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バスドライバーとして江別市の交通を支える!新たな協力隊募集20251020

バスドライバーとして江別市の交通を支える!新たな協力隊募集

車社会といわれますが、車を持っていない方や子ども・高齢者の足として欠かせない交通手段がバスです。電車と違って、バスは住宅地の奥など細かいところまで回ってくれるので、尚のこと地域住民の暮らしに密着している乗り物といえるでしょう。近年、このバスを運転するドライバー不足が顕著となり、泣く泣くバスの減便を行うバス会社も...。「ドライバー不足が続くと、結果として市民が困ってしまう」という危機感から、バス会社に任せっきりにするのではなく、共にドライバー獲得に乗り出す自治体も現れました。今回取材させてもらったのは、地域おこし協力隊の制度を用いてドライバー獲得を目指す江別市。現状や経緯のほか、江別で仕事をして暮らす魅力などについていろいろお話を伺ってきました。

ドライバー未経験もOK。地域おこし協力隊として着任する大きな魅力も

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まずお話を伺ったのは江別市の政策推進課公共交通担当の小林さんです。今回、地域おこし協力隊の制度を用いてバスドライバーを募集することにしたのはなぜでしょうか?その背景をたずねると...


「現在、江別市内の市街地では3つのバス事業者による路線網が整備されています。しかし近年は、バスを利用する人が減っていることによる採算性の問題とドライバー不足が深刻化し、今の路線を維持するのが難しい状況に...。バス事業者がドライバーを獲得しようと動いても、どこも人手不足でなかなか人が集まらないというのが現状でした。役所としても市民の生活を守るためにバス事業者に任せっきりというわけにもいかないと、できることはないかを模索しはじめたのがきっかけです」

いろいろ調べる中で、ほかの自治体で「地域おこし協力隊」の制度を使ってバスドライバーを確保しているという情報を入手します。小林さんは、実際に協力隊の隊員がドライバーとして活躍している道内の自治体に連絡をし、どのような形で進めているのかなどをヒアリング。成功事例を聞いた上で、江別市でもそれが可能かを検討します。

「江別市でも平成28年から協力隊の制度を活用しており、協力隊を管轄している企画課に相談しました。ただ単にバスの運転をするだけでなく、江別市の魅力発信や地域活性化に関する活動にも携わってもらえるならば、地域おこし協力隊での募集も可能であるということで、早速バス事業者に受け入れが可能かを含め相談に行きました」

江別市としてバスの路線維持のため、ドライバー獲得に関して、地域おこし協力隊制度を活用して支援をしたいと伝えたところ、2社(ジェイ・アール北海道バス、夕鉄バス)が今回の受け入れに賛同してくれました。

「地域おこし協力隊の隊員として採用になったあと、隊員の方には2社のうちどちらかと雇用契約を結んでもらい、地域おこし協力隊としての活動、つまり路線バスの運転のほか、SNSや説明会などで江別の魅力の発信などをしてもらいます。協力隊の任期は最長3年。もちろんドライバー経験者は歓迎ですが、未経験であってもバスの運転に興味があり、協力隊の活動に関心がある方であれば、それも歓迎です。2社ともしっかり研修をしてくれるので安心して仕事に取り組んでもらえると思います。任期の3年をフルに活用して、長いスパンでドライバーとして成長してもらい、最終的に江別定住につながればと考えています」

普通自動車運転免許さえあれば、大型自動車第二種運転免許がなくても、採用が決まったあとに取得する形でOK。取得に関しては江別市が費用を負担します。また、3年間の任期満了後、事業者と隊員、双方合意の上、社員としての継続雇用も可能です。

「協力隊としてバスドライバーの任務に就くと、江別市から3年間支援金が交付される予定なのですが、これが大きなメリットでもあると思います。1年経過したら50万円、2年経過で25万円、3年経過で25万円が交付予定。また、協力隊の任期中は毎月上限5万5000円の住宅手当が出るのも大きいかなと思います」

未経験でもサポートしてもらえるということや、金銭的なメリットは魅力的に思えますが、江別の魅力発信を行うことに抵抗を感じる人もいるのではないでしょうか?

