初めて江別を知った人、江別に戻ってきた人
北海道江別市は知る人ぞ知る、あの大泉洋さんの出身地。また、「えべチュン」というゆるキャラは市民の間ではちょっとした人気者。
一体江別とは、どんなまちなのでしょうか。
札幌と聞けば誰もが知っている地名。そのすぐ隣に、北海道江別市が存在します。
都会のまち、札幌。それに比べて江別は「何もないまち」とよく言われてしまうそう。しかし、そんな江別を盛り上げようと奮闘する人たちがいることを、今日は皆さんにお伝えしたいと思います。
まずご紹介するのは、地域おこし協力隊の2名です。江別市に協力隊は全員で4名いますが、今回は代表して江別市内の「広報」を担当する方々にお話をお聞きしました。
1人目は、北海道の空の玄関口新千歳空港から車で南に向かい40分程度のところに位置する白老町で生まれ育った佐賀絵実子(さが えみこ)さん。海に面していることから、海の幸にも恵まれた白老町。決して「都会」とは言えないところではありますが、その後就職のタイミングで札幌へ。
おっとりとした雰囲気の佐賀さんのあだ名は「ぽん」。ただ、「呼びやすいから」という理由のみで命名されたのだとか。
「札幌に出てきて世界は広がりましたが、田舎だった白老町との違いに戸惑うことも多く・・・そんな時目にしたのが地域おこし協力隊の募集でした」と話す佐賀さんは、そのまま協力隊へ応募。正直なところ、「地域おこし協力隊」というものが一体どんな制度なのかはあまり考えず、募集要項に書かれていた仕事内容に惹かれたのだそうです。
2人目は、江別市大麻で生まれ育った畠山真理(はたけやま まり)さん。
黄色のスカーフを巻いているのが畠山さん。「はたさん」と呼ばれ、みんなのリーダー的存在の方。おっと・・・まわりにも人がたくさんいますが、後ほど紹介しますね。
その後江別を出て、北海道千歳市の企業に就職し、結婚後は札幌で生活をしていました。現在1歳10ヶ月になるお子さんがいる畠山さんが「江別に戻りたい」と思ったのには、お子さんが大きな理由。
「私自身この江別という場所で、地域の人と密接に育ってきたな〜と子育てをするようになって改めて実感していました。それから、自分と同じ場所、同じ空気の中で育てたい、そんな思いが次第に芽生え始めてきた時に地域おこし協力隊の募集を目にして応募したんです」。
応募を決意したその当時、お子さんは3ヶ月。そして、旦那さまも札幌の会社で働いています。反対はなかったのでしょうか?
「江別から札幌まではJRで20分程度なので、バッチリ通勤圏内です。だから暮らしは変わらないよってプレゼンしました(笑)。そして、やりたいことがあるならやった方がいいと背中を押してくれたんです」。
それぞれのタイミングが重なり、協力隊として出会うことになった佐賀さんと畠山さんは現在広報を担当しており、「はたぽんだより」というものを配布。二人のあだ名を組み合わせて命名された通信です。
こちらが「はたぽんだより」。
今はWEBも進化していますが、未だに回覧板や、紙媒体を求めているお年寄りの方はたくさんいるのが現状。はたぽんだよりは、「困ったらなんでも私たちに声をかけてください」そんな思いが込められているのです。
普通にPRしても面白くない、だったら全身タイツを着てみよう!
江別を盛り上げるべく、どんどん外へこのまちをPRしていきたいと考えている協力隊メンバー。しかし、普通にPRしても面白くはない・・・佐賀さん、畠山さん、そして他の協力隊メンバーを交え話し合った結果生まれたアイディアは、なんと「全身タイツを着る」というもの。
実はみんな、江別の特産物に称しているのです。(レンガ、ブロッコリー、小麦、ヤツメウナギ・・・)
これは、NHK北海道の「We Love Dance オドッチャオ!」という番組に出演するために全身タイツに挑戦した時の写真。地元北海道を盛り上げよう!をテーマにしたダンスイベントで、江別のPRを試みたのです。
「もうこんな機会が無ければ全身タイツを着ることはなかったから、良い機会でした」と笑い合う二人。
この番組の他に、毎年2月頃に開催される「えべつスノーフェスティバル」というイベントでは、歌とダンスを披露。ステージに注目してもらうために思いついたアイディアなのだそうです。
そしてもう1つ、協力隊の活動として頑張っていたことがあります。それは、協力隊のFacebook内で江別の魅力溢れるスポットを100個紹介していこうというもの。その名も「江別100選」。
「今まであまり江別のことを発信出来ていなかったので、やってみようということになったんです。あと、やるからには連続して投稿していこうって決めて始めました」と話す畠山さん。無事、100カ所紹介達成したそうですが、ネタ切れとかはなかったのでしょうか?と聞いてみると「それが、100個じゃ足りないくらいでした」とにっこり。
もしかしたら今後、200個...300個と増えていく可能性もあるかもしれませんね。
100選はこんな感じで紹介。協力隊4名が交代しながら発信していました。
「江別に行ってみたい!」と思うきっかけになってほしい・・・そんな想いを込めて。
江別愛に溢れた人たちからの応援があったから
みんなで知惠を出し合い、江別を盛り上げようと日々奮闘しているみなさんは江別の協力隊第一期生として入り、当初は「自分たちを受け入れてくれるのだろうか」、そんな不安と緊張を抱えていたそう。しかし、なんと着任してみるとすでに「協力隊の協力隊」と名乗る人物がいたそうで・・・。
