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まちおこしレポート
深川市

キュウリ栽培って面白い!未経験から農業に挑戦する協力隊男子20260913

キュウリ栽培って面白い!未経験から農業に挑戦する協力隊男子

農業経験ゼロから北海道深川市で農家を目指し、新たな一歩を踏み出した青年がいます。地域おこし協力隊「農業支援員」として活動する薮下祥大(やぶした・よしひろ)さんです。

札幌市出身で、かつては音楽活動に打ち込んでいたという薮下さん。作曲を続けながらも将来の働き方に迷っていた時期もありましたが、仕事として選んだのは、それまでまったく経験のなかった「農業」という世界でした。

最初の研修では、新規就農を支援する「深川未来ファーム」でキュウリ栽培を経験。その面白さに惹かれ、その後は地域のキュウリ農家のもとで実践的な研修を重ねてきました。現在は来春の独立就農を目指し、日々準備を進めています。

今回は薮下さんのこれまでの歩みと、協力隊OBで現在は市内で農業に携わる橋本亮大(はしもと・りょうた)さんにお話を伺いました。農業をイチから学ぶ楽しさや、深川で農家になるまでにどんな人や地域との出会いがあったのか、二人の経験を通して深川で農業を始める魅力をご紹介します。

「自分で考えて動ける仕事」を求めて農業の道へ

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薮下さんは札幌市出身の27歳。高校卒業後は群馬県の大学へ進み、経営学を学びました。もともと「いつかは自分で何か事業をやってみたい」という思いがあったそうです。学生時代は軽音楽部に所属し、バンドのボーカルを担当する傍ら、パソコンでの作曲にも熱中していたそう。

大学卒業後は札幌に戻り、フリーターとして働きながら作曲活動を続けました。しかし、「この生活をずっと続けるわけにはいかない」という将来への不安から、うつ状態になった時期もあったといいます。一度は会社勤めも経験しましたが、決められた業務を淡々とこなしていく働き方は、自分には合わないと感じたといいます。

「自分で思ったことを、そのまま試せるような仕事をしたいという気持ちが大きかったんです。それで農業に挑戦してみようかなと。街から少し離れて、自然のあるところに行きたいという思いもありました」

農業を選んだのは「今、世の中で必要とされている仕事だと思った」ことも理由のひとつ。まったく経験のない世界への転身に、周囲からは驚かれ、心配もされましたが、実際に飛び込んでみるとその魅力に引き込まれていきました。

「日々、土や作物に触れているとすごく癒やされる。農業を選んで良かったと思っています」

では、なぜ深川市を選んだのでしょうか。実は、当時の薮下さんは「何を作りたいか」がまだ具体的に決まっていませんでした。そこで目を向けたのが、深川市の栽培作物の種類の多さでした。

「深川市内なら、お米も畑作も、そばも野菜も花もある。なるべく選択肢が広いところがいいと思ったんです」

こうして2024年の夏、薮下さんは深川市の地域おこし協力隊「農業支援員」として就農への道をスタートさせました。

試したことが数日後に実る!キュウリ栽培ならではの面白さ

協力隊に入ったものの、まだ育てる作物が決まっていなかった薮下さん。最初に農作業を学んだのは、新規就農を支援する「深川未来ファーム」でした。

入隊したのは8月。ちょうど未来ファームでは、ハウスで育てていたキュウリの収穫期に当たり、「とりあえず、やってみたら」と声をかけられたのがすべての始まりでした。こうして、農業経験ゼロの薮下さんはまずキュウリの収穫から農作業を体験することになります。

始めたのは偶然でしたが、作業を続けるうちにキュウリ栽培ならではの面白さを強く感じるようになりました。

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「キュウリは成長が早くて、毎日収穫できます。今日試したことが、数日後に実となって結果に出てくる。それがすごく面白いんです」

肥料を変えたり、枝の仕立て方を工夫したりすると、収量や作業のしやすさにすぐ違いが表れます。結果がダイレクトに見える面白さに魅了され、薮下さんはキュウリを一生の仕事にする作物として選びました。

その後は地域の先輩キュウリ農家のもとで研修を重ねます。2年目に学んだのは、自身も新規就農を経験した先輩農家でした。薮下さんの独立を考えて親身に教えてくれる「兄貴分」のような存在で、今も深い交流が続いています。

そして3年目の現在は、また別の受け入れ農家のもとでキュウリ栽培を学んでいます。ここでは技術を身につけるだけでなく、農家のキュウリ栽培を引き継ぐ形で、独立後の本格的な経営を見据えた実践的な準備を進めています。

