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このまちのあの企業、あの製品
妹背牛町

統合で大改革!待遇・環境が激変した妹背牛の藤岡妻神株式会社20260528

統合で大改革!待遇・環境が激変した妹背牛の藤岡妻神株式会社

空知地方北部に位置する北海道雨竜郡妹背牛町。人口約2,700人、道内有数の米どころとして知られ、石狩川と雨竜川に挟まれた肥沃な大地には、のどかな田園風景が広がっています。このまちの東側、平屋を覆う大きな三角屋根が目を引く社屋が、藤岡妻神株式会社。北空知管内の河川や農地、道路などの維持管理に取り組む土木建設企業です。趣のある社屋に入ると、今回のお話の主役である伊藤則仁さん、さらに代表の藤岡靖士さんが和やかな笑顔で迎えてくれました。

30歳を過ぎて学び直した土木建築。そこから見えてきた別の道

柔らかな物腰が印象的。最初にお話を伺った伊藤さんは、同社の管理部に所属する65歳のベテラン技術者です。

「育ちは妹背牛町です。高校卒業後は7年ほど自衛隊に勤務。その後、実家の左官業を手伝っていたときに、妻神工業(当時)の代表に『この先、左官の仕事は少なくなる。これからは土木建設の時代、うちで働かないか』と声をかけていただいたんです」

fujioka_02.jpg藤岡妻神株式会社の管理部長を務める伊藤則仁さん。

そのまま入社する手もありましたが、土木も建設も全く未知の業界。入社して先輩から学ぶより、事前に知識を習得した方が成長は早い...と考え、伊藤さんは一念発起で東川町の北海道情報処理専門学校の土木情報処理学科(現在は廃校)に入学します。その時の年齢は28歳。やや遅咲きの「学び」ではありましたが、その年齢で授業を受けたことが、後の伊藤さんの人生に新たな選択を生み出すことになります。

さて2年間の通学の後、伊藤さんは晴れて妻神工業に入社します。当初は現場技術員として勤務しますが、その後、3年目から現場代理人として勤務します。

恩師からの突然の誘い。週一コマから始まった専門学校の講師生活

それから数年、多彩な現場の管理を続けてきた伊藤さんに小さな転機が訪れます。きっかけは、かつての専門学校時代の恩師からの電話。

「今、自分が勤務している東川町の専門学校で『安全管理』の授業を受け持ってくれないか...というお誘いでした。え?自分が先生なんて...と、最初はなかなか信じられませんでした」

fujioka_03.jpg「最初は不安だった講師の仕事も、学生たちの成長を目の当たりにするうちに、やりがいや手応えを感じるようになっていきました」と伊藤さん。

恩師は、学生時代の勤勉な姿、優秀な成績もさることながら、その後、実社会での多彩な現場経験を積み、業界でも一目置かれる存在になった伊藤さんを高く評価したのでしょう。謙遜する伊藤さんを「週に一回だけでいいから」と説き伏せ、仕方なく伊藤さんは東川町の専門学校の非常勤講師をすることに。

「普段の日は会社に勤務、週に一コマというペースで教壇に立ちました。その頃は若い人とふれあうこの仕事が楽しいと感じるようにもなっていたので、喜んでお引き受けしたんです」

3年が過ぎた頃、恩師の退職に伴い、専任教員として専門学校に来て欲しいと話があり、専門学校へ転職。このとき伊藤さんは36歳。ここから妹背牛町の土木技術者と東川町の専門学校講師という二足のわらじを履く日々が始まったのです。

座学と現場をつなぐという指導。学生の目の色が変わるインターンシップ

学校には、土木、建築、情報処理、医療、経営などさまざまな学科が揃っていました。伊藤さんが担当したのは土木工学。時にはマニュアルに沿って、時には自らの経験を例にしながら、基礎から専門に至る幅広い知識を学生たちに教えていきました。

中でも特に大切にしたのが、【座学の知識と現場の経験】をつなげること。

「学生は学校で基礎知識を学び、3〜4か月間、道内の建設会社に実習生として出向するんです。そうすると教室で覚えた用語とか、作業とか、工事の流れが、具体的な映像となってリアルに頭に入っていく。理解が一気に深まっていくんです」

fujioka_04.jpg建設AIの導入、多彩な設備、充実した待遇や福利厚生などに惹かれ、同社への若者の入社も増加傾向にあるとか。

さらに2級土木施工管理技士資格取得のための的を絞った勉強を進めていくほか、企業のインターンシップを積極的に経験させるなど、就職を見据えた取り組みにもチャレンジしていきます。

「最初はしぶしぶだった学生たちも、大先輩たちの働く姿を見たり、迫力ある工事を目の当たりにしたり、あるいは実際に賃金を受け取ったりすると(当時はインターンシップでも給与が支払われていた)、本当に目の色が変わっていくんです。それまでの勉強としての土木が、仕事としての土木になっていくわけです」

当時は、人手不足の波が広がりつつあった頃。現場に入った学生たちは、インターンシップ先の企業だけでなく、元請けのゼネコンの技術者と出会ったり、JVの担当の方々と言葉を交わす機会にも恵まれます。つまり、その分知り合いが増え、就職先の候補も広がっていくということ。

「学生たちにとっては、非常に恵まれた状況ですよね。さらに自分たちが仕事をしていく上で大切なのは、誠実さや素直さ、コミュニケーション能力や協調性なんだということにも気づいていきます。インターンシップが生み出す素晴らしい成果です」

