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まちおこしレポート
三笠市

食のまち、子育てのまち、新たな「三笠ブランド」20190729

この記事は2019年7月29日に公開した情報です。

食のまち、子育てのまち、新たな「三笠ブランド」

北海道札幌市から旭川方面に向かって車で約1時間の距離にあるのが三笠市。

炭鉱まちとして栄え、今も旧住友奔別炭鉱立坑櫓が炭鉱遺産として残され、また「北海盆唄」という道民にとってはなじみ深いお盆ならではの盆踊りの唄の発祥地でもあります。
北海道ではお盆時期にはあちらこちらで「シャンコシャンコシャンコ♪」と夕方になると聞こえてくるのです。これは「こども盆踊り唄」といい、子どもたちが浴衣を着ながら輪になって踊ります。

どこからともなく聞こえてくる太鼓と笛のお囃子に、北海道で幼少期を過ごしたことのある方なら反射で足がそちらのほうに向いてしまう方も多いはず。この子どもたちの踊る「こども盆踊り唄」が終わると「北海盆唄」を大人達が踊る、というのが北海道のお盆には欠かすことの出来ない風物詩です。

さて、そんな三笠市は移住に対してもかなり力を入れて取り組んでいるという話を聞きつけやってきたのは少し蒸し蒸しとし始めた北海道の7月。

出迎えてくれたのは三笠市役所企画財政部政策推進課定住対策係の樋口幸絵さんと加藤兼太さん。さわやかに登場していただいたそのお姿は「三笠北海盆おどり」のポロシャツという出で立ちです。

mikasa_yakuba2.JPGこちらがそのポロシャツ

三笠市では毎年この「北海盆唄」を盛り上げるべく「三笠北海盆おどり」を8月の3日間に渡って開催しています。
期間中はさまざまなイベントが催され、最終日には花火が打ち上がりクライマックスを迎えるのです。

三笠市を代表するこのイベントは市を上げて盛り上げるべく、全員がこのポロシャツを着て勤務するのだとか。クールビズと広告を兼ね揃えた一石二鳥の素敵な取り組みです。

ではさっそく三笠市の移住についての取り組みについてお話しを聞いていきましょう。

子育て世代に優しいまち

「平成23年度から『三笠市も移住に力を入れていこう』と移住者向けの家賃助成や保育料・幼稚園授業料の実質無料化、0歳児の紙オムツ券を支給など色々な助成がスタートしました」と話してくれたのは係長の樋口さん。


mikasa_yakuba4.JPGこちらが樋口さんです

動き始めた3年後の平成26年には年間350人以上もの転入者があり、転出よりも転入の方が増加したといいます。転入して来た方たちにアンケート調査を行ったところおよそ3割が三笠市のCMをきっかけに支援制度を知り、実際にやってきたという回答でした。(三笠市移住定住促進テレビCM

中でも子育て世代に向けた施策や助成制度が充実していたため、空知管内の市では唯一0〜14歳の人口が増加傾向にあるのだとか。

さすが三笠市の移住について熟知していらっしゃる樋口さん。
この部署は長いのか聞いてみると「いえ、平成28年度にここの部署に来て、平成29年度から三笠市高校の生徒たちが調理・運営する『高校生レストラン』の開設準備に携わって、今年戻ってきたんです」と話します。

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さらにはずっと三笠市に住んでいたわけでもないようで...
「もともと三笠市出身なのですが、東京に憧れもあって大学は東京へ行き、そのままずっと住みたいとさえ思っていました。でも、卒業後は北海道へ。札幌で印刷関係の営業職を2年程やっていました。営業職に少し疲れを感じてきたときに両親から市役所で募集が出ていると聞いたんです。それで地元に戻るのもいいかなぁと考えて無事採用してもらい今に至ります」と笑います。

東京・札幌での生活を経験した樋口さんに改めて三笠市での生活を聞いてみると「今、女の子を2人育てていますが、三笠市の自然の中で子育て出来ていることが、やっぱりいいなぁって自分が子育て世代になってすごく感じています。家の玄関先にクワガタが落ちてますからね(笑)。だから東京への憧れとかはもうないですね」

 mikasa_yakuba6.JPG自然溢れる三笠市内の風景写真。

実際に子育てをした方、またはしている方は痛感すると思うのですが保育料が無料・幼稚園授業料が無料だったり紙オムツ代がかからないというのは、子育て世代からするとかなり助かります。樋口さん自身もこの制度の恩恵を受けて助かったと話しますが、やはり実際に制度を利用した人からの話の説得力は大きいもの。

他にも、妊婦健診の交通費助成や、新婚による引っ越し費用の助成、シングルマザーを対象とした資格取得のサポートなど、子育て世代に向けた様々な助成があります。樋口さん曰く「こうした移住施策をしていなかったら、もっとこのまちの子どもたちは少なかったんだろうなって思っています」と話します。

