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まちおこしレポート
富良野市

親子ワーケーションで富良野をまるごと体験!20240823

親子ワーケーションで富良野をまるごと体験!

「自然豊かなところで子育てがしたい」
都市部で子育てをしている方から、そうした声をよく聞きますが、今の環境を変えて田舎へ移住するのはハードルが高い。ましてや都会で生まれ育った人なら、なおのことです。

そんな、自然豊かなところで子育てをしたいパパママの想いと、昨今話題となっている「ワーケーション」を組み合わせた「親子ワーケーション」を実施しているのが、以前くらしごとの記事でもご紹介しました北海道富良野市です。

富良野市といえば一面に咲き誇るラベンダー畑や、大自然が織りなす四季折々の景色、豊富な農産物、冬はパウダースノーを満喫できるスキーリゾートなど、1年を通して楽しめることから、年間180万人以上の人が訪れる北海道有数の観光地。

その富良野市が2019年から取り組んでいる「ワーケーション」は、「Work(ワーク)」と「Vacation(バケーション)」を合わせた造語で、コロナ禍以降リモートワークが普及したことをうけ、全国にも広がりを見せている地方創生の新しい動きのひとつです。

そこで「旅先でワーケーションしたい×子どもたちを自然豊かなところで育てたい!」という、両方の願いを叶えようと富良野市が今年度から「短期入園サポート」「親子ワーケーション向けの助成制度」を企画したところ、7組の申込があり、早速体験に来られている方がいらっしゃるとの一報を受けたため、富良野にひとっ飛びして、お話を伺ってきました!

子どもたちにもっと自然と触れ合う体験を!

026_fws.jpgこちらが、富良野市の親子ワーケーションに参加した竹下裕子さん。

今回お話しを伺ったのは、この親子ワーケーションを利用して富良野へ訪れた竹下裕子さん。広島県出身、東京都在住の裕子さんは6歳の瑞希ちゃんと、3歳の暁人くんと3人でやってきました。

「子どもたちにもっと自然と触れ合って欲しい!」と、保育園留学を中心に自然体験できるところを探していたものの、どこもキャンセル待ちばかり。せっかく夏に行くなら、東京より涼しいところがいいなぁと思った矢先、ネットニュースで富良野市の親子ワーケーションの記事に目が留まったのが、今回の体験のきっかけでした。

「10年前に一度、旅行で富良野を訪れたこともあったので、あの大自然を子どもたちに体験させてあげられる!しかも、仕事をしている間子どもたちを見ていてくれるなら、ゆっくり滞在ができる!」と、すぐに富良野市役所へ問い合わせたそうです。

049_fws.jpg令和4年9月26日に富良野市複合庁舎が開庁しました。

富良野市では、市内の幼稚園、認可外保育園などと提携し、申し込みされた方の希望条件などから、滞在中に利用する園を選べるようになっています。幼稚園が選べると言っても、初めて行くことには変わりなく、また事前の見学もできないなど、不安もあったのでは?とたずねると...

「事前にオンラインでの顔合わせがあり、子どもたちのことや、園の方針もうかがえたので、通園に関する不安はありませんでした。それに、東京では姉弟で別々の園に通っていたのですが、富良野では一緒の園に通えることになったのが嬉しかったです!」と裕子さん。

ここで気になるのがお子さんたちの気持ち。初めて行くまち、初めて行く幼稚園のこと、どんな風にお話ししたのでしょうか?

