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森をつくり、全力で遊ぶ。子どもが没頭する「ぷかぷか」の支援20260218

森をつくり、全力で遊ぶ。子どもが没頭する「ぷかぷか」の支援

「遊びをせんとや生れけむ」という、平安時代の有名な歌謡をご存知でしょうか? 「遊びをするために生まれてきたのだろうか」という意味ですが、このご時世、型にはまった学校の勉強だけできても、息苦しくなってしまいそうです。答えのない人との関わり方を知るためにも、カラダとアタマをフル回転させるためにも、「遊び」が大切なのは間違いありません。

今回は「子どもが好き!」「身体を動かすのが好き」が共通点という、事業所の管理者3人にインタビュー。マネージャーの天池陽菜さん、管理者として旭川市内の事業所を運営している中西都海(さとみ)さん、松本沙弥さんに仕事の魅力をうかがいました。

自社管理の「ぷかぷかの森」が隣接する、開放的な空間

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「マジメに遊ぼう!」をスローガンに掲げ、自然体験と遊びをメインとした児童発達支援・放課後等デイサービス 「ぷかぷか」を運営しているのが、旭川市のチャイルドマインディング株式会社です。事業所の1つ、国道そばの高台にぽつんと建つ一軒家にお邪魔すると、大きな窓から自然光がたっぷり注ぎ、暖かい床で大の字になりたくなるような開放的な空間でした。開放感の理由の1つには、この建物に接する斜面に森が広がっていることもあります。ここで自社で管理する「ぷかぷかの森」。全力で鬼ごっこをしたり、野菜を育てたり、落ち葉を集めて遊んだり、子どもたちの声が響いているそうです。

開放的な雰囲気の中、「ぷかぷか」へたどりついたきっかけを天池さんから最初に伺います。天池さんは転職組で、以前の職場は障がいのある人を支える就労継続支援B型の事業所でした。

「昔は養護教諭になりたかったんです。ひょんなことから福祉系の事業所で働くことになったんですが、『子ども関係の仕事をしたい』という思いが大きくなっていきました。ぷかぷかでは自然遊びをメインにしていることに惹かれて転職しました」

pukapuka_15.jpgこちらが、チャイルドマインディング株式会社にてマネージャーとして働く天池陽菜さん

旭川市内のぷかぷかで管理者として働き、産休・育休を挟んで2025年10月に現場に戻りました。チャイルドマインディング株式会社は就労支援やグループホームの新規事業を始める計画があり、それらを統括するマネージャーを任されています。中西さんは当初、自身が幼い頃に通っていた幼稚園で働きたいと考えていました。転機になったのは、同じ短大で学んでいたお兄さんが、障がいのある子どもの施設実習を「楽しかった!」と言っていたことでした。そこで初めて興味がわき、自身も実習してみると...。

「遊びだけで発達するというところに、すごい衝撃を受けました。児童発達支援という領域で働こうと決めました」

松本さんは、中西さんと同じ新卒入社です。もともと小さい子どもの面倒を見るのが好きで、保育士志望でした。中西さんと同じ短大で学んでいたころ、実習を通して「保育士1人で大人数を見るよりも、ひとりひとりの子どもと密に関わりたい」と考えるように。子どもが自由に遊びをつくり出す「プレーパーク」を旭川市内で実践していたゼミの教員の勧めで、ぷかぷかに出合いました。

pukapuka_24.jpg笑顔で話す中西都海(さとみ)さん(左)、天池陽菜さん(中央)、松本沙弥さん(右)

遊びや体験で「没頭している時間」をいかに確保するか

「発達障害」という言葉をよく聞くようになったことからも分かりますが、最近では発達に心配がある子どもに医師からの診断名がつきやすくなり、いわゆるグレーゾーンの子どもに対する療育ニーズも高まってきています。放課後等デイサービス・児童発達支援事業の業界では、異業種を含む様々な民間企業が参入しています。
天池さんは「『他のデイサービスが満杯で入れない』という相談も結構多いです。早めに療育した方がいいと考える親御さんも増えていると感じるので、ニーズが高まっているんだと思います」と言います。