「SNSを使った発信が苦手という方もいらっしゃると思いますが、そこは心配無用です。高度なことを求めてはいませんし、できる範囲のことを市としてもサポートします。バスのドライバーとして江別市内のあちこちを走るからこそ見えるものや感じたことを発信してもらえたらと思います。あとは、移住や就職の説明会に参加していただき、リアルな江別の暮らしや仕事の魅力について、移住や就職を検討している方にお話ししていただければと考えています」

また、ほかの協力隊の隊員と交流する機会なども設けているそうなので、職場以外での交友関係も広げることが可能。江別での暮らしをより充実したものにできそうです。

程よく田舎で、程よく都会。江別は、「ちょうどいい」暮らしができるまち

江別市で地域おこし協力隊としてバスドライバーのミッションに従事するにあたり、次に気になるのは暮らしの部分。江別市の暮らしについて、小林さんに尋ねると、「これは僕の個人的な意見ですが...」と前置きをした上で、「規模的にも立地的にも『ちょうどいい』暮らしができるまちだと思っています」と話します。

「程よく田舎で、程よく都会という感じでしょうか。隣が札幌ということで、買い物や遊びにもすぐ行けるけれど、実際に生活している場所は基本的に静かな環境で、とても快適。大きなスーパーもあるので日常的な買い物で困ることはないし、病院や学校もそろっているので不便は一切感じません」

実際、江別市は道央圏で札幌に次ぐ人口規模を誇りながら、市内には大きな石狩川が流れ、広大な野幌森林公園を有し、身近に豊かな自然が感じられる環境。それでいて、5つのJRの駅と2つの高速ICがあり、札幌や新千歳空港へのアクセスも抜群です。子育てに関する施設や教育環境も充実しているので、ファミリー層にも人気の高い市なのです。

「地域おこし協力隊は、北海道内では札幌市在住の方のみが対象ですが、本州からの応募も歓迎です。北海道に暮らしてみたいけれど、あまり田舎すぎるとちょっと心配...なんていう方にとって、江別はぴったりなまちだと思います。そして、本州に比べると北海道の道路は広めで基本的に走りやすいと思いますし、なにより札幌に比べると車の数が少ないので、運転はしやすいと思います」

バスや大型の運転経験がなくとも、バスドライバーに興味があり、北海道あるいは江別で暮らしてみたいという本州の方、札幌市に暮らしているけれど新しいまちでバスドライバーに挑戦してみたいという方、地域おこし協力隊として移住というのもいいかもしれませんね。

江別市内を走る路線では、20代の女性ドライバーも活躍中!

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さて次に、実際に江別でバスドライバーとして仕事に従事している方にお話を聞きましょう。たくさんいるドライバーの中から登場してもらったのは、江別市内を走るジェイ・アール北海道バス厚別営業所で活躍中の伊藤凪海(なみ)さんです。彼女は地域おこし協力隊ではありませんが、江別の街を走るバスドライバーです。

昨年の春に新卒でジェイ・アール北海道バスに入社した伊藤さん。学生時代から車の運転が好きで、いつかトラックや重機など大きなものを運転したいと思っていたそう。そして、大学生のとき、就職で役に立つかもしれないと大型二種を取得したという面白い経歴の持ち主です。

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「ジェイ・アール北海道バスを選んだのは、研修制度がしっかりしていたからというのが理由のひとつ。大型二種を取得したのが、雪が降る前だったので、冬道の運転が心配だったんです。でも冬道講習もしっかりやってくれるというのを聞いたので、これは安心できると思いました」

ほかにも休みがしっかり取れる、福利厚生が手厚いといったところも選ぶポイントになったと話し、「面接のときの会社の雰囲気も良かったんです。かたすぎないところがいいなと思いました」と続けます。

入社後の新入社員研修では、バスの基礎知識や接客方法などを学び、そのあとは約1カ月、訓練車で路上の走行練習。その後、教導運転手についてもらいながら、実際にお客さまを乗せて運転する実地研修を2カ月ほど行ってから独り立ちしました。この研修期間に関しては個人差があるそうで、ジェイ・アール北海道バスの担当者の方曰く、伊藤さんは早いほうだったとのこと。

