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遊びを仕事に。キャンプ場から「わくわく生きる」を届ける女性20200820

この記事は2020年8月20日に公開した情報です。

遊びを仕事に。キャンプ場から「わくわく生きる」を届ける女性

今回の取材の舞台は北海道千歳市にある美笛キャンプ場。日本最北の不凍湖である支笏湖に面したキャンプ場です。この日は、平日にも関わらず、お昼からたくさんの人で賑わっていました。

ここ数年、空前のアウトドアブームが続く中、とりわけ子供からお年寄りまで誰もが楽しめるキャンプに注目が集まっています。これまでも広大な自然を有する北海道には350以上のキャンプ場がありましたが、近年では新たにオープンするキャンプ場も続々と増えているのです。さらに、これまで夏期のみ営業を行っていたキャンプ場が、冬期の営業をスタートするケースも増えています。

possilabo_2.JPG全国からもキャンパーが訪れる美笛キャンプ場

これだけの数があるので、もちろんロケーションも様々。美笛キャンプ場のような湖畔や林間、高原、河川といった自然環境、車をテントのすぐ側に駐車できるオートサイト、使用できる区画が別れている区画サイトや自由に場所を使用できるフリーサイト。テントがなくても、宿泊できるバンガローやコテージ、最近では手ぶらでラグジュアリーなキャンプ楽しめるグランピングもあります。

このように、一口にキャンプ場と言っても、それぞれのキャンプ場に特徴があります。そんな北海道のキャンプ場が持つ独自の魅力を、ブログやYouTube、SNSを通して発信するのが、キャンプフォトライターの川手有沙さん。中でもブログは運営を開始してからわずか1年半ほどにも関わらず、月間22万PVものアクセスがあるというから驚きです。

この日もいつものようにご夫婦でキャンプを楽しんでいた川手さんに取材をするため、ここ美笛キャンプ場を訪れたという訳なんですが、実はこの取材・記事が川手さんの素顔のお披露目となります!

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小学校教師からブロガーへの転身

「こんにちは。こちらのテントです〜」と案内され、川手さんのテントにお邪魔させていただき、青空取材がスタートしました。広いテントの中にはたくさんのキャンプグッズがずらり!お洒落な木のテーブルやチェアをはじめ、木製の食器やアウトドア用の調理器具、奥にはブログなどに掲載する写真撮影用のカメラ機材もたくさんありました。

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まずはじめに、川手さんのこれまでの生い立ちについて伺いました。

生まれは札幌市、小さな頃からご両親と弟さんとご家族4人でよくドライブやキャンプに出かけていたそうで、これが現在の活動の原点と言います。高校は札幌南高等学校へ、大学は北海道教育大学札幌校へ進学し、共に野球部のマネージャーに精を出し、部活に追われる日々を過ごします。

「7年間野球部のマネージャーをしていましたし、誰かを励ましたり、意欲づけたり、支えたりすることが好きなんですよね。そうした性格もあってか、大学を卒業した後は小学生の頃から夢だった教師の道を選びました」

こうして小学校の教員として歩みだした川手さん。学級担任として子どもたちと過ごす一つ一つの出来事がとても楽しく、充実した教師生活だったと言います。

「子どもたちと向き合って授業をしたことのやりがいや、クラスで一丸となって目標に向かって努力した時の達成感は忘れられないですね。子供の成長を感じられた時が何より楽しく、嬉しかった瞬間です」

possilabo_5.JPG教師をしていたからこそできた経験がたくさんあったと振り返ります

笑顔で話す川手さんからは、子どもたちと向き合って、子どもたちを支えることに本当に生きがいを感じていたのだということが感じられます。では、なぜその教師の道から現在のキャンプフォトライターへの道へ転身されたのでしょうか?

