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支援ではなく、子育て応援!別海子育て応援スペース みるきっず20260910

支援ではなく、子育て応援!別海子育て応援スペース みるきっず

「別海子育て応援スペース みるきっず」を経営する一般社団法人 MILKIDS。親子の遊び場や子育てサロン、レンタルスペースの運営、託児送迎支援など、別海町の子育てを幅広く支えています。さらにママたちがみるきっずで働くことで、地域の雇用創出にも貢献。

今回は、みるきっずの発起人であり同法人の副代表、坂川理沙さんにお話を伺います。実は、坂川さんは、2017年に別海町へ移住してきた道外出身の方です。生まれも育ちも東京の世田谷区という、生粋の東京人である坂川さんがなぜ別海町へ移住し、地域の子育てに関わることになったのでしょうか。坂川さんの今までと共に伺います。

名産や観光地を三つ以上言える地域じゃないとだめ!?

坂川さんは、東京都世田谷区の出身です。小学校から私立の女子校に通い、高校卒業後は教師を目指して青山学院大学の教育学科へ進学しました。

在学中に、幼稚園と小学校の教員免許を取得。しかし、同じく在学中にアルバイトで働いた学童保育の楽しさが忘れられず、卒業後は児童館に就職。職員として働き始めて5年ほどがたった頃、大学時代にボランティアサークルで出会っていたご主人と結婚します。

「主人とは、私が大学4年生のころから付き合い始めました。でも、彼は3歳年下なので、結婚したときはまだ獣医学部の5年生。学生結婚だったんです」

当時、坂川さんのご主人は、海外で野生動物の保護に携わることを目指し、オーストラリアのタスマニアへ1年間留学していました。坂川さんも仕事の合間を縫って何度も現地を訪れたといいます。

milkids_154.jpg「別海子育て応援スペース みるきっず」を経営する一般社団法人 MILKIDS 副代表の坂川理沙さん。

「タスマニアは、日本とは四季が逆ですが、北海道と気候がすごく似ているんです。自然が豊かで、とても好きな場所でした」

タスマニアへの留学を終えて帰国したご主人は、卒業を前に「獣医師として働くために東京以外の場所で就職したい」と坂川さんに相談します。ちょうどその頃、都会の人の多さや人間関係に少し疲れを感じていた坂川さんも、東京を離れて暮らすことを前向きに考えるようになりました。ただ、一つだけ条件を付けたといいます。

「名産や観光地を三つ以上言えるところじゃないと、友達が遊びに来てくれないから嫌だって言ったんです(笑)。最終的に候補に残ったのが、沖縄と北海道でしたね」

選ばれたのは、北海道。ご主人は、乳牛診療の実習を受け入れていた北海道農業共済組合(NOSAI)を実習先として選びます。

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NOSAIでの仕事に魅力を感じたご主人は、実習後にそのまま採用試験を受け、見事合格。2017年、配属先の別海町へ夫婦で移住し、新たな暮らしをスタートさせました。

「東京から北海道へ移住することに抵抗はありませんでした。むしろ、まったく知らない土地だったのが良かったのかもしれません。最初の1年は外国や観光地に来たような感覚で、ソフトクリームを食べにあちこち出かけたりして、楽しかったです」

別海町に移住後まもなく、坂川さんは長女を出産しました。その翌年には次女も誕生。慣れない土地での育児でしたが、周囲の人たちにとても助けられたと振り返ります。

「社宅に住んでいたので、主人が当番で家を空ける日は、先輩の奥さんがお風呂を手伝いに来てくれたこともありました」

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地域に支えられた子育てが「みるきっず」の原点に

出産時、里帰りをしていた坂川さんは、東京と北海道の子育て環境の違いにも驚いたといいます。東京ではさまざまなサービスが充実している一方で、利用には費用がかかり、病院で長い時間待つことも珍しくありません。

一方、坂川さんが暮らす別海町では、妊婦健診で長く待つことはほとんどなく、助産師ともゆっくり話ができたといいます。産後のサポートも手厚く、困ったときにすぐ相談できる環境が整っていました。さらに、母乳マッサージの料金補助などもあり、東京と比べて子育てのしやすさを実感したといいます。

さらに、別海での坂川さんの暮らしを支えてくれたのは、父親の同級生だった女性でした。

坂川さんが「別海の母のような存在」と話すその女性は、自身も結婚を機に東京から移住しており、「困ったら頼ってみるといい」と紹介されていました。女性の自宅に伺うと、地域の方たちと食事をする機会もあり、別海のママたち特有の悩みを聞くこともあったといいます。

「農家のお嫁さんも、獣医さんの奥さんも、移住や転勤で別海に来ていることが多くて。親が近くにいない人が多いので、『急に子どもを預けたいときに頼れる人がいない』という話をよくしていたんです」

milkids_94.jpg「別海子育て応援スペース みるきっず」の室内の様子。ママたちが気軽に集まり、子どもを遊ばせながら情報交換やおしゃべりを楽しめる憩いの場となっています。