012_fws.jpg「ママがお迎えにきた〜!」と喜ぶ子どもたち。眠たい目をこすりながら、手を繋いで帰ります。

「瑞希は好奇心旺盛なので、北海道へ行くこと、新しいお友だちができることを伝えると、すごく楽しみにしてくれました。暁人は内弁慶で、環境が変わることに不安もあったので念入りに説明して、ちゃんと東京のお友だちのところに帰れることも伝えて、なんとか納得してもらいましたね」と、ここはそれぞれに反応が違ったようです。

実際、暁人くんは、入園後2日は泣きながら通園したそうですが、3日目からは新しいお友だちもできて、楽しく通園できていると、幼稚園に取材に行った時も、かわいい笑顔を見せてくれました。

「一番驚いたのは、瑞希が通園初日から、とび箱9段飛べるようになって帰って来たんです!」と、裕子さん。これには編集部もビックリ。

083_fws.jpg瑞希ちゃんの跳躍力!まだまだ飛べそうです...。

今回裕子さんが選んだ幼稚園は、富良野市内でも特にスポーツと音楽教育に力を入れている「富良野みどり幼稚園」。体を動かすことが好きな瑞希ちゃんのために、ここを選んだそう。

「東京でも体操教室に通っていて、6段は飛べていたんです。富良野みどり幼稚園はヨコミネ式を取り入れてると聞いていたので、子どもたちによさそうだなと思ってはいましたが、本当に選んでよかったです。飛んだ本人も『こんなに飛べるの?!』と驚いていたし、すごく嬉しそうでした!」と、話す裕子さんの笑顔からもその時の喜びと共に、安心して幼稚園に預けられていることが伝わります。

親子ワーケーションとは言え、昼間は別々の場所で過ごす以上、子どもたちが楽しく過ごせているかということは、パパママにとっては一番気がかりなところなので、安心できる環境があるというのは、すごい魅力です。

082_fws.jpgスポーツと音楽に力を入れている富良野みどり幼稚園。先生が子
どもたちをしっかりサポート。

自然を感じながら田舎すぎない暮らしができるまち

続いて、富良野の暮らしや、ワーケーションについても聞いてみると...
「なんでも揃っているので、不便なく楽しめています!」とニッコリ。

裕子さんが滞在しているのは、今回、親子ワーケーションの滞在施設として市が紹介した、富良野市街地の民間物件の短期滞在住宅(アパート)。家具・家電、食器などが揃っているため、東京からは衣類を持参、滞在初日に日用品や食品を購入し、2日目からは普段どおりの生活をスタートできたそう。

「普段2画面で仕事をしているのですが、大きなモニターは市から借りることができたので、パソコンで仕事をしている人にとっては嬉しいサービスだと思います」と、普段の仕事の様子も見せてくれました。

032_fws.jpgインターネットサービス会社に勤める竹下さん。市のワーケーション担当者に「モニターが欲しい...」と要望すると、すぐに準備してくれたそう。

「ひとつ、大きく違うことといえば・・・」と、教えてくれたのは「車の運転」。東京ではペーパードライバーだった裕子さんですが、今回の滞在ではレンタカーを利用しています。

「市役所の方から事前に車があったほうがいいと教えていただいたんです。久しぶりの運転にドキドキしましたが、東京と違って道幅も広く、富良野市内はどこも一車線で、難しい車線変更もないから、思っていたより大丈夫でしたね。それに、親子ワーケーションの助成金もあったので助かりました!」

そうでした!今回の「親子ワーケーション」は、2週間以上の滞在という条件こそありますが、参加者には滞在費やレンタカーの助成制度があるのです。これから参加を検討される方のために、滞在費用についても教えていただくと...

「家賃(宿泊費)補助が10万円限度に2/3、レンタカーは5万円を限度に1/2補助があり、滞在にかかった費用は2週間で15万円くらいですね。この他に幼稚園の預かり保育料、食費・日用品などの生活費、あとは飛行機代です。もともと保育園留学を考えていたので、それと比べたらトータルは同じか、少し安いくらいになりましたし、仕事をしながら滞在できたので結果的によかったです」

食費・日用品などの価格は、首都圏と同じくらいということなので、どちらで過ごしてもかかるとすると、夏の北海道に2週間滞在する費用としては、安いのかもしれません。

肝心の自然体験は?というと「平日は幼稚園の帰りに市役所の中にある『へそキッズランド』へ行くのが定番コースです。自然ではないけれど、こんな室内スペースを無料で利用できるというのは東京じゃ考えられないし、子どもたちが喜んでくれるので、嬉しいです」と、滞在1週間にして既にルーティンができている様子。

