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新ひだか町

ふるさと納税で伝えたい。新ひだか町の豊かさと新たな魅力20241010

ふるさと納税で伝えたい。新ひだか町の豊かさと新たな魅力

平成18年に静内町と三石町が合併して誕生した「新ひだか町」は、北海道の南東部・日高エリアのちょうど中央付近に位置する町。競走馬の町としても知られていますが、日高山脈と太平洋という豊かな自然にも恵まれ、農業、漁業、林業も盛んです。また、7町村ある日高管内の中でも大型商業施設がそろう商業都市でもあります。今回は、そんな新ひだか町のふるさと納税について紹介。数年前まで200足らずだった返礼品の数も今では500以上になり、全国各地から新ひだか町に納税寄付する人も増え、中には町のファンになって応援し続けてくれる人もいるそうです。役場でふるさと納税を担当している新ひだか町総務部まちづくり推進課地域活性化・商工観光係の主事・井上和哉さんにお話を伺いました。

20240904_shinhidaka_6.jpg新ひだか町総務部まちづくり推進課地域活性化・商工観光係 主事 井上和哉さん

バラエティに富んだ返礼品でまちの魅力をPR

ふるさと納税のポータルサイトから新ひだか町をチェックしてみると、多種多彩な返礼品がそろっていることに驚きます。競走馬の印象が強い地域ですが、サイトを見ていると、海の幸・山の幸、どちらも揃う食の豊かな町であると実感。

「季節によって獲れるものが異なるので、それぞれ旬のものを返礼品としてアップさせてもらっています。5月ころであれば日高沖で獲れるサクラマス、初夏はアスパラ、夏場は特産品でもあるミニトマトが人気ですね。年明けになると毛ガニを目当てに申し込んでくださる方も増えます。年間通してだと、去年6月から掲載している日高昆布のだしを使ったタレに漬けた牛たんが、現在はとても評判です」

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そう話す井上さんは、ふるさと納税を担当するようになって4年目。令和3年からふるさと納税事業の運営を業務委託している地元の地域商社「みついしょうじ」と共に、町の返礼品の数を500以上に増やした立役者でもあります。

「海と山に囲まれているので、日高昆布や魚などの海産物、それから野菜やお米、黒毛和牛と、返礼品のラインナップを見るとやはり食には恵まれている町だとあらためて思います。町内の生産者さんや事業者さんたちが一生懸命作った魅力あるものを返礼品として紹介、提供し、納税寄付していただいた方たちにも喜んでもらえたらと思っています」

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また、返礼品の内容の充実はもちろん、新ひだか町の町そのものを知ってもらうことも大事だと考え、井上さんは掲載するポータルサイトの数も増やすなど、町のPRにつながることにも注力してきました。

寄付金で開催が実現「うまカルフェス」

ふるさと納税で寄付されたお金は、新ひだか町の観光名所のひとつで約7㎞の直線道路にエゾヤマザクラが咲く「静内二十間道路桜並木」の環境保全や、地域の産業活性化などに使われています。令和5年から開催している「うまカルフェスin新ひだか」の事業にも活用されているそう。

20240904_shinhidaka_9.jpg「静内二十間道路桜並木」 は日本屈指の桜の名所。毎年多くの人が訪れます

「『うまカルフェス』というのは馬の文化祭のような催しで、馬産地である新ひだか町だからこそできるイベント。馬にまつわるワークショップやトークショーなどを行います。昨年初めて開催したのですが、とても好評で、今年も10月26日に開催します」

当日は、競馬評論家の小島太さんと元騎手で調教師となった田中勝春さんのトークショーや、馬のイラストレーター・おがわじゅりさんのおえかき教室をはじめ、馬上から的を弓矢で狙う鏑流馬(やぶさめ)、岩手の伝統行事・チャグチャグ馬コの披露、馬の足を守る蹄鉄作りのデモなどが行われます。

「昨年とても人気だったのが、馬のグッズのチャリティーオークション。G1レースに出た馬が付けていたゼッケンなど、普段手に入らないものが登場するので、これらを目当てに道外からもたくさんの競馬ファンの方が訪れてくださり、とても盛り上がりました。今年もこのオークションは行う予定です」

20240904_shinhidaka_13.jpg新ひだか町ならではのイベント「うまカルフェス」は、馬と思いっきり楽しめるイベントが満載!

また、会場が実際に馬のセリが行われる「HBA北海道市場」ということもあり、高校生までを対象にした本番さながらの「キッズセリ」も行われるそう。

「寄付してくださった方たちにも町を訪れてもらえる楽しいイベントなどを行うなど、これからもあらゆるシーンで有効活用させていただきたいと思います」

返礼品をきっかけに新ひだか町のファンへ

新ひだか町のことを1人でも多くの人に知ってもらい、町を応援してくれるファンを増やすため、日々試行錯誤している井上さん。返礼品の充実を図る中で、町の良さをPRし、実際に町に足を運んでもらえるような返礼品も用意したいと考えています。

「今は食品の返礼品が中心なので、これからは魅力ある体験ものを増やしていけたらと思っています。馬産地であることを生かし、ライディングヒルズ静内という施設での乗馬体験や、生産者の方たちに協力していただき牧場見学などもできないかなと考えています」

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また、この秋に新しい返礼品が登場する予定。それが従来にはない少し珍しい返礼品なのだそう。「馬が大好きで町を応援してくださっている方の中には、ライディングヒルズ静内で飼養する馬にエサを寄附したいとおっしゃる方も...。そこで、そういった方向けに、ライディングヒルズへ牧草を1ロール寄付するという返礼品を設けました」と井上さん。馬の町ならではの返礼品です。

