HOME>まちおこしレポート>新メンバー加入!活気あふれる南幌町の秘密に迫る

まちおこしレポート
南幌町

新メンバー加入!活気あふれる南幌町の秘密に迫る20220714

新メンバー加入!活気あふれる南幌町の秘密に迫る

札幌市内から車で約45分、新千歳空港からも車で約45分の場所にある南幌町。周辺を江別市や北広島市など札幌近郊の市町村に囲まれる町です。過疎化に悩む市町村が多い中、南幌町は若い世代の移住が増えつつあるといいます。
さらに、今年の4月には強力な助っ人が加わりました。それが今回の主人公、宮崎綾香さんです。地域おこし協力隊「移住・観光コンシェルジュ」として着任したばかりの彼女と、南幌町役場で移住事業を担当する「まちづくり課」の北嶋宏光さんに、まちづくりのお話を聞きました。

接客のプロ・宮崎さんが、南幌町の協力隊になったきっかけは?

nanporo_miyazaki.JPG

今春、南幌町の地域おこし協力隊に就任した宮崎さん。長年接客業に携わってきただけあって、お話がとても上手!チャーミングな笑顔と語り口につい引き込まれます。ご出身は今回の舞台である南幌町。札幌の商業高校へも、南幌町から通学したといいます。

「将来は起業したいと考えていたので、そのために役立てばと商業高校を選びました。卒業後は接客業に就き、経営に携わるため出世を目指したんです。広告制作など様々な業務を経験し、最終的には勤務先の副支配人として運営や予算管理を担当しました」

中学3年生で既に起業を視野に入れていたと聞きびっくり!起業という目標に向けて努力を重ね、副支配人にまで上り詰めた後はさらに次のステップへと進みます。長年勤めた職場を退職し、札幌でデザインの勉強を始めたのです。
その矢先、地元である南幌町で、地域おこし協力隊を募集するという情報が耳に入りました。それが今回の「移住・観光コンシェルジュ」のお仕事だったのです。

「これだ!やってみよう!と思い応募しました。前職の接客での経験も、いま勉強しているデザインのスキルも活かせると思ったんです」

そうして無事に採用された宮崎さんは、ふるさとである南幌町へ戻ることになりました。

横の繋がりを大切に、地域の魅力を発信していく3年計画

宮崎さんが携わるのは「移住・観光コンシェルジュ」のお仕事。地域おこし協力隊の任期は最長で3年間です。その限られた時間の中でどのようにテーマに取り組む予定でしょうか?
まずは「移住」について...

「南幌町はコンパクトに町がまとまっていると感じます。子育てがしやすい環境でもあるし、老後まで住みやすい町だということを広く伝えていきたいですね。
そのためにまず1年目は横の繋がり、町の方との信頼関係づくりをしていきたいと思います。また、移住向け広告やSNS発信を行い、道外での移住イベントに参加するなどで良さを伝えていくつもりです。そこでこれまでの経験や勉強してきたデザインを活かせたらいいですね。
2年目は町の方と協力して実際に移住体験ツアーを実施したいと考えています。そして、南幌町に関わることで起業できたらと考えているので、3年目は起業につながるなにかを見つけられればいいなと思います。
移住に携わるということで、いま宅地建物取引士の資格勉強もしています。移住者に最後まで責任を持って関わり、信頼に繋げられればと思います」

さすが宮崎さん。3年の計画をすらすらと語ってくれます。宅建の資格取得まで考えているとは...彼女の向上心にまた驚かされました。
もう1つのテーマ「観光」についてはどんなビジョンを描いているのでしょうか?

nanporo_miyazaki_talk008.JPG

「まず南幌町に来てもらうことを大切にしたいと思います。来年オープン予定の『子ども室内遊戯施設』やキャンプ場・南幌温泉・野菜直売所など、南幌町には楽しめるポイントがいろいろあります。そこから南幌町の魅力を感じてもらい、移住につなげられたらと考えています。北嶋さんと協力しながら、私がコンシェルジュとして様々なことに取り組んでよりよい方向へ進めていきたいと思います」

