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まちおこしレポート
寿都町

自然の恵みと暮らしやすさが同居する港町。パンで元気を届けます20200316

この記事は2020年3月16日に公開した情報です。

自然の恵みと暮らしやすさが同居する港町。パンで元気を届けます

北海道後志総合振興局の中でも、南に位置する北海道寿都町(すっつちょう)。
人口はおよそ2,900人、漁業が盛んな港町です。特産物として有名な「寿かき」や「しらす」を一度は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

実は寿都町、2018年には、このまち唯一のべーカリーである「ベーカリー寿(ことぶき)」をオープンさせるなど、町民の暮らしを豊かに元気にするための取り組みも行っているのです。
寿都町での暮らしの魅力に迫るべく、ベーカリー寿を運営する寿都商工会へ取材に伺いました!まずは、まちのことについてお話を聞いてみました。

美味しい海産物の宝庫、寿都町

寿都町の魅力のひとつは、豊富に採れる海産物!そう話してくださったのは、寿都商工会の朝倉裕介さん。実は出身は寿都ではなく小樽市で、就職してからは商工会の転勤で占冠村、中標津町にそれぞれ数年間赴任し、4年前に寿都町へ着任したのだそうです。

suttu2.jpg休日は町内の方と音楽活動をしているそうです!寿都には「総合文化センターウイズコム」があり、文化の創造・発信地になっています。ホール、図書室、創作活動室などを備えています。

「寿都町では『寿かき(4月下旬から6月下旬が旬のかき)』や『しらす』を始めとする豊富な海産物が採れ、実際に寿都町に来てこの美味しい海産物がこのまちの大きな魅力だと感じています。毎年、この特産品が主役のイベント『すっつ寿かき・しらすフェスタ&軽トラ市(春に開催)』『すっつ鮭・ホッケフェスティバル&軽トラ市(秋に開催)』も行っています」
このイベントは名前の通り食材を使ったグルメの提供と、軽トラで漁師さんや農家さんなどが自慢の品々を販売するというもの。毎年、町内外から多くの参加者で賑わいます。

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取材陣が寿都に向かう途中、どこまでも続く日本海が目前に広がる心地良い道を車で走っていると、ふと「スッツ・オイスター・ビレッジ」という看板が目に飛びこんできました。
有名な「かき小屋」はもちろん知っていましたが、「オイスター・ビレッジ」とは?!と目を丸くした取材陣。

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実はこちら、かきの食べ放題や新鮮な海産物を使ったグルメを提供していた「かき小屋(マルトシ吉野商店)」が2018年にリニューアルオープンしたお店。木を基調としたオシャレな建物に、さらにかき小屋Cafe(!)のスペースをつくりコーヒーやソフトクリームを提供するなど、寿都町の観光地としての魅力を盛り上げています。(余談ですが、「名物・かき蒸し焼き食べ放題」は1月下旬~6月までの期間限定です)

少し変わった寿都の地形から生まれる、自然の恵み

寿都町を地図で見てみると、少し変わった形をしています。車を走らせていると、途中で黒松内町になった!と驚いた方もいるのではないでしょうか?

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かきの産地といえば、北海道では他にサロマ湖、厚岸町、釧路町仙鳳趾(せんぽうし)が有名ですよね。これらがどれも太平洋側に位置しています。日本海側に産地がないことには理由があり、海水は太平洋に比べて栄養分が少なく、波も荒いからだそうです。日本海でのかきの養殖は難しいと言われる中、寿都の独特な地形が養殖を成功させており、日本海側では北海道唯一(!)なのだとか。寿都町は地形が大きくへこんだような形をしており、外海の波を防ぐ穏やかな湾を形成していることと、湾内に川が注ぎこみ山からの栄養を海に与えていることが成功の要因なのだそうです。寿都町の美味しい海産物は、奇跡のような要因の組み合わせと、生産者・漁協の試行錯誤とたゆまぬ努力で生み出されたものなんですね。

そしてもうひとつ、特徴的なのが「強風が吹くまち」だということ。日本海からの沖つ風と、黒松内からのだし風(陸地から沖へ吹く強い風)が1年中吹いています。この風を活かして建設した風力発電施設は、なんと地方自治体としては日本で初めて(!)なのだそうです。海のすぐ近くに風力発電機が並ぶ光景は、圧巻の一言です。

