
この夏、岩手県から別海町へ移住してきた神田実潤(まひろ)さんと桃寧(ももね)さん夫妻。別海町は桃寧さんの故郷であり、実家もあることから、結婚を機に別海町で暮らすことになったそう。これまでの2人の歩みを含め、移住前の暮らしと移住後の暮らしの違い、別海町で暮らす魅力などを伺いました。
北海道別海町に移住したら今の生活費はどうかわるの?
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神田さんご家族 基本データ
〈家族構成〉
夫・神田実潤さん、妻・桃寧さん、桃寧さんの母親の3人家族
〈移住情報〉
実潤さんは岩手出身で、桃寧さんは別海町出身。札幌で知り合い交際をはじめ、大学卒業後に実潤さんは故郷の岩手へ戻り、就職。桃寧さんも岩手で看護師として病院に勤務。結婚を機に北海道へ行くことを決め、気候的にも過ごしやすい桃寧さんの実家がある別海町へ。桃寧さんの母親と3人で暮らしている。
〈移住時の不安要素〉
実潤さんは何度か別海を訪れていたこともあり、桃寧さんの故郷でもあることから仕事さえ見つかれば不安はないと感じていたそう。
〈現在のお仕事〉
実潤さんは地元のJA道東あさひに勤務し、桃寧さんは隣の中標津町の町立病院に助産師として勤務。
ここがポイント、移住して良かったこと!
移住前の生活費と移住後の実際の生活費(月額)
※左側は岩手県在住時の生活費、右が別海町に移住してからの生活費です
※新鮮な牛乳や乳製品、海産物などが手に入りやすいため、食費を抑えることが可能になりました。地元の直売所などを活用することで、スーパーなどで購入するよりも安価に、質の良い食材を調達しています
※交際費・嗜好品等の出費はふくまれていません
※子育て中の方にも充実した支援があります〈別海町の子育て応援制度〉
合計支出が移住後に6.7万円も減少していることからもわかるように、住居費や医療費だけでなく、生活費も助成制度によって抑えられています。これにより、全体的な家計の負担が軽減され、経済的なゆとりが生まれています。
札幌で出会い、岩手で2人とも就職。ところが、湿度の高さや暑さに体が合わず...
今年(2025年)の6月に別海町へ移り住んだ神田さん夫妻。妻の桃寧さんは別海町出身なので、桃寧さんはUターン、夫の実潤さんはIターンということになります。現在は、別海町の市街地に住まいを構え、妻の桃寧さんの母親も一緒に3人で暮らしています。
夫の実潤さんは、JA道東あさひに総合職で採用が決まり、7月から営農部に勤務。助産師の桃寧さんは、同じく7月から別海の隣町・中標津町の町立病院に勤務しています。
まずは2人のこれまでの歩みについて伺っていきましょう。
神田実潤さんと妻の桃寧さん。結婚を機に桃寧さんの故郷である別海町への移住を決め、現在は桃寧さんのお母様と3人で暮らしています。
実潤さんは岩手県出身。小学校1年生のときから始めた野球をずっと続け、高校は強豪校である花巻東へ。
「男3人兄弟の真ん中なんですけど、3人とも野球をやっていました。ポジションはキャッチャーが多かったですね。高校時代は寮生活で、野球漬けの毎日でした。卒業したあとは、札幌国際大学に進学し、大学でも硬式野球を続けていました」と実潤さん。
一方、桃寧さんは「高校まで別海町で過ごし、大学は看護師になるため、札幌の天使大学へ進みました」と話します。
大学は違いましたが、札幌で知り合い、交際を始めた2人。大学卒業後、実潤さんは故郷の岩手に帰って就職します。
こちらが、神田実潤さん。職場の人や酪農家の方々がとてもフレンドリーで、岩手での仕事よりも「いい意味で大らか」だと感じています。
「もともと大学を卒業したら岩手に戻るつもりでいたこともあって、保険会社に就職し、営業マンとして働いていました」
岩手に帰った実潤さんを追って、桃寧さんも岩手へ移り、県立病院で看護師として働き始めます。
「でも、どうしても助産師になりたいという思いがあったので、1年後に宮城県仙台市にある助産師の学校へ通うことにしました」
4つ違いの弟さんの出産に立ち会ったときから、赤ちゃんの誕生に携わる仕事がしたいと思い続け、小学校1年生から看護師・助産師になりたいと言い続けていたそうです。
