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函館市

湯の川にたたずむ純和風の宿。五感で愉しむ日本の伝統と癒やし20260323

湯の川にたたずむ純和風の宿。五感で愉しむ日本の伝統と癒やし

たくさんの温泉が湧き出る北海道の中でも、高い人気を誇るのが函館・湯の川。多くの観光客が訪れ、近年は海外からのゲストも急増中。函館の市街地からも市電に揺られて30分、函館空港からも車で10分足らずというアクセスの良さも魅力です。温泉街にはたくさんのホテルや旅館が並びますが、今回はその中のひとつ「旅館 一乃松」におじゃまし、昨年、支配人として着任した奥山雄介さんに話を伺いました。

宿泊者だけが部屋から見ることができる美しい日本庭園や和の設え

大きなホテルが並ぶ湯の川温泉街のメイン通り。賑やかなそこから少し離れたところに建つ純和風の建物が「旅館 一乃松」です。一歩足を踏み入れると、和の雰囲気が感じられる設え。

全館畳敷きになっており、玄関で靴を脱いで上がります。館内のいたるところに季節を意識した和の美術品などがさりげなく飾られ、昔ながらの古き良き日本の「旅館」がそのまま残っている雰囲気です。

「ここ数年、インバウンドのお客さまが増えています。日本らしさが感じられるものに興味、関心を持たれている海外からのお客さまがたくさんお見えになっています。そのほとんどの皆さんが、玄関を入ってすぐ、靴を脱いで入ることにとても驚かれますね」

そう話しながら取材陣を案内してくれるのは、一乃松の支配人を務める奥山雄介さんです。

館内のいたるところに「日本」を感じさせるものがあるため、海外からの観光客の中には部屋に行くまでの間も感激して写真を撮る人がいるそう。刺繍が施してある廊下の飾り畳やかつて使われていたという囲炉裏など、和の風情を感じるものが揃っていることに感動し、カメラに納めたくなるようです。

2602_ichinomatsu-35.jpgこちらが、支配人の奥山雄介さん。

部屋に入ってからも、さらなる驚きがあるそうで、「外からだと分からないのですが、庭を囲むように建物が立っており、すべての客室から日本庭園が見える設計になっています。

海外の方はもちろん、日本人のお客さまたちも、客室に入られると、窓からの眺めを見て喜ばれますね。この日本庭園は当宿の自慢でもあります」と話します。

この旅館ができた約70年前に京都の庭職人が手掛けたという日本庭園。立派な池もあり、そこでは鯉が悠々と泳いでいます。四季折々異なる庭の表情を楽しめますが、特に秋の紅葉は目を見張るものがあるとか。外のけん騒を一切感じさせない美しい中庭は、お客さまたちに特別感も与えてくれます。

2602_ichinomatsu-1.jpg約70年前に京都の庭職人が手掛けたという日本庭園。すべての客室から四季折々の日本庭園を望むことができます。

名物・姫きんきのから揚げなど、部屋で味わう料理長自慢の本格会席

一乃松の自慢はまだまだあります。そのひとつが食事です。

「一乃松は、湯の川温泉の中では珍しく、夕食も朝食も食事はすべて部屋食でご提供しています。庭を眺め、ゆっくりくつろぎながら料理を存分に楽しんでいただければと思っています」

畳の上に座って部屋に運ばれてきた料理を味わうというのも海外からの観光客にとっては新鮮な体験。また、日本人のお客さまでも小さなお子さんがいるファミリー層からは、周りに気を使わずゆっくりと食事が楽しめると評判だそう。

2602_ichinomatsu-57.jpg一番人気の「輝きの膳」。人気名物吉次(きんき)の唐揚げや北海道産牛フィレステーキの饗宴、更に北の味覚のお刺身などの海の幸満載のお膳です。

