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上富良野町

地域のホワイト企業で今どきの「施工管理」。(株)アラタ工業20240621

地域のホワイト企業で今どきの「施工管理」。(株)アラタ工業

田園風景の向こうには十勝連峰の山々。千望峠や見晴らし公園に続く丘は、ラベンダーを始めとする色あざやかな花々で彩られています。北海道でも指折りの観光ゾーン「富良野エリア」にありながら、どこかのどかな雰囲気がただよう上富良野町。このまちで、「施工管理」という仕事に就き、町のメインストリートを造ったり農地を整えるなどの仕事に取り組んでいるのが、播偉弦さん。

初夏の足音が聞こえる5月の末、播さんが働く株式会社アラタ工業を訪ね、会社や仕事内容について、さらにこのまちでの暮らしぶりについてもお話を伺ってみました。

ラベンダーのまちで、大地のインフラに取り組む会社に入社

aratakougyo02.jpgイマドキの施工管理者、播偉弦さん

播さんは美瑛町の出身。町内の小中学校を卒業し、さらに工業高校に通いましたが、就職する際、小さな夢が芽生えたと言います。

「ずっと実家で暮らしてきたので、独り立ちしたいというか...地元以外で就職したいと思ったんです。かといって、札幌や東京という都会は、どこか気ぜわしくて苦手。地元とほどよい距離があり、でも田舎すぎないところ...そんな風に考えていたときに、学校の掲示板で,上富良野町のアラタ工業の求人を見つけたんです」

アラタ工業は、1918年に創業した歴史ある会社。一世紀以上の長きにわたり、高速道路や橋などを造る「道路整備」、水害を防ぎ生態系を守る「河川整備」、田畑を整理したり使い勝手をよくする「農地整備」など、大地のインフラ事業に取り組んでいます。

aratakougyo03.jpg上川エリアの大地のインフラ整備が使命

「高校生だったこともあり、正直『整備』と聞いてもピンときませんでしたが、普段からよく目にする道や畑を整えている会社、重機などをつかうスケールの大きそうな仕事...ということだけは分かりました。担任の先生が『上富良野の民間企業では、実績も待遇もトップクラスだよ』という言葉にも背中を押され、入社を決めたんです」

覚える期間を過ぎたら仕事はとても面白くなる?!

入社したのは2014年春。播さんは先輩たちに用語を教えてもらったり、パソコンの使い方を習ったり、現場に足を運んだりしながら、この会社の業務や工事を少しずつ覚えていきました。

aratakougyo04.jpg女性社員が多く、雰囲気はなごやかです

「入社前は、職人の世界とか上下関係が厳しいとか、そんなイメージを持っていましたが、社内はもちろん協力会社の人たちも、おだやかな人ばかり。今のように『ハラスメント』とか『パワハラ』という言葉がない頃から、お互いを気づかったり、サポートし合う感覚が根づいていた気がします」

播さんの現場での初作業は測量。広い大地のさまざまな場所の高低や傾きの状況を計測するという、土木工事の基本です。

「とはいっても、測量機や三脚を持って、先輩に指示された場所に立って、また指示された場所に移って...の連続。自分がどういう役割をしているのか、正直、よく分かっていませんでしたね」

そんな播さんでしたが、三ヶ月、半年、一年と時間が経つうちに、工事の内容、作業の流れ、自分の役割などが分かるように。と同時に、この仕事ならではの達成感も感じるようになってきました。

「荒れていた川岸がきれいに整ったり、山の斜面に土砂崩れを防ぐ柵が取り付けられたり、上富良野の街なかの道路が生まれ変わったり。工事のさなかは夢中だったけれど、完成した場面を見ると、シンプルに『スゲー!』とか『デケー!』って感じました」

aratakougyo05.jpg「社員の仲がいい」のがアラタ工業スタイル

こうした感動を味わうたびに、播さんは「後輩にもこの感覚を経験させてあげたい」と思うように。

「どんな仕事も最初はみんなシロウト。覚えることも多いので、多少の苦労はします。でもその期間を過ぎたら、仕事は急に面白くなるもの。なので、途中で辞めちゃうのって、すごくもったいない気がします」

学生がイメージする「施工管理」とは全然違う「施工管理」。

北海道のあちこちで行われている土木工事や建築工事。その現場をとりまとめるリーダーが施工管理者。スポーツや映画に例えるなら「監督」の役割です。

「学生たちには、野外作業の力仕事、泥にまみれて働くというイメージがあると聞きました。実際、自分の弟も東京で施工管理をしていますが、民間企業からの受注がメインなので、残業や土曜出勤もあり力仕事も多いと聞いています」

