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赤平にカフェがオープン!Café Luftにようこそ♪20190529

この記事は2019年5月29日に公開した情報です。

赤平にカフェがオープン!Café Luftにようこそ♪

北海道の中で、かつて炭鉱で栄えた空知という地域の中に赤平市というまちがあります。現在は炭鉱で培った技術を生かしたものづくり企業が多くあり、洋らんの栽培や米づくりなども行う人口10,000人ほどのまちです。国内でも有数の保存状態の良い炭鉱遺産を見ることができ、平成30年には炭鉱遺産を紹介する「赤平市炭鉱遺産ガイダンス施設」もオープンしました。

そんな炭鉱遺産から目と鼻の先、徒歩5分ほどの場所に2019年3月、カフェがオープンしました。お店の名前は「Café Luft(ルフト)」、青い壁が目印です。赤平市内には老舗の喫茶店はいくつかありますが、若い人が気軽に行けるカフェはなかったため、まちの人たちにとっても念願のカフェです。そんなLuftの誕生秘話をオーナー兼パティシエの佐藤亜由美さんにうかがってきました。

luft_01.jpg元々は普通の民家だったのを改装してオープンしたカフェです。

ご両親と一緒に札幌から赤平へ移住

亜由美さんは生まれも育ちも札幌ですが、亜由美さんのお母さんは赤平の出身で小さい頃にはおじいちゃんの家に夏休みに遊びに行くために赤平に来ることもあったそうです。そんな亜由美さんの小さいころからの夢は「お菓子屋さんになること」。なんと小学校の文集にも書いていたそうです。しかし高校に入ると周りは一気に大学進学モードになったと言います。

「私もあまり深く考えず、大学に推薦入学を希望して面接を残すだけという状況まで進んでいました。でも急に『私、やっぱりお菓子作りがしたい!』って思ったんです。それで大学に進学するのをやめて、市内のホテルで働いてお菓子作りの勉強をしながら製菓の専門学校に通うことにしました。周りには当然ビックリされましたけど、やりたいと思ったらやらないと気が済まない性格なんですよね」

luft_02.jpgオーナー兼パティシエの佐藤亜由美さん。

思い立ったらすぐ行動!な亜由美さんですが、さらに転機が訪れます。そのきっかけは、札幌でご両親が飲食店を営んでいたことからでした。

「今から15年くらい前になるんですけど、新聞の記事で『赤平の歴史ある古民家で飲食店をする蕎麦屋を募集』っていうのを見つけたんです。赤平は母の出身地ですし、『これ応募してみたら〜?』って軽い気持ちで両親に勧めました。いくつかの審査があったのですが運良く通過し、両親は赤平でお店を始めることになりました。それが両親の今やっているお蕎麦屋さん「御殿倶楽部」なんです。まさか本当に選考に通ると思っていなくて、私が言い出したことなのでこれは自分も行かないとなぁって思って私も赤平に移住することにしました」

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主婦から再びお菓子作りの道へ!

亜由美さんは最初、軌道にのるまで1〜2年くらいお手伝いをしようという気持ちだったそうですが、オープンのバタバタする中で1人の赤平に住むスタッフの男性、敏文(としふみ)さんと仲良くなりました。移住して間もなくで友達もできず、車の運転も苦手だった亜由美さんは敏文さんによく気晴らしに出かけに連れてもらっていたことからお付き合いに発展。敏文さんがお店を辞め転職されてからもお付き合いは続き、ついに二人は結婚することになったのです。

luft_04.jpgご夫婦おそろいの帽子がとってもお似合いです!

ご結婚をされてからはお子さんも生まれ、娘さんが3歳になった頃にはご両親のお店の常連さんからの紹介で障がい者施設でのお菓子作りの先生もスタートしました。亜由美さんは子育てをしながらお菓子作りの先生もし、同時にご両親のお店の手伝いをしつつ、少しだけご両親のお店でのお菓子の販売もしていました。そうしているうちにだんだんとご自身のお菓子作りの規模も広がっていき、市役所やお店への移動販売もするようになっていきました。そんな中でずっと持ち続けていた夢への気持ちがついに動き出します。

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Luftオープンへの道のり

お菓子作りの工房はご両親のお店の中に場所があったものの、販売するスペースは限られているため「自分のお店が持ちたい!」と思っていた亜由美さんの目に留まったのが、現在のLuftの建物です。

