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別海町

笑顔の過程に寄り添う存在でありたい。特別養護老人ホーム清翠園20260828

笑顔の過程に寄り添う存在でありたい。特別養護老人ホーム清翠園

別海町別海西本町にある「社会福祉法人べつかい柏の実会 特別養護老人ホーム清翠園」。地域の高齢者が住み慣れた場所で安心して暮らし続けられるよう、特別養護老人ホームを中心に、ショートステイ、デイサービスの3つの介護サービスを提供しています。清翠園の常務理事施設長、干場富夫さんと生活支援課の主任、武隈未希さんへ仕事や別海町での暮らしについてインタビュー。ふたりが清翠園で働くことになったきっかけや、入居者さまからのうれしかった一言、従来の介護の良さを引き継ぎながら新しい技術を取り入れていく理由や、別海町ならではのお気に入りポイントを伺いました。

役場から特養の施設長へ。介護の現場で感じた新鮮な喜び

「清翠園の入居者さまの多くは別海町で暮らしてきた方々なんですよ」と優しく声をかけてくれたのは、2026年4月に施設長に就任した干場さんです。

seisuien0806159.jpgこちらが特別養護老人ホーム清翠園の施設長に今年4月就任した、干場富夫さん

別海町で生まれ育った干場さんは、高校卒業後、別海町役場に就職。役場では、産業・教育・議会事務局・会計のほか、尾岱沼(おだいとう)地域と西春別(にししゅんべつ)地域の支所など、10数カ所の部署を経験しました。新型コロナウイルスの感染が拡大していた時期には、保健センター長も務めました。

2026年3月には役場を退職し、その翌月から清翠園の施設長へ。きっかけは、以前から面識のあった前施設長から声をかけられたことでした。

役場でさまざまな仕事を経験してきたものの、福祉分野との接点はそれほど多くなく、介護サービスについてはほとんど知識がなかった干場さん。そんな自分が施設長を引き受けてよいものなのか、声をかけられてから約半年間悩んだといいます。

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「介護サービスとは何か、というところからのスタートでした。今でも専門用語を調べたり、わからないことは職員の皆さんに聞いたりしながら、毎日勉強しています」

周囲の職員たちも、会議や打ち合わせがあるときは資料を用意して事前に内容を説明してくれるなど、きめ細やかにフォローしてくれるといいます。

普段は事務所で仕事をしている干場さんですが、週に一度は入居者が暮らす棟を回るようにしています。入居者と接する中で、清翠園で働くからこそ得られる喜びもあるそうです。

「役場では年数を重ねて管理職になるにつれ、町民の方と直接接する機会が少なくなっていました。ここでは、入居者さまとお話した後に『また来ますね』と声をかけると、『ありがとう』『また来てね』と言ってもらえるんです。それがすごく新鮮ですね」

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小学生から目指した介護士。理想との違いから学んだこと

続いてお話を伺ったのは、清翠園で生活支援課の主任を務める武隈さんです。根室市の酪農家に生まれ、祖父母の後ろについて仕事を手伝うのが大好きだったという武隈さん。介護士という仕事を知ったのは、小学生の頃でした。

「祖父母の後ろについてずっとお手伝いをしていたんです。それを見た母が、『おじいちゃん、おばあちゃんのお手伝いをする介護士という仕事があるよ』と教えてくれて。それをきっかけに、介護士になろうと思いました」

高校は、母方の祖母が暮らしていたことから馴染みのあった別海町へ。高校卒業後は、札幌の専門学校で介護について学びました。進学先を決めるきっかけになったのは、オープンキャンパスで耳にした先生の言葉だったそうです。

seisuien080626.jpgこちらが、生活支援課の主任を務める武隈未希さん

「その先生が『介護はエレガントに』と言っていたんです。当時は介護というと、きつい、汚いといったイメージもありましたから、『そういう考え方もあるんだ』と驚きました。この先生なら新しい視点で介護を学べるんじゃないかと思いました」

卒業を控え、根室や別海などの介護施設を見学する中で出合ったのが清翠園でした。

当時、複数人で一つの部屋を使う従来型の施設がまだ多かった中、清翠園の特徴である「ユニット型」の介護に魅力を感じたといいます。

ユニット型とは、少人数のグループを一つの生活単位とし、一人ひとりが個室で過ごす介護の形です。清翠園では現在、10人を1ユニットとし、プライベートな空間を確保しながら、自宅に近い雰囲気で生活できることを大切にしています。

