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旭川市

旭川の顔「買物公園」の未来を創る!官民連携組織エリプラの挑戦20260519

旭川の顔「買物公園」の未来を創る!官民連携組織エリプラの挑戦

JR旭川駅から北へ真っすぐ続く「平和通買物公園」。約1.5km続く買物公園は、1972年に日本初の「恒久的歩行者専用道路」、つまり年中歩行者天国として誕生しました。さまざまな店舗や施設が並び、たくさんの人が集まるエリアでしたが、ライフスタイルの変化や人口減少、建物の老朽化などにより、空き店舗や空き地が増え、かつてのような賑わいは見られなくなりました。そんな買物公園エリアの未来について考えようと立ち上がったのが、官民連携の組織「買物公園エリアプラットフォーム」。略してエリプラです。

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今回は、同組織の代表幹事を務める株式会社ジャパチーズの代表・長尾さんに、組織の活動内容をはじめ、長尾さんの買物公園に対する想いなどを伺いました。また、エリプラの活動にも関わる地域おこし協力隊「まちなかコンサルタント」を募集するということで、旭川市の担当である都市振興部都市計画課の佐藤さんにもエリプラの成り立ちや協力隊について話をしてもらいました。

買物公園のこれからを考え、みんなで考えた未来ビジョンを策定

まずは「買物公園エリアプラットフォーム」が立ち上がった経緯を、市の担当者である佐藤さんに説明してもらいました。

「2022年に買物公園が開設50年を迎え、それを機に、買物公園をこれからどうしていくべきか在り方を考える機会があり、翌年に買物公園のあり方検討会議という会議が立ち上がりました。みんなで買物公園のこれからについて話し合う中で、こうだったらいいよね、こんなことができたらいいよねという意見やアイデアがたくさん出てきて、この会議のメンバーを中心に官民連携の組織、買物公園エリアプラットフォームという組織を立ち上げました」

20260423_asahikawa_machicon_7.JPG旭川市都市振興部都市計画課の佐藤さん。

エリプラのメンバーは、買物公園エリアに関わるさまざまな立場の団体や個人の人たち。佐藤さんのような行政側の担当者をはじめ、買物公園の商店街や商店会、商工会議所、地元の金融機関、観光団体、買物公園の景観美化などを行うボランティア団体などさまざま。このほか、買物公園エリアに関心を持っている人やこのエリアのことをよく知っている人なども参加しています。このメンバーで、買物公園エリアの今後の方向性や将来像の実現に向けた取り組みに関してまとめたものが、2024年に策定された「買物公園エリア未来ビジョン」なのだそう。(ビジョンの詳細はこちら

20260423_asahikawa_machicon_17.jpg「わたしの『毎日』がここにある」をキャッチコピーに買物公園エリアの未来を創り出していきます。

「この未来ビジョンの中に、実現したいエリア全体のイメージというのが記載されているのですが、現在は、そこに載せている『素敵な自分でいられるエリア』『行きたい・歩きたくなるエリア』『やりたいが自由に実現できるエリア』という3つの実現を目指して、いろいろ取り組みを行っているところです」

その第一歩として、2024度と2025年度に「まちにち計画」という社会実験を実施。買物公園内に人工芝やベンチなどを設け、くつろげる滞在空間を作り出したり、路上パフォーマンスや物販など「買物公園でやってみたい!」を実現できるスペースを設けたり、買物公園に足を運ぶきっかけをつくりました。また社会実験以外にも、一般の市民も参加できる「まちづくり」について学ぶ「まちにちスクール」をエリプラで開催。

「まちにち計画は、市役所とエリアプラットフォームが一緒になって、どういう空間にしていったら良いかとか、どういうコンテンツがあれば人がたくさん来るかを共に考えながら実験を重ねていったという感じですね」

会議でヒートアップするのは、みんなが熱い思いを持っているから

「エリプラの活動も始まって2年。まだ始まったばかりという感じで、手探りしながらみんなで運営しています。佐藤さんが言うように、行政と自分たちが主になって動くこともあれば、プレイヤーを募ってやってもらうこともありました。もっとエリプラが核になって運営していければと思っているのですが...」

そう話すのはエリプラの代表幹事である長尾さん。ここからは、長尾さんにエリプラや買物公園について話を伺おうと思います。長尾さんは、買物公園の1番北側にある7条緑道エリアでチーズ工房「ジャパチーズ」を経営。このエリアをまとめる三和・緑道商店会の理事長でもあります。