「実は3年前から気になっていて、一度持ち主の方に話を聞いたことがあったんです。でもその時は金額の折り合いがつかなくて買うことはできませんでした。それでも諦めきれなくて、去年また話を聞かせてもらいました。時間が経つ中で条件も変わっていて、今度はついに買うことができるようになったんです!」

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そう言った亜由美さんですが、そこから開店までは本当に大変な道のりでした。オープン前年の10月に建物を手に入れ、さっそく改装に着手しました。飲食店の開業に必要な設備の手配と、普通の住宅だった1階をお店にするための改装だったのですが、その時ちょうど業者さんも忙しい時期でなかなか日程が組むことができずに苦労したそうです。さらに保健所・消防署・市役所など関係各所を回っては書類を作り、さらに改装費用を抑えるため自分たちでできる所は自分たちでDIYまでしたのだそうです。しかし大変な中でも亜由美さんはこんなことを言っていました。

「改装は本当にギリギリでしたね、前日までペンキ塗ったりしてたんですよ。でもやってみて思ったのが『やればできる!なんとかなる!』ということですかね。保健所や消防署の方々もみんな優しくて、分からないことは聞けば教えてくれるんです。なので『すみません!分かりません!』って教えてもらったらいいんですよね。そうしたら皆さん本当に親切に教えてくれるんですよ」

luft_07.jpgカウンターの他にグループで楽しめる席もあります。

今回亜由美さんが活用したのは、赤平市の「赤平市起業支援事業補助金」です。この補助金は、開業のためにかかる改装費用や設備の経費を赤平市が半分補助してくれるというもので、上限はなんと300万円というこれから自分のお店を持つ人には嬉しい補助金です。この補助金の担当をしているのは市役所の2階にある商工労政観光課です。同じ課でその他にもお店の外観の整備を補助する「赤平市店舗整備魅力向上事業助成金」もあります。また「赤平市チャレンジ・アレンジ産業振興奨励事業補助金」という、新分野に挑戦する中小業者を応援する補助金も市では用意し、自分のお店を持ちたいという方へのサポート体制はとっても手厚くなっています。

その他、赤平商工会議所でも商店街の空き店舗での開業に対して補助金があり、赤平市ではまちを挙げて新しくお店ができることを応援してくれる環境が整っているようです。

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そしてついにオープン!Café Luft

こうして2019年3月10日にCafé Luftはオープンを迎えました。「Luft」はドイツ語で「空気」や「空間」を意味しています。佐藤さんご夫婦はこのカフェが素敵な空間になるようにと願いを込めてこの店名にしました。

その願い通り、オープンからLuftは大忙しでした。作ったお菓子がどんどん売れてしまい、毎日作っても足りないほどだったのです。そして赤平でカフェをやって驚いたエピソードを教えてくれました。

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「赤平の方って、一度にすごくたくさんスイーツを買ってくれるんです。どうしてなんだろうって不思議に思っていたんですけど、ある日『お友達から貰ったお菓子が美味しかったの!』と言ってご来店くださった方がいたんです。しかも、その方がまた沢山スイーツを買って行ってくださって、またお友達に配ってくれているようなんです。こうやって口コミですぐ広げて行ってもらえたのは赤平だからこそだなって思いますね」

お客さんの年齢層を聞いてみると、なんと小学生から90代まで!安い価格設定のお菓子もあるため、小学生がお小遣いで食べに来てくれたり、近所に住むお年寄りの方が「歩いてコーヒーを飲みに行ける場所ができた!」と常連さんになってくれたり、幅広い年齢層から愛される「まちのカフェ」となっているようです。

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パティシエの亜由美さんのこだわりとは?

