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まちおこしレポート
登別市

空き教室を有効活用し、サテライトオフィスをオープン20221117

空き教室を有効活用し、サテライトオフィスをオープン

東京工科大学、日本工学院専門学校などを擁する学校法人片柳学園。同学園が1982年に北海道で開校したのが、登別市にある日本工学院北海道専門学校です。豊かな自然に囲まれた広大なキャンパスでは、道内外から集まった学生たちが学んでいます(中には留学生も!)。

この春、同学校内に新たに誕生したのが、サテライトオフィス「en(エン)」です。

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専門学校の中にサテライトオフィスができた理由とは...

日本工学院北海道専門学校は、4年制のITスペシャリスト科、2年制の情報処理科、CGデザイナー科、医療事務科、ホテル科、建築学科、電気工学科、自動車整備科、公務員2年制学科、公務員1年制学科の10の学科を有する総合専門学校。


一流の講師陣のもと、卒業後、即戦力として活躍できるよう、広い敷地内に用意された各学科の設備や施設をフルに活用し、学生たちは日々目標に向かって学んでいます。東京の大学で教えている講師がオンラインで授業を行うなど、登別にいながら東京と同じレベルの学びができるという強みも持ち合わせた学校です。

nihonkougakuinn3.JPG最新の教室で学生たちもイキイキと過ごしているのが印象的でした

さて、そのような専門学校になぜサテライトオフィスが誕生したのでしょうか。

サテライトオフィスとは、本社とは別に設けられたオフィス拠点のこと。近年、働き方改革やコロナ禍におけるリモートワークの増加に伴い、本社から遠く離れた場所にサテライトオフィスを設ける企業も増えています。

サテライトオフィスとして使用できる施設を構内に作った大学はあるそうですが、専門学校内に作ったのは全国では日本工学院北海道専門学校が最初。サテライトオフィスを作ることになった理由について、同学校の事務部事務課課長の今和巳(こんかずみ)さんに伺いました。

nihonkougakuinn4.JPGこちらが今さんです。

「5、6年前から空き教室を何か地域の活性化に繋がるようなものに活用できないかという話が校内で出ていました。その中のアイデアで企業誘致の案が上がり、登別市にも相談。何度も話し合いを重ね、2021年度に地方創生テレワーク交付金を活用してサテライトオフィスを整備することになりました」

当初はインキュベーション(※)施設的なものを想定していたそうですが、設備面の先行投資額があまりにも大きすぎたため断念。ネットワーク環境を整え、場所をレンタルするサテライトオフィスに切り替えました。コワーキングスペースも用意し、ワーケーションでの利用も可能にしました。

※...起業および事業の創出をサポートするサービス・活動のこと

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学生にも、まちにもプラスになる要素がいっぱい

学校の建物内にこのようなサテライトオフィスの場所を作ることで、学校側としてはどのようなメリットがあるのでしょうか。場所の有効活用はもちろん、学生たちにとってプラスになることが多々あると考えていると今さんは話します。


「オープンから数カ月しか経っていないため、まだ準備段階なのですが、サテライトオフィスを利用してくださる企業の方たちと学生が交流を持つ機会をどんどん設けたいと考えています。サテライトオフィスが学校内にできることで、学生たちが刺激され、学ぶことに対してより意欲的になるのではと考えており、働くということに対してのイメージも湧きやすくなるのではと考えています。また、企業の方と学生とで共同のプロジェクトを行うことも可能。特にシステム開発系を学ぶITスペシャリスト科、情報処理科や、クリエイティブなCGデザイナー科、建築学科と企業との共同プロジェクトが行われれば、何か新しいものが生まれるかもしれません。そして、インターンシップや就職時のマッチングにつながればという期待もしています」

nihonnkougakuinn7.JPG学生さんたちの真剣な眼差しが熱い

まるでその期待に応えるかのような出来事が実は最近あったそう。登別市で企業研修型ワーケーションを2回ほど行った際に、同学校の学生たちもプログラムに参加。みんなで地域の課題解決を話し合いました(ちなみにこのときのテーマは「カルルス温泉の活性化」)。

「このときプログラムに参加したITスペシャリスト科の学生が、プログラム終了後に参加企業の方から声をかけていただき、オンラインでアルバイトをさせてもらうことに。このような機会がこのサテライトオフィスからもどんどん増えていったらと思います」

また、このサテライトオフィスで法人登記ができるサービスも用意。「お客様、あるいは学生がここで起業したいと思った際、法人登記できるようにと考えサービスを作りました。近い将来、登別に残って起業してくれる学生が出てくれたらと考えています」と、描いているビジョンも教えてくれました。

