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新ひだか町

DXと人材育成で、地域も社員も笑顔の未来を。幌村建設(株)20240912

DXと人材育成で、地域も社員も笑顔の未来を。幌村建設(株)

今回、取材に伺ったのは新ひだか町にある「幌村建設株式会社」さん。土木工事を主とした建設事業を地域で展開しています。...と、ちょっと待って下さい。「建設・土木」というキーワードだけで、スルーしてしまっているみなさん。自分には関係ない業種かな?そんなことを思ってしまう方にこそ、改めて深く知ってほしいと思います。

幌村建設さんは、地域に根付いた安定企業として知られるだけではなく、「人材育成チーム」「建設ディレクター制度」「DXチーム」の新たな3本柱を導入して、未経験でもスムーズに成長していけるような仕組みと、社員ごとの負担の偏りをなくすサポート体制、そして建設のDX化を進めています。ICT技術や最新機械を取り入れて業務の効率化を図っているほか、新卒や中途入社の社員が働きやすく、やりがいを感じられる仕組みを整備しているのもポイント。それは、取材を経て感じたみなさんの笑顔やチームワークの良さにも表れていました。 

社員の方に会社の特長を聞いたところ「人間関係の良さ」を挙げています。休憩中には、ベテランの作業員さんたちと、孫のような年の若手社員さんが軽口を言い合いながら笑っている様子が印象的でした。また、女性社員も多く在籍していて、その半分は現場技術者のサポートを行う「建設ディレクター」として、インフラをつくり上げる一員としてのやりがいを感じながら働いています。

労働環境のホワイト化、そして最新技術を取り入れながら、地域活動やSDGsにも取り組む幌村建設さん。そこには、一度地元を離れた3代目の副社長の「外からの視点」と、中途入社組として現場で苦労した経験が活かされていました。

中堅社員さん、若手社員さん、女性社員さんの声もインタビューしているので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね!

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地域のインフラをつくる、メンテナンスを行う建設元請け企業

幌村建設さんは、道路やダム、橋などのインフラをつくったり、災害対策や長寿命化のためにメンテナンスを行ったりしている会社です。少し遡りますが、3年ほど前に取材したときは、砂防ダムを整備している現場を見せてもらいました。総務部・業務部次長の橋本祐樹さんにその時の様子をお聞きしました。

「正確には砂防堰堤(えんてい)といって、河川に設置するダムの一種です。直線的に流れている川沿いに、小さなコンクリート製のダムを何段もつくることで、大雨が降ったときにそれらのダムが水流の勢いを弱める働きをしてくれる。つまり、土砂を伴って一気に生活区域に流れ込んでしまう土石流の災害を防ぐことができるんです」

現場は、過去に大雨の被害があった場所だそうで、道もないような場所に工事用の重機や機材を持ち込んで安全に作業を行っていくことは、ものすごく大変で時間がかかるだろうことは容易に想像できました。

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そして、今回訪れたのは、静内地区にある橋の架け替え工事の現場です。橋本次長に、完成予定の3次元モデルを手持ちのタブレットで見せてもらいました。最近では、デジタルモデルを利用することで経験が浅いスタッフでも図面の理解が容易になり、実際の現場と見比べながらの確認がしやすくなっているそうです。

ちなみに、幌村建設は、国や北海道の発注する公共工事を直接請け負う「元請け会社」です。日本の場合、発注者から仕事を受ける元請け会社があり、元請け会社だけでは仕事を回せない場合には、協力会社に業務をお願いしていく構図になっています。

大きな事業であれば、スーパーゼネコンと呼ばれる巨大企業が元請けとして受注し、多くの協力会社に仕事の割り振りが行われます。一般的に、元請けを行える会社は、企業規模が大きく経営も安定している傾向があるようです。