ただ、岩手から通うのは大変だったため、桃寧さんは仙台へ引っ越し。桃寧さんが学校へ通っていた1年間は岩手と仙台の遠距離恋愛でした。
高校時代は強豪校の花巻東で野球に打ち込んでいました。JA道東あさひの野球部が強いことも、入社を決めた理由の一つだそうです。
晴れて助産師の資格を取得した桃寧さんは、再び岩手へ戻って病院に勤務することになりますが、「湿度の高い気候がどうしても体に合わなくて、北海道へ戻りたいと思うようになりました」と話します。
2人は結婚を考えていたこともあり、どこで暮らすか、話し合いを重ねます。
「気候が合わないのに無理して岩手で働き続けるよりも、北海道のほうがいいだろうとなりました。当初札幌に行くという話もあったのですが、今後のことも考えて、妻の好きな別海に移ることにしました」と実潤さん。
別海に何度か遊びに来たことがあった実潤さんは、「岩手の湿度の高さは僕も結構きつかったので、別海のカラッとした夏の気候はいいなと思いました」と話します。
別海の町も家族も大好きだと言う桃寧さんは、「結婚して、子どもが生まれたら、別海で子育てをしたいと考えていたので、結婚を機に戻ることができて嬉しかったです」と話します。
夏は涼しく、冬は雪の量が札幌よりも少ない別海町。冬でもアクティブに楽しめる場所が多く、雪が積もっても北海道の家は暖かいので安心です。
働く場所もすぐに見つかり、移住にあたっての不安要素はほとんどなし
桃寧さんの実家があるので、住む場所に関して心配はありませんでしたが、暮らしていくには働き先を見つけなければなりません。
「引っ越す前に、どんな仕事がいいかなと思って、ネットでいろいろ調べたりしました」と実潤さん。
「別海は酪農が盛んで、人より牛の数が多いとも聞いていたので、パッとひらめいたのがJAだったんです。これから腰を据えて別海に暮らすことを考えたら、地域や地域の人に貢献できる仕事がしたいとも思っていたので、すぐに別海町のJA道東あさひのホームページをチェックしたら、ちょうど中途採用者の募集をしていたんです」と続けます。
営農部に勤務する神田さん 。酪農家をサポートする仕事で、現在は先輩と同行しながら仕事を覚えています。
JA道東あさひに連絡をすると、人事担当者から「正式に面接をする前に、職場体験をしてみませんか」と提案され、引っ越し日の1週間ほど前に一度別海町に来て、2日間の職場体験をします。
「2日間だったんですけど、職員の皆さんがとても優しくて、話しやすく、職場環境がいいなと感じたので、正式に面接を受けたいですと人事のほうに話をさせてもらいました」と実潤さん。さらに「野球部があって、全国大会に出るなど、結構強いという話も聞いていたので、それも決め手のひとつになりました」と話します。
無事に面接をパスした実潤さんは採用となり、7月1日から出勤。営農部の配属となりました。営農部は、酪農家さんたちの牧場運営がうまくいくようにサポートを行う部署。
酪農家さんとお話しをしている一コマ。
「僕は、まだまだ仕事を覚えている最中。先輩に同行して、町内の酪農家さんたちのところに伺うなどしています」と実潤さん。
「酪農や農業に関しての知識がゼロからのスタートですが、本当に職場の皆さんも、酪農家さんたちもいい人ばかり。岩手で保険の仕事をしていたときは、割と職場もピリピリした感じがあったんですけど、そういうのがなくて、いい意味で大らかな感じです」と続けます。
桃寧さんもすぐに隣町の中標津町立病院に助産師として採用が決まり、同じく7月1日から働き始めました。
おいしい海の幸や乳製品のもらいものが多いのも、別海町ならではの魅力
移住してきてからの暮らしについて伺うと、桃寧さんは「もう別海からは離れられないです。出たくないです」と笑います。
別海の暮らしのどのような点がいいと思うのかを2人にあげてもらうと、「やっぱり過ごしやすい気候ですかね」と桃寧さん。実潤さんも「夏は過ごしやすいですね。今年、すごく暑い日が1週間ほどあって、家にエアコンを付けようかという話にもなったんですけど、結局1週間ほどでその暑さも収まったので、来年でいいんじゃないって話になりました(笑)。確かに暑かったんですけど、湿度が違うんですよね」と話します。不快感がまったく違うそうです。