「料理長は30年以上ここで腕を振るってきたベテラン。素材を見る目も確かで、一品一品心を込めて丁寧に作った料理は、お客さまたちから高い評価をいただいています」

本格和食の会席に用いる食材は、海鮮はもちろん、米も肉も野菜も函館や近郊エリアのものを積極的に使用。どの料理も味はもちろん、用いられている器や美しい盛り付けからもこだわりが感じられます。

「どれもおいしいと皆さん言ってくださるのですが、中でも夕食のご膳に必ずついている『姫きんきのから揚げ』は一乃松の名物。骨までパリパリおいしく食べられるんです。これを楽しみに通ってくださる日本人のお客さまもいらっしゃいます。姫きんきのから揚げのほか、もう一つ、『雲丹鍋』も人気があって、必ずこれを献立に入れてほしいとおっしゃるリピーターの方もいらっしゃいます」

また、函館といえばイカ。朝食にはイカの刺し身が必ずつきます。イカの不漁が続いたときも、長年付き合いのある地元業者の協力もあり、欠かすことなく提供ができたそうです。

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柔らかな湯に浸かれば癒やしの時間。仲居さんとのやり取りも新鮮

そして、忘れてはならないのが温泉です。湯の川温泉は古くから多くの人たちに親しまれてきた歴史ある温泉郷。一乃松の浴場は決して大きくはありませんが、源泉かけ流しの湯を楽しめるのが魅力です。

源泉の温度が高いので加水はしていますが、アルカリ性の柔らかな湯は、肌にやさしく、体を優しく芯から温め、日ごろの疲れを癒やしてくれます。奥山支配人も「温泉好きな方にはぜひ入っていただきたいですね」と話します。

また、仲居さんとのやり取りも一乃松の大きな特徴のひとつだと奥山支配人。

「仲居さんたちはベテランが多く、丁寧な接客や気遣いはもちろんのこと、とてもフレンドリー。日本のお客さまからも、海外からのお客さまからも評判です」と誇らしげ。

近年、宿泊業界も大きく様変わりし、チェックインすると自分で荷物を持って部屋まで行くのが当たり前ですが、一乃松は昔から変わらず仲居さんが部屋まで荷物を持って案内してくれます。

また、食事の用意など、お客さまと顔を合わせる機会も多く、「仲居さんたちもお客さまとちょうどいい距離感でお話をするので、自然と親近感を持っていただけるようです」と奥山支配人。

2602_ichinomatsu-50.jpg「仲居さんたちもお客さまとちょうどいい距離感でお話をするので、自然と親近感を持っていただけるようです」と奥山支配人。

少しずつ改修を続けながら、お客さまが快適に過ごせるように整備

さて、一乃松について案内をしてくれた奥山支配人ですが、支配人になったのは昨年の10月。実はそれまでは同じアンビックスグループの別のホテルに勤務していました。

アンビックスグループは、道内各地でホテルや温泉施設などを運営する会社。小樽出身の奥山支配人は、長く地元の小樽朝里クラッセホテルに勤務していたそう。

「朝里クラッセホテルのあと、同じアンビックスグループの美唄にあるピパの湯ゆ~りん館、羽幌のはぼろ温泉サンセットプラザに勤務し、昨年一乃松に来ました。たくさんホテルを運営している当社の中でも、ここまで純和風の本格旅館は一乃松だけ。私自身も、このような旅館スタイルの施設は初めてで、館内の設えや庭園などの素晴らしさに驚きました。スタッフの皆さんがいつも隅々までキレイに保ち続けていてくれたおかげだと思います」

これまで勤務していたホテルに比べると、一乃松は部屋数が29室と少ないそうですが、その分、しっかりと目が行き届き、より質の高いサービスをお客さまに提供できると話します。今まで培ってきたもの、受け継がれてきたものを大切にしながら、今後はお客さまのニーズにも柔軟に応えていきたいと考えているそう。