幌村建設さんの場合、直接受注を行う元請けとしての仕事が多いというのは、働く人にとっても安心できる要素のひとつ。一方、協力会社との作業が多くなるので、現場では作業をとりまとめる監理業務が中心となることもあります。

horo_33.jpgこちらが総務部・業務部次長の橋本祐樹さん。

業界イメージが変わる、幌村建設の3つの取り組み

ブラックと言われがちな土木業界ですが、幌村建設さんでは、会社の「ホワイト化」を進めています。福利厚生の充実だけでなく、新卒や未経験でも安心して成長できる「人材育成チーム」、現場の負担を少なくするための「建設ディレクターチーム」、そして生産性の向上や効率化のための「DXチーム」で業務の合理化を進めています。この3本柱を導入したことで、近年は女性社員の数も増えました。

副社長の幌村佑規さんに、3本柱の内容について伺ってみます。幌村副社長は、日高管内で活動する建設業の若手経営者グループ「プログレス日高」の会長も務めています。

horo_26.jpgこちらが副社長の幌村佑規さんです。

「人材育成チーム」は2名の社員が担当しています。新入社員は、外部機関で1ヵ月研修を受けた後、主に座学で仕事の流れなどを学ぶ期間を経て、現場などのセクションに配属されます。最初の3年間は、この人材育成スタッフに教えてもらいながら段階的に建設の技術を身に付けていきます。また、分からないことがあればいつでも相談できる体制を取っています。

この制度をつくった理由は、若手社員たちから「今、自分たちが何を求められているのか、会社が何をしようとしているのかが分からない」という声があったこと。また、個人によって技術の習得のペースが異なるという課題があったからです。今では、人事育成スタッフが伴走するかたちで、細分化したスキルリストをつくって段階を踏みながら教えているので、若手社員にとっても安心感があり、モチベーションUPにもつながっています。

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「建設ディレクターチーム」は現在3名、うち2名が女性社員です。負担が偏りがちな工事責任者や現場監理の事務的サポートや、会社の情報発信などを行っています。「建設ディレクター」というのは最近この業界で広まってきた資格ですが、取得してからも「うちの会社の現場ではどう進めていけばいいのか」という担当スタッフの声から、定着支援プログラムにも参加しました。今ではサポートする業務を、建設ディレクターが現場と話し合いながら決めて行う形を取っています」

horo_4.jpg幌村建設では未経験からスタートした女性が多数活躍しています!

「DXチーム」は現在2名で、現場の担当とICTの推進を行っています。経験の浅い社員でも扱えるGPS(人工衛星測位システム)による小型の測量機器や、現地で記録する撮影画像や入力データをそのまま発注者への工事完了報告書として使えるシステム、3DCGを使った設計ソフトや産業ドローンを導入しています。最近ではICT建機の一つなのですが、チルトローテータといって、全方向に回転して掘削や盛土(もりど)ができる、油圧ショベルに取り付けるアタッチメントを導入しました。このようなICT化によって効率化や生産性の向上を図れるぶん、社員にとっての負担軽減にもつながっています。

土木現場でもICT(情報通信技術)の発達が目覚ましく、これまで人の経験に頼ってきたものが、システム化されることで効率化を図れる時代になってきました。スマホやゲームの操作に慣れた若い世代にとっては、リアルにものづくりができる、カッコいい仕事と捉えられるようにもなってきています。

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若い人たちに育ってもらいたい。そのためにも、良い環境を整えていきたい。会社としての熱い思いを、穏やかな語り口で話す幌村副社長は、70年近く地域のインフラをつくり続けてきた幌村建設の3代目です。建設業界全体でみても、副社長が入社したころと比べて、今では建機の発達で作業が格段にラクになり、多少荒っぽかった現場の環境も変わってきました。とはいえ、未経験の新入社員に対する幌村建設の手厚い教育体制は、もしかしたらご自身の経験から来るものがあったのかもしれません。

それでは、実際の社員さんはこの会社をどう感じているのでしょうか。3名の方に、入社したきっかけや現在の業務などを教えてもらいました。

北海道静内高等学校卒 石岡 智哉さん

石岡さんは高卒で入社してから10年のキャリアを持つ社員。お話を聞いてみます。

「出身は苫小牧市なんですが、幼稚園から新ひだか町の静内で育ちました。なので、ここが自分にとっての本当の故郷ですね。そして、そのまま地元の静内高校に入学しました。高校生時代を思い返すと、ホント何も将来のことを考えてなかったなぁって思います(笑)」

horo_6.jpgこちらが石岡智哉さん。

高校3年生の就職活動が始まって焦りを感じはじめた石岡さんは、とりあえず求人票を眺めてみたといいます。でも、当時は自分が何をしたらいいのか分からない、どんな業界があるのかも知らない、もちろん会社名も知らないといった状態。主に見ていたのは『給与欄』でした。