夏の暑さも湿度がなく、過ごしやすい別海町の気候がお気に入りです。
冬のことを尋ねると、桃寧さんは「確かに冬は雪が積もるとか、寒いとかもありますけど、そもそも北海道の家は暖かいですしね」と話し、札幌で暮らしたこともある実潤さんも冬の暮らしで特に心配はないと言い、「むしろ、雪の量は札幌のほうが多いですよね」と話します。
ほかに別海の暮らしでいいところを尋ねると、「食べ物がおいしい」と桃寧さん。
「牛乳はもちろん、私は魚介類が大好きなんですが、ホタテや北海シマエビなど、鮮度が良くておいしいものが手に入るのがいいですね。しかも漁業関係の同級生などからもらうことも多いんですよ。あと、父の伝手で厚岸のカキが安く手に入るなど、道東の海の幸を贅沢に食べられるのは幸せですね」と嬉しそうに話します。子どものころからこんなにおいしい魚介を食べて育っているのは羨ましい限りです。
実潤さんは、「妻からおいしい、おいしいとは聞いていましたが、あらためてこっちに来て牛乳を飲んだら、確かに美味しいと思いましたね」と話します。
さらに、桃寧さんのおじいさんが乳製品に関わる仕事をしていたこともあり、「牛乳だけでなく、乳製品のもらいものも多いんです。祖父は趣味で畑もやっていて、野菜もたくさん育てているので、自分たちで買うのは肉くらいかな」と話し、岩手に暮らしていたころよりも食費はだいぶ下がっているそうです。
「あと、生活費で言うと、食費が下がっているほか、エアコンがない分、夏場の電気代も岩手に暮らしていたときより安く済んでいます」と桃寧さん。
夏場のBBQは日常。町の人は、いい意味で距離が近く、みんなフレンドリー
別海の人たちについて伺うと、「こっちに移住してから感じるのは、人の良さ。いい意味で距離が近くて、すごく心地がいいんです。職場の人もそうですけど、仕事で会う酪農家さんも、堅苦しさがなくて、とてもオープンでフレンドリーな人が多い。妻の同級生も同じで、すぐに仲良くなれるのがいいですね」と実潤さん。
別海で生まれ育った桃寧さんも「私はこっちに友達もたくさんいるし、地元の人との付き合いで苦労とかはないんですけど、別海の外に出たときに、別海の人はみんな優しいんだなと気付きました。誰に対しても圧がないんですよね。裏表もないし、さっぱりしていて、それでいて親切だし、親しみやすい」と話します。
職場は明るく、温かい雰囲気で、非常に居心地が良いと話しています。
また、子育てするなら別海がいいと話していた桃寧さんですが、「同級生も別海で子育てがしたいって言う人が多いんです」と言います。住み慣れた場所での子育てがいいというのもあるようですが、「町の人もいいし、気候もいいし、都会と違って高いビルとかがなくて、自然が多いという環境の良さも、のびのびと子育てするのにはいいと考える人が多いようです」と続けます。
休みの日には、釧路や札幌へドライブがてら買い物に出かけることが多いという2人。桃寧さんは、車で海沿いを走るのが気持ち良くて好きだと話します。一方、実潤さんは、「車の運転といえば、驚いたのは、牛の絵を描いた、牛横断注意の標識。やっぱり牛が多いんだなと思いました」と笑います。
「あと、BBQをする人が多いなと思います」と実潤さん。10日に1回くらいの割合でBBQをしていると思うと話します。桃寧さんいわく、「確かに別海町の人は、夏になるとみんな家の前や庭でBBQをしている」とのこと。
桃寧さんが子供の頃は、実家にBBQハウスもあったそうです。家族だけでなく、近くの人や仲の良い友人たちも集まってワイワイやるのが日常なのだとか。そんなエピソードからも、別海町の人たちの多くがオープンでフレンドリーだというのが分かります。
実潤さんの野球の試合があるときは、桃寧さんがスコア係として球場へ行くこともあるそう。まだまだ新婚の2人、桃寧さんは「これからも仲良く別海で暮らしながら、いつか子どもができたら、のんびり子育ても楽しみたい」と最後に話してくれました。
北海道別海町に移住したら今の生活費はどうかわるの?
どのくらいの生活費がかかるのか、シミュレーターをつかって計算してみよう!
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