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新得町

日々やりがいが得られる林業。山仕事を通じて育まれた親子、兄弟の絆20260727

日々やりがいが得られる林業。山仕事を通じて育まれた親子、兄弟の絆

木の苗を植え、育て、そして伐り出す「林業」の仕事。苗を植えてから資源として伐り出すまでのサイクルは50年から100年と言われています。遠い昔、会ったことのない先輩たちが植えたものを自分たちが伐り出し、今度は自分たちが植栽したものを次の世代、あるいはさらに次の世代の後輩たちが伐り出していく。すぐに結果が出るわけではありませんし、途方もなく長い期間をかけて行う仕事ではありますが、自分たちの手掛けたものが未来の資源になると考えれば、それはそれでとてもロマンのある仕事と言えます。今回は、植付から伐採までのすべての林業サイクルを行い、未来へ資源のバトンをつないでいる「王子フォレストリー」の十勝出張所へおじゃましました。

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王子ホールディングスの一員である林業会社の十勝出張所

新得町の屈足エリアに事務所がある王子フォレストリーの十勝出張所。まずは所長を務める井上学さんに、会社のことや十勝出張所の話を伺っていきます。

「当社は、王子製紙やネピアなどで知られる王子ホールディングスの一員です。本社は日高町の富川にあります。今は王子フォレストリーという名前ですが、地元の林業会社とグループの系列会社が合併して王木林材株式会社になり、平成30年に今の名前になりました」

日高町の本社のほか、旭川市や遠軽町にも拠点があります。また、安平町にはチップ工場もあるそう。

「王子グループの社有林が近くに無いので、うちの出張所では、新得を中心とした十勝エリアの国有林の仕事を主に手掛けています。基本的に、植栽や下刈りなどを行う造林班と木を伐る造材班に分かれて仕事をしています」

oji-forestry_112.jpgこちらが十勝出張所 所長の井上学さん

造材の中でも、木を伐る伐倒を担当する人、重機を扱い土場の整備や運び出しを行う人と分かれるそう。また、造林班は仕事が一段落する冬シーズンには造材班に合流し、いろいろな仕事を分担して行います。

「山の仕事は何より安全第一。山に入ると、それぞれ自分の仕事に専念しますが、連携が必要な場面もたくさんあります。日ごろからみんなコミュニケーションがしっかり取れているかどうかも大切。その点、うちの出張所は親子や兄弟で勤めている人が多いので、普段からみんな仲がいいんですよ」

林業は、昔から親子や兄弟、親戚のつながりで業界に入ってくるケースが多いと聞きますが、十勝出張所はほかの出張所と比べても血縁者が多いそう。また、地元が好きで地元に残って働いている人がほとんどで、昔からの知り合いという従業員同士もいるとのこと。年代に関係なく風通しがいいのも分かります。

oji-forestry_40.jpg現在、十勝出張所ではおよそ20名ほどのスタッフが活躍しています

現場仕事を経て、管理の仕事に。これからは若手の育成にも力を入れたい

井上さん自身は恵庭市の出身。林業にもともと興味があり、岩手大学の林学科へ進学し、卒業後は王子フォレストリーの親会社となる(旧)王子緑化に入社したそう。

「現場が好きで30年近くずっと現場で仕事をし、転勤で各地を転々としてきました。東京にもしばらくいましたね」

「今では考えられないけれど」と前置きをし、「若いころはバイクが好きで、オフロードバイクに乗って山林の現場に通っていたこともありました。林道を走るのが楽しくてね。怖いもの知らずでした。先輩たちからは『バイクで来ている若い奴』と覚えられていました」と笑います。

oji-forestry_1.jpg林道を走るフォワーダ(丸太を荷台に載せて、山の中の伐採現場からトラックが通れる土場(集積場)まで運搬する自走式の大型機械)

東日本大震災が起きたとき、東京で勤務していましたが、そのタイミングで北海道へ戻り、道内各地の拠点を回る多忙な日々を送っていました。その後、出向先の遠軽にいたときに会社が「王子フォレストリー」に。遠軽の勤務を経て、十勝出張所に赴任。今年で8年目を迎えます。

「十勝に来てからは、所長として従業員の管理や安全管理が主な仕事となり、現場へ直接出る機会は減りましたが、何よりも安全に気を配っています。林業は自然の中で人がやる仕事。もちろん機械を使うけれど、その機械を操作するのも人です。一歩間違えれば重大な事故に繋がりかねない。だからこそ、現場の安全管理には最も気を使っています」

