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まちおこしレポート
当別町

地域のピンチは福祉のチャンス!社会福祉法人ゆうゆう20170220

この記事は2017年2月20日に公開した情報です。

地域のピンチは福祉のチャンス!社会福祉法人ゆうゆう

福祉の力で街おこし!

石狩郡当別町。当別といえば、北海道医療大学があるところと認識している人も少なくはないはず。今回の取材先は社会福祉法人ゆうゆう。主に福祉をメイン事業として行っている団体です。


yuyu2.jpgこちらがゆうゆう本部の外観

中にお邪魔すると、1階のスペースには放課後デイサービスの施設があり、こどもたちが楽しそうに遊ぶ声が響きわたっていました。

そう、『福祉』とひとことに言っても、ゆうゆうではその幅が広いのです。お年寄りへの福祉はもちろん、大人からこどもまで、年代関係なく誰かの助けを必要としている人たちに手を差し伸べる、それがゆうゆうの考えです。

今回お話を伺ったのは、37才という若さで理事長を務めている大原裕介さん。ゆうゆうの立ち上がりは、大原さんの学生時代に遡ります。

yuyu.jpg理事長の大原裕介さん

大原さんは、北海道医療大学に通う学生でした。そこで今のゆうゆう誕生のきっかけをつくった恩師と出会います。

もともと大学で福祉を選考していた大原さんは、恩師に商店街の賑わいを活性化させるためのボランティア活動の場に連れて行ってもらいました。その活動中に、障がいのある子を持つお母さんに出会います。話をしていく中で、お母さんの苦労を知り、一人で抱え込まないような体制を町単位でつくっていくべきなのでは、と大原さんは考え始めました。

「人の元気がなければ、街はどんどん廃れていってしまう。福祉のサービスがしっかりしていないと、人の元気は生まれない。この悪循環を止めるためにも、『街づくり』こそが福祉と結びついてくるのでは」と。

そして、自分にも何か出来ることはないのだろうかと考え、社会福祉法人ゆうゆうを立ち上げることとなったのです。

その活動は、福祉のフィールドを超える

ゆうゆうは平成17年に設立。平成29年で早12年目に突入しました。当初4名だったスタッフは、今では100名を超えます。

スタッフの年齢は、大学生から上は70歳までと幅広く、経歴も様々です。今ではなんと、元学芸員・元パティシエ・元デザイナーといったように、違うフィールドで活躍していたスタッフが働いています。

一体どうしてそんなにもたくさんのスタッフが、しかも年齢の幅も広く、経歴もバラバラで、一体どこでどんな仕事をしているのか?と取材陣が疑問をぶつけました。

「現在、ゆうゆうは16個の事業所を構えています。福祉関連の施設はもちろん、中にはレストランやカフェも運営しています。でもどれも必ず根本には『福祉』が存在しているんですよ」。

「え?福祉を事業としている団体がレストラン?カフェ?」と思った方もいるのではないでしょうか。

「実はゆうゆうは農園も持っており、障がいをもつ方が栽培・収穫をし、そこで採れた食材を使用するレストランを運営しているのです。カフェは、北海道医療大学内に設け、障がい者がスタッフとして店頭に立っています。ラテアートなんかにも挑戦しているんですよ。働きたくても誰かのサポートが必要な人たちの就労サポートをメインとしています」と大原さんは言います。

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yuyu8.jpg北海道医療大学内にあるカフェがこちら

こうして、障がい者のサポートはもちろん、同時に雇用も生み出しているのです。

福祉以外のことをやってきた人大歓迎

今後の野望の1つとして、「どんな人と一緒に働きたいですか?」と聞いてみました。

福祉をメインの事業としている団体ではありますが、「福祉以外のことをやってきた人大歓迎」と大原さんは話します。

「うちの団体には、本当に色々な経歴の人がいますし、活動自体も多岐にわたりますが、どれも常に『福祉』と『街づくり』をリンクして考えています。これからも根本にある『福祉』は変わらないけれど、新しい分野にもどんどんチャレンジしていきたいと考えています。仕事はいくらでも作れるので、自分の得意分野を活かせる場所であって欲しいんです」と、大原さんが語る未来には、多くの事業が見えているようです。

見つめる先は海外。世界と対等に互いに学び合う

現在、海外出張も積極的に取り入れています。

それは、海外から福祉を学ぶためです。オランダには、働きたくても誰かのサポートが必要な人たちや障がい者が働いている『ケアファーム』という農園があります。その農園でしっかり収益もあげている、そんな『福祉×就労』を当別にも持ち帰りたいと考えています。

また、最近では海外からゆうゆうの施設を視察に来る方も増えているようです。このように、今後も他国と互いに往き来し、互いに学び合い、吸収していきたいと思っていると話してくださいました。

「こういう業務に関しても、国際交流に興味のある人や海外に興味のある人にぜひ行ってもらいたい」。

一緒になって喜べる人たちがいるから頑張れる

yuyu4.jpg鈴木櫻子さん


もう1人、理事長と一緒にお話をしてくれたのが、鈴木櫻子さんです。

大原さんと同じく、北海道医療大学の学生として福祉を学んでいた鈴木さんは、大学4年生の時に実習先としてゆうゆうにやって来ました。実習の一貫で、地域のお祭りを地域の皆さんとイチから創り上げるなど、ゆうゆうらしい実習活動をしていたそうです。

鈴木さんは、「福祉の道に進みたい、というより、今までの出会いを大切に、この出会った人たちと一緒に成長したい、そう思い社会福祉法人ゆうゆうに入社しました」と、過去を振り返ります。

ありきたりな質問ではありますが、「この仕事のやりがいとは?」

「入社1年目の時に、子育て支援を担当する部署にいたのですが、『こんな若者に任せて大丈夫なの?』という批判も多く、当時は正直辛かったです。しかし、その中でも味方になってくれる人はたくさんいて、本当に心強く、その影響もあり少しずつ皆さんに認めてもらえるようになりました。今では当時一緒に過ごしたお子さんが大学入試を迎えたり、就職したりとどんどん成長していく姿を見て、お母さん方と一緒に涙し、喜び合える関係となりました。そういった人との繋がりや、一緒になって喜び合える人が出来たことがこの仕事のやりがいだと思っています」と優しい笑顔で語ってくれました。

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小さな街だからこそ、その色を守り続けたい

札幌出身の大原さんではありますが、当別町への想いや、福祉と街づくりに関する想い、スタッフへの想いはとても熱いというのが取材の中で何度も伝わってきました。取材日はまだまだ雪が残る1月でしたが、この建物だけは、なんだか心がぽっと温かくなるような、そんな不思議な空間でした。


最後に、皆さんにとって「当別」ってどんな町ですか?と聞いてみました。

「小さいからこその不便さはあるけれど、ローカルだからこその面白みもあります。地元がフランチャイズでいっぱいになっていくのはつまらない。だからこそ、ここ社会福祉法人ゆうゆうから、ローカルだからこその面白みを発信していきたいと思っています。小さな赤ちゃんから、おじいちゃんおばあちゃんまで支えていきますよ!」と最後まで力強く語ってくれました。

yuyu5.jpg色々やりたいことがたくさんあって〜と、ゆうゆうの未来像を語る大原さんと、それを温かく見守る鈴木さん

社会福祉法人ゆうゆう
住所

石狩郡当別町六軒町70番地18

電話

0133-22-2896

URL

http://yuyu24.com/index.html


地域のピンチは福祉のチャンス!社会福祉法人ゆうゆう

この記事は2017年1月17日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。