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そんな環境にひかれて就職した武隈さんは、現在11年目を迎える中堅スタッフの一人です。

小学生の頃から思い描いてきた「介護士になる」という夢を実現した武隈さん。しかし、実際に働き始めると、理想と現実のギャップにも直面しました。

「最初は、とにかく入居者の方に毎日明るく元気に暮らしてほしいという気持ちでした。でも、実際にはいろいろな病気を抱えている方もいれば、お部屋で一人で過ごしたい方もいます。それぞれに家庭環境や考え方もあって、すべてが明るいことばかりではないんだと知りました」

誰もが笑顔で過ごせることを目指す気持ちは、今も変わりません。ただ、その笑顔にたどり着くまでの過程が、介護の難しさでもあると感じるようになったといいます。仕事を続ける中で、入居者との関わり方について学ぶこともありました。

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「すごく仲良くなれた入居者さまがいたのですが、私が深く関わりすぎて、私以外の職員からのケアを受けなくなってしまったことがありました。寄り添うことは大切ですが、深入りしすぎてしまうのも良くないのだと気づきました」

先輩たちからもアドバイスをもらいながら試行錯誤を繰り返し、今では入居者から頼りにされていると感じる場面も増えているそうです。

チームワークで、その人らしい暮らしを考える

「限られた人数で介護をするからこそ、チームワークがすごく大切」と話す武隈さん。困ったことがあれば周囲に相談し、関わり方についても情報を共有しながら入居者の生活をより良くするにはどうしたらよいかを考えています。

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「例えば、ほとんど寝たきりで食事の介助が必要だった方も、ご家族の許可をいただきながら少しずつ車いすに座っていただくようにしていたら、自分でお茶碗を持って食べられるようになったんです。私たちもすごくうれしかったですし、ご本人の笑顔も増えました」

すべてを手助けするのではなく、その方の力を生かしながら、生活を支えていく。小さな変化をチームで喜び、ご家族とも共有できることが仕事の喜びになっています。

とはいえ、もちろん大変なこともあります。入居者の多くが日常生活のさまざまな場面でサポートを必要としている中、人手が限られ、時間配分の難しさを感じることもあるそうです。

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「歩きたい方がいれば、もちろん歩いていただきたいので、その時はすぐにそばに行って見守ります。ただ、やっぱり慌ただしくなってしまうこともあって。もう少し人手があればと思うことはありますね。でも、仕事自体をしんどいと感じることは全然ありません。仕事は本当に楽しいです」

11年間働く中で、忘れられない入居者もたくさんいるといいます。

「私の肩をポンポンとたたきながら、ご家族に『本当にこの人のことを一番頼りにしているんだ』と言ってくださったことがあって。信頼してもらえているんだと思うと、すごくうれしくて、また頑張ろうという気持ちになります」

入居者の生活を支えているのは、介護職員だけではありません。清翠園では、看護師や機能訓練指導員、栄養士など、さまざまな専門職が連携しています。

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「90人の入居者さま一人ひとりについて、どのようなケアが必要なのか、それぞれの専門職が一緒に計画を立てています。どうすればその方がより暮らしやすくなるのかをみんなで考えているところに、チームとしてのまとまりを感じます」と干場さんも話します。

人との関わりを楽しみ、探究心のある人と一緒に働きたい

現在、清翠園で働く職員は92名。女性が約9割を占め、50代以上が多い中、20代の職員も活躍しています。ほとんどが車で通勤しており、別海町内だけでなく、中標津町から通う人もいるそうです。

コロナ禍以前は、ユニットごとの職員で仕事終わりに食事に出かけたり、施設全体で「ふくろうの会」という親睦会を開いたりしていました。現在はこうした機会がなくなっていますが、再開を望む声も少しずつ上がっています。

seisuien080652.jpg各ユニットには「野付半島」や「打たせ舟」といった別海町らしさが感じられる名前がつけられています

「職員が90人以上いるので、廊下ですれ違って『初めまして』ということもたまにあります(笑)。またみんなで交流できる機会があるといいですね」と武隈さん。

介護職員の主な仕事は、食事や入浴、排泄など、入居者の日常生活をサポートすることです。ほかにも、入居者が楽しみながら過ごせるよう、余暇活動の充実にも取り組んでいます。勤務はシフト制で、夜勤後は休みになります。