「そうですよね、よく聞かれます(笑)。実は最初からキャンプフォトライターとしてやっていこうと考えていた訳ではありません。一言でいうと『結婚を機に』ということになりますが、自分に家族ができたら家庭を一番に生活したいという思いがあったんです。『忙しすぎたの?』『仕事嫌になった?』などと声をかけていただくことも多かったのですが、決してそうではなく、結婚と仕事のワークライフバランスを考えて、働き方をシフトさせようと考えた結果なんです」

こう教えてくださった川手さんからは本当に教師というお仕事が大好きだったことが伝わります。こうして惜しまれながらも川手さんは17年間の教師人生に幕を下ろし、次のステップへと進んでいったのです。

possilabo_6.jpg「目にかけ、期待をかけてくれた先輩方には申し訳ない気持ちもあります。感謝しかないです」と川手さんは言います

意外な共通点「興味を持ってもらい、分かりやすく伝える」ということ

次なるステップのキーワードとなったのは「在宅ワーク」。
家族との時間を大切にしながらできる働き方とはなんだろう?
この問いに対する川手さんの答えは「ブログ」でした。

「退職が決まった時点で在宅ワークを中心として、記事を貯めてそれを資産にしていける『ブログ』を運営しようということは考えていました。なんですが、これまでブログの記事を書いたことは全くありませんでしたので、手探りだったな〜と思いますね」

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ただ、この記事を書くということ、即ち「誰かに何かを伝えること」、これは川手さんが17年間経験してきた、教師という仕事にある意味非常に酷似していることに気が付くのです。

「子どもたちに授業を行う時には、どうやったら分かりやすいだろうか?、どうやったら興味を持ってくれるだろうか?、そうしたことを日々考え、下調べをしたり、授業を組みたりしていました。『興味を持ってもらい、分かりやすく伝える』という点はブログも同じなんですよね」

こうして2019年4月、川手さんのブログ「Possibility.Labo」通称ポジラボがスタートします。
ちなみに、初めて投稿した記事は何なのか聞いてみると、照れくさそうに「ワークライフバランス、働き方のことだったと思います。ただ、この記事は今はもう公開してないですけどね」と笑います。

possilabo_7.JPGブログやSNSのURLは記事の下部にあります

ブログを運営、ましてや川手さんのように仕事として行う場合、必要になってくるのはブログから得られる広告収入です。これらを考えた時に、現在のキャンプや登山に役立つ情報といった軸ができていったそうです。

「主人と出会ってから、登山やキャンプによく出掛けては、風景などの写真を撮影することが趣味になっていたので、豊富に写真素材があったんですよね。それらの写真、そして自分が好きなことを題材にして、実体験を誰かの役に立つ情報として発信していったところ、アクセスも伸び始めて、少しずつですが広告収入もつくようになっていきました」

このようにして現在のブログの地盤が作られていったのですね。川手さんが話すようにブログには写真が豊富に掲載されています。キャンプ場の紹介一つを取ってみても、20〜30枚ほどの写真で、駐車場・管理棟・サイト・炊事場・ゴミ捨て場・遊び場など細かく説明があります。そして、なにより読者にとって嬉しいのが、実際に利用した人の目線による、おすすめポイントや注意事項なども説明されていること。こうした情報はガイドブックなどにはない、ポジラボ独自の情報と言えるでしょう。

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2020年8月現在、キャンプ場の紹介は49記事、キャンプ用品の紹介が54記事、登山に関するものが10記事、他ジャンルの記事も含めると計170記事にのぼります。これらの記事を制作する上で気をつけていることも聞いてみました。

「やっぱり写真を大事にしています。朝陽や星空といった風景も撮影して、読者の方々にはキャンプに来ているような雰囲気を味わって欲しいと思っていますね」

中でも一番のお気に入りの写真を教えていただきました。それがこちら。
風が止み、湖面には支笏湖を囲む山々とノスタルジックな朝陽が映るこの写真。本当に素敵な一枚です。取材時と同じく美笛キャンプ場で、平成最後の日に撮影した日の出なんだそうです。

possilabo_8.JPG風がないと湖面が鏡のようになり、こんなに綺麗な風景を生み出します

わくわく生きる大人は、子どもの最強のお手本

ブログ「ポジラボ」の運営をスタートして約1年半が経過して、アクセスも順調に伸び、冒頭でも触れました通り、2020年7月には月間22万PVを獲得、ほぼ同時期に運営を開始したTwitterもフォロワーが7,300人を超えました。さらには、YouTube「Keitan's Camp」でも主にキャンプに関する動画を公開しており、こちらもチャンネル登録者が7,000人を超え、各メディアそれぞれの情報をたくさんの方が楽しんでいます。

