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北海道

北海道産木材の魅力を知って、使ってほしい。HOKKAIDO WOOD20201210

この記事は2020年12月10日に公開した情報です。

北海道産木材の魅力を知って、使ってほしい。HOKKAIDO WOOD

北海道の製品をPRするためのロゴはたくさんありますが、「北」の漢字に切り株のようなデザインが施された一際目をひくデザインの「HOKKAIDO WOOD」というブランドをご存じでしょうか。
北海道生まれの木材製品の販路拡大を目指し、PRするブランドとして誕生したのが「HOKKAIDO WOOD」です。

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道内の木材関連企業と北海道木材産業協同組合連合会(道木連)、道などで組織した道産木材製品販路拡大協議会では、道外や海外の展示会出展など、「HOKKAIDO WOOD」を使った道産木材製品のプロモーション活動をすすめています。
今回は協議会の会長であり、北海道木材産業協同組合連合会(道木連)の副会長でもある内田敏博さんと、協議会のオブザーバーである北海道水産林務部林務局林業木材課 利用推進係主任・今廣佐和子さんに話を聞きました。

北海道に来て森林に魅せられた二人

「HOKKAIDO WOOD」ブランド推進の旗振り役として活躍するお二人は、生粋の「北海道と山を愛する人」たちなのかと思いきや、たまたまお二人とも九州出身で「山に興味はなかった」と言います。

内田さんは北九州市の出身。日本を代表する工業地帯の太平洋ベルト地帯に含まれるまちで育ち、北海道大学農学部への進学を機に北海道へ。本当は農学を学びたかったそうですが、学科移行選抜で林学科に配属になりました。しかし研究で山に入るうちに、北海道の山に魅せられていったと言います。

「北海道の山は、ロシアや中国東北区と共通する北方系のエゾマツやトドマツの針葉樹に混じって、南から来たミズナラなどの広葉樹が賑やかに生えている森。そんな山が面白いと思うようになっていったんです」
大学卒業後は林野庁に就職し、全国転勤をする中で北海道でも7年間勤務。「やっぱり北海道の山は面白い」と改めて思い、いつかはまた北海道へという思いを強くして、現在に至ります。

hokkaidowood3.JPG北海道木材産業協同組合連合会(道木連)の副会長・内田敏博さん

一方、「子どものころに山に行ったのは、遠足で登山をさせられた時くらい」だったという今廣さんは宮崎県の出身。東北大学の理学部で植物生態学を学び、フィールドワークをする中で山の面白さに気づいたといいます。卒業後は林野庁に就職し、2年目から4年目は北海道に配属。その時に国有林の造林や伐採現場の監督など、国有林の現場管理を担う森林官という職務に就き、山の現場を回る仕事を経験しました。
その後、福島県喜多方市に出向し、市の林務職員として地域密着型の役場の仕事を肌で体感。

「市町村で働くと、林業に携わる仕事を通して地域の活性化に貢献することもできるんだと実感しました。そのうち、政策を推進する国の仕事も重要ですが、私は地方に密着したの仕事がしたいと思うようになりました」
そうして、学びの故郷でもあり、林野庁新人の時に経験を培った北海道への移住を決めて、北海道庁の職員になりました。
「HOKKAIDO WOOD」の立ち上げ構想時から関わり、道産木材の利用を推進して、利益を山に還元する、そんな循環をつくる仕事に、北海道で地に足をつけて取り組むことになったのです。

hokkaidowood6.JPG北海道水産林務部林務局林業木材課 利用推進係主任・今廣佐和子さん

道内の森林資源を道内で使われるように

北海道の森林は全国の22%と大きな割合を占めていますが、国のGDP約500兆円のうち北海道は20兆円で4%。ちなみに人口も住宅着工数も4%と、道内で使う量よりはるかに豊富な資源を持っている状態にあります。道内で使われる建築資材もその多くは外国産です。そのため、北海道内での利用を増やすと共に、道外にもPRして利用してもらう必要があると内田さんは言います。

「まず大切なのは、北海道の大切な資源の利用を、北海道内で増やすこと。しかし、北海道はこれから人口も住宅の着工戸数も減っていくでしょう。そんな未来を見据えて、 道外や海外へ販路拡大を図っていく必要があると考えています。住宅や公共建築物に使う建築用資材だったり、家具だったり...。丸太や産業用資材だけではなく、高い付加価値をつけた製品の状態で道外や海外に出し、北海道により多くの利益が残るようにすることが大切です」

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北海道産木材を知ってもらう活動を。そして選択肢の一つに

そういった木材産業の未来を見据え、2019年に立ち上げたのが「HOKKAIDO WOOD」です。

2018年に、道内の木材関連企業と道木連、道などで組織した道産木材製品販路拡大協議会では、北海道生まれの木材製品を、北海道内ではもちろん、道外や海外にも売り出していこう、という目標を掲げて検討を重ねました。

「北海道産の木材製品は、道外でも海外でも、まだあまり知られていません。一方で『北海道』は、日本国内はもちろん、海外でも認知度・人気共に抜群で、すでに大きなブランド力をもっています。そこで、この『北海道』というネームバリューを活かして、道産木材製品をブランディングすることを考えました」と今廣さんの言葉に熱が入ります。