こうした伊藤さんの陰ながらの努力もあり、卒業生の半数以上が希望するゼネコンや建設会社などに就職していったとか。中には起業したり、建設企業の代表を継いだ人も。

「教え子たちが活躍していると聞くと、やっぱりうれしいもの。過ぎてしまえばあっという間でしたが、思い出深い時間の連続でした」

残念ながら学校は2012年に廃校となり、充実した講師生活も13年でピリオドを打つことに。伊藤さんのわらじは元の一足に戻り、北空知の工事現場を奔走する妻神工業の技術者生活が、再び始まったのです。

fujioka_06.jpg社内のコミュニケーションも良好。職場には常に明るい雰囲気が漂っています。

企業の統合から改革へ。生まれ変わりつつある地方の土木建設企業

時は流れて2024年。妻神工業は以前から交流のあった北竜町の藤岡建設への事業譲渡を決定。二つの企業の統合により、株式会社藤岡建設は、社名を藤岡妻神株式会社に変更し、本社を北竜町から妹背牛町へ移転します。もちろん 伊藤さんもその一員となりました。

この統合を機に、社を挙げて取り組みをスタートさせたのが、大胆な業務改革。古いしきたりや慣習が残る前世代的な土木建設企業からの脱却でした。ここでお話を伺うのは、同社代表の藤岡靖士さん。

「業務改革の理由はただ一つ、地方の土木建設企業の最大の悩みである人手不足や若者離れの解消です。幸いなことに、今回一緒になることができた妻神工業には、優れた技術者や指導者がいました。その方々が持つノウハウなども活かしつつ、若い人が興味を抱くような環境やしくみ、制度などを作っていこうと考えたわけです」

最初に取り組んだのは「ICT推進部門」の立ち上げ。施工管理や書類作成などで長時間労働の解消に貢献する建設AIを活用したり、ICT・熱感知ドローンの利用を推進する新しい部門の開設でした。

fujioka_07.jpg藤岡妻神株式会社の代表・藤岡靖士さん。「今回の統合は大きなチャンスだと思っています」と語ります。

「初期費用で約1,000万円を投じ、PC関連機器やソフト、ドローンなどをラインナップしました」

働きやすい環境づくりも、非常に具体的。業界では珍しい「フレックスタイム(現場のスタッフで勤務時間を決める)」の導入のほか、超格安で利用できる住まい(寮)の用意、さらに給与待遇も都市部の土木建設業を大きく上回る額に設定しました。

さらに外国人(ベトナム)の技能実習生の受入にも積極的に挑戦。統合してわずか一年ですが、藤岡妻神株式会社は目を見張るほどの変化と成長を繰り返しています。

プロの教育者が社内にいるという強み。新人を丁寧に育てる次世代型企業

こうした企業の成長と変化の中で、再注目されているのが伊藤さんの存在。藤岡代表は大きく頷きながら話を続けます。

「この世界に飛び込んでくる若者は、そのほとんどが未経験者。そこで大切になるのが、指導の仕方です。今の時代、『先輩の背中を見て...』とか『マニュアルを独学で...』では、人は育たない。親しみやすく、分かりやすく、なにより楽しい伊藤さんの指導スタイルが、現代の風潮にピッタリなんです」

なるほど、かつて講師まで務めたプロの教育者が社内にいる...という環境は、業界を見渡してもそう多くないはず。何も知らない真っ白な新人を、最先端のAI環境や心温まる待遇で迎え、丁寧な教育指導で育てて行く...。近未来を思わせるような素晴らしい仕事環境が、北空知の片隅にあるこの小さな会社に備わっているのです。

fujioka_10.jpg「省力化に加え、操作も容易な機器の導入なども進められているので、女性の方もぜひ弊社で働いてほしいですね(伊藤さん)」

伊藤さんも嬉しそうに言葉を継ぎます。

「ひと昔前の経験が、時を超えて役立つならこんなに嬉しいことはないです。ただ教え方は今も昔も全く同じ。座学と現場をつないで、心から納得させることに全力を傾けています。舞台は確かに田舎だけれど、技術力も待遇も働きやすさも、都市部の企業に引けを取らない環境をつくり、一人でも多くの若者を招いていくことが、自分の当面の目標なんです」

最後に妹背牛という町の魅力について尋ねてみました。まずは伊藤さん。

fujioka_11.jpgICTや建設AIの知識豊富な社員が、定期的に勉強会を開催。地方企業ながら高度な技術力や設備環境を有しています。

「自然がある、温泉があるというのは、すべての田舎共通だけど、ここにはそれに加えて、血の通った人づき合いがあるんです。『最近どう?』『お母さん、見かけたよ』『休みいつ?』みたいな会話が、その辺の道ばたとかタクシーの中とかで普通にある。みんなで見守りあい、みんなで支えあって穏やかに暮らしてる。それがいいんです」

最後にもう一度、藤岡代表。

「田んぼや道路、川の整備も災害復旧の取り組みも、すべては町民のため、この町のためにという気持ちが湧いてくるんです。自分たちだけでなく、町の人と一緒になって、新しい歴史をつくっていく感じ。それが地方で働き、地方で生きていく面白さだと思っています」

fujioka_12.jpg「藤岡妻神株式会社は、妹背牛町民と一緒に暮らし、歩んでいく会社だと思っています」と最後に語っていただきました。※撮影時は全社員の半数ほどで、他の社員は現場で仕事中です。

藤岡妻神株式会社
藤岡妻神株式会社
住所

北海道雨竜郡妹背牛町字妹背牛499番地5

電話

0164-32-2421

URL

http://fujioka-saikami.jp

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統合で大改革!待遇・環境が激変した妹背牛の藤岡妻神株式会社

この記事は2026年4月9日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。