それが江別市在住の山崎啓太郎(やまざき けいたろう)さん。デザイン会社に勤務しています。
Pマークの帽子がトレードマークの山崎さん。
「協力隊の協力隊・・・本当にそのまんまです(笑)。地域おこし協力隊として江別に来てくれて嬉しい。だから、その子たちをバックからサポートしたいと思って」と話す山崎さんも、江別を盛り上げたいと奮闘する一人。
山崎さんは「えべつセカンドプロジェクト」(略してセカプロ)という市民団体も立ち上げて活動しています。
セカプロの由来には、まちづくりのメインは江別市役所(ファースト)、行政では難しい部分、カバーしきれない部分を2番手の立場で勝手にサポートしたいという想いが込められています。
「大好きな江別を僕たちなりに表現し、サポートしていく非公式なプロジェクトなんです」と山崎さんは言います。
手の届かないかゆいところに、セカプロが入り込んでいく、サポートしていく・・・そんな人たちに支えられていた、協力隊メンバー。
協力隊の4人が写るこのフライヤーは、デザイン会社に勤める山崎さんが手がけています。
そして、山崎さんだけではありません。同じくセカプロのメンバーとして活躍している方々をご紹介していきましょう。
江別市内でパート勤務をしている、主婦メンバー代表三ツ井瑞恵(みつい みずえ)さん。
市内で運営されている「子ども子育て会議(子育て当事者や子育て支援当事者が集まり、意見交換しながら計画を策定し、事業を推進していくというもの)」の市民委員として参加していた三ツ井さんは、同じくその場に居合わせた山崎さんと出会います。もともと三ツ井さん自身も江別のために何か出来ることはないかと探していた方。山崎さんの活動に共感し、セカプロとして共に活動することになりました。
続いて、岡村若桜(おかむら わかさ)さん。現在市内で「巴農場」という米農家を営んでいますが、岡村さんの経歴は少し変わっていて・・・
もともとこの農場は、岡村さんのご実家。昔から農業が身近にありましたが、岡村さんは関東でプログラマーとして働く道を選びます。そんな経験を経て北海道へUターンし、実家の農家を継ぐことに。戻ってきたちょうどその頃、共通の知人を通じて岡村さんもまた山崎さんに出会いました。
セカプロには、それぞれ色んな分野のフィールドから人が集まっています。だからこそ、それぞれの「得意」が活かせる場でもあるのです。それぞれが持つスキルや、人脈が色々な場面で活かされています。
「先ほども話していた、協力隊のダンス。あれも、アイディアが挙がってからすぐにカタチにできたのは、ここにいるみんなの人脈があってのこと。江別には地味にすごい人たちがいっぱいいるんですよ」とみなさん。
ダンスがしたい、となったら振り付け師がいる江別。自分たちがつくった歌を歌いたい、となったら作曲できる人がいる江別。
都会に行かずとも、このまちで完結できるんです。「何もないまち」と言われるけれど、実はそうではない、そう江別愛に溢れる皆さんが教えてくれました。
協力隊と市民団体、その2つの力が重なり、大きなものが生まれていく!普段から連絡を取り合い、いつも協力し合っています。
協力隊の任期は3年と決まっています。佐賀さんと畠山さんの任期は残すところあと1年。振り返ってみると、山崎さん率いるセカプロのみなさんの存在が大きかったようです。
「本当に、皆さんの存在にはありがとうという想いでいっぱい」とニコリと笑う佐賀さんと畠山さん。
セカプロの皆さんにも協力隊メンバーのことを聞いてみました。
「江別のためにという想いで、本当に頑張っている姿をよく見ています。任期があるのがもったいないです」と米農家の岡村さん。
山崎さんも言葉を継ぎます。
「本人たちが、本当に楽しそうにやってくれるのがこちらも嬉しいですよね。そんな楽しい姿がしっかり発信できていると思います。行政もきっと助かっていると感じているはずです」。
ダイバーシティー江別。みんなでこのまちへの想いを語る
札幌が隣にあるため、江別の存在が隠れがち。それでも江別に住んでいる人たちが、こんなにも自然がたくさんあって、田舎と都会の両方を併せ持っているこの地を誇りに思ってくれたら嬉しい...とそれぞれが語ります。
三ツ井さんは、「おばあちゃんになっても江別で楽しく暮らしていきたい。そして、自分だけのためじゃなく、若い子たちにとっても良いまちであってほしい」とニコニコ笑顔。
「若い世代にも、今後のことを考えたら江別はいいぞって伝えていきたいですね」とみんなでうなずき合っていました。
最終的に江別はダイバーシティーになって欲しい、生粋の江別人じゃなくて良い、色々なところから江別に人が集まり、どんどん新しいまちを作り上げていってほしい、そう語るみなさんの瞳からは熱いものが伝わってきます。
江別のために奮闘する人たちのその想いに心動かされ、江別へ移住を決める方も、もしかしたら今後増えていくかもしれませんね。江別はどんな方でも大歓迎。だって、ダイバーシティー江別ですから。
江別でお待ちしていま〜す!
- 江別市地域おこし協力隊
- 住所
北海道江別市大麻中町26番地(江別市役所大麻出張所)
- 電話
011-387-2330
◎江別市地域おこし協力隊のFacebook
◎江別の魅力を発信!江別市民ブロガーズ