
アウトドア×ものづくりのお店
北海道弟子屈町、屈斜路湖の釧路川流れ出し付近。屈斜路湖半へと続く道路沿いに、ぽつんと立っている小さな看板を突き進むと、土田祐也さん・春恵さん夫妻が営む「SOMOKUYA」という可愛らしい建物がありました。
ここでは、北海道小樽市出身の夫祐也さんがアウトドアガイドとして、夏は屈斜路湖や釧路川でのカヌーツアー、冬は湖周辺でスノーシューツアーなどを開催している他、埼玉県出身の奥様は手紡ぎ手編みの羊毛ニット帽や使い心地のいい手ぬぐいなど、実用的でありながら心なごむ商品を数多く取り揃えた雑貨店の店主をしつつ、ガイドの受付も担当しています。
小樽市出身の祐也さんと、埼玉県出身の春恵さんたちがこの土地にやってきたのは、それぞれまったく別の事情からでした。なぜ弟子屈という土地で暮らすことになったのか、お話を聞いてみました。まずは、祐也さんから。
思い立ったが吉日。サッカーからカヌーという道へ
祐也さんは高校生まで小樽で過ごし、大学進学を機に旭川へ行きました。そして、北海道教育大学旭川校で生涯スポーツを専攻します。先生がアウトドアに精通した方で、授業で初めて登山やカヌーを体験したという祐也さん。しかし、特別アウトドアにのめり込んだわけではなく、サッカーに熱中していた日々を過ごしていたある日、サッカーの試合の遠征にユースホステルを利用していたことが、現在の仕事へ繋がるのだそう。
「大学卒業後、北大大学院を目指していたのですが、何となくやる気も出ず・・・。でも、自立しなきゃとはどこかで思っていて、たまたまユースホステルの会報を見たら屈斜路湖のユースホステルでカヌーツアーにヘルパーを募集していたんです。」
面白そうだと応募したところ採用に。そして弟子屈町へ移り住み1年後、同ホステルのカヌーツアー部門を受け継ぐかたちで独立します。
「カヌーガイドという仕事があるなんて、ここに来るまで知りませんでした。それが1年で独立。最初は必死でした。」
旅好き女子が憧れの地での運命の出会いを
一方春恵さんは、高校生の頃から北海道の大自然に憧れていて、いつか来たいと願っていたそう。念願叶い19才の時、旅好きの姉に連れられて屈斜路のユースホステルに来ます。
「ちょうどオフシーズンでヒマだったせいか、スタッフの人がいろいろと連れ出してくれて、本当に楽しかったんです。それでハマってしまい、帰るときに次の予約をするぐらい。年に何度も来ていました。」
そのユースでヘルパーとして働いていた祐也さんと出会います。祐也さんが独立するにあたり「そんなに屈斜路が好きなら、一緒に働こうよ」と誘われ、そのまま弟子屈町に住むことに。
「若かったので、勢いがありましたね。」と二人は笑います。
その後水が低きに流れるごとく自然な流れで2003年に結婚。子どもを授かり、また祐也さんが他のガイド会社に所属するなど様々な経験を経て、2009年にSOMOKUYAをオープン。当初は雑貨店でしたが、翌年にはアウトドアガイド部門を立ち上げ、再び夫婦揃って働くことになりました。
SOMOKUYAの建物の前で夫婦揃っての一枚
移住して20年。未だに心震える景色の美しさ
お互い、ちょっとした偶然からこの町に住むことになりましたが、今の環境や暮らしは大変気に入っているよう。「20年近く住んでいても未だに、景色の美しさに心が震えます。生まれて初めて屈斜路湖を見た時の感動が、今も変わらず続いているんです。」と祐也さん。
春恵さんも「毎日なにかしら、自然の美しさにハッとさせられますね。」とにっこり。
美しい屈斜路湖の景色
木の温もりを感じられる店内
事前に計画して移住したワケではない二人。特別移住に関して注意したこともないと言いますが、「田舎暮らしでは、地域の人とのつながりを大切にした方がいいと思いますよ。」と祐也さん。
さらに、移住に関しての費用も、突然の移住だったためお金を貯めることもなかったため、どれほどかかったかは不明。都会に比べて生活費は抑えられるものの、薪ストーブで暖房費を節約するなど、手間はかかってもお金をかけずに暮らす方法を実践しているそうです。
勢いで移住して、夫婦で心安まる場所へで住める幸せ。
ちなみに「SOMOKUYA」の名前は、土田さん夫妻が大好きなこのまちの空のSO(そ)、藻琴山のMO(も)、屈斜路湖のKU(く)、我が家のYA(や)からつけたもの。そんな愛する自然に抱かれ、ほっこり温かなスローライフを満喫しています。
- SOMOKUYA(そもくや) 土田祐也さん・春恵さんご夫妻
- 住所
北海道川上郡弟子屈町屈斜路198-28
- 電話
015-484-3765
- URL