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富良野の絶景を眺めながら、最高の美食と温泉を。富良野振興公社20251013

富良野の絶景を眺めながら、最高の美食と温泉を。富良野振興公社

北海道内における観光スポットとして人気の富良野市。ラベンダーが咲く初夏はもちろん、ウインタースポーツを楽しみたいと冬場も多くの人が訪れます。また、農業が盛んで、ワインやチーズをはじめ、地元の食材を用いたおいしいものがたくさんそろっているのも富良野の魅力です。今回は、季節を問わず、国内外からたくさん訪れる観光客を受け入れている2つの施設「ふらのワインハウス」「ハイランドふらの」をおじゃましました。

素晴らしいロケーションと地産地消の料理&ワインを楽しめるスポット

富良野の市街地から車で約5分、清水山の坂道を登っていくと、設立から50年になる富良野市直営のワイナリー「富良野市ぶどう果樹研究所」(ふらのワイン)があります。そこを通り過ぎ、もうひとつカーブを曲がって登り切ったところにあるのが、レストラン「ふらのワインハウス」です。駐車場からは富良野の街が一望でき、この眺めだけでも満足感を得られます。

レンガ調のシックな建物は、完成から40年近くになるそう。「建物自体はだいぶ古くなっていまして...」と謙遜気味に話す支配人の高橋哲史さんですが、逆に歴史と重厚感が感じられます。

250916_020.jpgこちらが、「ふらのワインハウス」支配人の高橋哲史さん。

中に入ると高い天井のロビーが迎えてくれ、ゆるやかならせん階段を上がると、そこがレストランの受付になっています。レストランのほうも天井が高めで圧迫感がありません。そして、一面ガラス張りになっており、駐車場よりさらに高い位置にあるここからの眺望は「素晴らしい」のひと言に尽きます。

「ふらのワインハウス」の看板メニューを尋ねると、「ふらの風チーズフォンデュですね」と高橋さん。ブールパンをくり抜いた中に、富良野産の白ワインと同じく富良野産のチーズを用いたフォンデュソースがたっぷり入っています。鍋に入っていないのが特徴です。

「このチーズフォンデュのソース、すぐに固まらないように工夫したレシピで作っているんです。ワインを使っていますが、アルコールはしっかり飛ばしてあるのでお子さんでも安心して食べていただけます。付け合わせの茹で野菜は、地元の契約農家から届いたジャガイモ、ニンジン、ブロッコリーなど。このチーズフォンデュはほとんどが富良野産なんです」

このフォンデュソース、実は公式サイトからお取り寄せができます。一度食べて、そのおいしさにはまったお客さまがネットで注文するそう。特にクリスマスシーズンは大人気なのだとか。

ほかにも、ふらの和牛を使った赤ワインの煮込みやステーキ、地元のハンターが狩猟したエゾ鹿肉のステーキなども人気が高いとのこと。高橋さんは、「富良野は野菜も肉もとにかく食材が豊富なので、地産地消を形にできています」と話します。

そして、多くの人がこれらの料理と、下のワイナリーで造られる「ふらのワイン」を一緒に味わうことを楽しみに訪れます。リストには「ふらのワイン」のさまざまな銘柄が並びますが、工場限定のワインも用意されています。

春先と秋には長期休みを設け、メリハリある働き方でスタッフもリフレッシュ

広々としたレストランは全部で92席。夏のピーク時は、11時の開店から約10分で満席になってしまうこともあるというから驚きです。奥の多目的ホールは約60席あり、こちらは主にバスツアーの団体客が利用。バスツアーも多いときで5回転したことがあったとか。

「一般客の方に関しては、予約を受け付けておらず、来店順にお席をご案内するようにしています。特に夏はお客さまの数がものすごくて、長い時間お待ちいただくこともあり、こちらとしても心苦しいのですが...」

営業時間は夜の21時まで(季節によっては20時)。しかも通しで行っているそうで、これまた驚きです。

250916_004.jpgレストランは高い天井と一面ガラス張りで、開放的な空間が広がっています。駐車場よりもさらに高い位置から、富良野の街を一望できる眺めは「素晴らしい」の一言に尽きます。夜景もとてもきれいです。

「中には遅めのランチを取りたいという方もいらっしゃいますし、ワイナリーまで来たのでせっかくだからと軽く食事を楽しむために寄ってくださる方もいらっしゃいますので、通しで営業させていただいています。多くの方が日の高い時間にいらっしゃるのですが、ここからの夜景もとてもキレイなのでぜひ夜もいらしていただければと思います。また、実は冬も眺めがいいんですよ」