絶好のロケーションでのんびりした暮らしを

寿都町にはさらにこんな資源や観光スポットも。

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荘厳な弁慶像がたつ、観光スポットとしても有名な弁慶岬。釣りができるスポットなので、釣り好きの方にはぜひ訪れてみてほしい場所です。夕日で真っ赤にそまる時間帯は、海面が輝きとっても美しい風景が見られます。

自然や美味しいものに囲まれながら暮らせる寿都町。朝倉さんはもうひとつの魅力として、「人があたたかく、すぐに打ち解けられる方が多いことも寿都の良さ」だといいます。
さらに取材陣が感動したのは、寿都町の建物の綺麗さでした。町並みがすごく綺麗で、町の中心部の高台からは海も見渡せるという絶好のロケーションが待っています。

「寿都町では現在建設中のアパートもあり、住める場所も増やしています。空きがあれば暮らしのお試し体験をすることも可能です。自宅を建てるときには建設費用の一部助成(上限200万円(町内業者)、25万円(町外業者))やリフォーム代補助(経費の1/10、上限20万円)もあります。また、子育て世帯にも安心の、子ども手当支援(中学校修了前の子どもを養育している方に支給、1人につき1万3000円(月額))や子供医療費助成制度(10歳から満18歳までの子どもの医療費に対する助成を行う制度)もあります。保育園・幼稚園から小・中・高校まで、教育に関する環境は全て揃っています。憩いの場として、町営温泉の「ゆべつの湯」もありますよ」

町民の豊かな生活を実現するあたたかいまち

さて、寿都町には町営のベーカリーがあるって知っていましたでしょうか?
もともと、個人経営のベーカリーはあったそうですが、時代の変遷とともに閉業してしまいます。そこで、2018年11月に、元々商店が入っていた空き店舗を利用してオープンさせたのがこの「ベーカリー寿」です。

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「空き店舗を有効活用するにあたってどのような事業を行うのか、町で話し合いを重ねました。例えば、ベーカリー以外では『釣り情報発信のスペース』にするといったものや、『自由に使えるスペースにしよう』などのアイディアが出ました」

町で検討した結果、ベーカリー事業に活用することが決まると、町民の方からは「焼きたてのパンが食べられて嬉しい!」という喜びの声も多かったのだそうです。

suttu1.jpg「みなくる104」という建物。学童クラブや民営塾も入っています

また、町が一体となりこんな取り組みもされているのだとか。
「寿都町の飲食店さんとコラボしたパンの発売などもしています。最近では、寿都食堂 居酒屋 たつ巳さんのポテトサラダを具材にした『ポテトサラダサンドイッチ』をつくったところ、お昼前には売り切れるくらいの人気でしたね。そのほかにも、月に1回くらいに期間限定商品を出していて、そのアイディアはスタッフさんが出してくれています」

ベーカリーで勤務するスタッフの吉田 真美さんと川崎 春香さんは、お二人とも旦那さんのお仕事の都合で寿都町に移住したのだそうです。近くでのお仕事を探している最中にタイミングよくこちらの求人が。

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「常連さんとは顔馴染みになって、お話したりすることもあります。広くはない町なので、知り合いの知り合いだったりと、繋がりがあることもしばしば。未経験から始めたので、最初はパンの種類・焼き方を覚えたり、具材を手作りする商品もあって慣れるまでは少し大変でしたが、スタッフ同士も仲が良くて働きやすい環境です。コラボメニューのアイディア出しも、この月はこの人が担当とは特に決めていないのですが、スタッフ同士協力しあって自然とできています!」

とっても賑やかで笑顔が絶えないおふたりから、ここ寿都町のあたたかい雰囲気が伝わってくるようでした。

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皆さんに「パンは好きですか?」という質問をしてみたところ、「どちらかというとお米派です!」というお答えが(笑)
ベーカリーはスーパーや商店のように、日常に絶対必要不可欠なものではないかもしれません。でも、お店からする焼きたての香ばしいパンの匂いに安心したり、ちょっとしたご褒美に買う1つのパンが癒やしになるという経験をされている人もきっと多いはず。このベーカリーは間違いなく寿都町での暮らしを元気にする場所になっているのだと思います。

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寿都商工会
寿都商工会
住所

北海道寿都郡寿都町字大磯町81番地1

電話

0136-62-2185

URL

http://www.town.suttu.lg.jp


自然の恵みと暮らしやすさが同居する港町。パンで元気を届けます

この記事は2020年3月9日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。