ただ、70年以上の歴史がある分、配管など見えない部分の老朽化などは進んでおり、お客さまにより快適に過ごしていただくためにはハード面の改修は必要だと感じているそう。今後は改修工事なども徐々に行っていく予定とのこと。

「見えない部分ですが、故障などでお客さまにご迷惑をおかけするのだけは避けたいので、少しずつ進めていければと思っています。それが終わったら、サービス面も含め、より魅力的な施設と感じていただけるよう見える部分も手を加えられたらと思っています」

増えている海外からの観光客に、宿泊を通して日本文化の体験を

着任から半年足らず。函館の街をまだ全部は回り切れていないという奥山支配人は、「とりあえず定番のラッキーピエロは行きました」と笑います。

函館という街の印象を尋ねると、「小樽、羽幌とこれまでも港町に暮らした経験はありますが、函館は北海道の第三の都市と呼ばれるだけあって街がにぎわっているし、(アニメの)コナン効果もあってか、観光客がとても多いという印象があります。さまざまな観光スポットもコンパクトにまとまっていて、車がなくても市電であちこち行けますし、観光客の方も回りやすいような気がしますね」と話してくれました。

2602_ichinomatsu-37.jpg写真はちょっと緊張気味ですが...(笑)本当は笑顔が一番の自慢です。一乃松自慢の仲居さんたちが、真心込めてお迎えいたします。

「スタッフのほとんどが地元の人なので、おいしい店の情報などローカルネタをよく教えてもらっています。函館のことをたくさん教えてくれるので、休みを使って、個人的に少しずついろいろ回りたいと思っています。お客さまにおすすめスポットを尋ねられた際にも答えられるようにしたいですし」とニッコリ。

スタッフの話が出たところで、働く環境や職場の雰囲気について伺うと、「本当にいいスタッフがそろっていて、とにかくみんな気さく。雰囲気はとてもいいです」と奥山支配人。

「アンビックスグループ自体が、もともと風通しが良く、フレンドリーな人が多い会社なんです。みんなで一緒に施設を良くしていこうという意識が高いので、意見も言いやすく、やりがいも感じられる働きやすい職場だと思います。一乃松でも、スタッフの意見にきちんと耳を傾け、伝統を守りつつ新しい風も取り入れ、みんなで一乃松の魅力を伸ばしていけたらと考えています。また、ベテランの仲居さんの経験力やコミュニケーション力を若い仲居さんたちにも伝授していきたいですね」

2602_ichinomatsu-39.jpg一乃松のことが大好きで、戻ってきちゃいました(笑)。スタッフ同士の絆の強さは、どこにも負けません!そんな心地よい空気感もおもてなしのひとつです。

最後にこれからの目標や一乃松で実現していきたいことを尋ねると、「純和風旅館をもっと前面に打ち出し、今後も増えていく海外からのお客さまに日本らしさを体験してもらえるようにしていきたいです」と語ってくれました。

「昔ながらの日本の宿に泊まる経験を通して、日本らしさを体感してもらう」というテーマを掲げ、日本の季節の行事を体感してもらいたいと考えているそう。たとえば、お正月ならば獅子舞頭を展示するなど、日本の文化や伝統を伝えられたらとのこと。

また、折り紙を用意して折り紙を体験してもらったり、ベーゴマやめんこなど昔の子どもの遊びを体験してもらったりなど、できることから始めていきたいと考えていると教えてくれました。

2602_ichinomatsu-48.jpg笑顔が素敵な奥山支配人。「純和風旅館をもっと前面に打ち出し、今後も増えていく海外からのお客さまに日本らしさを体験してもらえるようにしていきたいです」と語ってくれました。

旅館 一乃松
旅館 一乃松
住所

北海道函館市湯川町1丁目3-17

電話

0138-57-0001

URL

https://ichinomatsu.co.jp/

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湯の川にたたずむ純和風の宿。五感で愉しむ日本の伝統と癒やし

この記事は2026年2月10日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。