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まちおこしレポート
札幌市

全ての子どもの幸せを願う、えほんとおもちゃの専門店 20220613

全ての子どもの幸せを願う、えほんとおもちゃの専門店

札幌市内の中心部、地下鉄東西線「西18丁目」駅から徒歩5分ほどにある真っ白いビル。その2階にある『えほんとおもちゃの専門店ろばのこ』が今回の舞台です。

なぜ札幌の街中におもちゃ専門店が?と不思議な気持ちとともにビルの中へ。

階段を上がるとそこには、たくさんの数や種類の『おもちゃや絵本』が並び、天井には白い大きな木が展示されているのが目に留まります。とっても素敵な笑顔で迎えてくれた店⾧の藤田とわさんにたくさんお話をお聞きしました。

ろばのこの歩み

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昨年2021年で創業25周年を迎えた「ろばのこ」は、えほんとおもちゃの専門店。こちらのお店は、保育士だった藤田さんのお父さま(藤田春義さん)が「すべての子どもたちに幸せになってほしい」という想いから札幌市北区、麻生というまちにお店を構えたことから始まりました。

その頃3歳だった藤田さんは、幼い頃から「ろばのこ」のおもちゃやえほんで遊ぶことが多かったと話します。その後麻生を経て、ご縁があり月寒東へ移転。そして2017年に現在の場所、地下鉄西18丁目駅に移ることに。

robanoko3.jpgこちらが、ろばのこが入った「庭ビル」

「ろばのこ」の店舗のすぐ隣に事務所を構え、お兄さんが社⾧を務める「こどものとも社」 は、保育園や幼稚園へえほんやおもちゃを届ける仕事をしており、児童書出版社「福音館書店」の代理店でもあります。

「こどものとも社」と「ろばのこ」が2017年に移転し間もなくして、藤田さんが「ろばのこ」の店⾧として働くこととなります。

「ろばのこ」で働くことになったきっかけとは?

robanoko4.jpg優しい笑顔と穏やかな雰囲気をまとう藤田さん


「こどもの頃、将来の夢に『保育士さん』と『ろばのこの店員さん』と、考えていました。お店では毎年5月5日に『こどもの日』のセールをしていて、小学校高学年か中学生位からかな?ちょっとだけお手伝いもしていました。お手伝いといってもプレゼントのシャボン玉を渡す程度ですけどね」と少し照れくさそうに当時のことを話します。

お手伝いをする中で、更に魅力的に感じたという「ろばのこ」でのお仕事。しかし、保育士になる学校にも通っていたという藤田さん。でもやっぱりここのおもちゃが好き...という想いから、保育士の資格も活かしつつ、ここで子どもと関わりながら、継続して来てくれる子どもたちの成⾧を見ていきたいと決心したそう。

創業者の想いやご縁を受け継ぎ現在の場所へ

robanoko6.jpg居るだけで心がワクワクするろばのこ店内


「父もかつて保育士をしていて、子どもがとっても大好きな人。当時は木のおもちゃなどを扱うお店がなかったようで...父が『すべての子どもたちに幸せになってほしい』という想いから作ったお店になります」

家族層が車で訪れやすい場所ではなく地下鉄西18丁目駅付近に移転した理由は、お兄さんの繋がりというご縁から。「ろばのこ」「こどものとも社」そしてお兄さんがやっていた「BROTHER SUN SISTER MOON」のお店が一緒になり今までとは少し雰囲気の違うお店でも信念は変わらず、新たな一歩を踏み出しました。

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「今の場所は来てみると地下鉄駅が近いことから車がない方や、麻生店に来ていただいていた方が『月寒東に店舗にあった時は遠くて行けなかったけど、ここなら行ける!』 って戻ってきてくださる方もいます」

robanoko7.jpgお店中央にある大きな木のモニュメント。

店長としての想い

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「当初、店⾧というのがどういうことか、あまり理解をしていなくて(笑)。なる時は楽しみで『もっと楽しいお店に出来そうだな』とか『楽しんでお店に携われるといいな』っていう気持ちで始めました。だからなってからの方が大変で(笑)。『もっとこう出来たらいいな』とか自分の力不足がだんだんと見えてきました」