町外のひとにも町内の人にも

ふるさと納税の担当を務めていて、井上さんがやりがいを感じ、うれしいなと思うのは、「返礼品が届いた方からお手紙をいただいたときでしょうか」と話します。「おいしかったです」「素晴らしい返礼品をありがとう」「自然豊かで食べ物もおいしくていい町ですね」「町を訪れてみたいです」など、さまざまなメッセージが届くそう。

「中には、お子さんが町外から静内農業高校へ通っているという保護者の方から、何か少しでも町のお役に立てればという思いでふるさと納税をしていますというメッセージをいただいたこともありました」

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また、このようにせっかく届いた温かいメッセージを町民の人たちと共有し、さらに自分の町でどのような返礼品を出しているかも知ってもらおうと、町民向けにチラシを作ったり、SNSで新ひだか町の返礼品の紹介を行ったり、町内外への発信も積極的に行っています。

さらに、町のプチ情報とふるさと納税に関する案内を載せた「さくらうま通信」というメールマガジンも配信しています。この「さくらうま通信」は、井上さんと一緒にふるさと納税に携わっている職員の髙橋歩さんが、写真も撮影し、リアルな町情報を載せているそうです。

「コツコツとですが、こういう活動を続けていくことで、町の人にも町外の人にも新ひだか町のふるさと納税に関心を持ってもらえたらと思います」

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返礼品を送る際には、町の風光明媚な景色の写真をポストカードにしたものを同封しています。感謝の気持ちを込めたこのポストカードは、町内の事業者さんからの発案だったそう。小さなことでもこういう取り組みが、引き続き新ひだか町を応援してくれるきっかけや、いつか町を訪れてみたいという動機になるかもしれません。

町の高校生と一緒に特産品づくり

井上さんは、まちづくり推進課地域活性化・商工観光係としてふるさと納税を担当しているほか、静内農業高校の生徒たちが町の事業者と連携して特産品開発に取り組む「静農ブランド開発促進プロジェクト」も担当しているそう。
「静内農業高校」のくらしごと記事はこちら

「学校の授業の一環として、豊富にある町の農産物や海産物を生かし、高校生たちに特産品を考えてもらいます。この特産品開発に関わって今年で3年目になりますが、難しいことももちろんあるものの面白く、やりがいを感じることもたくさんあります」

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毎年4、5品の特産品を開発し、販売まで持っていくそう。高校生が考え、試作を繰り返し、最終的に町の事業者が協力して商品化します。パッケージ案も高校生たちが考え、それをプロのデザイナーが形にします。

「商品化したものは、『静農ブランド』として大阪や札幌のイベントで販売。その際も高校生たちが店頭に立ち、実際にお客さんたちとやり取りをして、自慢の商品を販売します」

これまで発売になったものは、スイーツや調味料などさまざま。たとえば、桜とホウレン草の2種類ある「静農マドレーヌ」、静内産のお米「万馬券」の米粉を使った「静農馬サブレ」、昆布を食べて育ったブランド黒毛和牛から作った肉にかける万能ソース「牛肉の旨味たっぷりの万能肉ソース」など。催事以外では、町の観光情報センター「ぽっぽ」の売店で購入ができます。商品によっては、開発に携わった事業者の店舗や通販サイトなどでも販売しているそうです。

20240904_shinhidaka_11_hp.jpg札幌での販売イベントの様子。開発に携わった高校生たち自身が販売を担当しました

「本当にどれもクオリティーが高く、新しい町の特産品として定着させたいと思います。地元の人たちにもっと知ってもらい、手土産に使ってもらえるようになったらいいなと思いますし、逆に観光で訪れた方たちにもお土産として手にしてもらえたらと考えています」

中にはすでにふるさと納税の返礼品になっているものもあるそうで、静農ブランドのさまざまな商品が町の土産物の定番となる日もそう遠くはないかもしれません。

実際にこの町に訪れてもらえるように

生まれ育ちも新ひだか町という井上さん。札幌の専門学校を出たあと役場に入り、福祉課、農政課、そしてまちづくり推進課へ。

「新ひだか町は、都会ほど人が多くなくて暮らしやすいと思います。自分も町が好きだったので札幌から戻って役場に入りました。町の規模もそこそこあるので、買い物なども不自由はないですし、夏は涼しく、冬は雪が少なく、過ごしやすい気候も気に入っています。移住してきた方たちに聞いても、住みやすいという声が多いですね」

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今年6月には、新ひだか町も含む13市町村にまたがる「日高山脈襟裳十勝国立公園」が誕生。国内最大の面積を誇るナショナルパークとして話題を呼んでいます。

「登山などで日高エリアを訪れる方も増えると思います。まだいろいろ整備をしているところでもありますが、今後、体験ものの返礼品を考える際に、国立公園を絡めたツアーや体験ものなどの企画も立ててみたいですね」

井上さんが携わるふるさと納税も、「静農ブランド開発促進プロジェクト」もまだまだ挑戦は続きます。「ふるさと納税をきっかけに町のことを知ってもらい、さらに町に人を呼び込み、町の良さや魅力に触れてもらいたい」と最後に話してくれました。

新ひだか町総務部まちづくり推進課地域活性化・商工観光係
新ひだか町総務部まちづくり推進課地域活性化・商工観光係
住所

北海道日高郡新ひだか町静内御幸町3丁目2番50号

URL

https://www.shinhidaka-hokkaido.jp/hotnews/detail/00002606.html

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ふるさと納税で伝えたい。新ひだか町の豊かさと新たな魅力

この記事は2024年9月4日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。