オホーツク海に面し、広大な牧草地が広がる別海町。この地で地域の暮らしや産業、インフラを支え続けてきたのが、今年で創業50年を迎える「島影建設株式会社」です。
建築工事では、農業・水産施設をはじめ、学校、病院、図書館などの公共施設から、オフィスや住宅まで幅広く手掛けています。土木工事では、道路や港湾、河川、農業施設などの工事に加え、昨年からは道路維持工事にも取り組んでいます。建築・土木の現場代理人から、大工、作業員まで、多彩な専門性を持つ社員が在籍。施工から外構まで一貫して対応できる体制が、同社の強みです。
今回は、約30年にわたり同社の成長を見守ってきた執行役員の能登睦さんや現場代理人のお話から、別海町で働く魅力と、「まちの未来」を支える会社の素顔に迫りました。
はじまりは大工。まちと築いた50年
「創業者である先代が、大工として中春別で仕事を始めたことが、当社の原点です。そこから、現在の場所へ移り、会社として本格的に事業を始めてから、ちょうど50年になります。平成9年には西別建設工業株式会社と合併し、土木工事も手掛けるようになりました」そう穏やかに語る能登さん。
笑顔で話す能登さん。
半世紀にわたり地域に寄り添い、地元の人々から「島影さん」と親しまれてきた同社。その背景には、人とのつながりを大切にしてきた積み重ねがあります。
「うちが皆さんに慕っていただけているのは、社長の人柄によるものだと思います。社長はとにかく義理人情を大切にする人です。どんな仕事も『できない』とは絶対に言わない。『うちが断ったら困るだろ』と言って、どうすれば実現できるのか知恵を絞り、親身になって考える。そういう人なんです」
タイムパフォーマンスやコストパフォーマンスなど、効率性が重視される現代のビジネス。一方で、同社が大切にしてきたのは、効率性だけでは測れない、人と人とのつながりです。台風や地震などの災害時や建物の老朽化が気になる頃には「建物の調子はどうですか?」と様子を伺います。
「話をする中で、『実はちょっと困っていて...』と相談を受けることもあります。ちょっとした修繕など、身近な困りごとにも丁寧に応えてきました」
仕事以外でも、幼稚園の砂場をボランティアでつくったり、地域のイベントやお祭りに参加したりと、地域との関わりを大切にしています。お祭りでは社長自ら衣装を着て参加し、地域の人たちと一緒になって行事を楽しんでいるそうです。

「このまちに少しでも恩返しができればと思っています」
建物をつくるだけでなく、完成した後も地域とのつながりを大切にし、まちの暮らしを支え続ける。そんな姿勢こそが、長年「島影さん」と親しまれ、町内外から厚い信頼を寄せられてきた理由なのかもしれません。
挑戦を力に。声が活きる社風
今でこそ管理部の要として会社を支える能登さんですが、入社のきっかけは一つの出会いでした。
別海町の尾岱沼で生まれ育ち、中標津高校、札幌の専門学校を経て、中標津の会計事務所に勤めていた能登さん。当時の担当先だった島影建設の社長から「ぜひうちに来て力を貸してほしい」と誘われ、約30年前に転職を決意しました。
「会計事務所では、30社ものクライアントを担当していたので『1社だけ見ればいいなら大丈夫!』と、当時は若かったこともあり、少し安易に考えて転職したんですが...(笑)」
しかし、入社早々、能登さんを待っていたのは建設業界のデジタル化という大きな波でした。当時は社内にインターネット環境すらなく、業界では「電子入札」が始まろうとしていた時期。古い事務所に自らLANケーブルを這わせ、パソコンの設定も一から手探りで進めました。
「自分が思い描いていた会社員生活とは、大きく違っていました(笑)。デジタル化も手探りで必死でしたね。さらに、グループ会社の事業に必要な書類や制度の整備なども担当して、気付けば『何でも屋』になっていました」

