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「ないものはつくれる!」出会いから広がる千歳ライフ20210222

「ないものはつくれる!」出会いから広がる千歳ライフ

近年日本一のマンモス小学校が話題となったり、市内5つの小学校で児童数が増加するなど、子育て世代から暮らしやすいまちとして密かに注目を集めている北海道千歳市。北海道の空の玄関、新千歳空港もあることなどから、本州からアクセスしやすいことはもちろん、札幌市からは通勤圏内と便利な環境にありながら、豊かな自然にも恵まれている。そんな理由からか、本州からの移住者も多いのだとか。

今回お会いしたのは、ここ千歳市で、子育てライフを満喫するだけではなく、ママフェスも開催しちゃう元気なママ田村希さんと、ご主人の正元さん。東京へ帰る選択肢を絶ってまで、ここ千歳での暮らしを選んだ田村さんご夫妻の、リアルな子育て事情、そして地域への想い、千歳の暮らしについてなど、お話をうかがいます。

転勤、そして結婚と。北海道ライフは突然に!

「おはようございまーす!」

爽やかな笑顔でお子さんと手を繋いで現れたのが、今回お話しをうかがう田村正元さんと、奥様の希さん。少し照れながら「どんぐり見つけたよ!」と教えてくれる長女の楓奈(かえな)ちゃん5歳と、カメラを向けると最高の笑顔を見せてくれる宗大(そうた)くん2歳も一緒です。

大学卒業後、東京の大手スポーツ用品専門店でお仕事をしていた正元さんは、岩手県のご出身。いっぽう妻の希さんは東京都のご出身で、大学卒業後、ウエディングプランナーとして働いた後、ブライダルコンサルタントとして、北は北海道、南は九州と日本各地を仕事でまわり、30代前半で東京へと帰ってきます。

tamura_02.jpg奥様の希さんです

「ウエディングの仕事をしていたんですが、忙しすぎて自分のウエディングどころじゃなかったんですよ。気づいた時には35歳。あれ?って思いました(笑)」と笑う希さん。そんな時、ふと参加した異業種交流会で出会ったのがご主人の正元さんでした。年齢も少し上で落ち着いた雰囲気の正元さんとはすぐに意気投合、お付き合いがスタートします。

ですがその半年後、正元さんは北海道苫小牧市へ転勤が決まり、単身で北海道へ。

「北海道は旅行で行ったことがあるくらいでしたね。でも、実家の岩手も雪深いところでしたし、子どもの頃からスキーなどのウィンタースポーツも好きだったので、最高の雪質がいつでも楽しめる!と、正直ちょっと楽しみでした」と話す正元さんは、スキーのインストラクターをされるほどの腕前の持ち主。北海道に来てからはニセコで個人インストラクターを務めるなど、その実力は今も健在です。

「それに、社会人になってからはゴルフもしていたので、北海道のゴルフ場の多さ、近さ、そして値段の安さ!これには驚きましたね。ゴルフがものすごく気軽に楽しめるようになりました(笑)」と、突然の北海道転勤だった正元さんですが、北海道での暮らしは思っていたよりすんなり馴染めたそう。

その後、1年半ほどの遠距離恋愛を経て2013年、結婚を機に、希さんも正元さんのいる北海道へと移住します。

tamura_03.jpgご主人の田村正元さんです

時代を先取り?!リモートワークで始まる千歳暮らし

仕事を辞めることも考えた希さんですが、「リモートワークで続けないか?」と、当時の上司から提案が。今でこそ一般的になった「リモートワーク」ですが、社内でも前例がないなど、かなりの協議があったそう。

「正直リモートでどこまでできるか、不安がなかったわけではありません。でも、必要としてくれている。それならあとは、やるしかない!って感じでしたね(笑)」と、仕事モードの顔をチラリと覗かせる希さん。