「正直に言うと、給料が高いなと思って目に付いたのが幌村建設です。そこをベースに、大体同じくらいの給料の会社を比較したところ、幌村建設の求人票にはなんだか難しそうな仕事内容が書いてあって、より気になりました。普通はそういった企業を避けるのかもしれないんですけど、僕の場合はむしろ『挑戦してみたい!』って思っちゃったんですよね。スポーツをしていたので、カラダを動かす仕事もしたかったし、パソコンをいじるのも好きだったので、事務仕事もあると書いてあるし、『ここにしよう!』って。インターンシップとかにも参加したことなかったのですが、とにかく応募しました。よく考えたらビックリな就活ですよね(笑)」

高校3年生になって、働くということに実感がないまま就職活動をしないといけない時期になれば、給料や場所、休日などの条件で応募先を選んでしまうのはある意味しょうがないことです。ただ、そのなかでも「ラクそうな仕事探し」ではなく、チャレンジのしがいがありそうな業種を選んだというのが、大きく違ったことかもしれません。

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「今の後輩たちもそうですが、僕のときも清掃ボランティアをする入社式後のイベントからはじまって、社会人マナーや建設の基礎を学べる研修機関に1ヵ月間出してもらいました。その研修で出会えた他社の人たちとは今でも仲間で、学べただけでなく友人がたくさんできたこともうれしかったですね。その後は会社で、勉強と経験を積んでいく日々が続きました。ロープ高所作業、アーク溶接、移動式クレーン、小型車輌系、刈払機取扱いといった作業免許や資格取得を会社から支援をもらいながら身につけ、実際に作業現場で経験を積み重ねていくという感じです。この数年では、工事現場の全体を進捗確認するためにRTK(リアルタイム・キネマティック)という測量用の産業ドローンを現場で使っているので、ドローンスペシャリストという養成講座も受講しました。1級土木施工管理技士補にも受かりまして、自分でも今、どのくらい資格を持っているのか言えないくらいです(笑)」

高校時代はあまり勉強熱心ではなかったと話す石岡さん。社会人になってから、こんなに学ぶようになったのは、なぜでしょうか...?「ですよね!」と笑いながら、石岡さんは答えてくれました。

「ここで学んでいることは、全て現場で活かせるんですよ。学んだことが仕事に結び付くって、学校の授業では実感したことがなかったんですよね。今となっては数学とか、もっと学校でちゃんと勉強しておけばよかったと後悔しています」

こういう職業に就きたい!大学を目指したい!という目標が明確になければ、「なんで勉強しているんだろう?」という疑問は、もしかしたら多くの学生さんも抱くことかもしれません。石岡さんの場合は、その学ぶ意味を、会社が、仕事が教えてくれたようです。石岡さんは、コロナが始まった2020年に結婚。この期間は、プライベートでも結婚式を断念したり、会社でも新入社員の歓迎会や忘年会といった行事や集まりができないなど、さまざまなマイナス影響がありました。そこで、ご自身が会社で心掛けるようになったのが「ストレスのない職場や仕事の環境をつくること」です。

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「土木の仕事は、チームワークや信頼関係がとても大切ですから」

入社して10年がたち、自分の仕事だけではなく、後輩たちのこと、会社の未来も考える人材として成長した石岡さん。現在、各現場の社員をサポートして負担を軽減する「建設ディレクター」のチームに属しています。ほかにも「建設DXチーム」や「人材育成チーム」など、幌村建設が近年始めた社内体制によって、互いに支え合う『チーム力』が向上し、課題の解決や効率化による『ゆとり』を生み出していくことは、まさに石岡さんの言う「ストレスのない職場や仕事の環境」につながっていきます。みんなで力を合わせてよりよい会社にしていこうとする姿勢は、これから入社してくる人たちにとってもお手本になり、良い循環が生まれていくことでしょう。