伊藤さんが所属している厚別営業所は、江別市内や新札幌、北広島など23路線を管轄しています。その路線のすべての停留所や道を頭に入れているそう。スゴイですね!と言うと、「最初のころは道を間違えそうになったこともありました」と苦笑い。それでもお客さまを乗せて、安全に、道を間違えることなく走り切るというのは、こちらが思っている以上の緊張感がありそうです。

「やはり安全第一なので、常に気を張っています。でも、降車の際にお客さまから『ありがとう』と言っていただけると、すごくうれしいし、頑張ろうって思えます」


若い女性ドライバーということもあり、年配の方たちから「がんばってね」と励まされることも多いと話します。また、厚別営業所の路線沿いには大学や高校が多くあるため、学生たちからも接客に対して評判の声が会社のほうに届いているそうです。

伊藤さんに江別市内の道路について尋ねると、「札幌に比べると混みあうことが少ないので、全体的に走りやすいと思います」とニッコリ。気になる冬場も除雪が入るのが早いので、道幅が極端に狭まることはないそう。「それでもやっぱり冬は夏より緊張しますよ」と話し、滑らないように路面状況を常に見極めながらハンドルを握ると言います。

営業所や会社の雰囲気を尋ねると、「皆さん優しいし、話しやすい人が多い」と伊藤さん。分からないことも気軽に聞ける環境で、風通しも良いそう。また、休みを取得する際や体調不良で急遽休まなければならなくなった際も、それぞれが「お互いさま」という考えで、自然とフォローし合える会社の風土も「とてもいいと思う」と話します。

「お客さまに安心して乗車していただけるよう、これからも接客、技術、どちらもしっかり磨いていきたいと思います。また、ちょっとしたことであっても冷静に対処できるようにもなりたいですね」と最後に話してくれました。

コミュニケーションが取りやすい! 江別市の現役地域おこし協力隊の話

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最後に、いま江別市で活躍している地域おこし協力隊の方に、協力隊の雰囲気について聞いてみましょう。
江別をPRするシティプロモートを担当している佐々木穂波さんは、兵庫県から江別市へやってきました。協力隊の隊員になって2年目です。

「着任1年目は江別の特産品を販売する物販イベントに参加したほか、移住者の方たちのインタビューなどを行っていました。今年は江別市をPRするSNS用リール動画・投稿画像作成、移住者に向けた交流会などを行っています」

今は特に移住者に向けた交流会に力を入れているそう。交流会に参加した人たちから「楽しかった」「また参加します」と言ってもらえることや、交流会を通じて仲間の輪が広がっているところにやりがいを感じていると話します。

「私自身、単身で移住してきたので、最初はもちろん友だちがいなかったのですが、交流会を通じて友だちもでき、得るものが大きい活動だと感じています。自分のような移住者の人たちにも、ぜひ交流会を活用してもらいたいと思います」

新たに地域おこし協力隊として着任しても、佐々木さんのような先輩たちが手がける交流会があるとそれだけでも十分心強い気がします。

「江別の協力隊の隊員同志の交流もありますよ。あと、北海道庁が研修の場をたくさん用意してくれていて、江別市だけでなく石狩管内の地域おこし協力隊の横のつながりができるネットワークもあるんですよ」

佐々木さんは、ミッションは違っていても、隊員同志の風通しがいいのも江別の協力隊の特徴かもしれないと話し、役所の担当者たちとのコミュニケーションも取りやすいと続けます。

「移住してくる際、役所の担当者の人たちが住まい探しなども力を貸してくれたのでスムーズに入居できましたし、普段も皆さんとても優しく、親身になってくれます。すごくいい環境で活動ができていると感じています」

知らない場所に引っ越して、そこで新たなことに挑戦するというのはかなりの勇気が必要です。不安もあると思いますが、協力隊ならば役所や周りのサポートが最初からあるので取り組みやすいかもしれません。新しい場所で新しいことに挑戦したい、地域の人たちの役に立ちたい、車の運転が好きだから仕事にしたい、北海道に暮らしてみたいなどの思いがある人にとって、「移住」「転職」へ踏み出す素敵なきっかけになりそうです。

江別市役所企画政策部企画課企画係
住所

北海道江別市高砂町6番地

電話

011-381-1015(企画課直通)

URL

https://www.city.ebetsu.hokkaido.jp/

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バスドライバーとして江別市の交通を支える!新たな協力隊募集

この記事は2025年10月1日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。