「くらしごと・森スタイル」が伝える、北海道林業のリアル
私たち「くらしごと」は、北海道で暮らす人、働き方、そして地域に根ざした産業の魅力を発信するWebメディアです。中でも「森スタイル」では、北海道の基幹産業である林業・木材産業に焦点を当て、担い手不足や資源活用といった課題、そして未来に向けた挑戦を続ける企業や組合の取り組みを紹介しています。
今回ご紹介するのは、オホーツク地域でスタートする、林業・木材産業界の川上(木を伐採する事業体・供給)から川下(木を加工・製品化する事業体・需要)までが一体となった、地域材活用に向けた初の試みです。
地域の未来を担う「広葉樹でアレコレ道(Do)!?」プロジェクト
オホーツク総合振興局は、昨今の広葉樹材の需要の高まりに対応するため、令和7年度より「広葉樹でアレコレ道(Do)!?地域材利用促進事業」に取り組んでいます。この事業の一環として、川上・川中・川下の事業者が一堂に会する座談会が、2025年12月10日に津別町の「ツクール(TSKOOL)」で開催されます。
座談会には約30名の事業者が集結し、川上・川中・川下の立場を超えて、広葉樹活用に向けた意見交換が行われる予定です。川上から川下までが顔を合わせることで、広葉樹のさらなる利活用に向けたマッチングのきっかけと、具体的なニーズの把握を目指します。
こちらが会場となる「ツクール(TSKOOL)」。
「欲しい木がない」「売る先が分からない」--立ちはだかる壁
この取り組みが注目される背景には、オホーツク地域の広葉樹における流通・加工における構造的な課題が存在します。
【川上(供給側)の課題例】
伐採された広葉樹のうち、良質な材は旭川の銘木市(広葉樹の丸太販売イベント)などへ出荷されますが、その他は行き先が明確でなく、ほとんどがパルプ材として使用されるのが現状です。林業事業体からは、「需要がわかっていれば、それに合わせて仕分けすることも検討していきたい」との声があり、今回の座談会により構築されるネットワークを活用して、川中・川下のニーズが明確になれば、最初からそのニーズに合わせて伐採・仕分けすることも期待されます。
【川中・川下(加工・需要側)の課題例】
川中・川下でも、広葉樹のニーズはあります。しかしながら、特に川下の家具製造メーカーや工房においては、木材の人工乾燥により品質が安定した材料が必要です。オホーツク地域内には家具工房等が必要とする規格や樹種の製材、また、製材後の人工乾燥を行える川中の事業体が不足していることも課題として挙げられています。そのため、今回の座談会により構築されるネットワークを活用して、安定した材の確保に向け、川上側との連携をはじめ、小規模の工房同士が協力し合い、共同で材を発注し、仕入れるなどの検討もできるのでは、と期待されます。

「顔の見える繋がり」から生まれるオホーツクブランド
この座談会は、川上・川中・川下が互いの「繋がり」を構築する第一歩です!
座談会を通じて、課題を共有し、互いに顔の見える関係を築くことで、オホーツク地域の林業・木材産業が、資源の付加価値向上と地域経済の発展に向けた大きな一歩を踏み出すことが期待されます。
数年後には、このネットワーク構築から、広葉樹の新たなオホーツクブランドが生まれるかもしれません!
2026年には開催後のレポート記事を公開予定です!

【参加予定事業体】
網走地区森林組合、北見広域森林組合、株式会社佐藤製材工場、株式会社山上木工、有限会社葛西木材工業、有限会社アイテック ニシオカ製作所など30社程度
- 北海道オホーツク総合振興局産業振興部林務課
- 住所
北海道網走市北7条西3丁目
- 電話
0152-41-0648
- URL