そんな川手さんに、改めてこうした情報発信の活力とは何かを伺いました。

「教師をしていたこともあって『わくわく生きる大人は、子どもの最強のお手本』だと思っています。この情報発信も新たに選択した『仕事』ではあるんですが、自分自身この仕事をわくわくしながら新しいことにチャレンジして、楽しんでいます。このわくわくを、この楽しさを記事にする。そして、その記事がきっかけになって、同じように好きなことを一生懸命楽しんで、人生を豊かにしてもらえたら嬉しいですね」

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さらに、道内各地のキャンプ場へ足を運ぶことで、改めて自分が北海道が大好きだと気づき、この北海道の良いところを伝えたいという気持ちも湧いてきたと言います。

「北海道にずっと住んでいますが、その土地に行かないと気づかない魅力ってたくさんあると思うんですよね。こんな素敵なところがあったんだ!なんて発見もたくさんあります。その土地を訪れたからには、そこにある魅力を存分味わって、北海道に住む人や北海道外、さらに海外の人にも見てもらい、北海道やアウトドアの魅力を伝えられたら嬉しいなと思って記事を書いています」

possilabo_11.JPGこの三角のおしゃれなテント(サーカスTC/tent-Mark DESIGNS)。このテントがきっかけで川手さんご夫婦はキャンプにどっぷりとはまるようになったそうです

ブログから生まれた新たな繋がり

こうした活動を通した中には、新たな繋がりも生まれています。

例えば、より専門的な知識や技術を身につけようと参加したキャンプインストラクター養成の講習会では、キャンプ場経営に携わっている方や、市町村の地域おこし協力隊の方なども参加されており、2泊3日の講習の中で新たなコミュニティが生まれたと言います。
また、芦別市にある滝里湖オートキャンプ場に訪れた際には、市役所の観光課の方とお会いし「キャンプ場やまちの魅力を発信してもらえることは非常にありがたいです」と感謝のお言葉をいただいたそうです。

「ブログもYouTubeも一方的な発信ではなくて、読んだり観てくれたりしていることで成り立っているという意味では、私の活動は、多くの方と繋がり、体験の共有が本質にあると思います。情報が役に立った、今度同じようにその場所に行ってみたいなどの反応は本当に嬉しいですね。取材時以外は、在宅の仕事ですが、大きな繋がりを感じながら活動しています」と笑顔で話してくださいました。

possilabo_14.JPGブログには川手さんが居住する千歳市の観光スポットを紹介する記事も掲載されています

さらなるステップを目指して

「これからも新しいことにどんどん挑戦していきたい!」と力強くお話してくださる川手さん。

「今後は、より綺麗な写真や動画を撮影して、コンテンツのクオリティも高めていきたいですね。そして、まだ行ったことがない絶景の撮影や取材を通して、北海道の魅力を伝えていきたいです。そのためにも、ブログやYouTubeをもっと多くの人に届けられるように、今後、お仕事のオファーや相談などもいただけたら、是非挑戦してみたいです!」

possilabo_15.JPG新たな挑戦としてビジネスパートナーも大募集しているそうですよ

取材を終える頃には、少しずつ日が暮れてきていました。お話を伺っている最中は気が付きませんでしたが、こうして静寂の中にいると、風による波音が本当に心地よく、いつまでも湖を眺めていられる気にすらさせてくれます。そんな中で、川手さんとご主人のお二人が普段のように何気ない会話をされ、笑いながらゆっくりとした時間を過ごされているのを見ていると、本当に心からキャンプを楽しんでいるのが分かります。
そんな「わくわく生きる大人」川手さんの今後の活動も楽しみで仕方ありません。

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日本一を記録した北海道支笏湖で超絶景湖畔キャンプ〜美笛キャンプ場〜

この記事の取材日に撮影されたキャンプの様子が、川手さんが運営するYouTube「Keitan's Camp」で公開されています!こちらもぜひご覧ください。

川手有沙さん(Possibility.Labo/anさん)
URL

https://possi-labo.com

◎Mail:possi.labo@gmail.com


◎Twitter:@Possi_Labo


◎Youtube:Keitan's Camp


遊びを仕事に。キャンプ場から「わくわく生きる」を届ける女性

この記事は2020年7月31日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。