが集まる場所は?「よ〜!パソコン部!」

最先端の道を突き進む高校生たち

今や人工知能やAIなど、勢いよくデジタル技術が広がっていく世界。その世界に一歩足を踏み入れようとしている生徒たちがいると聞いて取材にお邪魔した場所は、北海道で一番長い廊下を持つと噂の北海道札幌新川高等学校。(以下、新川高校)


shinkawa_pc18.jpgなが〜い廊下が続きます

放課後の校舎内は部活生たちで溢れかえり、この日は雨ということもあってか運動部も校舎内でトレーニング。「文武両道」を掲げている新川高校は、部活動が盛ん。90%以上の生徒が部活に所属しているそうです。

取材陣も野球部のお邪魔にならないよう、階段を上ります。

sinkawa_pc3.jpgガンバレ野球部!

校舎の一番上、4階の奥に位置するパソコン教室の前に着き、そろりと扉を開けると生徒たちの「こんにちはー!」という元気な声が聞こえてきました。

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「キャプテン!」と顧問の先生から呼ばれて出てきたのは、2年生の大澤瑞騎(おおさわ みずき)くん。まずは彼に少しパソコン部のお話を聞いてみます。

sinkawa_pc5.jpgキャプテンと呼ばれる大澤くんは癒やし系。大人びた口調でお話してくれました

「僕たちのパソコン部には、『好きなことを、好きな時に、好きなだけ』という代々受け継がれてきたモットーがあります。だから、平日5日間のうち好きな時にこのパソコン教室に来ていいんです」

平日5日間、毎日活動しているパソコン部は珍しいのだとか。部員は現在1〜2年生で構成されており、全員で14名。内2名が女の子です。

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「ちょうど今は、市電の路線図を利用したゲームを考えているところ」と言って見せてくれたパソコンの画面には、札幌市電沿線のgoogleマップや市電の路線図が映し出されていました。

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「地元のものを取り入れたゲームをつくりたい」という声がきっかけで取り組みをスタート。目指すは学校祭でのお披露目です。まずは手始めに、プレイヤーがこのゲームを存分に楽しんでもらうためにリアリティを追求すべく、市電の見学に行くことを計画中なのだとか。

そもそもそんなゲーム、自分たちで作れちゃうの?とビックリ。

しかし、昨年には「リズムゲーム」をつくった実績もあるというのです。

shinkawa_pc6.jpgその名も「オトノウタゲ」。ボタンに触れてみると、カチッカチッと本格的なボタンのさわり心地

音楽にあわせて、プレイヤーがアクションをとるリズムゲームを生徒たちが自らの手でゼロからつくりあげました。
もちろん、このゲームを完成させるまでには並々ならぬ努力が隠されているのですが・・・。

ぜ〜んぶ手作り!パソコン部の域を超えた!

普段、他の生徒たちからは
「パソコン部って、一体何をしているの?」と思われがち。

そこで、自分たちが好きなリズムゲームをつくって学校祭で披露しよう!という考えに至りましたが、その日に向けての準備期間は、まさにパソコン部の域を超えることに・・・。

shinkawa_pc19.jpg色のついた丸いボールが画面上から落ちてきて・・・

shinkawa_pc12.jpg画面を見ながらタイミングを合わせてボタンを押します

このリズムゲームは本当に全て手作り。学校から2キロ先のダイソーまで自転車を走らせては、100均グッズを購入する日々。ボタンは、野球ボールを半分に切り、その上にフェルトを貼っています。

shinkawa_pc7.jpgなんとも面白い工夫です

他にも、このボタンの反応をパソコンに送るために必要な部品が札幌まちなか中心部にしか売っていなかったため、自転車でお店と学校を往復。その往復距離約18キロほど。もはや運動部並の運動量です。

パソコン教室を飛び出し、校庭でボタンをはめ込む土台となる木の板をノコギリで切る作業にも専念。さらにその上に色を塗っていると、先生に「色の塗り方を変えた方がいい」と言われ、ヤスリで削って再度塗り直したり・・・。
・・・ふう、一苦労でしたね。

パソコン部なのに、パソコンと向き合わない作業にも精を出していたというわけです。もちろん、そういった力仕事の他にこのゲームのプログラミングも生徒たちでつくりあげます。

shinkawa_pc20.jpg「ここはこうで・・・」「え、ここはさ・・・」みんなで意見を出し合います

一体どうやってプログラミングの知識をつけているのでしょうか、不思議に思い尋ねてみると・・・

「今はネットで調べることが出来るので、そこで知識をため込んでいます。あと、先生がとても詳しくて、分からないことを聞いたら全部に答えてくれるんですよ」

そういった身近なサポートもあり、リズムゲームの作業もブラッシュアップしていくことが出来たのでしょう。

・・・ただ、パソコン部のメンバーはちょっとのんびり屋さんの集まり。リズムゲームのお披露目までに完成が間に合わないかも!と慌てる始末。

しかし、ここでチームワーク力が発揮され、ギリギリ、本当に直前までつくり続け、なんとか完成を迎えることが出来ました。

shinkawa_pc8.jpgみんなお疲れさまでした!