だからこそ、少しずつ転入者の数を増やしている実績があるのです。

mikasa_yakuba7.JPG移住希望の方にも丁寧にまちのことをご説明。お二人の明るい雰囲気に、移住希望の方も安心してお話ができそう

樋口さんが所属するこの部署にはもうひとり、2019年に入庁したフレッシュ職員の加藤さんがいらっしゃいます。

「このまちの魅力は、高校生レストランですね」と加藤さんが話す通り、加藤さんがこのまちの職員として入庁を決めた理由のひとつに、この高校生レストランが挙げられるそうです。

「僕は北海道の沼田町というところ出身で、大学で札幌に出てきました。将来は地域住民とより密着した関わりが持ちたくて、地方公務員を目指していました。どこのまちにしようかと考えていた時に、三笠高校の生徒たちが運営する『高校生レストラン』の存在を知ったんですが、そこで調理や接客をする高校生の目がキラキラしていて。それは目標を抱いているからこその表情なんだろうなぁってとても感動したのを覚えています」

微力ながらも、何か自分にも手伝えることはないだろうか...そう考えた加藤さんは「まちの財産」とも呼べる高校生レストランに心奪われ、三笠市の職員となったのです。

mikasa_yakuba8.JPG加藤さんは、適度に都会で適度に田舎なこのまちの生活にも少しずつ慣れてきた様子。「夜は少し怖いくらい暗いですが(笑)でもその分星がとってもキレイなんです。自然に囲まれた中で生活できているのを感じます」

まちの宝「高校生レストラン」

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さて、加藤さんがおっしゃる「高校生レストラン」の話をする前に三笠高校について少しお話をします。

この学校は、平成24年度にもともと北海道立だった北海道三笠高等学校を市立三笠高校として再スタートを切りました。ご存じの方も多いかも知れませんが、この市立三笠高校に「普通科」はありません。道内の公立高校で唯一の食物調理科単科校となり、今やこの学校に通う高校生が調理・運営する「高校生レストラン」が名を馳せています。

このレストランでは、生徒が調理・接客を担当。料理やスイーツを一般客に提供し、腕を磨くレストランであり、高校生の研修施設でもあります。この施設の中には、プロ仕様の調理設備が勢揃いしており、ここからプロを目指し巣立っていく若者たちを多く輩出しているのです。

今では人口減少に伴い、まちから高校がなくなってしまうというところもあるのに対し、三笠高校はいち早く調理に特化したことにより、生徒の数も確保することに成功。まちを歩く高校生の姿がちらほらと目立つのは、なんだか活気を感じます。

生まれ変わった三笠高校からは、すでに200人ほどが巣立っています。その一期生としてこの学校に入学した、上西歩夢(じょうにし あゆむ)さん。

mikasa_yakuba12.JPGこちらが上西さん

彼は、三笠高校を卒業後東京の専門学校へ進学。東京、そして地元旭川のお菓子屋さんでの仕事を経て、三笠市地域おこし協力隊としてこのまちへ戻ってきてくれました。現在は高校生レストランの施設内で料理教室の企画・運営という業務の傍ら、2019年4月には満を持してご自身のカフェを三笠市内にオープン。

mikasa_yakuba9.JPG噂の上西さんのお店の前にて。上西さんを囲んでみんなでパシャリ。

上西さんと同い年だという加藤さんは、「ゼロからイチをつくるのって難しいのに、お店までつくって、それを決して自己満足で終わらせていないのがすごい」と同い年ながらに尊敬している様子。

実際に面接を担当した樋口さんも「こうして三笠高校の生徒が戻って来てくれることが嬉しい」と語ります。事実役場の方々だけではなく、現在三笠高校に通う生徒たちにとっても上西さんのような先輩の姿はとても刺激になっていると言います。

食に力を入れたまち、三笠ブランドを目指し

こうした三笠高校や高校生レストランをはじめとする取り組みにより、「食のまち三笠」としてこれからも推し進めていきたいと、樋口さん加藤さん、そして、上西さんは強く想っています。


今や高校生レストランは、道内外から多くのお客さまが訪れ、「過疎のまちが復活する貴重な事例」としても評価されています。
さらに、周辺への食関連店舗の進出や、特産品ブランド化などにより、地域の雇用創出等、地域経済の好循環が期待されています。

新たに誕生したこのまちの財産と共に、そしてそこから輩出された人財と共に、三笠市は食のまちというブランド、そして子育て世代に優しいまちという魅力を引っ提げ、さらにまちとしてパワーアップしていくことでしょう。

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三笠市企画財政部政策推進課定住対策係
住所

北海道三笠市幸町2番地

電話

01267-2-3182

URL

https://www.city.mikasa.hokkaido.jp/mikasalife/


食のまち、子育てのまち、新たな「三笠ブランド」

この記事は2019年7月19日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。