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近年は、未来を担う若手の育成にも力を入れていこうと、林業専門の就職説明会や学生向けの説明会などにも参加。林業の魅力、会社の魅力を伝えています。

「学校での座学も大切ですが、やっぱり『重機に乗りたい』『伐倒をしたい』という人は、現場に出て実践で経験を積んでいくのが一人前になるための一番の近道だと思います。うちの出張所にも、伐倒のエキスパート、さまざまな重機を乗りこなせる頼もしい先輩が揃っています。間近で先輩のやり方を見て覚えていくのも勉強になりますよ」

oji-forestry_75.jpgこちらはグラップルという丸太の整理や積み込みを得意とする機械です

ベテランの父親の背中を追う息子。重機オペレーターを務める山口親子

さて、ここからは十勝出張所で働くスタッフに話を伺っていきます。親子や兄弟で勤務している人が多いということでしたが、今回登場していただくのは、まさにその親子と兄弟の方たちです。

まずは造材部隊に関わる山口裕さん、大輔さん親子から。父親の裕さんは今年(2026年)の7月で77歳になるという大ベテラン。「息子が生まれるより前からここで働いているよ」と笑う、まさに生き字引です。ちょうど取材時に十勝出張所を訪れていた代表取締役の荒井均さんは、「かつては現場を統括する班長としても活躍し、人望も厚いんですよ」と長く勤務する裕さんに敬意を表します。

oji-forestry_103.jpg代表取締役の荒井均さん

裕さんはドライバーの仕事を経て、林業業界へ。入ったときからずっと重機を使う仕事を担当してきたそう。「人混みが嫌いだったのもあって、山の中で仕事ができるのは自分にとって良かったんだよね。あとは、早く出て、早く帰れるのも自分には合っている」と話します。

この仕事の面白さを尋ねると、「イメージ通りに作業が終わったときの達成感というか、爽快感というか、それがあるから長く続けてこられたのかな」と話します。また、「現場でときどきキレイな景色に出合えるときがあって、そういうときはこの仕事をしていて良かったなと思うね」と続けます。休みの日も山の中に入って山菜取りを楽しんでいるそうで、人混みではなく自然の中にいるのが好きなのだと伝わってきます。

oji-forestry_132.jpgこちらが山口裕さん

一方、息子の大輔さんは新得で生まれ育ちました。高校を卒業後、交通誘導の仕事に就きますが、会社が縮小することになり、次の仕事を探さなければならないと裕さんに相談。「ハローワークで仕事を探したりもしたんですが、父が会社に話を通してくれて、父親と同じ造材のほうで採用してもらいました」と振り返ります。そして2007年に入社し、今ではすっかりベテランチームに仲間入り。とはいえ、裕さんの経験に比べれば「自分はまだまだですし、父親を見てやっぱりさすがだなと思うこともたびたびあります。あの年齢でまだ山仕事を現役でできているのもスゴイと思いますよ」と話します。

大輔さんは入社してすぐは、土場に積み上げられた丸太の径を測る仕事から始め、会社のサポートで重機の免許を取得。今は、裕さんと同様に重機のオペレーターとして仕事に従事しています。伐り出した木をグラップルで土場に積み上げたり、フォワーダと呼ばれる林業用の運搬機械で運び出したりします。「木を掴んで積み上げるグラップルの重機操作に面白さを感じています。崩れないように美しく積んでいくにはコツがいりますが、思った通りに作業が進むと最高に気持ちいいですね」と仕事の面白さを話します。

oji-forestry_58.jpgそして、こちらが山口大輔さん

大輔さんが入社してすぐのころは、裕さんが仕事のアドバイスをしてくれることもあったそうですが、「今では家で仕事の話はほとんどしなくなりましたね」と大輔さん。裕さんとしては、もう安心して仕事を任せられるということなのでしょう。

話しながら、よく笑うところがそっくりな山口さん親子。裕さんは、「息子と一緒に仕事ができるなんて思ってなかったけど、こうやって仕事ができるのはうれしいね。自分も、会社にまだ働いていていいよって言われている間は無事故で頑張りたい」と話してくれました。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                  

oji-forestry_69.jpg照れくさそうにしながらも、仲の良さが伝わる山口さん親子でした!

