HOME>北海道で暮らす人・暮らし方>2人の単身女性が挑む、新規就農の道。

北海道で暮らす人・暮らし方
石狩市

2人の単身女性が挑む、新規就農の道。20210330

2人の単身女性が挑む、新規就農の道。

くらしごとでも度々話題になる「新規就農」。一度は一般企業に就職した人が、両親の引退を機に「家業(農家)を継ぐ」というケースや、道外から移住して新たに農家を目指すというケースなどさまざまな事例がありますが、その多くは男性あるいは家族での就農。
ところが今回の記事に登場する2人は、非農家からのチャレンジであり、共に単身女性。年齢も、これまでの歩みも全く異なりますが、偶然、同時期に石狩市で新規就農を目指すことになりました。
縁があって取材を担当させていただくことになったくらしごとチームは、彼女たちが研修を受ける石狩市へ車を走らせました。

人生の岐路で2人が選んだ「農業」。

まずは今回の主役である2人のプロフィールからご紹介。1人目の佐々木ひろみさんは1985年生まれ。北海道石狩市出身で、専門学校卒業後は飲食業界で長く働いていました。子育てが一段落し、これからの人生で何をしていきたいかと考えた時に、「経営がしたい」「ものづくりがしたい」「長く継続できる仕事がしたい」といった希望を並べてみて、農業ならこれらを全部満たせるかもしれないと思い至ったそう。

shinkishuno-ishikari_2.jpg佐々木ひろみさん(35歳)。小学生の娘さんを持つシングルマザー。

もう1人、廣井かれんさんは新潟県出身。1997年生まれ。幼少期から植物に触れる機会が多かったことで農業に興味を持ち、農家になることを夢見て北海道の酪農学園大学に進学しました。在学中から「就職活動」ならぬ「就農活動」に励み、夏休みなどを利用しては道内各地の農家を訪ね、「酪農が良いか、それとも畑作が良いか...」と、自分に合う農業を模索していたと言います。

shinkishuno-ishikari_3.jpg廣井かれんさん(25歳)。自宅でも家庭菜園に励む農業女子。

「女性1人での就農」と文字にするのは簡単ですが、そのハードルは決して低くはありません。新規就農ではまず、自治体や地域JAによる約2年の就農研修を受けるのが一般的ですが、ほとんどの自治体が単身女性の受け入れには消極的。2人とも、研修先が決まるまでが最初の壁だったと話します。

佐々木さんは「新規就農したいと相談しても、私1人で...と話すと難色を示されたり、『後で連絡する』と言われて、それっきりになってしまったり、ということがよくありました。今思えば、もっとしつこく食い下がっても良かったかなという気もしますが、そこまでの勇気もなくて(苦笑)」
一方、廣井さんも「大学では企業への就職はサポートしてくれるものの、私のように卒業と同時に独立就農したいなんていうのはかなり珍しいケースで、これといった支援は無いんです(苦笑)。しかたなく自分で新規就農を受け入れている自治体のHPを調べたんですが、条件のところに小さい字で『夫婦で就農』とか『持参金〇〇円以上』とか書かれていたりして、問い合わせをする前に断念していました」と話します。
新規就農の夢を持ちながら、なかなか受け入れてくれる自治体が見つからない。そんなもどかしさを抱えていた2人は、なぜ石狩市を選ぶことになったのでしょう?

shinkishuno-ishikari_4.jpg

彼女たちが石狩で就農する7つの理由とは?

佐々木さんにとって石狩市は「地元」ですが、ここを選んだのはさまざまな縁が重なった偶然だったとか。
「就農するならミニトマトが良いかなって考えていたところに、農業人フェアで知り合った方から『ミニトマトなら石狩で話を聞いてみたらどうですか?』と、こちらの農家さんを紹介してくださったんです。私、地元なんですけど、石狩市の農業のことは全然知らなくて(笑)。その後に石狩市農業総合支援センター(以下、支援センター)の方にもお会いして、農業をやりたいという話をさせてもらったら、あっという間に研修を受けられるように準備をしてくださって。他所では断られることが多かったので、あまりのスピード感に驚いたくらいです」

廣井さんもまた、きちんと自分の話を聞いてくれたのが石狩市だった、と振り返ります。
「どこかに受け入れてくれる自治体はないかと探す中で、新規就農者募集のHPに性別やお金についての条件が、一切書かれていないのが石狩市だったんです。ここなら話を聞いてくれるんじゃないかと思って支援センターに問い合わせてみると、『どんな農業がしたいんですか?』と具体的な話を聞いてくれて、私の中では、お、きたきた!という感じ(笑)。『一人なので大規模じゃなくて、高く売れるものを集中してやりたい。例えばミニトマトとか』みたいなこと喋ってたら、『うちの地域はミニトマトをやっているんですよ』って言われたので、ココだ!と思って(笑)。大学3年の秋ですね」

ここで女性就農希望者を一挙に2人受け入れることを決めた支援センター担当者のお話を聞いてみました。

「女性1人で就農と聞いて首をかしげる人は多いと思います。『男性1人でも難しいのに、まして女性では...』という意見ももっともです。当センターとしても〝女性1人の就農は難しい〟という認識は皆さんと同じ。研修生2人もそのことはしっかり理解しています。
ではなぜ、研修生として受け入れたのかと言えば、2人の熱意に応えたかったというのが一番の理由です」

shinkishuno-ishikari_5.jpg北海道指導農業士の越後さんから指導を受ける2人

担い手不足が深刻化する昨今、農業に熱意を持った人材がせっかく目の前にいるのに「若いから」「女性だから」という理由だけで門戸を閉ざすべきではないと考えたという担当者。

「営農には女性的なきめ細やかさや色彩感覚、経営センスが生かせる場面が少なくありませんし、研修期間中に同じ目標に向かうパートナーと出会う可能性も十分に考えられます。
事前の打ち合わせや面談を通して、農業への思いが真剣であることも伝わってきましたので、当センターでは、2人のチャレンジを全力でバックアップしていこうと決めたんです」

こうして時を同じくして、石狩市での研修をスタートした佐々木さんと廣井さんですが、2人がこの地で就農することを決めたのには、実は他にもたくさんの理由があるのだそう。

その理由を紹介しているのが、こちらの動画「私たちが石狩で就農する7つの理由」。

20210330_02.jpgYouTubeにて再生【私たちが石狩で就農する7つの理由】

2人のロングインタビューやイメージビデオもありますので、ぜひあわせてご覧ください。
再生リストはこちらから。

くらしごとチームが初めて彼女たちを取材したのは、就農研修2年目の2020年春。それから約1年が経ち、まもなく2人は独立農家として大きな一歩を踏み出します(※)。

彼女たちの夢が、この先どのように実っていくのか...。

続きはまた「くらしごと」でご紹介できればと。

※2021年4月に就農予定

石狩市農業総合支援センター
住所

北海道石狩市八幡2丁目332番地11

電話

0133-66-3345

URL

https://ishikari-asc.jp/


2人の単身女性が挑む、新規就農の道。

この記事は2020年8月25日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。