最後に、石岡さんから若いみなさんに、仕事選び、会社選びのアドバイスをいただきました。

「働くことって『やってみるしかない』ですね。求人票だけでは判断もできませんし、やってみるのが一番いいと思います。頑張ってみて、合わなかったら転職したっていいんじゃないかって、あまり深く考えすぎないことも大事だなって。それでも、自分の場合は、高卒で就職して地元に残る選択をしたのは正解だったと思っています。知り合いでも、目的を持たずに進学したけれど、結局何も見つけられなくて、卒業後も正社員になっていないという人たちも割といますし。特に目標がなくて、なんとなく進学するなら、親の負担にもなるし、地元で働いてみるという選択をもっと考えてみてもいいんじゃないかって僕は思います。もし、うちの会社や僕に興味をもったら『一度話を聞いてみたい』ってだけでもいいので、待っていますね!」

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北海道浦河高等学校卒 梅津 吏旺(りお)さん

高卒で入社してから3年目になる梅津さんは、浦河町の生まれ育ち。会社選びに当たっては、実家から通える企業を探したといいます。

「近場で給料の良い会社と思って探していたら、今の会社になりました。2歳離れた兄が同じ業種にいるので、元請けだと工事の作業をするわけではなく、現場監理になることが多いことも知っていました。今の現場は家から車で片道1時間ぐらい。うちの会社は日高エリアがメインで、遠くの出張工事がないこともいいですね。同級生はやはり札幌や道外に出た人が多いけれど、自分は静かでのんびりと暮らせるこの地元を気に入っています」

horo_7.jpgこちらが梅津吏旺さん。

淡々と自分の経験や考えを話してくれる梅津さん。就職して大変だったのは、生活リズムなど学生時代とのギャップに慣れることだったとか。それもだんだんと慣れていき、現場監理を行うことになりましたが、ベテランの作業員さんたちに指示を行う立場で、戸惑うことはなかったのでしょうか?

「新人のころは、作業員さんに『これはどうするの』と質問されても、自分では答えを出せないことがよくありました。そんなときは、上司に電話してフォローをしてもらいます。なので、特に困ることもなく働きやすかったですね。上司の岡部課長は人材育成チームで、僕たち新人はいつもサポートしてもらえるんです。現場監理の仕事は、作業員の人たちへの指示や安全管理、資材管理をします。それに、測量や進捗状況の報告もしますが、すべてタブレットなど入力して共有できるので、苦ではないですね」

それでも経験が浅ければ、現場でミスをしてしまうこともあります。それはどの業種でも起こり得ることですが、建設現場ではキツく怒られてしまうことはないのでしょうか...?

「怒られることはないですね。むしろ、ミスをすると僕自身がヘコんでしまうんです。そんなときは、同期となぐさめ合ったり...。結局は、気にしても仕方がないと割り切って、前に進んでいくつもりでやっています。会社を辞めたいと思ったことも確かにあります。でも、ここは人間関係がとてもいいんですよ。会社の上司も先輩も優しくしてくれるし、現場の作業員さんとも仲が良いんです。僕が軽く『辞めたいんですよね』と言ったとしても、作業員さんが『もうちょっと我慢してみたら』と親身になって言ってくれる。仕事をする上で『人』って一番大事だなと思います」

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現場の作業員さんにも、若手社員さんたちについてお話を聞いてみました。 みなさん、この道40年、50年といったベテラン揃いです。

「まだ若いし経験が浅いから、ミスをすることも仕方ないんですよ。失敗したら謝って、問題が解決すればそれで終わり。あとは毎日たわいもない話をしてね。若い人たちはそうやって仕事を覚えていくんです」

幌村建設の専属として長く働いている作業員さんたちからも、孫のような年の若手社員たちをみんなで育てていこうという思いが強く感じられました。

梅津さんの同期、高橋周弥さんも、「現場の雰囲気がやはり良いんです。新人を大事にしてくれる、会社ぐるみで盛り上げていこうという姿勢ですよね。だから、自分も会社のために頑張りたいと思っています」と話してくれました。

今は後輩の面倒もみる立場にもなって、少しずつ自分自身の成長が客観視できるようになったと語る梅津さん。これからの目標は、現場責任者である所長をよりフォローできるようになりたいと話します。

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すっかり幌村建設の社員として根付いた梅津さんに、この仕事のやりがいを聞いてみると...