052_fws.jpg写真の右奥にあるのが、「へそキッズランド」

「仕事をしていると平日はゆっくり時間を作れないので、自然体験は週末に集中していますね。この辺は行きたいところが多すぎて...。この土日は美瑛や上富良野、そしてトマムまで足を伸ばして楽しんできました」と、ペーパードライバーだったことが信じられないほど、アクティブに過ごされている裕子さん。富良野市がちょうど中心になるものの、トータル200kmのドライブです(笑)

「自然体験というか幼稚園での生活そのものが、東京とは違うんですよね。広い園庭、毎日のプール遊び、自然がすぐそこにある環境。どれもこれも、やっぱりここに来てよかったと思いました」と、富良野の子どもたちにとっての日常が、既に自然に溢れていると教えてくれた裕子さん。

「今回お世話になった富良野みどり幼稚園さんでは、短期滞在だけど、幼稚園のお泊り保育や、富良野市の一大イベント『北海へそ祭り』の『子どもへそ踊り』に参加するなど、他の子と一緒に行事にも参加させてもらえるんです。瑞希に新しいお友だちと一緒にお泊りできることを伝えたら『え?いいの?嬉しい―!』と、大喜びでした。『子どもへそ踊り』はまだ想像ができていないらしく、ちょっと不安そうな顔も見せていましたが、『北海へそ祭り』に合わせてパパも富良野に来るので、家族にとっても楽しい想い出になると思います」と、ここでパパ登場!

075_fws.jpg富良野市の名物「北海へそ祭り」で「子どもへそ踊り」を披露するために猛特訓している様子。

今回の親子ワーケーションは、裕子さんと、瑞希ちゃん、暁人くんの3人がメインでしたが、パパも土日と夏休みを繋げて数日ですが、一緒に過ごせるそうです。

最後に富良野での親子ワーケーションの感想を伺うと、こう話してくれました。

「夫の仕事もあるので、今のところ移住というのは視野に入っていないんです。ただ、富良野に親子で来てみて、子どもたちが幼稚園で楽しんでいる姿や北海道の自然を楽しんでいる姿を見たら、また家族で来たいなぁって素直に思いましたね」と、旅行とは違う魅力があったのだとか。

096_fws.jpg竹下さんの長男・癒やし系アイドルの暁人くん。

「コワーキングスペース機能を持つカフェでは幼稚園のお友だちの保護者の方がいて、すごく気さくに話しかけてくれたり、富良野のおいしいものを教えてくれたり。そして、幼稚園の先生方や、市役所の担当者さんもすごく親身になってくれるので、どれもこれも想像以上によかったです」と、富良野で暮らす人の温かさを感じられたことも「また来たい」と思う一因になっているのは間違いありません。

「子どもたちはまだ『雪』をちゃんと見たことがないので、本当は冬も来てみたいけど、冬道が不安で・・・」と、これにはまた不安を取り除く何かが必要かもしれませんが、ぜひ「また来たい」という想いが叶って、裕子さんたち家族が富良野で過ごせることを願うばかりです。

子どもたちは可能性がいっぱい!富良野みどり幼稚園での短期入園

さて、続いておじゃましたのは、瑞希ちゃんと暁人くんが通っている、富良野みどり幼稚園。園庭では「子どもへそ踊り」の練習に励む子どもたちの元気な声が響いています。お話しを聞かせていただくのはスタッフの海老名千明さんです。

幼稚園というと、一般的には毎年4月に新園児が入園し、1年を通した教育プログラムがある中、今回の短期入園の受け入れについて、どのような想いがあったのかを聞いてみました。

