HOME>北海道で暮らす人・暮らし方>個人スーパーがまちおこし!泣く子も黙るコロッケ&メンチカツ

北海道で暮らす人・暮らし方
幕別町

個人スーパーがまちおこし!泣く子も黙るコロッケ&メンチカツ20180628

個人スーパーがまちおこし!泣く子も黙るコロッケ&メンチカツ

「おしどり夫婦」という言葉がよく似合うこのお二人。北海道は十勝エリアに位置する幕別町に、創業92年の木川商店という個人スーパーがあるのをご存知でしょうか。知る人ぞ知る歴史があるこの素敵な商店を営む萩原さんご夫婦です。

今や多くのコンビニや大手スーパーがどんどん参入してくる中、個人スーパーはなかなか厳しい風当たり。気づけば木川商店も、少しずつ物が売れなくなっていきました。

そこで、幕別の特産品を使った自社製品をつくろうと立ち上がり5年程前に生まれた商品がコロッケとメンチカツ。

makubetsu_kikawa7.jpgこのパッケージデザインも、従業員の皆さんでアイデアを出し合ってつくったそう。

全国のネット販売はもちろん、地元から全国まで幅広くお祭りやイベントへの出展もしており、少しずつその知名度は上がっています。今やイベントには引っ張りだこで、店を出展すれば長蛇の列。メディアでも取り上げられることもあり、北海道文化放送で放送されていた「北海道からはじ○TV」に出演した経験も。司会を務めるあの女性ハーフタレントと共演を果たしたのも、幕別町では萩原さんご夫婦だけではないでしょうか。

「なんでこんなものつくったの?」突然のクレーム電話

順風満帆なある日、お店にお怒りの電話が入り、電話口の女性は、こう言い放ちました。


「なんでこんな美味しいものつくって売りに来たの!!孫が泣いてるじゃない!!!」

この電話をかけてきた女性は、お孫さんと一緒に札幌ドームへ日本ハムファイターズの試合を観戦しに行き、たまたまその時イベントで3日間出展していた木川商店のメンチカツを毎日買いに来てくれていた方だったのです。

しかし、3日間の札幌ドームの試合が終わると同時にイベントも終わり木川商店も店じまい。その後、再びドームで日ハムの試合があった際に事件は起きたのでした。

メンチカツを非常に気に入った彼は今日もそれを食べながら試合を見るぞと意気揚々と向かうも、そこにもう店はありません。少年大ショックです。その場で大泣きしてしまい、女性は思わず木川商店に電話。そのまま電話で商品を購入してくれたそうですが、実は少年がメンチカツを食べながら観戦した試合は見事全試合勝利。彼にとって、それを食べながら試合を見るということは、勝利のジンクスでもあったのです。

「この話はもちろん従業員と共有して、『これからも頑張って美味しいものつくらなきゃね!』とさらに士気が高まりました。食べて喜んでもらって、幸せな気持ちになってもらいたいですからね。だって私たちも食べることが好きだから」と、ニコリと笑みを浮かべる萩原さん。

makubetsu_kikawa3.jpg「俺のお腹も、コロッケで出来ているんだ」なんてジョークも交えます。

ここでしか作れない美味しさの秘訣は?

子どもが涙を流してまで求めた商品。現在コロッケは4種類、メンチカツは2種類とありますが、当初はコロッケ2種類のみでした。


その味は、ゆり根コロッケとインカの目覚めコロッケ。実はもう販売していない幻の商品ではありますが、当初はこの2つのコロッケで町内の夏祭りや秋祭りで実演販売を皮切りに、少しずつ少しずつ多くの方に届けていきました。

「うちは小売り店だから、食品製造としてのノウハウはなかったもんで、本当に家庭でつくられるようなコロッケを販売してみただけ。たまたま先代の時に、スーパーの傍らお弁当の調理販売も行っていたので、その時の設備は残っていたからコロッケの生産も出来たんです。作ってみたら、これがまた『美味しいね』なんて言葉をもらってしまったもんだから、その気になってしまったんですよね(笑)」。

makubetsu_kikawa9.jpg

しかし、食べた人から「美味しい」という言葉をいただくものの、萩原さんの中では100%納得できるものではなかったと言います。何かが足りない...そんな気持ちが心の中に居座り、思考に思考を重ねた3年後にふと「ゆり根とインカを一緒にさせたらどうだろうか?」と閃きました。