「インフラの工事なので割と長期のものが多いのですが、自分が関わってきた現場での工事が終わって完成したときには達成感があるし、率直にうれしいです。あと、この仕事はゼロから始まるっていうのもいいですよね。森に林道をつくっていくときは、まず木の伐採から始まり、平らな斜面をつくるために切土(きりど)や盛土(もりど)を重機で行っていく。そうやってゼロから林道をつくっていくんです」

オフの楽しみはゲームとバイクだそうで、バイクでは近場でもなるべくいつもと違う道を走ろうと、山に入っていったりもするそうです。

周りからは面倒見が良い性格と言われる梅津さん、幌村建設に興味を持つ人に向けてのアドバイスもいただきました。

「うちの会社は人材育成チームという、新しく入った社員を育てる体制ができているので、土木や現場なんか分からない、まったく未経験という人でも入ってきやすいし、仕事を段階的に覚えやすいシステムができていると思います。僕もそうでしたが、上司の方々が手厚くサポートしてくれるので、その部分は心配しないで来てほしいですね。自分も、後輩の手助けをしてあげたいと思っているので、いつでも相談に乗りますよ!」

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北海道静内高等学校卒 村邉 美咲さん

入社2年目になる村邉さんは、東京から地元に戻ってきたUターン組。以前は主に飲食業で働いていましたが、「ここの仕事が性に合っていて、楽しく仕事をしています!」と朗らかに話します。高校卒業時は進学も考えたそうですが、勉強してから就職するよりも、飲食という技術を働きながら学ぶほうがいいと考えたのだそう。確かに、幌村建設では、高卒で入社した石岡さんも10年目。梅津さんは、大学生なら3年生の年齢ですが、すでに現場監理をこなし、資格も多く取得しています。技術や資格を持っていることは大きな強みになります。

horo_8.jpgこちらが村邉美咲さん。

「高卒後は飲食業の会社に就職して東京へ行き、7年間ぐらい居酒屋さんの調理スタッフをしていました。地元に帰ってきた理由は、祖母が体調を崩したこと。私はすごくおばあちゃんっ子で、私に会いたいと言ったのを聞いて、北海道に戻ればいつでも会いに行けると、札幌の飲食業で1年、苫小牧の自動車関連会社の工場で2年働きました。なぜ工場だったかというと『せっかく帰ってきたなら違う仕事をしてみたい』と思ったんですよね。工場も2年で満期になって、新ひだか町に帰ってきました。なぜ幌村建設に入社したかというと、まだやったことのない仕事にチャレンジしてみたいと思ったからです!」

元々、村邉さんの亡くなった祖父がこの会社で働いていたこと、そして現在でも働いているおじを通して社長からオファーをもらったこともあり、村邉さんは建設業界へ飛び込みました。一方で、もし合わずに辞めてしまったとしても、飲食業はどこにでもあるし戻ればいいという『自信』もあったといいます。やはり、技術を持っていることはいざというときの保険にもなるのですね。

現在、村邉さんは技術者として現場に通い、安全書類や日報などの書類作成など、所長さんのお手伝いをしています。建設ディレクターは、現場の負担軽減のためにサポートを行うもので事務作業が多いのも特徴。幌村建設の建設ディレクターチームは、3名のうち石岡さん以外は、中屋さん、山田さんの女性です。その人の持っているスキルや求められる業務に応じて仕事の内容はフレキシブル。例えば、元IT広告系の会社で働いてUターンした中屋さんと、昨年に新卒で入社した山田さんは、現場管理に伴う書類作成や広報を担当しながら主に本社で仕事をしています。

horo_22.jpg会社の広報も担当する中屋さん(左)と山田さん(右)。

現場での業務が多い村邉さんは、入社前と入社後で会社のイメージは変わりましたか?