スタッフさんの管理など大変なことも多くあるようですが「スタッフメンバーはすごくいい方たちだし、お店の雰囲気に合っているスタッフばかりです。 すごく助けられながら仕事をしています」とニコニコ笑顔。

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藤田さんの業務は他にも、おもちゃの管理など多岐にわたります。

店内の展示や新しい商品の選定なども、スタッフ皆で話し合いながら決めているようで「最近は、今あるおもちゃも見せ方を変えていけたらと思い、月一回ぐらいで店内のディスプレイを変えています。それも、スタッフさんと相談しながら進めています」

新しいおもちゃだけでなく、もともとあるおもちゃをいかに面白く紹介できるか?を常に考えつつ、店内を変化させていると話す藤田さん。特に店内の様子が変わるのがクリスマスの時期で「オーナメントやクリスマスツリー、クリスマスグッズが沢山並びます。

「この時期はお客さん層もより広がりますね。お子さん連れだけでなくて、お家の中のクリスマスの飾りつけを買いに来てくださる方もいます。もちろん、クリスマスプレゼントをお子さんと一緒に見に来てくれる方もいますね」

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そして、藤田さん自身も店⾧になって5年が経ち、日々の中で感じることがあると話します。

「最近は続けて来てくれる子どもたちの成⾧の過程を見ることが出来るようになりました。麻生でスタートして昨年で25年経った今、そこに通っていた人が自分の子どもを連れて来てくれることが、最近はすごく増えています。それを実感できることが、すごく嬉しいことだなと感じます。お店としても『ちゃんと引き継がれている』というのが実際に見ることができて嬉しいです」

と自身が『そうなったらいいな』と思っていたことが、現実に起こってきていることに更に、嬉しさが増すと話します。

「今来てくれている子どもたちも、いずれ大きくなった時に『あっ!これろばのこにあった!』って思い出して、また来てくれたらいいなぁって」店舗で楽しく遊ぶ子どもたちの姿を見て、未来を想像することも。そして、実感できることが多くなった今は『もっと面白いお店にしたい』という想いが強くなったとか。

父から受け継ぎ大切しているもの

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「父の想いでもある『すべての子どもたちが幸せになってほしい』っていう想いは持ち続けてやりたいなって思っています。今、コロナ禍だったりで色々と変わっていくと思うのですが...その中でも『子どもたちに必要なこと』っていうものを提案し続けていきたい。あとは『子どもの目線になって考える』というところも大切にしたいです」

今でも変わらず、困った時にはお父さまに相談することもあるのだと話します。

「すぐ近くに相談できる人が居るってことが、とてもありがたいなと感じます」お父さまからの言葉を、困った時の力にして店舗の運営に活かしている藤田さんです。

robanoko12.jpgろばのこの名前の由来は、聖書に出てくる一コマから。力は弱いし、出来ることは何もないけれど、少しでもイエス様の力になりたいというところから『ろばのこ』と、名前が付けられたそう。

そんな『ろばのこ』にある『えほんやおもちゃ』は、生まれてすぐの0歳から小学校を卒業するまでの子どもたちが楽しめるように取り揃えているとのこと。

「最近ではゲームが大人たちの間で話題になっているので、若いカップルやお友だち同士で買いにきてくれることも増えました。ここに移転してからは近くに美術館があることから、幅広い方に来ていただいています」

今現在のお店のおすすめについても教えてもらいました。

「月間絵本という『福音館書店』から出ているものです。申し込むと毎月絵本が届く、雑誌みたいな本です。年齢に分けた絵本になっていて毎月届くので、絵本を選ぶのが大変と思っている方に人気です」

絵本を選ぶ時、つい親の好みに偏っちゃうこともあるようですが、自分たちでは選ばない絵本が届くことが楽しく、子どもたちの意外な興味が分かるのも面白いですよと教えてくれました。

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これからチャレンジしてみたいこととは?