未来をしっかりと見据えている宮崎さん。とても頼もしく「彼女ならきっとやってくれる!」と楽しみな気持ちになりました。

外へ出たからこそ、改めて感じる南幌町の良さ

宮崎さんは一度札幌へ出て、戻ってきた「Uターン」経験者。そんな彼女に南幌町の魅力は?と訊ねると

「ビルが建ち並ぶ札幌の街から南幌町に戻ってくると見える風景にホッとするんです。趣味のロードバイクで南幌町内を走ると、道が平坦なので走りやすく、景色も素敵なんですよ。春には農家さん達が畑を休ませるために植えた菜の花が咲いてとてもきれい!この菜の花畑の場所は毎年変わるので、違う景色を楽しめる観光の一つとして発信したいと考えています」

nanporo_nanohana.jpeg

春にはこんな素敵な菜の花畑があちこちで見られます

何気ない暮らしの中で町のよさに気づくことができるのは、一度外に出た経験があるからかもしれませんね。再び戻った南幌町での生活はいかがでしょうか?

「野菜直売所やドラッグストアなども揃っているので、暮らしの中で不便に感じることはありませんね。私の場合、暮らしも仕事も密接なのでまちに出ると声を掛けられることも多いです(笑)また南幌町には若い人や移住してきた人など、どうしたら南幌町に人が来てくれるだろうか?と考えている人達がたくさんいるのが嬉しいですね。私はそれをもっと広げる役割を担っていきたいと考えています」

どんどん移住者がやってくる、その秘訣は?

さてここで、宮崎さんが所属する南幌町役場のまちづくり課の職員、北嶋さんにもぜひお話を聞いてみましょう。北嶋さんは江別市出身、幼い頃から野球に打ち込んできたという根っからのスポーツマンです。大学卒業後は南幌町役場に入り、まちづくりにも長く携わってきました。

他の市町村が過疎化に悩むなか、南幌町には若いファミリー層がどんどん移住してきているというのはホントですか!?ぜひ秘訣を教えてください!!と前のめりに訊ねたところ、北嶋さんはさわやかな笑顔で答えてくれました。

nanporo_kitajima277.jpg

「近年、札幌近郊の都市では宅地が少なくなり、北広島市では新球場の完成のため土地が高騰。宅地を探す際にエリアを広げて考える方が増えてきました。それで南幌町が候補に挙がるようになったんだと思います。南幌町役場としても子育てする層をターゲットに、住宅建築助成金最大200万円、さらに北海道住宅供給公社の施策でみどりの団地の宅地価格が半額になる等のメリットをアピールするため、ファミリー関連のイベントに足を運び告知を行ってきました。その結果、南幌町の取り組みや制度が口コミで広がるようになってきたと感じますね。また南幌町を縦断し石狩湾新港と新千歳空港を繋ぐ道央圏連絡道路の整備が進められているなど外部からの要因も大きいと感じています」

ファミリー層にターゲットを絞った取り組みやプロモーションが、いまの大成功に繋がったのですね。南幌町の施策や魅力を真摯にわかりやすく説明してくれる北嶋さんは、さながら「南幌町を売り込むセールスマン」といったおもむきです。

売れ残りの宅地が、憧れのニュータウンへと変貌

若いファミリーが憧れる南幌町の街並み。いまでこそ素敵な住宅が建ち並んでいますが、実は昭和時代に造成したものの売れずに残っていた宅地だったといいます。

「その宅地を活かして移住につなげようと、平成30年度にスタートしたのが『きた住まいるヴィレッジ』事業です。『きた住まいる』とは北海道が定めたルールを守り、安心で良質な家づくりができる住宅事業者を登録する制度。登録された企業のうち、南幌町のコンセプトにあう住宅事業者と協力して、住宅地づくりを進めました。そして、事業開始当初には6棟のモデルハウスをオープン。住宅同士が隣り合わせにならないよう、千鳥配置で建築されているのが特徴です。基本的に土地を2区画セットで販売し、住宅を隣り合わないように建てるルールを決めることで、のびのび暮らそうという工夫です。これは『きた住まいるヴィレッジ』事業の話し合いの中で生まれまたアイデアなんですよ」と北嶋さん。