けれど、アラタ工業の施工管理の仕事環境は、ほかと全く違うとか。

「うちは役所の仕事なので土日休み、残業もほぼありませんし、大型連休も用意されています。また自分たちで工事日程を決めることができるので、ムダな仕事はゼロ、泊まりの遠方出張もありません。力仕事は作業スタッフに任せている上に、最近はモバイルなどを活用しているので作業着が汚れることすらないんですよ」

aratakougyo06.jpg施工管理はオフィス作業も多いのです

ちなみに播さんは有休は毎年ほぼ消化しているとか。二人のお子さんが生まれた際は、ひと月の育休も取得しています。

「自分が高卒以来、ずっとこの会社で働いているのは、『会社の環境がいいから』の一言に尽きます。みんなプライベート第一で働いていますし、上司や先輩への変な気遣いは必要ありません。でも仕事でチームになったら、絆はとても強い。まさにイマドキの会社です。さらに農地や高速道路など、未来に残る自分たちの『作品』が、このまちのあちこちにあることも魅力だと思いますね」

会社のしくみをクリアにし、本来の「ホワイト化」を実現。

ここでご登場していただくのが、同社の前田正利取締役。アラタ工業の現代的な仕事環境作りの推進役です。

aratakougyo07.jpg社内のしくみを次々に変革する前田取締役

「以前は大手の金融機関に勤務していました。そこでの経験をいかして、数年前からアラタ工業のホワイト化に取り組んでいます」

その第一弾は働く環境。かつては休日数も平均的だった同社ですが、現在は有休や公休を加えた実質の年間休日は125日、残業は繁忙期を除けば一カ月10時間以内を実現しています。

「昇給は業界でも注目の年間3.4%に設定。高め設定のボーナスに加え、期末手当も支給しています。もともと温和な社員が多い会社ですが、弁護士やコンサルタントの協力を得て小さなハラスメントまで完全になくしています」

住まいの面では独身でも家族でも住める社員住宅を用意。ちなみに「製造原価で家を建てられる」という社員特典もあるとか。まさに至れり尽くせりです。さらにホワイト化は社外活動にも。

aratakougyo08.jpgアラタ工業の社内風景

「2021年にSDGs宣言を行い、電気自動車やハイブリッド重機などのゼロカーボンや豊かな森を育てる植林などに取り組んでいます。また町内のお祭りやイベント、各種行事への参加、学生の職業体験、高齢者雇用の支援などにも積極的ですし、こどもセンターや町立病院の建設など上富良野町の未来を担うプロジェクトにも参加しています」

休日から待遇、働く環境、福利厚生、さらに社会貢献の取り組みまで。アラタ工業は社内のしくみを全てをクリアにし、本当の意味での企業のホワイト化を進めているようです。

地方の方が穏やかに、豊かに、おトクに暮らせます(笑)

ここで播さんのプライベートもフカボリ。3年ほど前、播さんは町内に家を建て、奥さま、二人のお子様と暮らしています。

「社員住宅も快適だったのですが、子どもが元気...すぎるくらい賑やかだったので、思い切って新築しました」

aratakougyo09.JPG播さんの二人のお子さんと

大きな街なら土地代だけでもかなりの額になってしまいますが、そこは地方の利。かなり広めの敷地にモダンな住まいを建てても、「充分払っていける」金額だそう。

「まだ子どもが小さいので、庭でBBQを楽しんだり、近くの公園に足を運んだりですけど、もう少し大きくなったら、地方暮らしの特権をフル活用し、スキーやスノボ、渓流釣り、登山などアウトドアを思いっきり満喫したいです」

日用品の買い物は町内で、特別なものはネットでというライフスタイルもすっかり定着。

「ショッピングモールや映画などに行きたければ、気ままに旭川へ。片道40分程度ですから、不便さとか田舎感などは全く感じません。生活の面でもまさにベストな環境なんです」

ホワイト企業で働きたいという思い、家族との穏やかな暮らしを大切にしたいという願い。その両方が叶う「まちと会社」を選んだのが播さん。微笑ましさとうらやましさが胸に去来する取材となりました。

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株式会社アラタ工業
株式会社アラタ工業
住所

北海道空知郡上富良野町北町2丁目

電話

0167-45-3334

URL

https://www.aratakogyo.net/

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地域のホワイト企業で今どきの「施工管理」。(株)アラタ工業

この記事は2024年5月27日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。