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このまちのあの企業、あの製品
安平町

子どもたちのため。可能性が広がる環境の整ったはやきたこども園20230403

子どもたちのため。可能性が広がる環境の整ったはやきたこども園

すべては子どもたちのため。可能性が広がる環境の整った認定こども園

子どもたちは地域の宝。子どもたちの笑い声は町を明るくしてくれます。安平町は、子どもを主役に考えた町づくりを行っており、ユニセフが推進する「子どもにやさしいまちづくり事業(CFCI)」を実践する自治体に日本で初めて承認されました。2023年春には町立の小中一貫校「早来学園」が開校することでも注目を集めています。

そんな安平町には、町外からも「通わせたい!」という声があがるほど、豊かな自然環境を生かしたステキな2つの認定こども園があります。今回はそのひとつ、「はやきた子ども園」におじゃまし、福田剛園長に園のことをはじめ、園の仕事などについてお話を伺いました。

公私連携によって、地域の人も関わり、大きく生まれ変わったこども園

hayakitakodomo3.jpg木のぬくもりが溢れる園内。柔らな日差しが差し込みます
園の玄関を入ると、目の前に大きな赤い薪ストーブ。暦の上では立春を過ぎていてもまだまだ寒い2月末の北国、柔らかな炎を見るとホッコリした気分になります。園舎は木をふんだんに用いた造りで温もりが感じられ、日差しが差し込む奥のホールからは子どもたちの賑やかな声が聞こえてきます。

はやきた子ども園は、もともと町立の保育園。環境を整え、教育や保育の質をより良くするため、平成28年に公私連携・幼保連携型認定こども園となり、学校法人リズム学園が運営に携わっています。 小学校や中学校の運営には、文科省で定めたコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)というものが取り入れられています。学校が、地域住民と目標やビジョンを共有し、学校作りに取り組むというものです。

はやきた子ども園は、全国で初めてこども園でこの制度を採用。町や地域の人が一緒になって運営を行っています。

hayakitakodomo2.jpg優しい笑顔の福田剛園長
「町立保育園だったころは園庭には本当に何もなくて(笑)、公私連携になって園庭を整備する際、保護者、地域住民を交えて話し合って、どのような園庭がふさわしいかを決めていきました」

はやきた子ども園の園庭は、広々とした敷地内に高さが3m近くある木製遊具やボルダリング、サイロなどがあるほか、馬(どさんこ)も2頭飼育されています。子どもたちは小さなうちから馬に触れ、乗馬体験もするそう。さすが競走馬の町です。

「園庭だけでなく、歩いて少し行ったところに森も所有しています。便利な世の中ですけど、何もない自然の中に身を置くことで、不便さや不快さ、自然の厳しさを知り、自ら考えたり、工夫したり、そこから学ぶことや得られることもたくさんあります。そういう経験が子どもたちを大きく成長させるんですよね」

園舎の中も教室が区切られているわけでなく、吹き抜けの広々とした場所で子どもたちがのびのびと過ごしています。大人があれこれ管理したり、強制したりするのではなく、子どもたちが園での遊びや生活の中から、自然と生きる力を身に付けていける環境が整っているのが伝わってきます。

森の専門家、獣医、看護師に外国人スタッフも。多彩な職員が保育に携わる

hayakitakodomo4.jpg様々な経歴を持った職員がしっかりとコミュニケーションを取りながら活動しています
「うちの園は、いろいろな才能を持った職員がたくさんいます。たとえば、保育士だけど森の専門家、保育士だけど獣医とか。栄養士や看護師もいれば、中国人とフィリピン人のALTもいます。保育や教育の専門家としてキャリアを積んでいる職員たちもそろっています。そうだ! 明日からは子ども向けテレビ番組の制作をしていた人も来ます(笑)」

世代も20~60代がバランスよくそろっているそう。いろいろな大人たちと関わることで、子どもたちはさまざまな価値観に出合えます。こうした経験は子どもたちの成長にとって重要なこと。ちなみに福田園長もサッカーの指導者という肩書きを持っています。 また、男性の職員が一般的な園に比べると多いように見えます。

「僕が幼稚園教諭になった頃は、男の先生は本当に少なかったし、給料が安くて経済的なこともあり、なかなか続けられなかったと思います。うちは、ありがたいことに男の先生たちが長く勤めてくれています」

福田園長は、もともと札幌で幼稚園教諭として私立幼稚園に勤めていたそう。縁があって安平町の町立保育園で保育士として勤務し、その後、役場の職員として福祉課などの勤務を経て、平成28年の民営化をきっかけに役場を退職し、ここの園長に就任しました。

働き方はそれぞれでいい。最終的に子どもたちのためになることが一番

hayakitakodomo5.jpg笑顔と会話が飛び交う印象的な職員室内
「うちは年功序列ではなく、キャリアアップを重視しています。サッカーでいえば、チームの組織の中で監督よりもトッププレーヤーのほうが給料はいいじゃないですか。うちもそういう仕組みを取り入れています。中には、キャリアよりプライベートを重視したいという職員もいるので、そこはそれぞれの希望に応じて働き方を選べるようにもしています」

どのような働き方を選ぶにしても、とにかく「子どもたちのため」と同じ方向を全員が向いて保育にあたってくれればいいという考えです。

また、保育に役立つことを勉強したいという職員には資金補助を行ったり、NPOの職員や小学校の学習支援員のダブルワークも認めています。保育や教育に生かすことができる内容の200ページ以上の書籍を読んだと申告すると、インセンティブがもらえるシステムもあるそう。また、子どもたちの保育に職員が力を注げるよう、業務のICT化を進め、1人1台端末を支給し、効率化を図っています。

hayakitakodomo6.jpg様々なデバイスを活用して業務に取り組んでいます
「僕はあれこれ指示は出さず、とにかく『子どもたちのために』という想いを持って自ら考えて動いてくれれば、あとは放置しています(笑)」