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また中西さんによると、「学校や保育所との連携も重要になってきています。保育園や学校でうまくいかない、先生と合わないなどで相談を受ける時もあります。学校の先生から相談されることもあります」と学校関連とのつながりの重要性が高まっているとのこと。場合によっては学校での子どもの様子を見学して、デイサービスの利用時間を調整するそうです。「私たちが間に入って、お子さんがよりよく過ごせる、ちょっと頑張れるような場面を増やせるようにしています」と中西さんは言います。学校や保育所でも家庭でもない、けれどそれらを橋渡しする存在として、発達支援はますます欠かせないものになっていくはずです。

そこでチャイルドマインディング株式会社が大切にしているのが、遊びや体験で「没頭している時間」をいかに確保するかです。自社専用の「ぷかぷかの森」ではピザを作ったり、薪割りをしたりと、子どもたちが自然に触れながらのびのびと没頭することができます。しかも、ただ単に遊んでいるわけではなく、綿密な支援計画書のプログラムに基づいた質の高い支援です。保育士・児童指導員・社会福祉士など専門性の高いスタッフが見守り、かつ一緒に全力で遊んでくれるので、子どもも保護者も安心です。

子どもの成長を間近で感じる、毎日がドラマチックな現場

今回話を伺った3人は、ぷかぷかのユニークな療育方針に魅力を感じて職場に選びましたが、実際のところ、どんな感じなのでしょうか?まずは「大学で児童の発達を学んだわけではないし、この世界は飛び入りみたいなものなので...」と恐縮されている天池さんに聞きました。

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「最初は不安感でいっぱいでした。空気が読めない、相手を傷つける言動をしてしまう子もいるので、慣れるまで時間はかかりました。でも診断名がついていなくても言う子は言うし、『子どもだからかわいいな』と思えるようになりました」

その上で、「ちょっとしたことでも成長が見えやすい。できることが増えるのをそばで見られるのが一番楽しいですね」と教えてくれました。
これに、松本さんも同調します。

「すごく小さな失敗も成功もたくさん目にする機会があって、人の成長にここまで密に関われる仕事ってなかなかないと思っています。正解がない仕事なので、自分の言動を振り返って勉強したり人の真似したり、私自身も大きな刺激を受けることができています」

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中西さんも「もう、本当に日々ドラマチックですよ! 長く関わっているケースだと、小学生2年生から知っていて来年就職する子もいますが、すごく落ち着きが出てきたなとびっくりします。二択でしか答えられなかった子が、半年後に『鉛筆削り欲しい』と言ってきたこともあります。毎日発見があって、スタッフのみんなと共有できるのも楽しいです」と話します。

細やかなフォローがあり、残業や持ち帰り仕事はない職場

いろいろな特性があって枠にはまらない子どもたちと密に関わり、全力で遊ぶという仕事。しっかり向き合えば向き合うほど、負担が大きくなりそうな気がします。そのあたりの疑問を3人にぶつけてみました。インタビュー中も笑顔の絶えない3人の表情からは、明るく開放的な職場の雰囲気をイメージできました。発達支援の知識ゼロからこの世界に飛び込んだ天池さんは、苦労が多かった時期、この雰囲気に救われたようです。

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「障がいを持っている子どもとの関わりは初めてで、覚えなきゃいけないことが多く、子どもと信頼関係を築くまでの半年くらいは大変でした。そりゃ、涙が出る場面もありましたよ。そんな時、話を聞いてくれた管理者がケーキを買ってきてくれたり、焼肉に連れて行ってくれたり。細やかな気遣いをいただくことが多くて頑張れました」