nanporo_house_chidori614.jpg

美園地区の中にある「きた住まいるヴィレッジ」のエリア。家が千鳥配置になっており、互いに景観を遮ることなく広々と暮らせます

コンセプトに沿った美しい街並みと、おしゃれで機能性に優れた住宅。そして南幌の広さを活かすゆったりした暮らしは、家を探すファミリー層の心をガッチリと掴みました。加えて南幌町の積極的な支援制度とプロモーションにより、昭和時代からの売れ残り宅地がどんどん売れたのです。現在ではモデルハウスは全て完売、エリアを拡大しているといいます。アイデア・センスなど様々な条件が揃ってできた南幌町の「きた住まいるヴィレッジ」は今後、ますます発展する勢いを感じます。
実は北嶋さん、ご自身も今春には南幌町内に家を新築し住み始めたのだといいます。なるほど、それだけ住みよい町なのね...!とますます「南幌町のセールスマン」への信頼感が増すのでした。

さてそんな北嶋さんですが、ファミリー層を含め幅広い世代が暮らしやすいまちづくりには、町民など周囲の人々の協力が大きく関わっていると話します。
nanporo_kitajima_talk972.JPG

「宅地の活用についてはプロモーションを柔軟に実施できたことが大きく関係していると思いますが、まちづくりという意味では役場だけでなく町民含め、周りの方々の応援もありここまで進めることができました。本当にありがたいことだと思っています」と感謝の気持ちがあふれ出ます。

それも、北嶋さんがあちこちへ足を運び、町民の方とのコミュニケーションを通して築いてきた信頼関係あってこそ。5年間の努力と誠実さが実を結んだといえるでしょう。北嶋さんをはじめとした南幌町役場、そして町全体がまちづくりに関わり努力をしていることこそが、町の最大の強みなのですね。

夢あふれる「室内遊戯施設」を建設中!南幌町のこれから。

これからの南幌町の予定、将来のビジョンを北嶋さんに訊ねると

「宮崎さんのお話にも出ましたが、現在きた住まいるヴィレッジのすぐそばに大型の『子ども室内遊戯施設』を建設しており、来年オープンの予定です。この施設のコンセプトは町内外の方が交流できる憩いの場。ファミリー層はもちろん、幅広い層が集う場所を目指しています。隣接する中央公園の良さも残しつつ新しくリニューアルするので、室内でも外でも楽しめるよう面白さをぎゅっと詰め込んたエリアになる予定です」

nanporo_yugi_gaikan.jpg
nanporo_yuugi.jpg

2023年オープン予定の遊戯施設。子どもが遊べる大型遊具や木育玩具などのほか、カフェスペースも併設。幅広い人たちが憩う場所になりそうです

「また、今年度建設計画している移住体験住宅が来年度から運営をスタートする予定です。実際に町に住んで、南幌での暮らしを体感することで、より具体的に移住後の生活をイメージしてもらえると思います。宮崎さんが加わったことで「女性目線」の部分を補ってもらえるのでとても心強いですね。住宅団地の完売も目指します。そして、子ども施設の他にスーパーやコンビニなど移住者のニーズに応えるまちづくりをしたいと考えています。移住者が増えても自然減もあり、なかなか<人口増>は達成できずにいましたが、今年こそは!と思っています。いままで以上に町が活気づいてくれるといいですね」と北嶋さん。

様々な努力を積み重ね結果が出てきた南幌町には、熱い思いをもち協力してくれる最大の強み「人の力」がありました。地道に町民との信頼を築き、まちづくりに取り組んできた北嶋さんと、新たに加わった宮崎さん。彼らの最強タッグがこれから南幌町をどんな風に盛り上げていってくれるのか...ワクワクがとまりません!

nanporo_futari349.JPG

南幌町役場 まちづくり課 地域振興グループ
南幌町役場 まちづくり課 地域振興グループ
住所

北海道空知郡南幌町栄町3丁目2−1

電話

011-398-7021

URL

https://www.town.nanporo.hokkaido.jp/


新メンバー加入!活気あふれる南幌町の秘密に迫る

この記事は2022年5月24日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。