さまざまな変化を乗り越え、30年近く第一線で活躍してきた能登さん。その原動力について、こう語ります。
「一番大きかったのは、社長をはじめ会社が、自分の意見や提案を頭ごなしに否定せず、きちんと耳を傾けてくれたことですね。社員の意見や新しいアイデアを受け入れ、挑戦を後押ししてくれる風土があります。大変なこともありましたが、『任せてもらえる』という信頼があったからこそ、変化にも柔軟に対応しながら、仕事を楽しんで続けてこられたのだと思います」
社員一人ひとりの声に耳を傾け、意見を尊重し、信頼して仕事を任せる。そんな風土が、社員の挑戦を支えそれぞれの力を引き出しています。
まちに残る仕事を。現場をまとめる技術者のやりがい
工事現場をまとめる現場代理人。品質や安全、工程に気を配りながら、各業種の方々と力を合わせて工事を進めます。天候やスケジュールの変更など、予期せぬ事態にも状況を見極め、一つひとつ丁寧に対応していきます。
本別町出身で、結婚を機に別海町へ移住した志戸田さん(中途入社3年目・業界6年目)。
志戸田さんに技術職として感じる仕事の魅力を聞きました。
「最初のうちは職人さんと上司の会話についていけないこともありましたが、現場で経験を重ねる中で、少しずつ理解できるようになり、視野が広がっていくのを実感しています。設計図に描かれていない部分まで形にしていく試行錯誤も、今では楽しみの一つです」
苦労の末に建物が完成した瞬間の感動は、何物にも代えがたいといいます。
「建物が少しずつ形になり、無事に完成を迎えたときの喜びは格別です。自分たちが手がけた建物が利用され、これから先も地域に残っていく。その実感が、大きなやりがいにつながっています。これからも職人さんから信頼される現場代理人を目指して経験を積み、頑張りたいです!」
父の影響で幼い頃から「ものづくり」に親しんできた女性技術職 羽根田さん(入社3年目)。
羽根田さんは、高校で建築を学び、同社へ入社しました。
「入社前は、施工管理は現場で職人さんとの打合せや進捗確認が中心だと思っていました。実際は『品質・安全・工程・原価の管理』や『図面・書類の作成』など、幅広い業務があることに驚きました」
日々姿を変える現場に、建築の仕事ならではの面白さを感じているそうです。
中標津合同庁舎改築工事(3工区)施工中
「現場では毎日少しずつ変化があり、『昨日までなかったものができている!』と感じる瞬間があります。図面で見ていたものが少しずつ形になり、完成したときの喜びは、建築の仕事ならではの楽しさです。予定通りに進まないこともありますが、3年目の現在では、仕事の流れや現場の状況も分かるようになり、周りを視て自ら行動できるようになりました」
一時期、洗車場の現場を3件連続で担当したことも、印象深い思い出になっていると言います。
「1件目で学んだことを次の現場で生かし、2件、3件と経験を重ねるごとに、できることが増えていきました。同じ洗車場でも、現場によって条件や工事内容が異なるため、新しく学ぶこともたくさんありました。『また洗車場だね(笑)』と周りから言われるほど続いたことも、今ではいい思い出です」
自分が携わった建物が形となり、まちの人々の暮らしを支え続けていく。それこそが建設の仕事ならではの魅力となっています。
若い力を育む!笑い声あふれる別海町で一番明るい職場。
「現在の従業員数は48人。地元の建設会社としては比較的大きな規模で、若手の育成にも力を注いでいます。高校生のインターンシップも積極的に受け入れており、『この会社が手がけた建物が好き』『自分もこんな建物を建てたい』と憧れを抱いて入社する若手も増えています」と能登さんは話します。
インターンシップを経て入社した女性技術職 阿部さん(入社2年目)
阿部さんは、現場で感じたことをこう振り返ります。
「実際に現場に配属されて、一人では現場を進められず、『みんなで力を合わせてつくり上げていくもの』なのだと、改めて実感しました。昨年経験したJV工事の現場では、複数の工区に分かれていたため、他工区の職人さんから声を掛けていただくこともあり、普段とは違う現場を視る機会にも恵まれました。さまざまな仕事や進め方を知ることができ、とても勉強になりました」
寒冷地ならではの施工方法についても、日々新たな学びがあるといいます。
「特に印象に残っているのは、冬の北海道ならではの現場の工夫です。凍結を防ぐためにヒーターを設置するなど、季節に応じた対策が必要だということを、入社して初めて知りました。現場毎に工夫があり、日々新しいことを学んでいます」
こうした若い世代の成長を支えているのが、経験豊富な先輩社員たちです。
「危険が伴う現場だからこそ、技術指導や安全管理については一から徹底的に教えていきます。でも、休憩時間になると、若い社員にも温かく優しく見守っています」

住環境のサポートも充実しており、町外から移住してくる社員のために自社アパートを用意。さらに、資格取得にかかる費用を会社が支援するなど、働きながらキャリアアップを目指せる環境が整っています。
「仲間同士で支え合いながら、一緒に成長できる、温かく働きやすい環境をつくっていきたいと思っています。建物が完成したときの喜びや仕事のやりがいを感じながら、みんなで成長していけたら嬉しいですね」
同社の温かな社風を象徴しているのが、オフィス内の明るい雰囲気です。
能登さんが率いる管理部には5人の元気な女性スタッフが在籍しており、職場をパッと明るく彩っています。さらに、長寿犬のチョコちゃんも社員と一緒に出勤しており、みんなの癒しの存在となっています。
看板犬「チョコちゃん」18歳
「手前味噌ですが、事務所の明るさは別海町で一番じゃないかってくらい賑やかです!いつもいろいろな話題で盛り上がっています!」と能登さんは嬉しそうに笑います。
和やかな会話と笑顔が職場に広がり、10代の若手からベテランまで、世代や立場を超えて気軽に声を掛け合える風通しの良さが、ここにあります。

- 島影建設株式会社
- 住所
北海道野付郡別海町別海99-43
- 電話
0153-75-3501
- URL















