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今年は白いイチゴに注目!「焼肉徳寿」の6次産業化が止まらない20240702

今年は白いイチゴに注目!「焼肉徳寿」の6次産業化が止まらない

上質な肉の脂が焼けてジュウジュウと響く香ばしい音。
鼻腔から大脳辺縁系まで貫くかぐわしい香り。
そして舌の上で広がる上質な肉の旨み・・・。

今回ご紹介するのは、思い出すだけでおなかがすいてしまう人気の焼肉店「徳寿」を経営する梨湖フーズ株式会社。おいしいお肉を提供するだけでは満足せず、自社ファームを作り自分たちで和牛を育てるという、「肉の6次産業化」で注目を集めています。

おいしいものに目がないくらしごとチーム、さっそく焼肉の匂いを頼りに北海道白老町に向かいました。

梨湖フーズ株式会社ってどんな会社?

1979年に創業し、札幌市を中心に、札幌市に隣接した江別市野幌、北海道の空の玄関「新千歳空港」がある千歳市、北海道の中心的な工業都市である室蘭市、国際拠点港湾である海の玄関「苫小牧港」と空の玄関「新千歳空港」のダブルポートを有する苫小牧市にも店舗を構える北海道屈指の人気焼肉店「徳寿(とくじゅ)」

梨湖フーズという会社名は知らなくても、「徳寿」なら知ってる!という方も多いのでは。

焼肉徳寿では、徳寿ファームで肥育した「白老徳寿和牛」を余すところなく使用しています。よく「一頭まるごと仕入れをして...」という焼肉店がありますが、焼肉徳寿は正真正銘の「一頭まるごと仕入れ」です。

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さらにタレやキムチを自社製造していることも、焼肉のおいしさを支える大きな強みのひとつ。お肉をおいしく食べることのプロ集団が、試行錯誤を繰り返して手作りするタレはもちろん、キムチも素材から吟味。本場韓国産の唐辛子と国産の白菜・ニンニクを使い漬け込みます。そこからさらに熟成を重ねることで、発酵による整腸作用や食欲増進・疲労回復も期待できる徳寿特製キムチが完成します。

また、徳寿と並んで人気を集めるのがスイーツショップ「パティスリーフレール」。札幌にある徳寿豊平店の向かいに本店を構えるほか、札幌市中央区に新しくできた商業施設「COCONO SUSUKINO」にも出店し話題になりました。味はもちろん見た目も美しいパティスリーフレールのスイーツたちは、各地の徳寿に運ばれ、焼肉後のお楽しみとして多くのお客に喜ばれています。

焼肉店ではありませんが、実はエストニアやフィンランドにも進出しており、「TOKUMARU(徳丸)」のブランド名でラーメン・寿司・餃子などを提供する店舗を展開しています。

そんな梨湖フーズの中でもひと際異彩を放つ店舗があります。2021年5月、北海道白老町の自然豊かな場所にオープンした「徳寿ファームレストランKANTO」です。他店舗と比較した際の最大の特徴は、敷地内に白老牛の自社牧場やデザートに使用するイチゴのハウスを備える「徳寿ファーム」が併設されていること。

鮮度にも品質にもこだわり抜いた、自信をもって提供できる焼肉メニューを開発し、現在ではお店で使うニンニクなどの野菜も育てるなど、自社生産・自社提供をモーレツに推進しています。

元銀行マンも驚きの「徳寿式6次産業化」

まずお話を伺ったのは、執行役員で管理本部長兼経営企画部長も務める、深川市出身の川辺武史さん。聞けば入社は2022年で、梨湖フーズ歴はまだ3年目なのだとか。

前職では銀行員として支店長も任されていた川辺さん。50歳を目前にした48歳の年に、銀行以外の世界を見てみようと思いたち、転職を決意しました。

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当時は多くの金融機関が従来の金融業務だけでなく、企業と企業の橋渡しをし、新たな価値を生み出す「ビジネスマッチングサービス」に力を入れていた時期で、ご自身も多くの企業の経営サポートやマッチングに関わってきたそうです。転職にあたり、まずは公務員の試験も受け見事合格したそうですが、それと同時に川辺さんの転職を聞きつけた企業からも入社を打診されることもあったそうです。

その中で、先輩づてに紹介されたのが梨湖フーズでした。焼肉徳寿は知っていたけれど、梨湖フーズのことは全く知らなかったという川辺さん。調べてみると創業40年を超える企業であるとわかりました。

「おそらくこれまであまり積極的に情報を公開してきていないのかな、と思いました。当時はコロナ真っ只中でしたし、飲食業界は全くの未経験。正直に言って転職先として飲食店はあまり魅力的だと思わなかったのですが・・・」