実際、言われたことだけをやるのではなく、「園をより良くしていこう」と主体性を持って仕事に取り組む職員が多いそう。自ら考え、動くことは創造性を養います。そして、その経験から子どもたちにも創造性を育む面白さや楽しさを伝えていくことができるというわけです。

主体性を重んじてはいますが、園の方向性や軸の部分など共有しておかなければならない部分もあります。そのため、月1回は研修を行っています。さらに、参考にしたい道外の園の見学も実施。道外研修は数回に分け、正職員、パートに関係なく、ほぼ全員が同じ園を見学できるように設定しているそう。

「はやきた子ども園で大事にしたいと思っていることや保育環境について、共通の認識を持ってもらいたいという狙いもあります。現場でリアルな空気を感じないと本質的な部分に触れられないと思うのです。一部の職員だけが研修に行き、それを報告するだけでは伝わらない部分が大きいと思うので」

園だけで子どもは育たない。地域と連携し、町全体で育てていくもの

hayakitakodomo7.jpg先生のお話をしっかりと聞く子どもたち
はやきた子ども園の5つの特徴は、「自らを生きる」「えがお」「繋がる」「一人ひとりに寄り添う」「豊かな自然」とホームページに記されています。「自らを生きる」というのは、園の教育理念でもあり、一番大切にしていること。遊びを通して、自分で考えて行動していくこと、自分で選んでいくことが、自らを生きることだと福田園長は話します。


また、「えがお」というのは、ただ毎日笑っていればいいというものではなく、しっかりと感情を露わにしていいよという意味を込めています。さまざまな経験からいろいろな感情が沸き上がってくるのは当然。そんな感情も成長には必要なのです。「繋がる」というのは、職員や友だちはもちろん、地域の人たちとの繋がりも大切にしているということだそう。

「園の中だけで子どもが育つとは思っていません。地域の人たちとの関わりや周囲の環境も子どもたちの育ちには重要。関わりは常に持つようにしています。また、職員の中には先生ではない人、たとえばバスの運転手さんなどもいます。先生ではない人たちとの交流も子どもたちにはとても大事だと思っています」

hayakitakodomo8.jpg子どもたちも先生たちもとにかく楽しそう
ちょうど取材中に園児がケガをしたという報告が入り、福田園長が町の病院のドクターの携帯へ直接電話をかけていました。状況を説明し、緊急性があるか、病院へ連れていくか否かの判断をドクターとすぐにやり取り。

「札幌ではあり得ないでしょ? こども園の園長がお医者さんの携帯に直接電話をかけるとか。安平町という町の規模と、普段からの交流があるからこそこういうことが可能なのです」 各所と連携がしっかりできていて、園が中心となって、町全体で子どもたちを見守っているという印象です。

「職員、町の人を含め、いろいろな人たちと関わり、多様性のある社会で自分が大切にされていると感じると、子どもたちは周りの人たちのことも大切します。そして、それぞれが大切にしていることも認められるようになります。そうすると、いろいろな人といることが楽しいと感じられるし、支え合って生きていくことも自然と理解できます。また、得意なこと、好きなことをどんどん伸ばしていけます。これは職員にもよく言うのですが、得意な人が得意なことをやればいいと僕は思っています」

より良い子育て・教育環境を求め、移住してくる家族も増えている

hayakitakodomo9.jpg子どもたちを見守る園長、と真似するかわいい背中
さらに、見学時に見せていただいたスライドで印象に残ったのが、「生まれてから成人するまで」という文言でした。

2022年の11月には、敷地内に0歳児から2歳児を預かる「はやきた雪だるま保育園」を開所。同じく敷地内には、子育て支援センター「どんぐりひろば」、小学生から18歳の子が利用できる学童保育「ONE STEP」も併設。成長していく子どもたちの居場所が成人するまで確保されており、それが一カ所にあるというのは、子どもはもちろん、保護者にとっても安心です。

「子どもの育ちを卒園後もずっと見守ることができる環境は、町自体が教育を根本から変えていこうと動いていて、官と民がしっかり連携できているからだと思います。僕も小中学校の校長会に参加させてもらったりして、卒園後も子どもたちの成長に関わらせてもらっています」

テレワークが当たり前になった昨今、自然豊かな環境で子育てをしたいという人が増えています。安平町にも、こうした子育て・教育環境を気に入り、本州から移住してくる家族が少しずつ増えているそう。新千歳空港が近いというのも利点のようです。

「ここがきっかけで移住者が増えるのはうれしいですね。園としては、今後、もっと保護者とも関わりを深めていくことが課題かなと感じています。子どもだけでなく、親も一緒に育っていく場になればと思っています。また、地域の高齢者との交流も増やしていきたいです。古くから伝わる日本の習わしや昔ながらの遊びもきちんと伝えていきたいですし、いろいろな世代との交流は重要だと思うので」

園の環境、職員の働き方など、従来の一般的な園と比べるととても先進的な印象を受けましたが、福田園長は、「別に突拍子もないことをやりたいわけでなく、子どもたちのためと思ってやっていたら、結果としてこうなっただけなんですよ」と最後に笑って話してくれました。

学校法人 リズム学園 はやきた子ども園
住所

北海道勇払郡安平町早来大町156-1

電話

0145-22-2510

URL

https://hayakita-kodomoen.jp/


子どもたちのため。可能性が広がる環境の整ったはやきたこども園

この記事は2023年2月28日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。