寒くなるとスキー場のほうに人が多く流れることもあり、夏に比べると観光客は減りますが、逆にそれを知っている地元の人たちが足を運んでくれるそう。

話を聞いていると、一年中多忙で休みがあるのか心配になりますが、「普段の休みとは別に、観光客の方が少ない11月と4月の前半は店をお休みにさせていただき、長期休みをいただいているんですよ」と高橋さん。スタッフの中にはこの休み期間を利用して、長期で旅行に出かける人もいるそうで、「ある意味、メリハリのある働き方ができるのがいいのかなと思います」と続けます。

自然豊かな中に立つ、地元の人も多く足を運ぶ天然温泉の宿泊施設

フル回転の「ふらのワインハウス」ですが、バスツアーがたくさん入っているなど、どうしても人手が足りないときは、同じグループの温泉宿泊施設「ハイランドふらの」のスタッフが応援に駆けつけてくれるそう。

「ふらのワインハウス」「ハイランドふらの」の両施設を運営しているのは、富良野振興公社という会社。ここからは、「ハイランドふらの」の前支配人で、現在は富良野振興公社の総務部長を務める鳥居達哉さんに登場していただき、会社のことや「ハイランドふらの」について伺っていきます。

「ふらのワインハウス」から車で10分ほどの場所にある「ハイランドふらの」は、札幌から向かうと富良野市の市街地に入るよりも手前の島ノ下というエリアにあります。山の中腹、豊かな自然に囲まれた中にその建物が立っています。

250916_024.jpgこちらが、「(株)富良野振興公社」の総務部長、鳥居達哉さん。

「ここの建物はワインハウスより少しあとにできたもので、オープンから34年くらいになりますね。もともとは、農村環境改善センターとして地元の農家さんを中心に市民の方たちに保養所のような感じで利用してもらっていた温泉施設です。農閑期の冬になると、農家のお母さんたちが集まって調理実習をしたり、地域の子どもたちが体育館のような造りのホールで体を動かしたりしていました」

現在は観光客も多く受け入れており、宿泊施設として認知されていますが、「実は今、富良野市内に銭湯がなくなってしまい、ハイランドふらのが富良野市の公衆浴場という位置づけになっているんです」と鳥居さん。もともと市民の日帰り入浴利用は多かったそうですが、市内の銭湯がなくなってからはますます市民の利用が増えているとのこと。

「もちろん観光客の方もたくさんご利用いただいていますが、ハイランドは地元の常連さんが多いのも特徴。スタッフも顔見知りになると気軽に声をかけさせていただくなど、ワインハウスに比べると、かなりアットホームでフレンドリーな感じの施設だと思います」

最近は観光客の中でも、近隣のキャンプ場に泊まって、ハイランドの温泉に入りに来るという人や、サウナブームでサウナ目当てに訪れる人なども増えているそう。また、車椅子でも利用できる貸し切り風呂などもあり、いろいろな人たちが利用できるようになっています。

「朝6時から温泉の営業をしているのですが、宿泊のお客さまが少ないときは館内レストランの朝食付きの温泉プランを日帰り入浴の方にも提供しています。結構、利用される方がいらっしゃるんですよ」

昼と夜はレストランだけの利用もOK。そばやうどんといった軽めのものから、地元の食材をふんだんに用いた洋食・和食もそろっています。地元の人たちの団体の宴会も受け入れており、場所が市街地から少し離れているので、宴会のときはマイクロバスで送迎もしているそうです。

露天風呂(プライムさん所有画像).jpg夏は露天風呂からラベンダー畑を真正面に見ることができます。様々な表情を見せる富良野の景色と共に、身体をあたたかに癒しながら四季の彩りを楽しむことができます。

自分たちが暮らす富良野を観光業で一緒に盛り上げてくれる人に来てほしい

さて、富良野市出身の鳥居さんと南富良野町出身の高橋さん。富良野振興公社の社内には道外や富良野エリア以外から来たスタッフもいるそうですが、2人とも富良野エリアから出ようと思ったことがないという、根っからの富良野人です。

高橋さんが「札幌に遊びに行ったら、札幌もいいなぁと思うんですけど、でも結局富良野がちょうどいいなってなるんですよね」と言うと、「そうそう、なんか特に暮らしていて不自由なこともないしね」と鳥居さん。