060_fws.jpgこちらが、富良野みどり幼稚園の海老名千明さん。

「どんな子どもたちにも、可能性を持って成長できる環境を富良野で創りたいという想いで、富良野みどり幼稚園を運営しているんですが、年々子どもも、若者も減ってきていて...。そんな中、市役所が市外から来られる親子を受け入れる取り組みを始めていると聞き、富良野の暮らしを体験してみたいという方がいらっしゃるのであれば、私たちも協力したい!という想いから今回受け入れ幼稚園として手をあげさせていただきました」と積極的に受け入れを決めたそう。

「幼稚園というと、単純にお子さんを預けるというイメージがあるかもしれませんが、私たちは『お子さんの命』を預かっているので、誰でもいつでもいいですよ!とはならないんです。今回の親子ワーケーションでは、市が間に入ってくれて、入園時期の調整のほか、事前にオンラインで顔合わせの時間を作ってくれるなど、私たちが求める準備に協力してくれたのも、安心して受け入れられるポイントでしたね」と、入園する側、受け入れる側、双方にとって事前の顔合わせが有意義だったことがわかります。

幼稚園での生活を通して「心の根っこ」を育てたい

さて、ここで瑞希ちゃんたちの園での様子も見ていってください!というお言葉に甘えて、園の中も案内していただきました。奥のホールでは、逆立ちの練習をする子や、跳び箱の練習をする子など、楽しそうに挑戦する子どもたちの笑顔と笑い声が飛び交います。

そして、音楽教育にも力を入れているという本気が伝わる、楽器のラインナップ。これは、子どもたちも様々な経験ができて楽しそうです。

「瑞希ちゃんと子どもたちが打ち解けるのには、時間はかかりませんでしたね」と、海老名さん。
瑞希ちゃんや、周りの子どもたちの様子からも、仲良く過ごしていることが伝わります。

071_fws.jpg楽しそうに水遊びをする子どもたち。

「ほとんどの子が入園から卒園まで同じメンバーで過ごすんですけど、瑞希ちゃん、暁人くんが来ることを伝えると、みんなすごく楽しみにしていましたよ」と、これは短期入園で預けるパパママにとっても、嬉しい言葉。そして「瑞希ちゃんや、暁人くんが短期入園だからといって、特別扱いはしていないんです」と、子どもたちを見つめながらこう続けます。

「ここでは『心の根っこ』を育てるということを大切にしています。だから、たくさん挑戦もするし、失敗もする。失敗も、怒られることも全部OK!そして、挑戦してできるようになったら、もっと難しいことに挑戦する!」

すごく理想的な環境に思えるものの、子どもの特性を考えた時に、それがプレッシャーになる子もいるのでは?とたずねると...

016_fws.jpg暁人くん・・・。お昼寝中に起こしちゃってごめんね〜(涙)

「そうなんです。子どもたちは園でめいっぱい頑張っています!そして、私たちも精一杯子どもたちと向き合っています。ただ、園だけの努力では、その子の可能性を伸ばしきれないんですよね。だからここでは、保護者との連携もすごく大切にしています。瑞希ちゃんのお母さんにも、些細なことでも伝えて欲しいとお願いしていますし、こちらからも伝えるようにしています」と聞き、瑞希ちゃんが初日から9段も飛べるようになった秘密がここにあるのではと感じました。

東京では体操教室に通っていたことや、瑞希ちゃんの性格など、オンラインの顔合わせで伝えていたからこそ、先生方も初日から瑞希ちゃんの対応を考えることができ、結果として瑞希ちゃんもすぐに新しい環境に馴染むことができて、安心して跳び箱9段に挑戦できた。

跳び箱を飛ぶことがゴールではないけれど、「心が安心できる」というのは、子どもたちが挑戦する時には欠かせないポイント。初めて訪れる富良野の町、初めての幼稚園、新しいお友だち、期待と不安で胸いっぱいな子どもたちの心に寄り添い「安心できる環境」を作ることは簡単ではない中、そこに丁寧に向き合ってくれる先生方がいるのは、保護者にとっても大きな安心材料になります。