ゆり根は白。インカの色は黄色。作ってみると、見た目もとても綺麗な出来映えでした。また、熟成したジャガイモを使うことにより、砂糖の甘みではなく自然の甘みが重くならず、食べやすさや旨みに繋がったのです。「これだ!」萩原さんはその時の興奮を忘れません。

makubetsu_kikawa2.jpg

今では全国ネット販売を行っている他、カタログギフトにも載っている大人気商品となり、日々全国各地への発送準備に追われています。

「この他にも今は種類も増えましたが、1番人気はやっぱりゆり根とインカの目覚めのコロッケですね。これは本当にゆり根とインカの目覚めしか入っていなくて、卵も使っていないんです。最近は卵アレルギーのお子さんも増えてきているので、お母さま方から特に人気ですね」。

また、この幕別で採れた野菜はもちろん、メンチカツは町内で飼育されているどろぶたのお肉を使っているなど、産地へのこだわりを持っているのも美味しさの秘訣。素材にこだわりを持ち、そしてそれを幕別町内に住む主婦の皆さんがひとつひとつ手作りしているというのも魅力の1つです。

 makubetsu_kikawa8.jpg「大きな工場でつくっているわけではありません。この厨房で、みんなでひとつひとつ丁寧に大体1日500個ほどつくっています」

そんな厨房に少しお邪魔して、幕別町在住の主婦スタッフの方にお話をお聞きしました。

「私はもともとここのコロッケを食べたことがあり、その美味しさは知っていました。そして私は栄養士でもあるのですが、ずっと大好きな地元の十勝の食材を活かした食べ物をつくりたいと思っていたので、この会社は私の想いが叶うピッタリの場所!忙しいけど、毎日楽しいんです」と素敵な笑顔を見せてくれました。

makubetsu_kikawa4.jpg「製造だけではなく、イベント時には店頭に立って直接お客様と会話が出来るからこそ、より一層責任感も生まれ、お店や商品に対しての愛着も湧きます」

忘れてはいけません、ここが歴史ある「スーパー」であることを

コロッケやメンチカツの話ばかりでしたが、ここが代々引き継がれている歴とした「個人スーパー」だと言うことを忘れてはいけません。


このスーパーは、萩原さんの奥様のご実家にあたります。「祖父、父、そして私の代まで今のところ続いています」と奥様が思い出を大切に紡ぐように話してくださいました。

makubetsu_kikawa5.jpg

旦那様である萩原さん自身は、生まれも育ちも室蘭市。とある建設会社に就職し、その会社の幕別営業所に配属されたのが今日までの始まり。幕別に来て奥様と出会い、会社を辞めて奥様のご実家であるこのスーパーを継ぎました。

「幕別の良さは、人と人との繋がりが濃いところですね。ここが1926年からやっている歴史ある店だっていうのもあると思いますが、地元の人からは『スーパー行ってきて〜』ではなく『木川さんのとこ行ってあれ買ってきて〜』と言われるくらい、幕別町民の皆さんには身近に感じてもらっているのかもしれません」と萩原さんは言います。

makubetsu_kikawa10.jpg

代々と続いている個人スーパー。奥様にその想いについて聞いてみると...
「コロッケやメンチカツを筆頭に、今私たちは先代たちのやってこることとは違うことをしています。私たちは私達のやり方でやっていく。地に足をつけて、幕別のために頑張りたい。その姿を地元の人々が見て、頑張ろうって思ってくれる人が増えてこのまちも良くなるといいな」。

makubetsu_kikawa6.jpg

萩原さんが言葉を継ぎます。
「このコロッケやメンチカツを、町が『幕別町の特産品』と認めてくれました。色んな人が繋げてくれて今日ここまで来れたんです。地域があって私たちの会社がある。しっかりと還元していきたい」。

地域の特産品開発をすることによって、幕別町を訪れるきっかけをつくる。決して大きくはない会社だけれど、小さいからこそ出来ることを続け、幕別のまちおこしに繋げようと、歴史の炎を絶やさぬようにと、今日も従業員みんなで力を合わせ、美味しいと唸らせる商品づくりに奮闘中です。

有限会社木川商店
有限会社木川商店
住所

北海道中川郡幕別町本町120

電話

0155-54-2413

URL

http://www.tokachiumaimonoya.com

地図を元に戻す / GoogleMapで開く


個人スーパーがまちおこし!泣く子も黙るコロッケ&メンチカツ

この記事は2018年5月25日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。