学生がここで起業したいとなった際に、起業、創業に関することをきちんと理解しておきたいからと、今さんは地元の商工会議所が実施している創業塾に入塾し、創業までのプロセスなどを学んだそう。今さんが「en」に掛ける熱意が伝わってきます。

nihonnkougakuinn8.JPG学生が登別市から請け負って制作した市内で使えるグルメチケットなど

市としても、サテライトオフィスができることで人口が増え、今さんが期待するように学生たちが残ってくれるとなると、まちの活性化に繋がると希望を持っているそう。

「登別はこれまで観光に力を入れてきたまちだったので、移住という観点はあまりなかったのかもしれません。しかし、今では移住や企業誘致にも前向き。市はもちろん、商工会議所にも協力してもらいながら、サテライトオフィスの土台をしっかり固めていきたいと思っています」と今さん。

洗練されたデザインのコワーキングスペースとレンタルオフィス

今さんに広い学校敷地内を案内してもらいながら、サテライトオフィス「en」へ。窓の外には緑豊かな景色が広がり、途中には立派な中庭や体育館の建物が見えます。

トレーニングルーム、テニスコートなどもあるそうで、「サテライトオフィスを利用してくださっている方たちには、空いているときであれば自由に利用していただけます」と今さん。

オフィス利用だけでなく、体を動かすことができたり、リラックスできたりするスペースがあるのは、オフィスを利用する方々にとっても大きなポイントになりそうです。

「en」には、4つの部屋が用意されています。1つはコワーキングスペースとして利用できる「Wood」。元々教員用の部屋だったという場所を落ち着きのある雰囲気にリノベーション。中央に大きなテーブルが置かれ、壁側には左右に仕切りのあるブース席があり、ほかに2人用の席とゆったりしたソファ席が設置されています。ミニキッチンもあり、コーヒーメーカーなども利用ができます。

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「Wood」のほか、「Stone」「Water」「Leaf」とそれぞれ部屋のコンセプトが違う3つのレンタルオフィスが用意されています。雰囲気や造りは異なりますが、どの部屋のインテリアも洗練されており、まるでドラマに出てきそうなオフィス。これらは、1つの企業または団体での契約となるそう。4つの部屋のほかにも、セミナーなどで使える部屋やオンライン会議用の小部屋なども用意されています。

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登別市と共同の取り組み。学生と地域の人も集まれる場所に

「en」の受付なども行っているのが、「Wood」に常駐している小荒尚幸(こあらなおゆき)さん。登別市の地域おこし協力隊員です。ここの受付や企業誘致活動のほか、移住に関することなどを担当しているそう。


nihonkougakuin22.JPGこちらが小荒さん

愛知県出身の小荒さんは、「en」のオープンに合わせて地域おこし協力隊員として登別へ。温泉があり、山も海も近くにあり、北海道の中でも雪が少ない登別は、「とても恵まれた環境だと思います。スーパーや飲食店もあるし、生活をするにあたって不便なことは何もないです」と話します。

「登別=温泉というイメージですが、温泉以外にも登別には魅力がたくさんあると思います」と小荒さん。新千歳空港や苫小牧港からのアクセスの良さも利点ですし、豊かな自然を生かしたアクティビティや海と山に囲まれているからこそ味わえるおいしいものもあります。

「温泉と大きな観光施設のことだけでなく、移住や長期滞在も意識した情報発信ができればと考えています。そうした発信を通じて、サテライトオフィスの設置を検討している企業の方にPRしていければと考えています」と続けます。

最近は、サテライトオフィスの視察や利用に関する問い合わせも増えているそうです。

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また、ワーケーションで登別に滞在している方や道内を旅して回っている方のコワーキングスペースの利用も増えています。ちょうど取材した日も東京から来た旅行者の方が急ぎの仕事で利用されていました。

コワーキングスペースの利用料は、利用時間に関わらず1日1000円とお手頃。

小荒さんは、「少しずつ増えているとはいえ、もっとここのことを知ってもらい、コワーキングスペースの利用者の数を増やしていきたいと思っています。周知活動にも力を入れていきたいですね。また、私自身もまだまだここの学生たちと交流ができていないので、学生と一緒にここを使ったイベントを企画したりしたいです。先生たちにも授業の一環でこの場所をうまく活用してもらえたらとも思いますし、ここが地域の人との交流の場にもなったらいいなと考えています」と教えてくれました。

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縁と円で人がつながり、新たな可能性が花開く

サテライトオフィスの名称「en」は、「縁」と「円」をかけているそう。この場所で人と人が出会い、縁をつむぎ、それがつながって輪(円)になっていき、たくさんの可能性が生まれてほしいという願いが込められています。

「まだはじまったばかり。いろいろな可能性を秘めているこの場所から、学生たちにもプラスになり、まちにとってもプラスになることが始まるかもしれないと思うとワクワクします」と今さん。「en」を拠点にした、新しい「何か」が誕生するのも間近かもしれません。これからが楽しみな場所ですね。

日本工学院北海道専門学校サテライトオフィス en
住所

北海道登別市札内町184-3

URL

https://ensat.jp/


空き教室を有効活用し、サテライトオフィスをオープン

この記事は2022年10月11日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。