あるとき、そんな会話を聞いていた女性のご主人から、「困っているママたちをサポートしてくれないか」と声をかけられました。

「ちょっとお手伝いするくらいだろうと思って、いいですよと答えたんです。それが、みるきっずの始まり。まさか、こんなに大きな話になるとは当時の私は思っていなかったです(笑)」

「みるきっず」が最初に始めたのは、子どもを連れて気軽に集まれるレンタルスペースでした。子どもを連れてゆっくり過ごせる場所が少なかったことから、ママたちが気軽に集まり、おしゃべりを楽しめる居場所として少しずつ利用者が増えていきます。

やがて、「病院や歯医者へ行く間だけでも子どもを預けたい」という声が上がるようになりました。当時、別海町の「ファミリー・サポート・センター事業」は子どもを預かる協力会員が少なく、利用しにくい状況だったそう。そこで坂川さんは、「それなら自分たちが協力会員になろう」と考え、ママ友たちと一緒に講習を受講。お互いに子どもを預かり合う託児サービス「ファミサポ」を始めました。

さらに、地域や子どもの年齢を問わず参加できるサロンを開いたり、ママたちから寄付された洋服を必要な人へとつなぐ「おさがりマーケット」や季節のイベントを開催したりと、活動は少しずつ広がっていきます。

子育てを「応援」し、ママが一歩踏み出せる場を

みるきっずの快進撃の理由を坂川さんに聞くと。

「最初から何をするか決めていたわけではないんです。お母さんたちが『こんなものがあったら助かる』と思ったものをつくってきただけ。法人化したのも、ファミサポが知り合い同士の預け合いから少しずつ広がってきたので、事業委託にした方が安定して運営できるとアドバイスされたのがきっかけでした」

みるきっずのサロンやイベントのオープン時間は、午前10時から午後2時までです。そこには、拠点となっている別海町ならではの理由がありました。

別海町には、酪農や漁業に携わる家庭も多く、仕事の合間となる昼の時間帯なら動きやすいというママが少なくありません。さらに、児童館などの施設は昼休みになると閉館してしまうため、その時間帯に集まれる場所がほしいという声もありました。

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現在、別海町だけでなく、近隣の市町からも多くの親子が訪れるようになったみるきっず。実は、ママたちのコミュニティづくりの場にもなっていると、坂川さんは話します。

活動を通じてつながったママたちが、自らコミュニティを立ち上げ、イベントを企画したり、地域活動に参加したりしているそう。

そのひとつが、自閉症啓発活動団体「Light it Up BLUE in BETSUKAI」です。メンバーが中心となって自閉症への理解を広げるイベント「AoFES!!(あおフェス)」を開催するなど、地域へ活動の輪を広げています。

「何かやってみたいと思っても、いきなり始めるのはハードルが高いですよね。まずはみるきっずのイベントで小さく挑戦して、次のステップへ進んでもらえたらうれしいです。お母さん自身の自己肯定感にもつながればと思います」

milkids_95.jpgサロンのイベントの様子。子どもの写真や手形を使った工作など、お母さんたちが楽しみながら参加できるさまざまな企画が行われています。

みるきっずでは、自らの活動を「子育て支援」ではなく「子育て応援」と呼んでいます。支える側・支えられる側ではなく、一緒に参加して、お互いに応援し合いながら必要なことに取り組んでいくという考えです。

「私も一人のママとして育児に困っている仲間と一緒に活動しながら、みんなでいい町にしていけたらと思います」

当初は、ママ友同士の助け合いとして始まったみるきっず。今では元気なシニア世代が手伝ってくれたり、高校生が探究学習をきっかけにボランティアとして参加したりするほか、地元企業もイベントに協力するなど、町全体に支えられる活動となっています。

「私たち自身が楽しみながらイベントを続けているので、自然と周りにもその楽しさが伝わるのかもしれませんね」

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別海だからこそできた、子育ての形

みるきっずの活動がここまで広がった背景には、別海町ならではの環境があると坂川さんは話します。

「『こんなことをやりたい』と相談すると、補助金の情報を教えてくれたり、手続きを手伝ってくれたりと、行政の皆さんが協力してくれるんです。やっぱり、活動を続けるにはお金と思いの両方が必要ですし、ボランティア精神だけでは、みんなもしんどくなっちゃいますから」

町長をはじめ行政との距離が近いことも、別海町ならではの魅力だといいます。

milkids_133.jpg別海町役場の職員たちと談笑する坂川さん。

「東京では、自治体の長に直接会うなんてありえないし、何をするにも時間がかかる。お母さんたちの声は届きにくいと思います。でも、別海では行政と民間事業者が横につながり、協力してくれるんです。みんなで、限られた社会資源を最大限に生かそうという雰囲気があって、そこも面白いんですよね」

