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Vol.47〜昆布漁と水辺のお話〜20240604

Vol.47〜昆布漁と水辺のお話〜

こんにちは、くらしごと編集部です。お出汁や昆布巻き、佃煮やおにぎりの具としても日本食に欠かせない昆布。日本に流通する95%は北海道産と言われています。昆布にもいろんな種類がありますが、その中でも日高昆布は有名です。

今回は、日高昆布の産地である広尾町で昆布漁を営んでいる保志弘一さんに、昆布漁と水辺について語っていただきました。


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Vol.47〜昆布漁と水辺のお話〜

こんにちは!広尾町で昆布漁を営んでいる保志弘一と申します。今日は私が住んでいる広尾町の、昆布漁と水辺のことについて、ちょっとだけお話したいと思います。

広尾町は北海道十勝地方の南端の太平洋に面した町で、平成30年に開町150年を迎えました。第一次産業が盛んな町で、漁業では秋サケ、シシャモ、毛ガニ、昆布など、北海道を代表する海の幸が水揚げされています。特に昆布の歴史は古く、1700年代後半にはこの地域の交易品として、この地に住まう人々の糧となっていたようです。

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広尾町への入植の歴史は、各地の「川」や「滝」のある場所から集落や町が起こったことが始まりです。その姿は沖から見たら一目瞭然です。

広尾町の昆布漁は、船を出して岩に着いた昆布を抜く方法と、波によって岩からはがされ流れてきたものを専用の道具で拾う「拾い昆布」という方法があります。

unnamed.jpgこちらのマッケという道具を海に投げ、流れてきた昆布をひっかける

そして得られた昆布を町内の「フンベの滝」で洗うという日常が見られます。「フンベの滝」は川の表流水ではなく、湧き出した地下水が直接道路脇に落下している珍しい滝です。ここで海藻屑や砂などを滝の流れで落とし、そのまま昆布浜へ運び乾燥させる。200年以上前から行われてきた光景が、現在もそこにあります。

水辺から歴史と文化、産業が生まれ、現在に繋がっている。この仕事をしていると、そんな先人たちの息づかいを感じるときがあります。昆布漁は7~10月がピーク。これからの時期、滝で昆布を洗う風景がよく見られると思います。お近くにお越しの際は、ぜひこちらにも足を伸ばしていただき、美しい風景と、古から現在に続く人の営みを感じていただければと思います。

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文・保志弘一(ほしひろかず)
広尾町 昆布漁師

広尾町生まれ、広尾町育ちの祖父の代から続く3代目の漁師。天然の昆布を取る昆布漁を営む傍ら、新たな価値を付けた製品「星屑昆布」を開発。持続可能な漁業の実践に向け奮闘中。好きなサカナはトキシラズの塩焼き!小さい頃からリヤカー押しの手伝いをしたり、春の食卓といえばこれ!という遺伝子に組み込まれるレベルで好きなものです!


Vol.47〜昆布漁と水辺のお話〜

この記事は2024年6月4日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。