2棟のハウスを任され、実践の毎日

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キュウリ農家として独立するという目標に向け、一歩ずつ歩みを進めてきた薮下さん。現在研修している農家では、なんと2棟のハウス管理を丸ごと任されています。キュウリの収穫期は6月上旬から10月下旬頃まで。実が次々と育つため、毎日の収穫作業が欠かせません。

一日の作業は朝6時頃から始まります。自宅から車で農場へ向かい、担当しているハウスに入ります。

「朝はまず水やりをして、それから一気に収穫します。採ったキュウリを選別する作業もありますし、10時までに出荷しなければならないので、午前中は本当に時間との勝負ですね」

fukagawa_nougyou_kyurisagyo4361.jpeg毎朝早くからハウスに入り、みずみずしいキュウリを丁寧に収穫・選別していきます

無事に出荷を終えた後も作業は続きます。ハウスに戻り、枝を整えたり、葉を整理したり。良いキュウリを育てるためには、風通しを良くし、収穫しやすい状態を保つ日々のメンテナンスが重要です。通常の収穫量の日でも作業が終わるのは夕方5時〜6時頃。収穫のピーク時にはさらに忙しくなります。

収穫期間中は基本的に休みがありませんが、「急な用事のときなどは、親方が代わりにハウスを見てくれるので本当に助かっています」と薮下さん。栽培作業と並行して、来春の独立就農に向けた関係先への申請書類の作成なども着実に進めています。

親方との運命的な出会い。キュウリを引き継ぎ独立への道が開けた

来春の独立に向けて、最大の支えとなったのが現在研修を受けている農家さんとの素晴らしい出会いでした。

受け入れ農家の親方ご夫妻は、これまで米とキュウリを長年栽培してきました。しかし年齢のこともあり、今後は手がかかるキュウリ栽培をやめ、米作りに専念したいと考えていたそうです。

「ちょうど僕がキュウリで独立したいと言っていた時期に、親方が『キュウリ栽培を手放したい』と考えていらっしゃって。未来ファームの方がその話を繋いでマッチングしてくれたんです」

親方からキュウリを引き継ぐことは、薮下さんにとって、親方の技術を学び、ハウスなどの初期投資を抑えながら新規就農を目指せるチャンスでもありました。
農作業以外でも、親方夫妻には家族のように温かくお世話になっているといいます。昼食や夕食を共にするのはもちろん、休みの日には一緒に温泉へ出かけ、羽幌町や遠くは北見市まで足を延ばすこともあるのだとか。

「どうしてこんなに親切にしてもらえるんだろうと思うくらい、本当に良くしてもらっています」と感謝を口にする薮下さん。こうした地域農家との密なつながりは、単に技術を学ぶだけでなく、就農後の経営や暮らしを支える強固な土台となっています。

深川未来ファームは、希望する作物に合わせた地域の優良農家との縁をつなぐ橋渡し役として、就農希望者を強力にバックアップしてくれます。また、地域おこし協力隊であれば、農業を学びながら給与を受け取ることができ、家賃補助や活動車両の貸与などの手厚い支援があるため、安心して新生活と技術習得に専念できます。

協力隊で学んだ基礎が、今の農業につながる

ここで、協力隊を卒業し、実際に農業を行っている先輩をご紹介します。薮下さんより一足先に協力隊を卒業し、米、大豆、花のスターチスなどを育てている橋本亮大さん(37歳)です。

fukagawa_nougyo_hashimotoOffCam4464.jpeg橋本さんは多種類のスターチスを栽培。色とりどりで美しい!

高校卒業後に陸上自衛隊に入隊し、留萌駐屯地で17年間勤務していた橋本さん。セカンドキャリアとして農業を基礎から学べる場所を探し、深川市の地域おこし協力隊にたどり着きました。橋本さんも農業はまったくの未経験からのスタートでした。

「農業に触れたことがない人なら、最初は田植え機やコンバインのエンジンのかけ方すら分からないと思うんです。それを深川未来ファームで一から教えてもらえたのは、今後長く農業を仕事にしていく上で大きな強みになっています」

深川市では協力隊に入隊後、地域の受け入れ農家での実践研修を行える体制を整えており、新規就農者を温かく育てようという熱意を持つ農家たちが指導にあたっています。さらに、受け入れ農家や関係機関で組織する「深川市新規就農等受入協議会」が、研修生の受け入れ体制や技術指導を地域一体となってサポートしています。