一方で、地域を問わず共通する子育ての課題も感じています。

「これは別海に限らないと思うんですけど、お母さんが全部やらなきゃと思ってしまう人が多いです。お母さん自身の自己肯定感を上げるのはすごく難しいと思います」

だからこそ坂川さんは、みるきっずを行政とママたちをつなぐ存在にしたいと考えています。

「別海町は町長さんをはじめ、話を聞いてくださる方が多いので、ひとりで抱え込んでしまうお母さんたちの思いをうまくつなぎながら、みんなで子育てしやすい町にしていけたらと思っています」

自身の性格を「割り切りが早いタイプ」と話す坂川さん。思うように話が進まないときや、壁にぶつかったときも、考え方を切り替えて前に進んでいます。活動を続けるうえで大切にしているのは、行政では拾いきれない小さな声を大切にすることです。

「何かを進めていくときは、誰かを責めるのではなく、どうしたらできるかを一緒に考えたいですね。すぐに解決しなくても、お母さんたちが少しでも希望を持てるようになれたらと思っています」

東京では難しくても、別海町ならできることはたくさんある。一人では難しいことも、みるきっずがアシスト役になり、ママたちが勇気を持って一歩踏み出せるよう背中を押したい。そんな思いが、坂川さんを動かしています。

milkids_126.jpg施設の入り口に掲げられた看板。牛のキャラクターをモチーフにした可愛らしいロゴが親子をお出迎えしてくれます。

都会から移住したからこそ分かる、北海道での暮らしの魅力

東京で生まれ育った坂川さんにとって、別海での暮らしには驚くことがたくさんあったといいます。

「子どもの参観日には、お父さんもお母さんも参加している家庭が多いですね。働き方を子どもに合わせてくれる会社が多いので、家族との時間を大切にしやすいんです」

坂川さんのご主人も夕方には帰宅して、家族そろって夕食を囲むことが日常です。そうした環境だからこそ、みるきっずでも子育てを優先しながら働ける職場づくりを大切にしています。休日には、北海道ならではの楽しみ方を満喫しているそう。

「主人が大きなキャンピングカーを買っちゃったんです(笑)。北海道は海も山も川もあるので、あちこち走って行けるのが楽しいですね。どこへ行っても人が温かくて、食べ物も本当においしいです」

夏休みには函館まで足を延ばしたり、道の駅を巡ったりしたこともあるといいます。別海町では、家族で「まきばの湯しまふくろう」という温泉に行くことが多いそう。温泉に入り、おいしいご飯を食べるのが家族の定番の楽しみ方です。

milkids_114.jpgご主人が購入したという大きなキャンピングカー。休日はこれに乗って家族で海や山へ出かけ、北海道の大自然を満喫しています。

「東京にいた頃はホッキ貝が苦手だったんですが、別海の漁師さんからもらうホッキは抜群においしくて。子どもたちも舌が肥えるというか、いいもの食べて育っているなと思いますね(笑)」

学校の周りにも自然があふれており、登下校中にリスやキツネを見かけることもしばしば。給食には地元産の牛乳や海産物が並ぶなど、恵まれた環境です。こうした環境で子どもたちが育つことをうれしく思う一方で、一度は別海町を離れ、広い世界を見てほしいとも話します。

「私が別海町を好きなのは、東京で30年暮らした経験があるからなんです。一度、外の世界を見た上で帰ってくるのもいいし、そのまま羽ばたいていくのもいいと思う。そこは子どもに任せたいです」

それでも、坂川さん自身がこれほど楽しく活動できる場所は、別海町しかないと感じています。

「これから子どもたちの進学に合わせて、いったん別海から離れることがあるかもしれません。でも、みるきっずは、別海の宝物としてこのまま残っていってほしいです。もちろん、私がここにいる間は、しっかり育てていきます」

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みるきっずの今後については、こんな思いも持っています。

「今は私がやりたいことをコツコツ形にしていますが、これからは、お母さんたち自身が成長し、町をつくっていく人がもっと増えていってくれたらうれしいですね。後継者というと大げさですが、若い世代のお母さんたちにも、そんな人が増えてくれたらと思っています」

最後に、別海町への移住を考えている人へ、こんなメッセージをくれました。

「別海は人もいいし、自然も豊かな町です。子どもの良いところを伸ばしながら育てられる環境ですし、都会では得られない経験もたくさんあります。何かやりたいことがある人にとっても面白い町だと思います。何もないと言えば何もないけれど、その分、自分たちでつくっていける町です。やりたいことと熱意があれば、きっと周りの人が力を貸してくれると思います」

「できるのだからやってみよう」と、ママたちの声を一つひとつ形にしてきた坂川さん。その行動力とエネルギーに圧倒されました。「北海道の良さが分かるのは、東京での生活を知っているからこそ」という言葉も印象に残っています。明るく笑いながらお話しする姿を見て、こちらまで元気になりました。

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一般社団法人 MILKIDS別海子育て応援スペース みるきっず
一般社団法人 MILKIDS
別海子育て応援スペース みるきっず
住所

北海道野付郡別海町別海緑町119-2

電話

0153-74-0553

URL

https://milkids.net/

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支援ではなく、子育て応援!別海子育て応援スペース みるきっず

この記事は2026年7月16日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。