HOME>北海道で暮らす人・暮らし方>幼い頃からの夢を叶えた 馬好き女子のお話。

北海道で暮らす人・暮らし方
苫小牧市

幼い頃からの夢を叶えた 馬好き女子のお話。20230306

幼い頃からの夢を叶えた 馬好き女子のお話。

国道36号を南へ。新千歳空港を過ぎガソリンスタンドを目印に左折すると、ほどなく愛らしい馬のイラストが描かれた大きなサインが表れてきます。その向こうに広がるのは、おしゃれな建物が点在するのどかな牧場の風景。ここノーザンホースパークは、馬とのふれあいを楽しむための多彩なアクティビティやイベント、さらにグルメやアウトドアメニューが用意された一大リゾートパークです。

nhp_t04.jpgパーク内をゆっくり巡るファミリーに大人気の観光引き馬。

四季を通じ国内外からの観光客で賑わいを見せるこのエリア、実は「馬好き」を自称する人材が、全国各地から働きに訪れることでも知られています。ここで乗馬の受付を担う外嶋美咲さんもそのひとり。彼女の北海道&馬への愛に満ちた「これまでエピソード」を紐解いていきましょう。

時代劇の「人馬一体」の場面に感動する、不思議な子(笑)

外嶋さんのご出身は奈良県。幼い頃から自然の中で遊ぶのが大好き。もちろん動物とふれあうことも。

「特に好きだったのが馬。時代劇でお殿様と愛馬の『人馬一体』の場面を食い入るように見ている、ちょっと可笑しな子でした」

加えてご家族が旅行好きだったこともあり、北海道にも何度か足を運んでいたとか。広い空と澄んだ空気、美しい湖沼群、季節の表情を映す山や森、そして丘陵に点在する牧場。幼い心は次第に「北海道の風景」に染まっていきます。

「なので、中学生の頃には、いつか北海道で馬に関わる仕事がしたいと思っていたような気がします」

nhp_112.jpg飼育されているのは、大人しい性格で知られる乗用馬。

とはいうものの、ツテも知り合いもいない外嶋さんが北海道で働くのは至難の業。地元の専門学校を中退した彼女は「半分仕方ない気持ちで」奈良県内の乗馬クラブに勤めるようになります。

「馬とふれあうのも、お世話をするのも初めて。当初こそ戸惑いはありましたが、次第に扱いにも慣れ、お客様の乗馬のサポートもできるようになりました。また自分自身でも乗馬を楽しむようになりました」

本州での苦い経験が募らせた、北海道への想い。

その後、職場は三重県に移りましたが、本州での乗馬クラブ勤務歴は10年に。さすがに北海道で働く夢は途切れた...と思いきや。

「逆です。(笑)本州では乗馬はどこか選ばれた人の趣味という認識があり、活動も内輪的。加えて、乗馬を楽しむ野外ルートも開放感がないんです」

そんなときにいつも眺めていたのは、テレビやネットに映し出される北海道での乗馬シーン。緑に染まる草原や白銀に輝く雪原の中を馬と人が疾走していく「これぞ北海道」という映像でした。

nhp_t03.jpg雄大な自然の中、馬との一体感を楽しめるホーストレッキング。

「せっかく馬に携わる仕事に就いたのなら、やはりこういう体験がしてみたい。馬と一緒に大自然のパノラマの中に飛び込んでみたい。10年経っても、いや本州での10年間の経験があったからこそ、そんな思いが胸の中にあふれてきたんです」

そんな折、偶然ネットで目にしたのが「ノーザンホースパーク」の求人。北海道苫小牧に広がる一大テーマパークで乗用馬のケアやサポートに取り組みませんか、という内容。さらに同社のホームページを彩る画像は、彼女が長年その脳裏に思い描いていた乗馬の風景そのものでした。外嶋さんはその景観に導かれるように入社希望のメールを送りました。

移住者にやさしい制度を備えた会社と出会って。

三重県から北海道へ。外嶋さんが初めての移住を決行したのは、2022年の夏。大変なこともあったのでは?