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さらに鳥居さんは、「お客さまから『富良野っていいところだね』とか、『地元においしいものがいっぱいあっていいね』と言われて、『そうかぁ』と気付かされることがしょっちゅうです。ずっとここで暮らしているとそれが当たり前になっていて分からないんですよね」と笑います。

「でも、観光の仕事に携わっているからこそ、お客さまから自分たちが気付かない富良野の良さや魅力を教えていただいているというのはありますね」と続けます。

2人とも富良野振興公社に入る前は、それぞれ違う仕事に就いていましたが、観光に携わる仕事だったそう。鳥居さんは観光協会に、高橋さんは市内のホテルに勤務。鳥居さんは富良野の観光協会がスタートしたときのメンバーで、約16年、富良野の観光振興に従事してきました。

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鳥居さんは、「ちょうど観光協会ができたとき、ドラマの『北の国から』シリーズの最後のほうの撮影をやっていたんです。当時インバウンドは少なかったけれど、ドラマのファンの人がたくさん富良野にやってくるなど、富良野の観光がちょうど伸びている時期。

僕は国内の集客を担当していたので、全国各地をプロモーションで飛び回っていましたね」と振り返ります。駅前のインフォメーションセンターの立ち上げにも関わり、実際にインフォメーションセンターで観光客の対応もしていたそう。

「今みたいにインターネットがなくて、空いているホテルの確認も電話やファックスという時代。高橋さんがいたホテルにもよく空室確認をしましたよ」と懐かしそうに話すと、「そうそう、当時もお世話になりました(笑)」と高橋さん。

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富良野の観光に長く携わってきた2人は、ワインハウスやハイランドはもちろん、自分たちが暮らす富良野に悪い印象を持ってほしくないという思いがあると言います。

高橋さんは、「せっかく富良野に訪れてくれたお客さまに不愉快な思いをさせないように気を付けています。またここに来たいと思ってもらえるようにと思って接客しています」と話します。

鳥居さんも「自分たちは毎日同じ場所で仕事しているけれど、そのお客さまにとっては初めての場所であることが多いわけだから、1回1回、丁寧に接客するように心がけていますし、スタッフにも同じことを話しています」と言います。

お客さまたちに気持ち良く富良野での時間を過ごしてもらうためには、職場の雰囲気や環境も大事になってくると思いますが、「うちは風通しもいいし、困っているときはお互いさまと助け合いながら仕事ができる環境だと思います」と鳥居さん。

高橋さんも「プロとして仕事をしている以上、厳しい部分もありますけど、みんなサバサバしているので引きずらないし、普段は和気あいあいとしていますよ」と話します。

また、鳥居さんは「どんな人でも必ずいいところがあるから、それを見つけるようにと観光協会時代の上司に言われたことがあって、それを今も大事にしています。そして、笑っていて損をすることはないと思うから、スタッフにはとにかくにこやかに仕事をしようねと常に伝えています」と言います。

250916_070.jpg富良野振興公社には、富良野を愛し、観光業で地域を盛り上げたいと願うスタッフが集まっています。プロとして厳しい部分もありますが、普段は和気あいあいと仕事をしており、風通しの良い職場で、お互い助け合いながら、お客様に最高の時間を提供しています。

最後に、「ふらのワインハウス」「ハイランドふらの」の今後について尋ねると、高橋さんは、「ほかにはないロケーションの良いレストランですし、いろいろなことができる可能性はあると思うんです。今はベテラン勢が多いので、メニューやサービスに関して新しいアイデアを打ち出してくれるような若手に入ってきてもらえたらと思います。町外や道外の方で、富良野で働いてみたいという方も歓迎です」と話してくれました。

鳥居さんも「ハイランドも同じです」と言い、「富良野は住みやすい町で活気もありますし、自然にも恵まれています。そんな富良野に住んでみたいという方で、サービス業経験者ならなお歓迎です。建物は古いですが、これからもお客さまに喜んでいただけるようハイランドとワインハウスを盛り上げていきたいので、一緒に挑戦してくれる方がいればぜひ」と語ってくれました。

株式会社富良野振興公社
住所

北海道富良野市島ノ下1945-1

電話

0167-22-5700

URL

https://www.highland-furano.jp/

ふらのワインハウス
北海道富良野市清水山
TEL:0167-23-4155

一般社団法人 ふらの観光協会
北海道富良野市本町2-27 コンシェルジュ フラノ
TEL:0167-23-3388

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富良野の絶景を眺めながら、最高の美食と温泉を。富良野振興公社

この記事は2025年9月16日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。