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移住キーワードは「昆虫」と「酪農ヘルパー」の若者。20180702

この記事は2018年7月2日に公開した情報です。

移住キーワードは「昆虫」と「酪農ヘルパー」の若者。

酪農ヘルパーという仕事をご存知ですか?言葉の響きからはアルバイトやパートのようにも聞こえますが(もちろんそのケースもあります)、ここ有限責任事業組合帯広畜産センター(以下、帯広畜産センター)では正職員が担当する仕事。搾乳や餌やりといったお世話を務め、酪農家が休める日を作っています。埼玉県出身の田島大地さんは、同組合の酪農ヘルパーの一人。現在23歳の若者が、海を越えて帯広市で働き始めたのには少しユニークな理由がありました。

北海道にはオサムシのマニアックな亜種が多い!?

田島さんは埼玉県でも自然豊かな地域のご出身。子どものころからとりわけ昆虫採集が大好きで、自然環境そのものにも心惹かれるようになりました。高校卒業後の進路に選んだのも環境調査・保全を学べる東京の専門学校です。

「将来は昆虫管理の仕事や博物館のスタッフを目指そうと思いましたが、募集人数自体がかなり少ない狭き門。だったら、視野を広げて生き物に関わる職業に就きたいと考えるようになりました」

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そんな矢先、専門学校で企業説明会を開いたのが帯広畜産センター。牛のお世話に関しては学んだことがありませんでしたが、「知識や経験がなくても一人前に育てる」の一言に背中を力強く押されて働いてみようと思ったそうです。やっぱり、北海道という大自然の中で牛とふれあえることが魅力だったのでしょうか?

「それも大きな理由です。ただ、本音をいうと、本州の昆虫とは異なる生態系を見てみたいという興味のほうが強かったと思います(笑)。僕は中でもオサムシが好き。北海道の山脈や河川にはマニアックな亜種が多いようなので、採集が楽しみで楽しみで」

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最初はちょっぴり緊張気味だった田島さんですが、趣味の昆虫採集について話し始めると実に生き生きとした表情に。「昆虫ラブ」の度合いの高さが伝わってきますし、移住の決め手の一つになったというのもうなずけます。

仕事の進め方は酪農家によって多種多彩。

いざ帯広畜産センターで働き始めることになった田島さん。事業所からクルマで5分もかからない場所に1LDKのキレイな社宅があり、引っ越しの手配や普段使いの軽自動車選びまで手伝ってくれたというから手厚い待遇です。

「入社から間もなく、タイヤショベルやトラクターを運転するための大型特殊免許を取りました。費用の半額を助成してくれたのも助かりましたね」

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帯広畜産センターの酪農ヘルパーは基本的に二人一組で酪農家のもとを訪れ、搾乳や餌やりを担当します。田島さんは、2カ月ほどは先輩たちと一緒に各牧場で作業を教わりながら、役員(酪農ヘルパーを育てる役割を担う酪農家)からも研修を受けました。

「搾乳機の扱い方や牛舎の掃除といった作業自体を覚えるのにはそれほど時間はかかりませんでした。ただ、僕らは日によって異なる酪農家さんのもとに派遣されるので、牧場ごとの仕事の進め方を覚えるのは苦労します」

obihirochikusan_kurasu5.jpg派遣先の酪農家と笑顔でコミュニケーション中。

例えば、餌やりが手作業の牧場もあれば、トラクターを使うところもあるのだとか。農機の動き方にもクセがあるため、一つひとつ経験することで自分なりのマニュアルを積み上げていくしかないといいます。

樽前山へ、道東へ。休日は昆虫採集に東奔西走!

帯広畜産センターの組合員(酪農家)の数は72戸。そのうち、酪農ヘルパー事業に加入しているのは64戸です。現在6名の酪農ヘルパーが、要望のある牧場に出向いて牛のお世話に奮闘しています。

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「帯広エリアは朝と夕方の2回に分けて搾乳する牧場が大半。酪農ヘルパーもそのタイミングに合わせて朝の5時ごろから約4時間作業し、15時くらいからまた約4時間働きます。仕事の間は体を使いっ放しですが、昼間に十分休めますし、帰宅も早いので負担は少ないですね」

作業をスタートする前には酪農家と打ち合わせして仕事内容の確認をすることも多く、コミュニケーションを取るごとに仲が深まっていくとか。「休憩中にご飯を用意してくれて一緒にいただいたり、野菜をもらったりすることも」と田島さんはニッコリ。酪農家と酪農ヘルパーの関係は持ちつ持たれつだからこそ、お互いを思いやる気持ちが強いのでしょう。

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帯広畜産センターでは酪農ヘルパーのシフトを1カ月ごとに組み、月に8回の休日を設けています。ところで、田島さんはお休みをどう過ごしているんですか?

「春から秋にかけてはほぼ昆虫採集(笑)。苫小牧の樽前山に入ったり、道東の湿地帯に出かけたり、大好きなオサムシもかなりの種類を採って標本にしました。ただ、冬になると、家で過ごしてばっかりになっちゃいますが」

帯広畜産センターの社宅のそばには大型スーパーがあり、ファストファッション店やホームセンターもそろっています。暮らしに必要なものが近場で手に入る好立地に、田島さんは「不満はまったくないです」と言葉を継ぎました。

obihirochikusan_kurasu8.jpg派遣先の牧場にはこのクルマに乗って向かいます。

「事業所から帯広空港まではクルマで30分もかかりません。年末年始には長期休暇をいただけるので実家に帰る時もラクなんですよ」

田島さんの表情を見ていると、今の暮らしを心底楽しんでいることが分かります。今後の目標はやっぱり新しい昆虫をゲットすること?

「う〜ん...プライベートでは。でも、酪農家の皆さんから『来てくれて助かった』といっていただけるこの仕事にも大きな手応えを感じています。今後は先輩方に少しでも追いつけるように努力し、いずれは主任にステップアップするのが僕の目標です!」

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有限責任事業組合帯広畜産センター
有限責任事業組合帯広畜産センター
住所

北海道帯広市川西町基線57番地3

電話

0155-59-2974

URL

http://www.obihiro-tikusan.com/


移住キーワードは「昆虫」と「酪農ヘルパー」の若者。

この記事は2018年4月25日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。