お披露目当日、このリズムゲームを体験した生徒たちから「高校生でこんなの作れるんだね!」なんて驚きの声をたくさん受け、喜びを噛みしめるパソコン部のメンバーたちでした。

新しいものを生み出せる魅力に惹かれて

中学校までは吹奏楽部だったというキャプテン。どうしてパソコン部に入部を決めたのでしょうか?


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「高校に進学し、新しいことに挑戦してみたいという思いがありました。運動はちょっと苦手なので運動部じゃないな〜と思っていた時にパソコン部と出会ったんです。そして、新しいものを生み出せるこの部活、面白そうだなと思い入部を決めました」。

キャプテンはもちろん、他の生徒たちも「入部するまでExcel程度しか触ったことがなかった」という生徒ばかり。それでもみんな、何かを生み出せるということに興味を抱いていたそうです。

さてさて、男性陣と一緒にパソコンと向き合い和気あいあいとお話している女の子は、佐藤瑞季(さとう みずき)さん。ゲームやイラストが好きだったことがきっかけでパソコン部に興味を持ったと言います。

shinkawa_pc11.jpg一番奥が佐藤さん。本当にみんな仲が良さそう

「あと、この部活に入ったら機械音痴が直るといいなって思って(笑)」なんてニコリ。

部員の男女比率は男性がほとんどを占めていますが、それに関して佐藤さんはこう話します。
「正直みんなうるさいですよ(笑)でも、趣味が同じ人が多いから話していて本当に楽しい」と、仲間たちのことを見つめる瞳はとても優しいものでした。

目指すは地域を巻き込んでプログラミングを広める!

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取材中、「クリエイター系の道に進もうと考えている」と将来を話してくれた生徒たちがほとんど。

そんな素敵な夢と、もうひとつ今のパソコン部としての目標もお聞きしました。

それは、「新川高校の周りの小学校、中学校の生徒を招いてプログラミングの体験イベントを実施したい」ということ。

そう話すのも1つの理由があります。
2017年10月、札幌でNoMapsという10日間に渡るイベントがあったのはご存知でしょうか。

「NoMaps」は札幌、北海道という開拓された土地で、クリエイティブな発想や技術によって次の社会を創ろうとする人々が集まるコンベンション。

集まった人々はもちろん、この北海道で暮らす人々のクリエイティビティを高め、「地図にまだ描かれていない、新たな領域を切り拓いていこう」とする、まさに「NoMaps」という意味のイベント。
このイベントの中には、今まさに話題となっている人工知能をはじめとするイベントが盛りだくさん。

その中で、「ジュニア・プログラミング・ワールド2017」という札幌市内の小中学生を集めたプログラミングの体験イベントがありました。

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そのサポートスタッフとして参加していたのが、新川高校パソコン部の生徒たちなのです。

憧れのNoMapsのスタッフとして携われたことは、とても忘れられない経験になった様子。この経験を活かし、今後も身近な人たちにプログラミングを伝えていくと同時に、企業とも繋がっていきたいと考えているパソコン部なのでした。

等身大の自分で良い。個性を活かせる場所

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新川高校パソコン部は、個性豊かな面々が集まります。

友達想いの普通の高校生の顔を見せてくれたかと思えば、趣味に対して笑顔で語ってくれる顔、パソコンと向き合う時の真剣な顔・・・ここでは、等身大の15歳16歳の笑顔が輝いていました。

shinkawa_pc15.jpgメイン写真を撮る時のオフショット。ここに写るのは全員2年生。カメラの後ろでは、1年生がニヤニヤ見守っています

「パソコン部は個性的な人大歓迎!どんな人でも受け止めます」とキャプテンはその優しい笑顔で語ります。

みんなの個性が集まって、新しいアイディアが生まれていく新川高校パソコン部。生徒たちは、夢への切符を手に入れようと日々「好き」「楽しい」と向き合いながら突き進んでいる真っ最中です。

shinkawa_pc.jpg笑顔の絶えないパソコン部。パソコンの光に負けないくらい、みんなの笑顔も明るく輝いています!

北海道札幌新川高等学校
北海道札幌新川高等学校
住所

北海道札幌市北区新川5条14丁目1-1

電話

011-761-6111

URL

http://www.shinkawa-h.sapporo-c.ed.jp


未来のプログラマーたちが集まる場所は?「よ〜!パソコン部!」

この記事は2017年11月8日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。