コロナ禍など、様々な変化がある中で、どの様にお店づくりを続けていきたいのか?尋ねてみると...


「お店には置いてある『おもちゃ』が沢山あるのですが、これからに合わせた『おもちゃ』を選ぶ必要があるかなって。ただ今まで通り『いいものを置く』っていうのはブレることなく、自信をも って子どもたちに進められるおもちゃを選びたいです。あとは、ずっと受け継いでいき たい物と新しい物を取り入れながらやりたいという想いもあります」

robanoko16.jpg店舗に置くおもちゃについて考えていると、今置いている物はすごく考えられて作られていることを改めて感じるとのこと。

店舗を増やすことは考えておらず「この場所で『どんな面白いことができるだろうか?』って、スタッフ皆で考えながら発信していきたいです」と藤田さん。

今後、続けていきたいこともあるようで「最近始めたYouTube(Robanoko niiiwa)を続けていきたい。今までは商品紹介などを発信していましたが次は、子育てに関して役立つことを発信したいです。あとは、新しい試みとして始めた量り売り。今は『チェーンリング』と『花はじき』の既存商品を売っていますが、ゆくゆくは自然物『どんぐり』とかの量り売りをしたいです」

robanoko17.jpgこちらが今ある量り売りゾーン

それに絡めたどんぐりを使ったワークショ ップの開催や、お店の外に出て近くの公園に散歩に行くなど、子どもたちと一緒にすることを増やしてきたいのだとか。

「最近のワークショップでは『マンダラぬりえ』をしています。これは植物や動物の絵ではなく模様が描かれた塗り絵で、人だったら 顔は何色で塗らないといけないとか、お花だったらこの色で塗らないといけないなど、 イメージが何となくあると思います。例えば草は緑とか。この塗り絵は、そういう固定概念がなく本当に色で楽しむっていうことをメインで作られています。自由に好きな色で遊べる塗り絵になっているのが良いところで、それぞれ色を塗って、ラミネートして紐を通してメダルにするというワークショップを行いました」

robanoko18.jpgこちらがそのマンダラ塗り絵です。塗り絵商品として販売もされています。

ワークショップは店内のディスプレイされている商品を移動して、机にみんなで集まって色塗りを楽しんだそう。出来上がった作品を喜んで首から下げて帰る子もいたとか。

お店なのにアットホームな雰囲気を感じるのは、人が集まり、自由に思うままに 楽しむことが出来る空間にあるのかもしれません。

robanoko19.jpg毎月発行している「庭しんぶん」

毎月発行されている「庭しんぶん」は、麻生店の頃に「ろばともだより」という手書きの お便りの形を変え、現在の場所へ移った時にお兄様が編集⾧となり作られているものです。

今も昔と変わらず『子どものための新聞・子どもへ語り掛ける内容』となって おり、創業者である父、春義さんのコーナー『はるよしさんにきいてみよう!』も。

面白い内容が盛りだくさんの新聞も楽しみの一つです。沢山の庭人さんの協力の上で 運営している「庭しんぶん」。そんな「庭人」も随時募集中です。

えほんとおもちゃの専門店 ろばのこ
住所

札幌市中央区大通西17丁目1-7庭ビル2F

電話

011-688-6997

URL

http://www.robanoko.com/

【営業時間】11:00〜19:00

【定休日】日曜、月曜(月曜祝日の場合、火曜代休)

※地下鉄東西線「西18丁目駅」から徒歩5分ほど

※駐車場2台分


全ての子どもの幸せを願う、えほんとおもちゃの専門店

この記事は2022年3月25日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。