こうしてオープンからすぐ人気カフェとなったLuftにはいくつかのこだわりがあります。まずはパティシエの亜由美さんのこだわりは「テンションの上がるスイーツを作る!」ということです。実際Luftのスイーツはカラフルだったり、オシャレだったり、本当に見ているだけでも楽しくなってしまいます。特に「ゼブラシフォン」は人気商品で、マーブル模様のシフォンケーキは時々売られているお菓子屋さんもあるそうですが、ゼブラ柄は手間がかかるためあまり販売しているお店が無いそうです。

luft_11.jpg左側に見えるゼブラ柄のケーキが「ゼブラシフォン」。

また牛乳プリンも人気商品のひとつなのですが、これは卵を使っていないため卵アレルギーのお子さんでも食べられる!と喜んで買って行ってくれたお客さんがいたそうです。亜由美さんはご自身も2人のお子さんを持つママなのので、お子さんに保存料や添加物を極力控えたスイーツを食べさせてあげたいという気持ちが強いのだとか。Luftのスイーツもそんな気持ちで作っているので、アレルギーを持つ子が食べることができるスイーツを用意できたことも嬉しいエピソードだったのだそうです。

他にも赤平産のお味噌を使ったスイーツなど、日替わりで様々な種類があるのですがこれは当然全て亜由美さんの手作りです。そのため1日に作ることができる数が限られているため、大量注文を受けることが難しいということが悩みでもあるのだそうです。

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そして次のこだわりは、敏文さんの淹れるハンドドリップのコーヒーです。敏文さんは亜由美さんのご両親のお店で働いた後は全く別の業種の会社員をされていました。しかし働きながらも敏文さんが続けていたのは、趣味のコーヒーです。あちこちに足を運んではコーヒーを飲んだり豆を買ったりし続けるうちにどんどんコーヒーにのめり込んでいったのだそうです。そうして今回、亜由美さんがお店をオープンするということで会社を退職し、Luftでは飲み物を主に担当することになりました。

コーヒー豆ももちろんこだわりのブレンドで、注文してから豆を挽いてその場でハンドドリップをしてくれます。その他にもエスプレッソをベースにした様々なドリンクメニューがあり、季節限定のメニューもあるのでいつ行っても新鮮で飲み物を選ぶのも楽しみの1つになります。亜由美さん特製の日替わりランチにもドリンクと一口スイーツがセットになっていて、お得にLuftの美味しいところを一度に味わうことができるのも嬉しいポイントです。

luft_13.jpgう〜ん、とっても良い珈琲の香り!

移住者であり、ママであり、パティシエであること

亜由美さんが赤平に移住してきた当初、やっぱり「何もないまちだなぁ〜、遊ぶ場所もないし買い物する場所もないし...」と思ったそうです。だからこそLuftは、赤平の「気軽に行ける場所」になりたいと思ったのだそうです。

「学生さんがデートで使ってくれたことがあって、やっぱりそういう『場』が赤平には少ないので、うちを選んでくれたのは嬉しいなって思いました。あとは、ママ友たちが子どもを連れてお茶できる場所ってないんですよね。いつもは結局誰かの家に集まることになるんですけど、やっぱり来る方も行く方も気を遣うじゃないですか。その点うちは私にも小さい子どもがいるので、ママ友たちにも気兼ねなく利用してもらっています」

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そう朗らかに言う亜由美さんですが、赤平に移住した当初は辛いことも多かったそうです。

「私本当は映画が大好きで、札幌に居た頃は本当に頻繁に映画館に行っていたんです。でも赤平には当然映画館もありませんし、両親のお店を手伝っていたので他の方との接点もなくすごく寂しかったですね。でも結婚してからは、旦那さんの友達繋がりでどんどん友達ができました。赤平って同級生同士の繋がりが強くて、一度繋がると友達はすぐに増えて、今はそんなお友達たちもLuftにも来てくれてますよ」

そんな経験から、亜由美さんはもっと移住者同士や地元の方と移住者が交流することができる場があれば、と思ったそうです。

luft_15.jpgLuftではパスタやグラタンといった食事もできます。

「移住してきたばっかりで友達がいなかったり話し相手がいなかったり、私のように寂しい思いをしている方にも気軽にLuftに来てもらえればと思います!」

そう言う亜由美さん自身も移住者であり、ママでもあります。そんな視点を持っている亜由美さんだからこそLuftには居心地の良い空気が流れているのだと思わせてくれました。持ち前の明るさと行動力、そして美味しいスイーツとコーヒーでこれからLuftはどんどん赤平に笑顔を増やしていってくれるに違いありません。

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Café Luft
Café Luft
住所

北海道赤平市大町1丁目6-6

電話

0125-74-8073

URL

https://cafeluft.amebaownd.com/


赤平にカフェがオープン!Café Luftにようこそ♪

この記事は2019年4月19日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。