「この会社は道外からの転職者が多いからか、移住者にとても親身に対応してくれるんです。その対応に救われた部分も大きいですね」

nhp_004.jpgいっしょに働いている仲間たちと。仕事柄、穏やかな人が多いとか。

住まいについて、マイカーについて、一人暮らしのノウハウについて、仕事や仲間について、パークの周辺事情について...などなど、担当者との事前打ち合わせを重ねるたびに、消えていく心配ごとや不安。加えて引越し代金、転居にまつわる交通経費、その他の手当の全額負担も会社が全額負担する、という嬉しい制度があることも分かりました。

「つまり移住に関する実質的な経費はゼロ。さらに数千円で賃貸できる独身寮(新築の美マンション)、全品目ワンコイン以下で食べられる社員食堂、季節に応じて支給される多彩な制服など、会社の『衣食住』に対するケアも万全でした」

三重でも一人暮らしを経験済みだったという外嶋さん。大きなハードルを感じることもなく順調に北海道生活をスタートさせることができたと笑います。

nhp_103.jpg

実は取材に伺ったのは、2023年の2月。キーンという音が聞こえる(かと思うほど)外気は凍てついていました。取材チームが思わず「夏はともかく極寒の冬は辛いのでは」と問いかけると、外嶋さんはすかさず「これが北海道でしょう」とニコリ。さすがです!

「たくさんのお客様に喜んでいただく」を、全力で。

nhp_062.jpg愛らしいポニーが様々なアトラクションを披露してくれるイベントも。

観光馬車、観光ひき馬体験、ポニーのショー、ホーストレッキングなど、馬と楽しむ多彩なコンテンツを備えているノーザンホースパーク。ここには「馬とふれあいを通じて多くのお客様に楽しんでいただく」というテーマを実現する120名を超えるスタッフが勤務しています。外嶋さんの職場はインドアの乗馬体験。

「レッスン的な要素を備えた乗馬体験施設で、私は受付の担当です。馬に乗るのが初めての方もいますし、定期的に通う上級者もいます。熟練の方の中には、自然の中で乗馬を堪能する『外乗』を希望する方も。白樺の林や草原を颯爽と駆けていく姿は、何度見ても美しいです」

nhp_098.jpg

大勢の観光客が訪れた日は、他のチームのサポートにも取り組むことも。そこで交わすスタッフとのたわいない会話も働く楽しみの一つ。

「誰もが馬好きという仲間意識がありますし、20〜30代の寮暮らしスタッフが多いので、過度な気遣いも必要ありません。一般の方と同様、ネットのニュース、ゲームの話、世間話で盛り上がる若く元気な職場です」

諦めなかったから、願い続けたから、夢は叶う。

外嶋さんの楽しみは、勤務終了後にも。

「基本的には毎日17時が終業時間で、その後は私の趣味の時間。上司に許可をいただき、この施設内で思う存分、乗馬を楽しんでいるんです」

nhp_100.jpg毛並みの手入れ、餌やり、馬房の掃除など何かと手が掛かる馬のお世話。

多忙に目が回ったり、手がかじかんだり、ファミリーとの心温まる出会いがあったり。毎日様々な経験をしますが、愛おしい馬にまたがれば、どんな記憶も多少の苦労でさえもすっと溶けていきます。

「今はまだ室内限定ですけど、もう少し上達すれば雪解けの山も、360度の視界が広がる夏の草原も、秋の紅葉の彩りの中も駆けられるはず。真綿のような雪が積もった真っ白な世界をトレッキングなんて、できたら最高ですね」

幼い頃から心に描き続けてきた夢。本州では叶わなかった夢。
けれど決して諦めなかった外嶋さんの夢が、大好きな北海道で、長い歳月を経て、まもなく叶おうとしています。

nhp_t01.jpg

株式会社ノーザンホースパーク
住所

北海道苫小牧市美沢114-7

電話

0144-58-2116

URL

https://www.northern-horsepark.jp/


幼い頃からの夢を叶えた 馬好き女子のお話。

この記事は2023年2月14日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。