「全くゼロの状態から教えるのと、協力隊で一度でも基礎を経験しているのとでは、受け入れる農家さんの負担も大きく違います」と橋本さん。協力隊で培った農業の「基礎体力」が、現在の確かな営農を支えています。

農業だけではない、深川での暮らし

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都会の喧騒を離れ、自然の豊かな場所で暮らしたいと願っていた薮下さん。実際に深川市で暮らし始めてみて、その住みやすさに大いに満足しているそうです。

「静かなところが良いと思って来たので、本当にちょうどいい環境です。かといって寂しい感じでもないし、普段の買い物にも困りません。とても住みやすい街だと思います」

深川に来てから、地域の人々と知り合う機会も少しずつ増えていきました。地元の飲食店などで温かく声をかけてもらうことも多く、気さくで話しやすい人が多いと感じています。橋本さんも協力隊時代から先輩や仲間と集まり、ジンギスカンを囲んで焼き肉をしたり、焚き火を囲んで焼き芋を作ったりと、暮らしを楽しんでいました。こうしたプライベートな付き合いから地域の農家ネットワークが広がり、協力隊を卒業した今でも当時の仲間との深い交流が続いています。

さらに、農閑期となる冬にも、未来ファームでの「ふかがわポーク」の養豚事業に携わり、豚の飼育管理や圃場の除雪などを隊員同士で分担。地域の冬の農業基盤を支える役割も担っています。

深川市のキュウリを、これからもつないでいく

来春、キュウリ農家として念願の独立を果たす予定の薮下さん。現在担当しているのは2棟のハウスですが、独立後は規模を5棟へと拡大し、すでにお手伝いに来てくれるスタッフの目途も立っているそうです。

薮下さんの視線は、自身の経営を軌道に乗せることだけではなく、地域の未来にも向いています。北空知・深川のキュウリは北海道で長く愛されてきた伝統あるブランドですが、生産者の高齢化や減少に伴い、栽培ハウスは少しずつ減少しているのが現状です。

「深川のキュウリは、道内でも非常に歴史のあるブランドです。だからこそ、自分が新しく参入することで少しでも生産量を増やし、大好きなこの産地を守る一助になりたい。そんな強い思いがあります」

農業経験もなく、作りたい作物すら決まっていなかった薮下さんが、深川でキュウリに出会い、地域の人々に温かく育てられ、今度はその産地を自ら担う存在へ。協力隊3年目を迎え、かつて夢見た「自分で考えて動ける仕事」が、大きな実を結ぼうとしています。

これから農業を始めたい人へのアドバイスを求めると、「独立志向のある人、そして何より『元気になりたい人』に挑戦してほしいです」と薮下さんは笑います。農業を始めてから外で体を動かす機会が増え、生活リズムが整ったことで「自分自身も本当に健康で元気になりました」と、その充実感を語ってくれました。

fukagawa_nogyo_ushiro4388.jpeg焦らず、一歩ずつ進んでいく薮下さんの行く手には、豊かな実りが待っています

一方、先輩の橋本さんは、「農業」と一口に言っても大規模な稲作からハウスでのこだわり栽培までその形は多様だからこそ、最初から向き不向きを決めつける必要はないと言います。

「興味があるなら、まずは飛び込んでみてほしい。実際にやっていく中で、必ず自分に合った作物や栽培スタイルが見つかります」

そんな橋本さんが研修中に教わり、今も大切にしているのが「農家は毎年一年生」という言葉です。天候も作物の出来も毎年異なるため、何十年続けているプロの農家でも失敗することはある。だから、始めたばかりの1年目で思うようにいかなくても焦る必要はない、少しずつ覚えていけばいい。そんな地域の先輩たちからの温かいエールが込められています。

「はじめは、深川市という地域や豊かな自然に溶け込むくらいの気楽な気持ちで来てくれたらいいですね」

何から始めていいか分からない。けれど、大自然の中で自分自身の力で新しい一歩を踏み出してみたい。そんな人にとって、働きながら技術を学び、一生モノの作物と出会える深川市の農業支援員は、最高の選択肢となるはずです。

fukagawa_nougyou_syugo4417.jpeg薮下さんの「農業支援員」協力隊としての活動を支える深川市職員。農業の親方とともに、新規就農まで伴走するチームです

深川市役所 経済・地域振興部 農政課
深川市役所 経済・地域振興部 農政課
住所

北海道深川市2条17番17号

電話

0164-26-2255

URL

https://www.city.fukagawa.lg.jp/

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キュウリ栽培って面白い!未経験から農業に挑戦する協力隊男子

この記事は2026年8月4日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。