ちなみにこの時のケーキがきっかけで、毎年11月にはみんなでケーキを食べるのが恒例行事になっているそうです!
事業の成長によって負担の軽減も進んでいるそうです。天池さんによると、職員の数が少なかった頃は1人で多くの子どもを見るシチュエーションもありました。「1人が靴箱の上に乗って、他の2~3人がケンカして...という状況でした」と笑います。2015年からの10年間で事業所は札幌市内を含めて5つに増え、「ぷかぷかの森」も2か所になるなど順調に成長してきたことで、職員の数も充実するようになりました。それに伴ってメンター制度や新人研修もでき、現在は松本さんがメンターとして新入職員のフォローをしています。

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「先輩・後輩関係なく意見を出しやすい雰囲気です。自分の意見を言って、それを現場に生かしていこうという社風があります。会社自体も伸びてきているなという印象です」

2児の母でもある中西さんは、お子さんを18時半までにお迎えにいかないといけませんが、安心して働けているといいます。

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「18時終業で、即帰ります。無駄な残業をさせない会社なので、よほど深刻ではない限り、申告制の残業を受けていません。仕事の量をみんなで確認して分担するなどして、プライベートも充実させられるようにしています」

旭川の魅力と、「マジメに遊ぶ」ために必要な資質とは?

会社として今後は就労支援やグループホームなど新しい事業も控えていますが、ニーズが高まる児童発達支援・放課後等デイサービスも拡充させていく方針です。子どもや体を動かすことが好きな3人に、どんな人を仲間として迎えたいか聞きました。


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「やっぱり、子どもたちに好かれるような元気で明るい人ですね。そして、仕事をしているとマイナスな気分になることもありますが、そんな時に周りのアドバイスを聞いてポジティブになれると続けやすいと思います」

中西さんは、森での遊びや自然体験を打ち出していることから「アクティブさやフットワークの軽さがあると、にぎやかで楽しいと思います。『とりあえず鬼ごっこしますか!』みたいな感じで」。子どもと遊ぶにも、大人の側に経験がないと遊び方が分かりません。だからこそ、遊びを楽しむ心が大人にも必要だそうです。

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最後に、旭川で暮らしながら働くことについてどう思っているのか、松本さんをはじめ3人に聞きました。

「若者目線でかつては『あんまり遊ぶところがない』と思っていましたが、田舎すぎず都会すぎず、暮らしやすいです。子育てしている方にとっては公園が多いのは良いですね。生活は旭川で完結できるし、富良野も札幌も車をちょっと走らせれば行けます。空気もきれいです」

同じく旭川育ちの天池さんは「バスで中心部に出られるので、場所によっては最悪車を持っていなくてもどうにかなるパターンが多いです。買い物するスポットも近く、交通費などにはそれほどお金がかからないので、お金を貯めるにはいいかもしれません」と話します。中西さんは「ぷかぷかの森」に旭川在住の木こりが来てくれることや、森で仕事をする家具職人と親交があることを例を挙げ、「良い意味で世間が狭く、いろんな場所で多くのつながりが持てます。旭川っていいところだなと思えますね」と話します。

「仕事」と「遊び」を同列に扱うと語弊があるでしょう。それでも「子どもが好き」「体を動かすのが好き」と口をそろえる3人は、仕事としてマジメに遊んでいるように見えました。旭川はよく、自然と都市が程よいバランスで調和していると言われます。自然との距離も人との距離も近いからこそ、「ぷかぷか」が大事にしている「マジメに遊ぼう!」を実践しやすいのかもしれません。

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児童発達支援・放課後等デイサービス チャイルドマインディング株式会社
児童発達支援・放課後等デイサービス チャイルドマインディング株式会社
住所

北海道旭川市春光5条8丁目7-9 58オフィス2F

電話

0166-73-8407

URL

https://pukapuka-kids.com/

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森をつくり、全力で遊ぶ。子どもが没頭する「ぷかぷか」の支援

この記事は2025年11月25日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。