「やっぱり入る前は、キツいだろうなと思っていましたよ(笑)。入った後も、思っていたほどではないですが、夏は暑いし冬は寒いし、体力面でキツいときもあります。でも、この業界が初めての私には、毎日の仕事が新鮮で楽しいんですよね。それに、人間関係がいいんです。みんな良くしてくれるんですよ。軽口や冗談を言い合ったり、楽しい人たちばかりです。この現場では、私から希望したわけじゃないんですが、女性専用の更衣室をつくってもらいました。夏になると替えのTシャツやタオル、汗拭きシートが必須で!女子トイレで着替えることもできるんですけど、やっぱり更衣室は快適ですね」

汗だくになって着替えをしたり、タオルやシートで顔や首周りを拭くのに、女子トイレだとせわしない気持ちになってしまいます。声を上げなくても、その不便さを分かってくれた現場所長さんの心配りはさすが...!としか言いようがありません。そして、労働環境を常により良くしようという、会社の方針が浸透していることも伺わせるお話です。

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この仕事のやりがいについてもお聞きしました。

「梅津さんと同じく、イチからつくっていく楽しみですね。それと、前回に担当した、三石ダムの現場が印象に残っています。ダムの補修工事で、一部を壊して同じものをつくり直すんですけれど、スケジュールが短かったので、工期に間に合わせようとみんな必死に頑張ったんですよ。無事に完成したときは『私もここに関わったんだ!』と感動したし、みんなの結束が高まった分だけ仲良くなって、いまでも何かの機会で会うと、『久しぶり!元気にしてる?』と声を掛けられます。もう現場は違うけれど、一緒に頑張った仲間なんだなと思うと、それがうれしいです」

建設業という新しい世界に飛び込んで、仕事のやりがいと働く仲間との絆を得た村邉さん。7年間住んでいた東京に比べても、新ひだか町には静内地区に大型ショッピングセンターもあるので暮らしやすいと話します。「私は三石地区に母と住んでいますが、近くの精肉店で揚げてくれるカレーパンやあんドーナツがおいしいんですよ!お気に入りのお魚屋さんでは、白身魚のレモンバジル漬けとか、フライパンで焼くだけの切り身がおいしくてよく買っています」と地元情報も教えてくれました。幌村建設は、ほぼ新築の社員用単身アパートが2棟あり、家賃は月額1万円。社員には住宅手当が一律1万円支給されるので、実質無料でWi-Fi完備の部屋に住むことができます。地元に実家があっても、こちらのアパートに独り住まいをしている社員もいるそうです。

オフの日について聞いてみると...

「オンラインゲームで友だちとしゃべりながらプレイしたり、そうそう、甥っ子が3歳になったばかりで、一緒に遊んだりするんですよ。この前は三石海浜公園に行きました。最近よくしゃべるようになって、可愛くて仕方がないです!去年からは、道内の道の駅めぐりを始めました。1人で行ったり、母親や兄と行ったり。この前の日曜も片道3時間半、3人で運転を交代しながら長万部(おしゃまんべ)町に行ったんですよ。ちょうど『おしゃまんべ毛がにまつり』の日で、ホタテとカニを食べてきました。はい、もちろんおいしかったです!」

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公私ともに充実している村邉さんに、仕事での目標についても聞いてみました。

「今週末に1級土木施工管理技士の試験を受ける予定です。また、来年には中型免許を取りたいですね。トラックで場所を移動したり物を取りに行ったりするときに、私が運転できればと思っているんです。資格の取得については会社が費用を負担してくれますし、私はここで長く、楽しく働きたいので、必要な資格は取りたいと思っています」

インタビューをしていると、みなさんの向上心の強さと、会社という「チーム」で支え合う気持ちが強く伝わってきました。しかも、みなさんが挙げる「人間関係の良さ」は、1日で最も過ごす時間が長い「職場」の環境としては最高ではないでしょうか。最後に、村邉さんにこの会社のPRをしてもらいましょう!