兄は伐倒一筋、弟は造林の主軸。それぞれのフィールドで活躍する瀬下兄弟

次は、兄が造材、弟が造林を担当している瀬下勉さん、慎吾さん兄弟に登場してもらいます。

2人とも生まれ育ちは新得町。王子フォレストリーに先に入社したのは弟の慎吾さんでした。「父親が昔、ここで働いていたことがあって、その伝手で高校を卒業して入社しました」と話します。入社してすぐは、造材班として土場での計測作業などをしていましたが、「頭を使うより体を動かしたい」と自ら希望して造林班へ異動。「最初の1〜2年は本当にキツかったんですけど、それでも体を動かすほうが性に合っていたんですよね」と笑います。

oji-forestry_128.jpgこちらが弟の瀬下慎吾さん

慎吾さんは、「やっぱり林業、特に造林は斜面での苗木の植付や下刈りなど、結構体力を使います。実際、慣れるまでは大変ですよ」と話します。それでも自身が20年以上仕事を続けてこられた理由を「大きな達成感を得られるようになったからかな」とニッコリ。植付や下刈りを終えたあと、振り返って見るとそこにはまったく違う景色が広がっていて、自分の仕事の成果を日々実感できるのが造林の魅力なのだそう。また、「体を動かしているから、健康になりますよ」と笑いながら話します。

入社から3年経ち、慎吾さんが仕事の面白さを感じ始めたころ、兄の勉さんが慎吾さんの紹介で入社しました。もともと富良野市でダンプの運転手をしていましたが、地元に戻るタイミングで王子フォレストリーへ。「最初から造材の伐倒担当でお願いしますって言われて入りました。父親も山仕事をやっていたし、なんとなく自分にもできるだろうと思っていたんだけど、チェーンソーを扱うのも初めてだし、それまでずっとドライバーで座ってばかりいたから、最初は全身筋肉痛で体がボロボロでした」と笑います。「でも、毎日外で体を動かしているし、早起きだし、随分健康になりました」と慎吾さんと同じ利点も挙げます。

oji-forestry_16.jpgそして、こちらが兄の瀬下勉さん

入社してからは、持ち前の負けん気でベテランたちの技を見て盗み、勉さんはめきめきと腕を上げていきます。自分で完璧な伐倒ができるようになったと思うまで4年近くかかったそう。入社から20年ほど経った現在は、現場の指示を出す班長や新人の教育係の役割も担います。

この仕事のやりがいについて、「もちろん危険が伴うし、怖さもあるけれど、大きな木を自分の思い通りの方向にキレイに倒せた瞬間は、本当に気持ちがいい。体力的には疲れるけど、常にやりがいや達成感があるから楽しいですよ」と語ります。そして、「これからも誰にも負けないような仕事をしていきたい」と力強く締めくくってくれました。

oji-forestry_196.jpg若い時から林業の世界で活躍してきたお二人。すっかりベテランの風格が漂います

「何もないけど、暮らしやすい」新得のまちと、「居心地のいい」職場環境

大輔さん、勉さん、慎吾さんの3人は年齢も近く、大輔さんのお姉さんが勉さんの高校の同級生だったなど、もともとのつながりもあり、実は仲良し。職場の他の人も誘って一緒に飲みに行くこともよくあるそう。

その3人に「会社の良いところ」を聞くと、口を揃えて「福利厚生がしっかりしていて、休みもきちんと取れること。そして何より、みんな仲が良くて居心地がいい。もちろん風通しもいい」と話し、現状に満足しているのが分かります。

十勝出張所には瀬下さん兄弟のほかにも兄弟で勤めている人がいて、身内が多い職場ですが、外から入ってきた人に対してもオープンな雰囲気なのだそう。業界歴の長い大ベテラン・裕さんは、「かつては厳しい人もいたけれど、今は昔と違って、みんな仕事の教え方も丁寧だし、穏やかで優しいよ」と話します。

最後に新得町の魅力について尋ねると、「そばが美味しい」と特産品を挙げる勉さん。「何もないけど、騒がしくなくて静かなところかな」と慎吾さんが言うと、「生まれ育ったところというのもあるけど、確かに静かで住みやすい」と大輔さんが続けます。自然が多いところで暮らしながら、自然と関わるやりがいのある仕事をしたい人にとって、アットホームな十勝出張所はぴったりな場所かもしれません。

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王子フォレストリー株式会社 十勝出張所
王子フォレストリー株式会社 十勝出張所
住所

北海道上川郡新得町屈足幸町西2丁目10-1

電話

0156-65-3638

URL

https://www.oji-forestry.com/

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日々やりがいが得られる林業。山仕事を通じて育まれた親子、兄弟の絆

この記事は2026年6月24日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。