そして、上司の強い推しと、希さんのこれまでの仕事ぶりが認められ、社内初のリモートウエディングコンサルタントとして、北海道でも仕事を続けられることになります。こうして新生活を迎えることになったお二人は、希さんが仕事で東京へ行き来することや、正元さんの仕事柄出張が多いこと、趣味の旅行と、空港を利用する機会が多いことから千歳市に新居を構えたのでした。

「空港は仕事での利用はもちろんですが、二人とも海外旅行も好きなので、最終便で帰ってもすぐ家に帰れて、次の日の仕事にも支障が出ない。私たち夫婦にとっては、理想的な環境でしたね」と正元さん。千歳暮らしをはじめるきっかけは「空港」がポイントだったようです。

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初めてのワンオペ育児から感じた想い

ところで希さんは、北海道で暮らすことへの不安はなかったのかと聞いてみると、「夫も転勤で来ているだけだったので、ここで長く暮らすことはイメージしていなかったですね。それに結婚生活が楽しみだったから、不安になることもなかったのかも」と、幸せいっぱい。
そして、北海道へやって来た希さんは、結婚後ほどなくして、第一子が誕生します。待望のベビー誕生に心も弾みますが、それと同時に悩むこともあったのだとか。

「まだ千歳での暮らしすら慣れていなかったし、夫の仕事も忙しく毎日帰りも遅い。ワンオペ育児ってよく聞いてはいたけど、実際やってみるとその大変さは想像以上でしたねぇ」と、当時を振り返る希さん。そしてこう続けます。

「子どものことも大好きだし、一緒に過ごすことが嫌だとかは全然ないんですよ。でも、ずっと家にいるだけはなんか違う。娘と二人でどこに行っていいかもわからない。ましてや親や親戚も友達もいない。とりあえず大人と会話したいー!って、いつも思っていました(笑)」

「大人と会話したい」この一言に当時の想いがギュっと詰まっていることがヒシヒシと伝わります。

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そんな時、ふと目にとまったのが、千歳市子育て支援センターが主催している「転勤者向け子育てサークル」。まだ歩けない楓奈ちゃんを抱っこして参加した希さんは、持前の明るさで、同世代の子を持つママたちとすぐに打ち解けます。

「仲良くなったママ友と親子で一緒に楽しめるイベントを探していたんですが、どうしても札幌市での開催が多くて。子どもと二人で往復2時間の移動は楽じゃないな・・・、千歳にもあったらいいのに」と思ったそう。

そして楓奈ちゃんの育児休暇が終わり仕事復帰をすると、次の壁が希さんの前に立ちはだかります。

「いざって時に子どもたちを見ていてくれる人がいなかったんですよ。実家も親戚もいないから当たり前なんですけど(笑)」と、今でこそ笑えるようになったのにはある秘密が。

「時間にしたら1~2時間。いやいや30分とか。子どもが小さいとそんなちょっとした時間も一人にはできない。でも、そんな時助けてくれたのが千歳市のファミリーサポートだったんです。すごく柔軟に対応してくれて、私がここで子育てしながら、いろんなことに挑戦できるのは、間違いなくファミサポのおかげです!」

そう太鼓判を押すほど、感謝してもしきれないと希さんは話します。ファミリーサポートは事前の面談こそ必要ですが、今では家族同然のお付き合いになる方もいるなど、その存在が田村さん一家の支えになっていることは間違いありません。

その後、宗大くんを出産した希さん。その時に改めて、第一子の時に感じた「近所に親子一緒に楽しめる機会が少ない」という気持ちが沸いてきました。そして、第一子で出会ったママ友達と想いを重ねる中で、千歳の暮らしが楽しくなる運命の歯車が大きく動き出していくのです。

tamura_06.jpg取材の撮影には最高の笑顔で応えてくれました!