094_fws.jpg富良野みどり幼稚園では、保護者との連携を大事にしながら、不安なく預けられるような環境づくりを行っています。

今しかない「特別な時間」をもっと楽しんで子育てして欲しい

ただ、ひとつ大切にして欲しいことがあるとも海老名さんは教えてくれました。

「これは全ての保護者の方に知っていただきたいんですが、幼稚園に通う年代の子どもたちと過ごせる時期って、じつは本当に短いんです。『かけがえのない時間』と言っても過言じゃないくらい、短くて、取り戻すことができない特別な時間...。子どもたちを育てるために『仕事』をするのも、親として当然のことかもしれませんが、ぜひもっと子どもたちと過ごして欲しい。一番かわいい時期をもっと楽しんで欲しい。そのために幼稚園や、保育施設をうまく活用して欲しいですね」と、微笑む海老名さん。

ご自身も子育てを経験しているからこそ、その取り戻せない時間への想いが募ります。

063_fws.jpg

「特に、親子ワーケーションでは、半分旅行気分で来られる子どもたちもいると思うんです。パパママと遊べると思ったのに、普段と同じ時間しか一緒にいられない。ましてや、子どもたちは新しい環境に慣れるまで、みんな頑張っています。だからこそ、いつもより5分でも10分でも多く子どもたちと過ごしたり、甘えたり、子どもたちが安らぐ時間を作って欲しいんです」と、たくさんの子どもたちを見て来ている海老名さんの言葉は胸に沁みます。

「せっかく親子で来るって決めたこの体験が、ご家族みんなにとって『来てよかった』と思える体験になって欲しいですよね!!私たちも、富良野みどり幼稚園で過ごした日々が、そのご家族にとってプラスになったら嬉しいです!」と海老名さんの、子どもたちだけじゃなく、幼稚園に通う家族まるごと包み込むような想いに、胸が熱くなりました。

きっと、親子ワーケーションで紹介される園、それぞれの魅力があると思うのですが、こうした園や先生方との出会いも、この親子ワーケーションの魅力のひとつかもしれません。

054_fws.jpg笑顔がステキな海老名ご夫妻。

ただいま!おかえり!と言える富良野に

最後に今回の短期入園サポート、親子ワーケーション受入を企画した、富良野市役所シティプロモーション推進課の松野さんに、お話を伺うと「ただいま!おかえり!と言えるまちにしたいんですよね」と、笑顔で話す松野さん。地方創生の一環として、目先の移住・定住といった背景があって企画したのかと思ったのですが、松野さんの想いは違いました。

「富良野市も他の自治体同様、以前は移住に力を入れていたんです。いや、今も力を入れています(笑)ただ...」と、少し間を開けてこう続けました。

「移住を自分ごとに置き換えて考えると、居住地に仕事もあって、子どもや、その周りの環境もある中『移住相談しました!はい。移住します!』『移住体験しました!はい。移住します!』なんて、そんな簡単に決められませんよ」と、移住相談される方々の状況を、自分事として捉えて、こうした事業全体を俯瞰(ふかん)して考えてみたと教えてくれる松野さん。

037_fws.jpgこちらが、富良野市でワーケーション受入を担当している松野健吾さん。

「今の50代以上の世代では、ドラマの舞台としての富良野を知る大ファンが一定数いらっしゃったので、移住相談や実績も他地域に比べプライオリティ(優先)がありました。でも、独身・子育て世代の20代30代の方にとって富良野は、北海道の観光地の一つに過ぎず、全国の自治体の移住情報や助成金などのインセンティブをネットで検索できる中、富良野を好きになる、関わりしろを作るきっかけって何だろうって考えたんですよね」と、真剣な表情も見せます。

「まずはワーケーションなど中長期滞在で、観光プラスαの視点で富良野ってまちを知ってもらうこと、さらに地域住民と関わり自分の居場所を見つけることかなと。そして、また来たいなぁ...って思った時、来れる場を用意したい!『ただいま!おかえり!』って言えるような関係の人を増やしていきたい!そう思ったんです。移住だけが富良野に関わる選択肢じゃなく、再訪でもいい。富良野を好きな人が増えて、富良野を好きな人が、富良野と関われるような仕組みを創る。そうして関わっていく中で、いつか移住って選択肢が出てきてもOKだし、出てこなくてもいいんです。」と、どっちもOKという懐の広さ。これは松野さん自身の声ではありますが、「関係人口」創出の事業を進める、市としての在り方もあるのだなと感じます。