20260423_asahikawa_machicon_13.JPG買物公園エリアプラットフォーム代表幹事の長尾さんも、実は旭川市への移住者の一人。

「エリプラが立ち上がる前の『あり方検討会議』のときから、いろいろな人がそれぞれの立場で課題や意見を言うから、結構バチバチやり合うこともあったんですよ(笑)。エリプラが始まった当初もそんなことがありましたが、根気強く回を重ねていくたびに、お互いに気付きがあり、それぞれの役割や立場も理解し合えるようになってきました。だから、年々スムーズにいろいろなことが進むようになっているかなと感じています」

喧々囂々(けんけんごうごう)たる議論が続くのは、それだけみんなが買物公園や旭川のまちに対して熱い想いを持って参加しているということ。

「最初はどうなるのかなと思いましたが、みんなの真剣さがよく分かったので、買物公園は確実に素晴らしい場所に発展するというチャンスを感じました。熱い議論を交わすたびに市役所の方たちも含め、みんな擦り切れるくらい疲れたときもあったと思いますけど、とても価値のある組織だと自分は思いました」

20260423_asahikawa_machicon_18.jpegさまざまな立場の人たちがメンバーであるエリプラ。共通することはまちに対する「愛」です。

少しずつ意見がまとまり、未来ビジョンを策定。こんな場所にしたいという構想ができたものの、実際に動き始めてみると、法律の壁などいろいろな課題が浮上します。

「たとえば、買物公園って歩行者天国なんだけど、正確には歩行者専用道路なんです、道路。だから道路の法律が適用されるため、何かひとつイベントをやるにしても、縛りがいろいろあって、各所への許可や提出書類など手続きが煩雑なんです。それで、手続きごとの窓口を1カ所で済ませることができるなど、みんなが買物公園を広場のように利用しやすくするため動いているところです」

佐藤さんも、「今年の8月下旬から9月下旬に買物公園の道路上を広場のような形で、ワンストップ窓口で使うことができ、運営する側も無理なく日常にしていくためのルールを決め、それを試すための実証実験を実施しようと思っています」と続けます。少しずつですが着実にビジョン実現に向けて動いているのが伝わってきます。

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震災を機に、覚悟を持って旭川へ移住

ここで長尾さんのことを少し教えてもらおうと思います。現在、「ジャパチーズ」というチーズ工房でチーズ作りに励む長尾さん。旭川の加藤牧場から仕入れた新鮮な牛乳を使って、素朴だけど毎日食べたくなるようなチーズを作っています。

「自分はもともと宮城出身。実家が酪農をやっていたこともあり、北海道江別市の酪農学園大学へ進学し、卒業後は地元に戻って蔵王でチーズ作りに携わっていました」

賞も受賞するなど、チーズ職人としてキャリアを積み重ねてきた長尾さんでしたが、東日本大震災を機に奥さんの実家がある旭川へ。

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「震災があったとき、長男は3歳、次男は生まれたばかりで、妻と子供は里帰り出産でちょうど旭川にいたんです。原発の問題もあり、妻は小さな子供たちを連れて宮城へ戻ることに抵抗があって、でも、自分は好きな会社で好きなチーズ作りを続けたいという思いもあり、しばらく離れて暮らしていました。生まれ故郷を裏切るような感覚もあり、すごく悩みましたが、いつまでも家族と離れているわけにもいかないと旭川へ自分が移住することに」

長尾さんはそのとき、すべてを手放して地元・宮城を離れる以上、生半可な気持ちではいけない、旭川に骨を埋めるつもりで行こうと決意。

「旭川をはじめ、上川エリアは原発から直線距離で200㎞以上離れていて、教育や医療、インフラも整っている場所ということで、移住や避難をしていた人が結構多かったんです。しかも旭川市は母子避難した人たち向けの支援が手厚く、うちも自分が宮城にいる間は母子避難というくくりで、かなりお世話になりました。自分が旭川へ移住し、母子避難ではなくなるにあたり、家族には『今度は自分たちが旭川市民として困っている人の支援するくらいの気持ちでマインドチェンジしよう』と話しました」

20260423_asahikawa_machicon_11.JPG撮影中にも声をかけられるなど、今ではすっかり地元の方々に顔なじみの長尾さん。

旭川できちんと頑張っていると宮城の人にも胸を張れるよう、人の役に立つこと、社会に貢献できることをしよう、そして旭川の人たちに愛される人間になろうと強い覚悟を持ったと振り返ります。