「介護職員として働くには、一番取りやすい資格である「初任者研修」、その上位資格の「介護福祉士実務者研修」、国家資格の「介護福祉」などの資格が必要ですが、勤務についてはそれぞれの事情を聞きながら相談しています。子育て中で土日の勤務や夜勤が難しいといった場合も、まずはお話を伺います」と干場さん。

では、二人はどんな人と一緒に働きたいと考えているのでしょうか。干場さんは、「やはり、人と関わることが好きな方ですね。人と接することが何よりも好きという方に来ていただけるとうれしいです」と話します。一方、武隈さんは、探究心やチャレンジ精神のある人と答えてくれました。

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「入居者さまと関わりながら、『その人らしく生活するにはどうしたらいいんだろう』『こうしてみたらどうだろう』と考えられる人だとうれしいですね。清翠園は、関わり方に悩んだときに、看護師や栄養士、機能訓練指導員、ケアマネジャーなどに気軽に相談できる環境だと思います。みんなで一つの目標に向かってチャレンジしていけたらいいですね」

入居者にとっても、働く人にとっても安心できる施設に

清翠園を入居者にとっても、働く職員にとっても安心できる施設にしたいと干場さんは話します。

「入居者さまが笑顔で暮らせることはもちろん、職員にも『ここで働いてよかった』と思ってもらえる施設にしていきたいです。介護の仕事では、相手を思いやる気持ちが何より大切だと思っています」

今後は、職員がより働きやすい環境をつくるため、新しい技術や仕組みも取り入れていきたいと考えているそう。実際、介護の現場では、これまで人の力で行ってきたことを機械に任せることで、職員の身体的な負担を軽減する動きも進んでいるといいます。

seisuien0806114.jpg入浴補助用のリフトは設立当初から設置されていたそう。大きな力を使わない電動式のリフトなので、補助するときの体への負担が軽減されます

機械に任せられる部分は任せながら、人にしかできない部分は介護職員がしっかりと担う。介護機器やシステムを活用し、職員の負担を軽減するとともに、情報共有しやすい環境を整えていくことも、これからの清翠園に必要だと考えています。

武隈さんも、11年間働く中で介護の技術や考え方が変化してきたことを感じています。

「昔から続いてきたやり方には、もちろん良い部分がたくさんあります。これからは、積み重ねてきたことを大事にしながら、新しいものも取り入れていく必要がありますし、私たちがそういう役割を担う世代になってきたのかなとも感じています。職員のみんなと一緒に、少しずつ新しいことに取り組んでいけたらと思います」

最後に、二人に別海での暮らしについても聞いてみました。

生乳生産量日本一を誇る別海町では、牛乳や乳製品はもちろん、ホタテや秋鮭、北海シマエビなどの海産物も楽しめます。干場さんのお気に入りは、町内で味わえるソフトクリーム。休日には釣りやゴルフ、キャンプを楽しむほか、町内にある温泉施設「郊楽苑(こうらくえん)」へ足を運ぶこともあるそうです。

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「地元びいきかもしれませんが、やっぱり別海のソフトクリームはおいしいですね」

一方、武隈さんは最近、休日になると町内の飲食店を巡っていると話します。別海町には昔ながらの定食屋も多く、どこに行ってもおいしいとニッコリ。

「定食の量も多くて、さらに後から『おまけだよ』といって追加してくれることもあるんです。最近、『きらく食堂』というお店に行ったんですが、忙しそうにしている店主さんを地元のお客さんが自然に手伝っていました(笑)。こういうのは田舎ならではのよさですよね。そういう地域の方とのやり取りも素敵だなと思います」

近年は、おしゃれな新しいカフェなども増えているとのこと。昔ながらの人とのつながりと新しさ。その両方を楽しめることが別海の魅力だと話してくれました。

お二人とも穏やかで優しい雰囲気。お話を伺う中からも清翠園の風通しの良さが伝わってきました。職員同士で気軽に相談しながら、一人ひとりの入居者に向き合っていることも印象的です。働く人たちが互いに支え合う環境だからこそ、入居者の方々も安心して毎日を過ごせているのではないかと感じました。

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社会福祉法人べつかい柏の実会 特別養護老人ホーム清翠園
住所

北海道野付郡別海町別海西本町52番地2

電話

0153-75-2224

URL

http://betsukai-seisuien.com/

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笑顔の過程に寄り添う存在でありたい。特別養護老人ホーム清翠園

この記事は2026年8月6日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。