ないなら創れる?!ママと子どもたちの笑顔溢れる1日をプロデュース

「千歳でも親子で楽しめるイベントがあったらいいのに...」そう想っていた希さんの前に現れたのは、同じような想いを持つママたち。しかも、みんな経験も豊富で空間デザイナー、看護師、マタニティペイント、保育士、セラピスト、司会、事務管理等、このまますぐにイベントができそうなメンバーが勢揃い。「これはもう自分たちでイベントができるのでは?」と、千歳市内で親子一緒に楽しめるイベントを企画します。

「東京にいる頃はなんでもあって、常に潤っていて、何かを自分で創りだそうとは思わなかったんです。でも、千歳で暮らしてみて、『ないなら自分たちで創れる』そう気づいたら、どんどんワクワクしてきて、『やってみて、ダメならまた考えればいいや』って思っちゃいました(笑)」と、仲間との出会いから、0から1を生み出す楽しさをみつけていく希さん。

tamura_07.jpgバイタリティ溢れる希さん。お話を聞いているとこちらまでなんだか元気をもらえる気がしました

そして、「やる!」と決めた希さんたちには、どんどん追い風が吹きます。イベントの資金について悩んでいると、タイミング良く「ひと・まちづくり助成事業」という千歳市の制度を知り、イベントではこの助成金を活用します。

「他にもファミリーサポートでお世話になっている方々が、市内の社会貢献団体の方や、様々なネットワークに繋げてくれるようになり、見ず知らずの私たちのことも応援してくれたんですよ。これには本当に嬉しくて。感謝しかないですね」と、地元の方々の応援もイベント開催の励みになったのだとか。こうして2019年1月、親子で楽しめることをコンセプトとした「Baby&Kids デキタフェスタinちとせ」を初開催します。

「もう嬉しかったですよね。子どもたちの笑顔はもちろん、ママたちも笑顔になる。こういう場を創りたいって思っていたし、実際たくさんの人が来てくれて、みんなも同じ気持ちだったんだなぁって感じました」

初開催にもかかわらず約900名の来場者が足を運び、大成功を納めると、イベントへの関心も高まり、早々に第2回目の開催へと話しが進みます。同年7月には、市内にある大型商業施設で第2回目を開催。前回の好評を聞きつけた親子連れが近隣市町からも訪れるなど、3,000名もの来場と大盛況だったそう。

「いい意味で物足りなさを感じていたんですよね。それがやってみたら『できる』に変わっていって。都会とは違う楽しさ?って言うのか。なんでも揃っている都会より、魅力いっぱいだなって気づいちゃいました!」そう笑顔を見せる希さんは本当に楽しそうで、こちらまでワクワクが広がります。

tamura_14.jpg2019年からスタートした「Baby&Kids デキタフェスタinちとせ」

7年の月日が変えたもの。そして、そこから見えたものとは

しかし、そんなイベント尽くしの2019年、田村さん夫妻に転機が訪れます。正元さんには東京への転勤辞令が、そして同じ頃、希さんも育児休業復帰後は、リモート勤務ではなく、東京での勤務をして欲しいと声がかかります。本来なら「東京に帰れる!」と嬉しくなるところですが、なぜかそうもならず...。

お二人は今後の暮らし方について少し考えることに。とは言え、辞令が出た正元さんはひとまず先に一人で東京へと戻ります。

「7年ぶりに体感した東京の空、匂い、食べ物・・・。不思議ですよね。なんかここは違うなぁって感じたんです。北海道、千歳での生活と比較して、これからの暮らしを考えると、東京は違和感を感じたんですよね」と正元さん。そしてこう続けます。

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「収入は東京のほうが多いかもしれないけれど、北海道なら東京の半分くらいの年収で、東京より豊かに暮らせるんですよ。空気もおいしいこの贅沢な自然の中で、ゴルフやスキーも気軽に楽しめて、子どもたちにとっても自然学校など大切な学びの場も近くにある。それに食べ物のおいしさと安さは別格ですしね」

久しぶりに東京の地を肌で感じた3か月。正元さんは東京の会社を退社すること決心します。

「もちろん、この7年の間に子どもが生まれ、家族が増えて、できること、望むものが変わったことも、大きなきっかけの一つです。でも、東京一極集中の今の日本の体制にも疑問を感じていました。
これからの日本の経済を考えた時、やはり地方が活性することも必須ですよね。そして、そういったことに気づかせてもらえる出会いも北海道にはありました。どこで誰と過ごすのか。そう考えた時、もう迷う必要はありませんでしたね」