それでも声をかけてもらった企業とはすべて会って、話を聞いてみたいと思った川辺さん。その上で今の会社を選んだ理由は「ギャップ」だったそう。

さて突然ですが、「6次産業化」という単語、昨今よく耳にするようになりましたが、いざ説明しろと言われるとイマイチわからないという人も多いのでは?「6次産業化」の定義を農林水産省の資料から引用すると「⼀次産業としての農林漁業と、⼆次産業としての製造業、三次産業としての⼩売業等の事業との総合的かつ⼀体的な推進を図り、地域資源を活⽤した新たな付加価値を⽣み出す取組」。
1×2×3=6というわけです。

例えば、酪農家さん(一次)が自分の牧場でとれた牛乳を使ってチーズを作り(二次)、自分たちの商品として消費者に販売(三次)する。一般的にはこのように「生産者が商品を作って販売」する、「1から始まる6次化」が多いようです。

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しかし、梨湖フーズのやり方は逆。商品を販売する焼肉店(三次)が、自社商品を作る(二次)ために農業に参入(一次)するという、長く銀行マンとして企業融資に携わる川辺さんから見ても、また業界的に見ても珍しい事例なのだそうです。

「前職で6次産業化のお手伝いをすることがあり、なかなかうまくいかずにとんざしてしまうケースも正直多かったんです。その原因の一つが「販路の確保」。商品はあるけど売れない・売り先がないため続けられなくなってしまうんです。しかし梨湖フーズがやろうとしている『3から始まる6次化』は、徳寿やKANTOという店舗(=売り先)がすでにあって、そこで売るための商品を自分たちで作ろうというもの。これはうまくいくんじゃないかと思いましたし、自分の経験が役に立つだろうとも思いました。」

飲食業とは縁遠かった川辺さん。入社してからも、驚きの連続だったのだとか。驚きポイントをいくつか教えてもらいました。

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一つ目が肉のおいしさ。白老牛をはじめ、仕入れる和牛そのものの肉質の良さはもはや説明不要。その和牛をおいしく食べてもらうため、注文が入った場合、お肉を提供する直前に、「こだわりのもみダレ」をもみこむひと手間をかけているそうです。「もみダレ:つけダレ=6:4」で味が完成するように仕込んでいるのだとか。深い...!

二つ目が換気の良さ。徳寿は全席に無煙ロースターを配備。服にニオイが付きにくいことが喜ばれています。川辺さん自身、入社するまではスーツを着てランチに焼肉を食べるなんて考えもしなかったとのことですが、徳寿では当たり前のようにサラリーマンがランチを楽しんでいます。

三つ目がリピーターの多さ。これまで特定の焼肉店を意識することは無かったそうですが、徳寿を経営する会社に入社したことを知人に話すと、みんながその名前を知っていて驚いたそうです。肉のおいしさと換気の良さが、高い再訪率の大きな要因になっているはず、と川辺さんは胸を張ります。

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とてもいい商品をもっていても、外に向けたPRにあまり注力できていないと、知ってもらうことができません。銀行員として企業の魅力を引き出してマッチングしてきた川辺さんは、梨湖フーズ、徳寿の良さをより多くの人の目に触れる機会を増やすことを、自身ができることの一つだと考えています。

「もう一つは従業員の働きやすさの改善です。社内ルールの整備や給与ベースアップはもちろん、産業保健師の社員登用や有給休暇の取得率向上などを促進しています。その先には2028年の50周年に向けて掲げた、大きな数値目標の達成があり、この実現こそ自分の役割だと感じています」

梨湖フーズには従業員の「やってみたい」という気持ちを大事にする社風があり、これは社長のスタンスでもあるそうで、たとえ会社の方針と一致していなくても、主体性をもってなにかをやりたい気持ちを応援してくれるのだそう。

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「極端ですが、徳寿で修業をして独立するのも良しだと思っています。逆に夢に向けた主体性が無いと、長く続けるのは難しいかもしれません」

この日は新商品候補の「白老牛のひつまぶし」の試食を行っていました。畑ではブルーベリーの木の植え付けも控えているそうです。今日も新しい取り組みがどんどん生まれ、お客さんを驚かせようと待っています。

店長自ら栽培を指揮!「白いイチゴ」にご注目

続いては現場をまとめる、徳寿ファーム副場長兼レストランKANTO店長の長﨑雅哲さんです。
製薬会社や販売業を歴任し、34歳で梨湖フーズに入社。4年ほど前に一度会社を離れ、2年半前に再び戻ってきました。

・・・むむ。突っ込んで聞いていいのかどうなのか。
えーと、よし、聞いちゃいましょう。
4年前になにがあったんでしょうか。

「その当時、仕事上の負荷やトラブルを重く感じていて、一度現場から離れてみようと思ったんです。ですが、しばらくして思い返すと梨湖フーズで働いていた環境が懐かしく感じまして、社長に電話で復職したいと相談しました」

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そう、厚生労働省の「産業別入職率・離職率(令和3年(2021))」によれば、宿泊業・飲食サービス業の離職率は25.6%。全体の平均値が13.9%であり、全業種の中でトップでした。飲食業は人の出入りの多い業界であることは事実。しかし、その上で長﨑さんに「戻りたい」と思わせた理由とはなんだったのでしょうか。