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「ブランディングするにあたり、ロゴマークをはじめとした全体のディレクションは、デザイナーの森川瞬さん。ブランドイメージの決め手となる写真の撮影はフォトグラファーの佐々木育弥さんに手がけていただくことになりました。お二人とも北海道出身で、もともと北海道の林業にとても愛着を持ってくれていたところがラッキーでした」
そうして生まれた『HOKKAIDO WOOD』は、北海道の「北」という字を切り株風にあしらったオシャレなロゴマークと、雪国で生まれた木材のストーリーを伝える写真がとても印象的で、一度みた人の記憶にも残りやすいものになりました。

協議会では、東京での展示会や、韓国・台湾での展示会に出展し、「HOKKAIDO WOOD」でイメージを統一したブースで北海道の企業の木材製品をPR。北海道ブースは展示会来場者にもとても好評だったのだとか。

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展示会場の様子

クラフトなどの小物としてはすでに人気があり、この人気が建築用資材までも波及していけばと内田さんは期待を寄せています。
「北海道産の木材は品質も良く、そして何より木の建物の中にいると気持ちがいいですよね。建築の材料の一つの選択肢としても、北海道産木材を入れてもらいたいですね」と今廣さん。


ブランドが育てば道内企業の背中押しに

HOKKAIDO WOODは、道外や海外でのプロモーションに取り組んでいますが、「もちろん、北海道の人にもたくさん知ってもらい、愛着をもってもらいたい」と今廣さんは言います。
「道外や海外に向けた販路拡大の取組みも大切ですが、まずはやはり、北海道の木材を北 海道で使ってもらうことが一番です。地材地消ですね。地元の木材を地元で使うことは、 北海道の山を健全に保ち、林業を活性化することにもつながり、サスティナブル(持続的)な社会にも貢献できます」

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HOKKAIDO WOODのロゴマークは、この取組みの考え方に賛同し協議会に届出をすれば、誰しもが使えるブランドであることにもこだわりを持っています。
この取組みに賛同した工務店や住宅メーカー、製材工場、家具・クラフトの製造者など、道産木材に関わる企業、団体、個人が届出をして応援団になっており、ロゴマークを自社サイトや商品パンフレットに掲載したり、商品のパッケージに印字したりして、北海道の木材を知ってもらう、使ってもらうためのアピールをしています。

また、一般の方たちの認知度を上げるためにも「HOKKAIDO WOOD」は、公式Webサイトをはじめ、InstagramFacebookでも積極的に情報発信をしています。

「イメージ戦略だけで商売に繋がるほど甘い世界ではないですが、HOKKAIDO WOODをつかった統一感あるPRが、道産木材に関わる方々の認知度向上や販路拡大の背中を押せるものになればと思っています」と今廣さん。
2019年から始まったこの「HOKKAIDO WOOD」は、少しずつメンバーも増え、認知度も上がってきていると今廣さんは実感していると言います。

実際に、この取組みには色々な企業の方も賛同しており、全棟カラマツ材宣言を行った札幌にある三五工務店さんも仲間の一人です。
((業界の当たり前を打破し、北海道産木材を活用。株式会社三五工務店))
また、くらしごと編集部でも道産材を活用したくらしごと森のカレンダーをHOKKAIDO WOODのブランドを活用して販売しています。
くらしごと商店が開店!森のカレンダーを販売中!


hokkaidowood17.JPG左は三五工務店田中社長。取材場所としても道産材のみで建てられたcafe35stockをお借りしました!

「たとえば、家を建てる時、家具や食器や小物を買うとき......「この木は北海道生まれなんだな」と気づいてもらったり、「なんかいいな」と思ってもらう。まずは感覚的なところからでいいので、関心を持ってもらえたら・・・。生活の中に取り入れるものの一つの選択肢として、北海道産木材を入れてもらいたいです。『HOKKAIDO WOOD』が、そんな選択をする時の目印となるように、これからブランドとして育ってくれたらいいなと思っています」

「HOKKAIDO WOOD」を軸に、一般の人たちへの北海道産の木材の認知度が高まれば、またそれを活用する企業も増えていき、北海道の木材が活用されていけば市場価値も高まります。
林業を知るきっかけにもなるでしょうし、実際に山の植林や育林のための資金の還元にも繋がる構想です。

北海道で生まれた木材製品が「HOKKAIDO WOOD」ブランドとして、道内はもとより道外や海外で使われるようになることを目指し始まった活動。その行き先は、北海道の林業が豊かになる未来につながってほしいと願ってやみません。

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HOKKAIDO WOOD 道産木材製品販路拡大協議会
住所

札幌市中央区北3条西7丁目5番地1-2 道庁西ビル2F

電話

011-251-0683

URL

https://hokkaidowood.com

Instagram・・・https://www.instagram.com/hokkaidowood

Facebook・・・https://www.facebook.com/hokkaidowood


北海道産木材の魅力を知って、使ってほしい。HOKKAIDO WOOD

この記事は2020年8月26日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。