そう微笑む父としての顔、そしてこれからの未来を見つめる温かい眼差しが印象的でした。

tamura_12.jpg仕事とご家族、将来を考えて決断をした正元さん

実際コスト面なども計算すると、マイナスになるのは正元さんの実家がある岩手に帰省する際の飛行機代が高いということくらいで、それは苫小牧港からフェリーで帰ることでクリアできたそう。「私は千歳で子育てをしてみて、『自然が身近にある』このことが、子どもたちにとっては最高の環境なんだなって感じています」と、千歳での子育てについて希さんも教えてくれます。

「東京育ちの私には、北海道の自然を楽しもうと思っても、何からはじめていいのかもわからなくて。でも、友人の誘いで参加した森のようちえんが本当に素敵で、親子で楽しませてもらいました」と、お話しに出てきたのは、千歳市内で自主型保育をおこなっている「森のようちえんとぃとぃ」という団体で、支笏湖をはじめ、市内の森や公園で活動をしているそう。支笏湖でアウトドアショップを経営する方の奥様が、3人の子育てをしながら主催しており、「自然と共に生きたい」その理念に共感する親子連れから人気なのだとか。

「春は山菜、夏は川遊びに泥遊び、秋は木の実を拾ったり、薪割もしました!そして冬は雪上カヌーに子どもたちを乗せて雪まみれになって遊ぶ。子どもたちは友達から学ぶことはもちろん、親子共に自然から学ぶことが多くて、ここに来なければ、こんな風に子育てすることもなかったんじゃないかなぁ・・・。そう思ったら、やっぱり東京へ帰るんじゃなく「ここにいよう」って、ホント素直にそう思えました」と、希さん。

こうしてこれからも北海道、そして千歳市で暮らすことを決めたお二人は、ほぼ同時に東京の職場を退職。正元さんはこれまでのキャリアを活かし、エージェントを通して札幌市内のスポーツ用品に関わる事業の仕事へ、希さんは前職の繋がりから新たにリモートでウエディングコンサルタントの仕事に就きます。

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千歳で描くワクワクの未来

「札幌まではJRが10分に1本はあるので、通勤に困ることはないですね」と、現在は札幌の事務所に通いながら、北海道から沖縄まで各地を飛び回る日々を過ごしている正元さん。千歳にいたことが好都合となり、出張続きの日々もスムーズにこなせているのだとか。 

一方、希さんは、ウエディングの仕事の傍ら、千歳市で開催したイベントのご縁から様々な方との出会いを経て、千歳市独自の女性のキャリア支援団体「おしごと部ちとせ」の発足に関わります。

「イベントを通して、何かをはじめる時に応援してもらえるって本当に心強いなって感じたんですよね。そんな時「おしごと部ちとせ」の発足について声をかけていただいたので、私もこのまちで働く女性を応援したいって思いました」と、これからは支援する立場になって、このまちの人のために取り組みたいと、夢が広がる希さん。

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具体的な動きはまだこれからのようですが、ワクワクしているのがこちらまで伝わってきます。

「ママフェスはコロナの影響で今後の開催予定はまだ決まっていないんですが、これからもそういう場づくりはしていきたいし。それにこんなのもあったらいいな!とか、考えだしたらきりがないっていうか、まだまだやりたいことが出てきちゃって(笑)」と、希さん自身も想い描く夢がある様子。

「ないなら自分で創れる」そのバイタリティで、どんなことでも叶えてしまいそうな希さん。
これからも家族で千歳暮らしを楽しみつつ、明るい未来を切り開いて欲しいです。
わたしたちも新しい話題が届くことを楽しみにしています!

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千歳市 田村さんご家族


「ないものはつくれる!」出会いから広がる千歳ライフ

この記事は2020年9月27日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。