「そういう気持ちがあったので、バリバリの移住者ですけど、旭川のために恩返しができたらと、商店会の理事長もエリプラの代表幹事も引き受けさせてもらいました。あと、ちょうど移住して12年目、ジャパチーズを創業して10年になるんですが、買物公園に店舗を構えられたのも本当にいいご縁があったから。そのご縁を大事に、この場所の未来に自分が役立てることがあるならと思っています」

さらに、大学生と高校生になった2人の息子さんたちは、買物公園の人たち、商店会の人たちに育ててもらったようなものと話します。

「うちは子どもを買物公園に放牧していました(笑)。学校から帰ってくると、いろいろな店に『ただいま』と顔を出し、遊んでもらったり、勉強をみてもらったり...。みんな子ども扱いせずに同等に接してくれたんですよね。いろいろな大人たちの生き方や考え方に触れることができ、子どもたちはすごくいい経験をさせてもらったと思います。そういう意味でも何か買物公園に役に立つことがあれば貢献したいと思っています」

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買物公園をイケてる場所にするため、力を貸してくれる協力隊に期待

長尾さんのように買物公園や旭川への強い思いを持って関わっている方々で集まるエリプラのメンバー。個人で参加している人もいるそうで、中でも最年少の男性の言った言葉が印象に残っていると長尾さんは話します。

「彼は普段サラリーマンをやっているんですけど、買物公園の近くに実家があるんです。でも、子どものころに買物公園で休日を過ごしたことがないって言うんです。確か今30歳くらいなんですけど、彼が言うには、買物公園って呼ばれているけれど、閉まっている店も多くて、名前の割に買い物をする場所として機能していない気がすると。それで、彼があり方検討会議のときに、『ここをイケてる休日の過ごし方ができる場所にしたい。買物公園を歩いているオレ、カッコイイと思える場所にしたい』みたいなことを言ったんです。自分としてはそれがすごく印象的で。ここで商売をしているわけでもない普通の市民である彼がすごく一生懸命やってくれているのが素晴らしいと感じています」

20260423_asahikawa_machicon_22.jpg市役所や青年会議所の若者たちが熱意で実験を重ね、日本初の恒久的な歩行者専用道路を誕生させた当時と変わらないのは、今もなお熱い想いを持った人たちがこのまちにいるということ。

旭川市では、そんなエリプラのメンバーと一緒にまちづくりに携わってくれる地域おこし協力隊「まちなかコンサルタント」を募集します。エリプラの一員である「まちなかマネジメント協議会」を拠点とし、買物公園エリア周辺をメインに旭川市内全域で活動してもらう予定だそう。

旭川市の佐藤さんは「まちづくりに興味があり、買物公園で何かやってみたいという気持ちがあって、自分が主となって活動できるバイタリティーがあるのはもちろん、エリプラのメンバーや商店街の方、地域の方とたくさん関わると思うので、皆さんと密にコミュニケーションを取ることができ、地域の縁の下の力持ちとしても活動できる方にぜひ来ていただきたいですね。そして任期終了後も、中心市街地のまちづくりに関わっていただけるとなお嬉しく思います」と話します。

一方、長尾さんは「一緒に楽しんでくれるような人がいいですね。会議が熱くなることもあるけれど、それはみんなが買物公園に対して強い思いを持っているからであって、それを理解した上で熱量を持って一生懸命やってくれるような人、それを楽しめるような人がいいかな。自分も移住者で、買物公園がどういう経緯で誕生したかとか、どんな思いを皆さんが持っているかなど、エリプラに関わって初めて知ったこともたくさんあります。そういうのは周りが教えてくれるので、それらも受け止めながら未来に向けて一緒に取り組んでいけたら」と話します。

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移住者でもある長尾さんは最後に、「こっちに来て思ったのは、とにかく食べ物がすごくおいしい。旭川はおいしいものがいっぱいだから、胃が丈夫な人がいいかも」と笑って締めくくってくれました。実際、地元の牛乳から作る長尾さんのチーズも、奥さまが手掛けるソフトクリームも絶品で、取材スタッフも堪能しました!おいしいものがいっぱいで、熱い人も多い旭川のまちづくりに関わってみたい方は、協力隊の応募をチェックしてみてください。

買物公園エリアプラットフォーム(エリプラ)
電話

0166-25-5316(旭川市都市振興部都市計画課)

URL

https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/kurashi/408/800/d079684.html

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旭川の顔「買物公園」の未来を創る!官民連携組織エリプラの挑戦

この記事は2026年4月23日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。