「お店で働いていれば色々なトラブルや改善すべき点がたくさん出てきます。その時は決して楽しいわけは無いんですが、解決したときの充実感というのもあるんです」

なるほど。成長するためのトラブルを乗り越えた先ある楽しさというヤツですね。スポーツ選手でいえば、ゾーンに入った状態。すごい。

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かつて長﨑さんが徳寿藻岩店に勤めていたころ、うまくお店を回せない時期がありました。どうしたら良くなるのかわからず悩んでいたとき、当時一緒に働いていた経験豊富なパートさんからアドバイスをもらったそうです。

それは「言葉の選び方と伝え方」。同じ内容でも伝え方によって、受け手の気持ちは大きく変わるのだと気づかされたそうです。「仲間と一緒にお店を作っていくために、自分はどうあるべきなのか考える機会を与えてもらいました。」と、長﨑さんは話してくれました。

こうして思いが通じ、再び梨湖フーズの一員となった長﨑さん。勤務先はここ白老で、レストランKANTOの店長として就任しました。当時はKANTOがオープンしてまだ間もない頃。シフト調整や店内業務に目まぐるしく日々を送っていました。

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しかしそれから数か月後、なんとイチゴ栽培を担当していたスタッフが退職し、長﨑さんに白羽の矢が立ち、ファームの副場長も兼務することに。仕事はできる人に降ってくるとは聞きますが、本当に降るんですね。

さて、これまでに色々な仕事や困難をクリアしてきた長﨑さんですが、イチゴ栽培、というか農業は全く未知の世界でした。師事できる有識者もおらず、ビニールハウスのメーカーさんに聞いたり、農業に携わった経験のあるスタッフと相談しながら、手探りでイチゴの栽培を進めていったそうです。

「本職の農家さんであれば、いつ収穫するためにいつ何をするのかを計算して育てるんでしょうが、なにせ素人なので不安でした。天気が悪くなるたびに緊張しましたね」

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結果、1シーズン目はカビにやられ、通常の1/3程度の収穫量に留まりました。2シーズン目はカビ対策を講じたものの、暑さにやられ、やはり想定した収穫量には届きませんでした。

そして今年迎えた3シーズン目。新たな刺客「白いイチゴ『エンジェルエイト』」が登場。全国的にもまだ珍しいこの白いイチゴ、昨年も試験的に栽培していましたが、今年は栽培量を一気に3倍に増やし、ハウス1棟をまるごと白にしました。うまく実れば2tになる広さです。

「白いイチゴを徳寿のウリにしたいという全社的な思いがあり、今年の肝入り企画ですね。赤いイチゴとは与える水の量や肥料の量が微妙に違い、食味も違います。赤白どちらも、パティスリーフレールで使いたい量が共有されているので、要望に応えられるように気を付けながら育てています」

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最後に、今後の目標を教えてもらいました。一つは「家族で1日楽しめる場所」を作ること。すでにあるおいしい料理やいちご摘みのほかにも、自分でとったいちごを使うジャム作り体験やバギー体験などのコンテンツを強化し、料理だけでないプラスアルファの感動を提供できる場所を目指しています。

「自然に囲まれていますので、少し歩けばあまり知られていない滝など、なかなか面白い場所があるんです。地元白老の山岳会の方にご協力いただきながら、トレッキング+お食事付きのガイドツアーができないか、現在計画中です」

体を動かしてからいただく絶品料理、ものすごい強コンテンツになりそう!
夏だけでなく冬場の体験も企画されており、氷瀑見学ツアーやテントでBBQなど、この立地ならではのコンテンツに期待が高まります。

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もう一つは「社員がいなくても回るお店にしたい」という現場目線からの目標です。そのためにも業務の知識だけではなく、お店全体を見渡す力のある人材を育てていきたいそう。

「例えば、料理を運ぶ際には、手ぶらで戻ってくるのではなく、まだ下げられていない食器は無いかとか、お客様が困っていないかとか、そういう意識づけができるといいと思うんです」

1から10まで指示を受けてから動くのではなく、自分が今どう動けば全体がうまく行くかを、スタッフ一人ひとりが考えて動くことができれば、お客様へのサービスが向上するはず。その先に、徳寿ファームレストランKANTOを訪れたお客様の満足度アップに繋がると、長﨑さんは考えています。

今回のインタビューに共通するキーワードは「ここに来ないと出会えない感動体験を提供する」というブレない柱でした。
既存の焼肉店の枠に収まらない梨湖フーズの「徳寿ファーム」と「徳寿ファームレストランKANTO」。その魅力はやはり現地で体験して初めてわかるもの。
次のお休みは和牛ランチといちごスイーツを求めて白老へ!

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徳寿ファームレストランKANTO(株式会社 徳寿ファーム)
住所

北海道白老郡白老町森野14-3

電話

0144-85-2323

URL

https://www.tokuju.com/shop/kanto/

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今年は白いイチゴに注目!「焼肉徳寿」の6次産業化が止まらない

この記事は2024年5月22日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。