「土木業界=作業員、体力的にハードルが高いと、特に女性は思ってしまうかもしれませんが、うちの会社は私のような建設ディレクターというサポート的な役割の業務があるので安心してください。一般的に思われているほどキツい仕事ではありませんし、現場も楽しい人たちがいっぱいいますよ!」

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SDGs宣言でゼロカーボンを推進、まちの将来を見据えた地域活動も

幌村建設は、社内の働きやすい環境をつくるだけではなく、2021年にSDGs宣言を行い、会社のゼロカーボン化に向けて動き始めました。この活動にも、地球の温室効果ガス削減に対する幌村建設の「本気」が見えます。日高のえりも町内に自社の小型風力発電所を設置し、同町の特産であるコンブ藻場を守るためのブルークレジットを取得。また、グループ会社の農場「ファームホロ」の建物に太陽光発電パネルを設置しました。これらに、会社の所有林が吸収する二酸化炭素を合わせると、会社が出す二酸化炭素の排出量を上回る計算となり、ゼロカーボンを実現しています。農場「ファームホロ」は、牧場から出る馬ふんを堆肥に使った地産地消の循環型農業を営んでいて、生産される甘いアスパラガスは有名ホテルや飲食店でも利用されているほか、北海道が主催する「食絶景✕ゼロカーボンアワード」で奨励賞を受賞しています。

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地元のお祭りの運営や、子ども向けのぶどう狩り体験など、地域活動やまちづくりにも貢献している幌村建設さん。小学生と社員が行うサクラの植樹活動、定期的に行う海岸のゴミ拾い活動などの取り組みも続けています。会社の広々とした敷地の芝生はパークゴルフ場になっていて、社員がレクで使うほか、一般の人たちにも開放されているそう。まさに、地域に根付いた企業と実感します。SNS担当の建設ディレクター、中屋さんと山田さんは、自社の仕事や活動をもっと知ってほしい!と積極的に発信中だとか。「ぜひ、インスタグラムも見てくださいね!」とは、お二人からのメッセージです。

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最後は、総務部・業務部の橋本次長からお話を伺いたいと思います。

「まずは、就職のための説明会とかでよく聞かれることなんですが、長期の出張はほとんどありません。基本的に胆振・日高管内の現場しか受けていません。夏ほどではないにせよ、冬も現場は動いていますから、冬期間に道外の仕事を受けるということもありません。休日も日曜日は固定休みで、4週8休となるように年間で調整していますので、そこも安心してほしいなと思います。給与水準に関しても平均よりは高めなんじゃないかなと思います。

社員たちは会社や仕事の良さを話してくれましたが、それでも、やっぱり楽な仕事ではありません。覚えることもありますし、自然環境との戦いもあります。インフラは人命に関わることでもあり、責任も生じてきます。でも簡単な仕事ではないからこそ、安心して働ける労働環境をつくってあげることが会社の役割だと思っています。私たちの仕事に華やかさはないかもしれませんが、地域を守る仕事です。災害が起こっても被害が大きくならないような施設を作り、災害が起こってしまったらその対処をする。わかりにくいかもしれませんが、道路であったり、橋であったり、トンネルや川も、いつもの日常が日常であるようにしていくのも私たち建設業が頑張っている証拠です。そういう業界であるというのも知ってくれたらうれしいなと思います」

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今回の記事を最後までお読みいただいたみなさま。建設業界のイメージや、どんな人たちが働いているのかということが少しお分かりいただけましたでしょうか?建設・土木の業界は、私たちが生活をする社会において、なくてはならない仕事。特に過酷な自然環境下にある北海道では、さらに必要性が高い業種です。そして、どんなに人口減少が進んでも、人が住み続ける限りこれからも必要な業界でもありますから、興味を持ってくれる人が増えてくれることに期待したいと思います。頑張ってください、そしていつもありがとうございます、建設・土木業で働くみなさん!

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幌村建設株式会社
幌村建設株式会社
住所

北海道日高郡新ひだか町三石蓬栄126

電話

0146-33-2031

URL

http://www.horo.co.jp/

Instagram・・・https://www.instagram.com/horomura_group/

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DXと人材育成で、地域も社員も笑顔の未来を。幌村建設(株)

この記事は2024年7月2日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。