富良野のワーケーションでは、任意参加ではあるものの、ワーケーションで繋がりを持った方とのFacebookグループや、LINEグループがあり、滞在前・中・後も富良野情報のお知らせや、首都圏での交流会を開催するなど、一度の滞在だけではなく、継続したお付き合いも続けているそう。こうした「つながり」も、富良野にまた行きたいと思うきっかけになっているのは間違いありません。

047_fws.jpg親子ワーケーションを通じて、「富良野市を第2・第3の故郷にして欲しい」と話す松野さん。

「大人だけをワーケーションで受け入れている時は、ホテルなどの宿泊施設と、ワーク環境があればなんとかなるものの、『子どもたちはどうやって過ごすのか』となった時、これはもうシティプロモーション推進課だけの問題ではなくなって教育委員会や、幼稚園などを管轄するこども未来課にも相談しました。そして、市内の幼稚園、保育園、学童保育や小学校の協力、そしてアパートなど民間事業者の協力、この全てが揃ってこそ実現できた事業なんですよ」と、協力してくれた方々への感謝を綴ります。

「親子ワーケーション受入による各種調整の事務量は増えましたが、子どもたちの笑顔を見たら『やってよかったー!』ってなりましたね」と、目じりが下がりまくりの松野さん。

「来年『ただいまー!』って言って、また体験に来てくれたら、泣いちゃうかもしれません(笑)」と冗談交じりに話していますが、取材中、瑞希ちゃん、暁人くんをあやしていた松野さんは、孫をかわいがるおじいちゃんのよう。

017_fws.jpg「孫のようにかわいいよ...」と話す松野さん。ワーケーションを検討している方はぜひ松野さんにご連絡を(笑)

「富良野で生まれ育った子には、ここが故郷だって感じながら育って欲しいって思うじゃないですか。それと同じで、親子ワーケーションで来てくれた家族にとって富良野が第2・第3の故郷みたいになってくれたらいいなと思っているんです。つい帰りたくなるっていうんですかね。『帰りたくなる故郷』のきっかけが、『コト』なのか?『モノ』なのか?『ヒト』なのか?含め、再訪したくなるような機会を創出し、印象を与えなくちゃいけませんが、地元の子どもたちにとっても、体験で来てくれた子にとっても『富良野を好きになる』きっかけをどんどん創っていきたいですね!」

どこの自治体も課題をあげたらキリがないし、継続的に地方に人を呼び込むという事業に正解はないのかもしれません。でも、「こう在りたい」という、在りたい姿を叶えるというのが、人の心に繋がるきっかけなんだなと、松野さんのお話しを聞いて感じました。

「ただいまー!」と言って富良野に帰りたい方はもちろん、まだ富良野に訪れたことがない方も、ぜひ親子ワーケーションを体験してみてはいかがでしょうか?

景色だけじゃない、富良野の温かい魅力が満喫できますよ。

024_fws.jpg竹下さんは、「不安なく過ごせたのは松野さんが親切に対応してくれたから。松野さんが担当で本当に良かったです」と話します。みなさんもぜひ富良野市で親子ワーケーションを体験してみては?

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富良野市総務部シティプロモーション推進課
住所

北海道富良野市弥生町1-1

電話

0167-39-2277

URL

https://www.city.furano.hokkaido.jp/

●ワーケーション公式サイト「ワーケーションフラノ」
https://furano-workation.com/

●移住公式サイト「リビングフラノ」
https://furano-iju.com/

●しごと情報サイト「フラノジョブスタイル」
https://furanojob.com/

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親子ワーケーションで富良野をまるごと体験!

この記事は2024年7月22日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。